第107回 発見!人間だけが持つ第4番目の欲求。 〜ジグソーパズル欲!


ロボマインド・プロジェクト、第107弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

人間とサルの違い。
これをずっと考えてるんですよ。
人間だけ、なんで、他の動物と全然、違うのかって?

車や飛行機に乗ったり、スマホでYouTube見たり。
一言で言えば、文明を発展させてきたわけです。
その根本は何かって、ずっと考えてたんですよ。
そしたら、ようやくわかったきました。
心の仕組みから見えてきた、人間しかもってない、意外なプログラムが見えてきたんです。
今回は、その話をしたいと思います。

まず最初に、動物の日々の生活、行動の根本的な原動力ってなんでしょう?
それは欲求です。
3大欲求と言われるのがあります。
食欲、性欲、睡眠欲です。

この欲求があるおかげで、生きていけたり、種を残したりできるわけです。
これは、人間も同じです。

人間だけ、他の動物と違うってことは、つまり、人間だけ、これ以外の欲求があるはずです。
4番目の欲求があるはずなんです。
それがあるから、文明を発展させたわけです。

じゃぁ、それは何なんでしょう。
まず、考えられるのは知的欲求とか、知識欲とかです。
これ、いかにもありそうですよね。

たぶん、心理学とか、哲学とかなら、それもありだと思います。
大学の講義とかで、人間には動物にはない、4番目の欲求があります。
それは、知識欲です。
とかって。
もしかしたら、論文もかけるかもしれません。

でも、僕らがやろうとしてることには、これじゃ、足りないんです。
僕らの目的は何でしたか?
コンピュータで心を創ることでしたよね。
相手にするのは、コンピュータなんですよ。

大学で講義したり、論文を書いたりって、相手は人間やないですか。
人間相手なら、「あぁ、知識欲か。わかる、わかる」ってなるんです。
それで済むんですよ。

でも、コンピュータ相手じゃ、そうはいかんのですよ。
知識って何?
データ?
データを追加すれば知識欲は満たされるの?
それだけでいいの?
って、なりますよね。

ここが難しいとこなんですよ。
相手はコンピュータなんです。
言ってみれば、何にも入ってない、空っぽの心です。
いや、心の形すら、ないわけです。
そこに、ゼロからプログラムで、知識を入れる箱とかを作り出さないとダメなんですよ。
人間相手に説明するのとは、根本的に違うんですよ。
こんなこと、今まで、誰もやったことがないんですよ。
だから難しいんですよ。

ということで、それじゃぁ、始めますよ。
前回、意識について考えました。

意識が考えるときに認識するのが仮想世界です。
仮想世界は無意識が作ったもので、目の前の現実世界だったり、過去の思い出だったり、想像した世界だったりと様々です。

意識は、その仮想世界を操作して、どう行動するか決めるわけです。
その行動の原動力となるのが、感情とか欲求といった心理です。
お腹がすいたって欲求は、食べ物を食べようって行動を促すわけです。

ここで、欲求が出てきましたよね。
もう少し、掘り下げて考えてみます。

前に、テレビで面白い企画を見たんですよ。
犬とかチンパンジーに手品を見せたらどんな反応をするかって企画でした。
何も持ってない手から、食べ物を取り出したり、目の前の食べ物を消したりとか。
犬もチンパンジーも、食べ物には反応してました。
でも、パって空中から、食べ物を取り出したって現象自体には、とくに、何も感じてないみたいなんですよ。

これ、人間やったら、驚きますよね。
何もない空中からリンゴを取り出したりとかしたら、えっと、なりますよね。
この違いは、どっから来るんでしょう?

第104回「リアル マトリックス」で、僕が経験した不思議な話をしました。
家でテレビを見ていたら、テレビの下に、見慣れない木の板が置いてあったって話です。
でも、よく見たら、数日前に買ったゴミ箱だってわかったんですよ。
一旦、ゴミ箱ってわかると、もう、二度と、木の板に見えませんでした。

でも、数秒前までは、ものすごい違和感を感じてたんですよ。
本当は、丸い筒形なのに、それが平たい板に見えてたんで、なんか、不自然な感じがしてたんです。
それになにより、そんな場所に、木の板なんかあるはずがないですし。

なんじゃ、あれって。
誰でも思いますよね。
ここで、「そんなん当たり前やん」で済ましたらダメなんですよ。
これが犬とかチンパンジーやったら、不思議とも思わないんですよ。
触ったり、臭いをかいだりはすると思いますよ。
でも、それが食べ物でもなく、危害を加える物でもないとわかると、何にも気も留めなくなるんです。

ここに、人間の心の秘密があるんです。
つまりね、動物は、食べれるかとか、危険でないかとかって感情だけで行動が決まるわけです。
そのどちらでもないってわかると、それに興味すらなくなるわけです。

でも、人間は違うわけです。
あるはずのないものが見えると、なんで、そこにあるのか解明しないと気持ちが悪いわけです。
明らかに、動物にはない感情、欲求があります。
それって、何なんでしょう?

