ロボマインド・プロジェクト、第120弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
僕は、よく、魚は意識がないとか、傷みを感じないとかって説明しますよね。
魚は、釣り針が刺さると、応答して、体をバタつかせてるだけだって。
体に違和感を感じると、体をバタバタさせるプログラムがあるだけです。
自由意志なんかありません。
でも、人間は違います。
手の甲をつねられると、痛みを感じて、痛みから逃れるために手を引っ込めます。
まず、意識が痛みを感じるわけです。
それを感じてから、手を引っ込めるわけです。
つまり、自由意志があるといえますよね。
でも、この説明じゃ、納得しないって言われるんですよ。
意識も、痛みって入力に応答して、手を引っ込めてるだけじゃないかって。
それも、一種のプログラムでしょ。
プログラムで動いてるんじゃ、自由意志とはいえないってことです。
なるほど、言いたいことは分かります。
そこで、今回は、自由意志について、意識のプログラムの中身から考えてみます。
プログラムの中身を見れば、魚との違いがはっきりすると思います。
第118回「なぜ、気づかない? あなたは二つの世界を生きてるってことに」で意識のシステムを、外側世界と内側世界の2重構造で説明しました。
外側の世界っていうのが、現実に存在する物理世界のことです。
内側の世界ってのが、頭の中につくられる仮想世界のことです。
内側の世界には、外側の現実世界にある机とか椅子が仮想的につくられるわけです。
仮想世界につくられて、意識が認識するものは、プログラムの用語でオブジェクトといいます。
脳科学だとクオリアっていいます。
それから、重要なのはこの意識のシステムの構造です。
外側と内側で二重になってる点です。
内側世界のオブジェクトは、外側世界にあるものを仮想的に作ったわけです。
外側世界と内側世界は、直接つながってないんです。
つまり、縁が切れてるんです。
この縁が切れてるってのが重要なんです。
意識を持たない魚は外側世界だけで生きてます。
だから、感覚と行動が直接つながってるってるわけです。
魚は、釣り針が刺さったと知覚すると、体をバタつかせるわけです。
人の脊髄反射と同じです。
膝下をハンマーでたたくと、勝手に足があがるやつです。
これって、スイッチに応答して足が上がるプログラムです。
そのスイッチが膝下にあるわけです。
意識がないって、こういうことです。
膝を叩かれて痛いとか感じる前に、勝手に足が動くわけです。
意識がなくても、行動して生きていくことはできるんです。
じゃぁ、なんで、2重構造みたいな複雑な仕組みをつくったんでしょう?
それは、内側に仮想世界を創ることで、物理世界に存在しない物も認識できるようになるからです。
たとえば、お金です。
お金の価値って、物理世界には存在しないですよね。
でも、意識はわかります。
意識は、1000円と1万円の価値の違いがわかりますよね。
こっから、意識のプログラムを考えていきます。
意識のプログラムって、中で、いったい、どんな処理してるんでしょうねぇ?
たとえば、「1分、息を止めれたら、1000円上げる」って言われたとしましょ。
「おお、それ、やってみよ」ってなったとします。
ちょっと、ここでお知らせがあります。
YouTubeの内容を、キンドルで、電子書籍で出したんですよ。
タイトルは、「普通に会話ができる ドラえもんの心のつくり方」です。
第一巻のサブタイトルは「コンピュータに意識が発生するまで」です。
意識の仮想世界仮説までの話です。
内容は、大幅に加筆修正してます。
この動画の説明欄にリンクを貼っとくので、良かったら、読んでください。
はい、それじゃぁ、元に戻ります。
一分、息止めれたら、1000円もらえるってゲームでしたよね。
じゃ、やってみます。
意識は、息を止めるって指令を出して息を止めるわけです。
その後、時計を見て時間を測るわけです。
10秒、20秒、30秒って経って、ちょとずつ苦しくなります。
50秒経って、大分、苦しくなってきたけど、ここで止めたら1000円もらえいないので我慢します。
10,9,8とカウントダウンします。
3,2,1,0、これで終わりです。
ふぅ~。
ここでようやく息ができて、ほっとします。
1000円獲得です。
さて、この間、意識は何をしてたでしょう?
苦しいって感覚が来ますよね。
この感覚が、息をしたいって行動を促すわけです。
それと同時に、息をしたら、1000円もらえないって考えます。
つまり、息をしたいって行動と、1000円って価値とを比較してるわけです。
全然違うものを比較してるんです。
なぜ、そんなことができるんでしょう?