その後、木の板に見えてた物が、数日前に買ってきたゴミ箱だとわかると、「あぁ、そうか」って納得して、それで、ようやく落ち着きました。

つまり、何と言うか、理屈が通ったわけです。
たぶん、人間は、目の前にある物が、そこに存在しておかしくないか、常に判断してるわけです。
そこに、それがある理由とかです。

目の前にある机は、前からずっとこの部屋にあったって知ってるわけです。
数年前に、IKEAで買ったって記憶があるわけです。
手で触ったら、このぐらいの硬さで、このぐらいの温度でって知ってるわけです。

僕らが世界を見るってのは、こういったことを感じてるわけです。
すべて、矛盾なく、理屈が通ってるんです。
目で見えるものだけじゃなくて、過去の記憶とか、物理法則とか、あらゆる要素が複雑に絡み合って、すべて矛盾なく作られてるのが、僕らが感じてる世界なんです。
まるで、ジグソーパズルのピースみたいに、複雑な形がキレイにはまり込んで作られてるわけです。
ジグソーパズルのピースが、一つだけ欠けてたら、気持ち悪いでしょ。

これなんですよ。
あの時、僕が感じてた違和感は。
たしかに、茶色い四角だから、木の板に見えます。
でも、そんなとこに、木の板なんか、あるはずないしって、
強烈な違和感を感じてたわけです。

でも、それが、
「あっ、この前、東急ハンズで買ってきたゴミ箱や」
って分かった瞬間、その違和感がキレイにきえたわけです。
ジグソーパズルのピースがぴったり嵌ったわけです。
これで落ち着きました。
普段の日常に戻って、何にも、気にならなくなったわでです。

人間と、他の動物の違い、分かってきましたか?
人間だけが持つ、欲求があるわけです。
それは、ズバリ!
ジグソーパズル欲
です。
ん~、まぁ、ネーミングのことは、今は、置いときましょ。

とにかく、頭の中にパズルがあるわけです。
それが、きちんと完成してないと気持ちが悪いわけです。
しかも、結構複雑なパズルですよ。
目に見える3次元世界だけじゃなくて、そこに存在する理由とかまで、ぴったりと合わないとダメなんですよ。
ジグソーパズルというより、複雑な立体パズルみたいな感じです。
押したり引いたり、取っ換えたりしながら、ぴったり合うようにするわけです。

空中から、突然リンゴとか取り出したら、えっとなるわけです。
何もない空間から、突然物体が出現するって理屈に合わないから、驚くんですよ。
理由を知りたくなるんです。
ほんで、服の袖に隠してて、それを取り出したとかってわかると納得するんです。

何か問題があって、それを解決したいって欲求です。
問題解決欲です。
あっ、ジグソーパズル欲はやめて、問題解決欲に変えます。
この問題解決欲、これが、動物は持ってなくて、人間しかない第四の欲求です。

さて、この問題解決欲、今までの欲求と大きく違います。
何が違うかわかりますか?

今までの欲求は、全て、何らかの行動や衝動を呼び起こしてました。
食欲なら、食べ物を見つけるとか、食べるとかって身体的な行動です。

でも、問題解決欲が呼び起こすのは、身体的な行動というより、頭の中の行動です。
外の世界への働きかけがあるわけじゃないんです。
頭の中で、試行錯誤するんです。
人間は、実際の行動より、頭の中の動きの方に重きを置くようになったんです。
つまり、人間は、外の世界と同じくらい、いや、それ以上に頭の中の世界で生きてるわけなんです。

何でそうなったかと言うと、頭の中に、複雑な要素をいっぱい持ってるからです。
エピソード記憶とか、時間って概念とか。
原因と結果とか。
物理法則とか、お金とか、人間関係とか。
そんな物を、とっかえひっかえしながら、ぴったりはまるピースを探すわけです。

そして、この問題解決欲のおかげで、文明も発達したわけです。
空を飛びたいなぁって問題を見つけたら、それを解決する方法を探して飛行機を作り出したわけです。

これがあるから、我々の今の生活があるんです。
頭の中にあるパズルと、それを解きたいって欲求。
これが人間の心なんです。
これを作らないと、人とまともに会話もできないんです。

そして、これをつくろうとしてるのが、ロボマインド・プロジェクトです。
今までのAIとは、全く、視点が違うのがわかりますよね。
今までのAIが、なぜ、会話や言葉の意味を理解できなかったのかも、これで分かると思います。
次回も、心の仕組み、さらに探って行こうと思います。
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それでは、次回も、お楽しみに!