それは、意識が扱うのは内側の仮想世界にあるものだからです。
オブジェクトやクオリアです。
苦しさもオブジェクトの一種です。
意識プログラムには、苦しさオブジェクトや、1000円オブジェクト、残り時間といったオブジェクトが渡されるわけです。
これらを基に、意識は、行動を決めるわけです。
さて、ここで、苦しいと感じてるのは「いつか」について考えてみます。
第118回の動画でも言いましたけど、歩くとかスキーといった行動は意識しなくてもできます。
これは、プログラムでいえば関数です。
意識は、行動を決めると、その行動の関数を呼び出すわけです。
関数を呼び出すと、あとは自動で動くわけです。
ということは、苦しいと感じてるのは、いつでしょう?
それは、行動を決めるときです。
今の苦しさを感じて、これだと、あと、何秒ぐらい我慢できそうって判断しますよね。
その時、苦しさを感じるわけです。
じゃぁ、それはいつですか?
それは、時計を見て、後何秒かって考えたときですよね。
苦しいと感じたとき時計をみますよね。
最初のうちは、苦しくないです。
1000円もらったら何に使おうかなって考たる余裕があります。
そうや、1000円あったら、特選とんかつ定食を食べよ、とか考えたりします。
とんかつだけやのうて、こんなおっきいカキフライもついてるやつです。
それが、苦しくなってくると、後何秒って時計を見るわけです。
そのたびに、苦しい、でも、もうちょっとの我慢やってなるわけです。
苦しさを感じるって現実ですよね。
1000円のとんかつ定食を食べようって、これは空想ですよね。
現実を感じるのも、頭の中で空想するのも、どっちも、意識プログラムが行ってます。
ここで、まず言えるのは、とんかつ定食を食べてるとこを想像しながら、苦しいって感じることができないってことです。
つまり、意識プログラムは、同時に二つの処理をできないってことです。
ということは、空想してるときは、現実を感じてないってことです。
もっと言えば、意識が現実を感じるのは、何か考えてるときと、考えてるときの間なんです。
でも、感覚器からの刺激は常にあります。
おそらく、それを無意識が調整してるんです。
刺激がある程度大きくなったら、意識に入力するんだと思います。
だから、最初の内は苦しくないので、とんかつ定食のことを考えれるんです。
それが、だんだん苦しくなってきます。
無意識は、生命の維持とかを司ってます。
その無意識が、早く息をしてくらないと死んでしまうって信号を送るわけです。
これが苦しさです。
意識が感じることができるのは、これです。
意識の仕事は、行動の決定です。
行動を決定するには、比較しないといけません。
比較するには、何らかの値が必要です。
重さとか、大きさとか。
今の場合だと、生命の危機度です。
そして、意識は、その値を理解できないといけません。
意識が値を理解するって、どういうことか分かりますか?
感じるってことですよ。
生命の危機が低いと高いとかって、それを感じるとしたらどんな感じになります?
それは、痛みです。
苦しさです。
もう、わかりましたよね。
痛みとか苦しみが存在する理由。
それは、意識プログラムが行動を決めるのに、絶対、必要なんです。
行動を決める材料として、今、どれだけ生命の危機に瀕してるのか。
それを分かりやすくしらせるのが痛みです。
苦しみです。
それから、重要なのは、それは、直接行動に結びついてないってことです。
苦しくなったら、息をするって行動が直接結びついてたら、意識が苦しみを感じる必要なんかないですよね。
苦しみの大きさを意識が感じるのは、何のため?
わかりますよね。
それは、他と比較するためです。
1000円と、苦しさを比較するためです。
でも、なんで、苦しみと1000円なんて、全然違うものが比較できるの?
それは、痛みも1000円も、どっちも仮想的につくったものだからですよ。
内側世界で処理できるようにつくられたオブジェクトだからです。
これが意識の仕組みです。
痛みや苦しみが存在する理由です。
じゃぁ、その仕組みの一番のメリットはなんでしょう?
それは、プログラムを自由に変更できることです。
感覚と動作が繋がっていれば、動作は一つに決まります。
変更はできません。
外の世界、環境が変わらないなら、それでも構いません。
環境が変わらない前提なら、生まれる前にプログラムを決めておけばいいだけです。
脳の中にプログラムとして書き込めばいいわけです。
でも、お金とか、そんな物がこの世に存在することなんて、生まれる前に分かりませんよね。
環境に応じて、自由に変更できないといけないんです。
それができるのが、自由に作れる内側世界です。
自由に行動も決めれるんです。
そう、これが自由意志です。
人類は、意識を獲得することで、素晴らしいものを手に入れました。
それは、特選とんかつ定食です。
こんな、おっきなカキフライがついてるやつです。
カキの美味しい季節になってきました。
ぜひ、みなさんも、召し上がってください。
それから、カキフライと合わせて、チャンネル登録、高評価ボタンもお願いしますね。
それでは、次回も、お楽しみに!