第125回 たったこれだけで、ゲームキャラクターに心が生まれる


ロボマインド・プロジェクト、第125弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

ゲームって、どんどん進化してますよね。
どう進化してるかっていうと、面白くて、ハマるように進化してるわけです。
じゃぁ、ゲームにはまるってどういうことなんでしょうね。
それは、プレイする人が、その世界に、自然と入れることです。

自然と入れるってことは、ゲームの構造が、人の頭の中の構造と同じだってことです。
逆に言えば、ゲームの構造を読み解くことで、人の頭の中の構造が分かるともいえるんですよ。

そこで、今回は、ゲームから心の構造を読み解いていきます。
そして、最後には、今のゲームに決定的に不足してる、あるデータについて説明します。
そのデータさえ追加すれば、ゲームキャラクターが、本当に心を持つんです。
やろうと思えば、今すぐにでも実装できるんですけど、誰も、気づいていないデータです。
それでは、最後まで、お楽しみください。

まず最初は、地図です。
たとえばね、ドラクエみたいなロールプレイングゲームを想像してみましょう。
主人公が、世界を旅しています。
草原を歩いてて、向こうに山があって、近くに川が流れています。
今、世界のどのあたりにいるのかなって、画面を地図に切り替えて確認したりしますよね。
これ、自然にやりますよね。

これが自然にできるってことは、人の頭のなかに地図があるってことなんですよ。
世界を上から見下ろして、全体を見渡した時、どうなってるかって想像する機能が頭のなかにあるわけですよ。

人間は、そういう機能を持ってるから、地図を理解することができるわけです。
だから、地図画面に切り替えたとき、あぁ、今、この辺りにいるんだなって分かるわけです。

じゃぁ、地図が理解できないって、どういうことなんでしょうね。
たぶんねぇ、人間以外の動物は、この機能がないと思うんですよ。
たとえば、渡り鳥って、何万キロも旅することがありますけど、地図とか、見ないですよね。
地図広げながら、こないして飛んでる鳥なんか見たことないでしょ。

渡り鳥は、地磁気を感じることができるらしくて、それで、どっちの方向に飛べばいいかがわかるそうなんですよ。

頭のなかに地図を作れるってことの意味を、もうちょっと考えてみますよ。
地図って、今、目に見えてる光景とはちがいますよね。
今、目に見えてる光景をどんどん広げていくわけです。
目に見えないとこまで、世界が広がってると想像できるわけです。

ここです。
重要なんは。
目に見えない物を想像するって能力。
これがあるから、地図を理解できるんですよ。
逆に言えば、人間以外の動物は、目に見える世界しか認識できないわけです。
自分が世界のどのあたりにいるとか、そんなこと考えたことないんですよ。
ゲームで地図画面に切り替えて、今の位置を確認できるってことは、そういう能力をもってるってことなんです。

人が自然とゲームに入れるようにゲームを設計するってことは、結果として、人が頭の中で持ってるのと同じ構造を、ゲーム内に作り出したわけなんです。

地図以外にもありますよ。
たとえば、主人公が何を持ってるかとか。
持ち物を確認する画面とかってありますよね。

薬草とか、金貨とか、剣とか。
これが自然と理解できるってことは、自分は何を持ってるかってことを、頭の中で管理してるってことです。
もっと言えば、物を所有するって意味を理解してることです。
自分の物は自分で使えて、他人のものは勝手に使えないとかってことです。

ほんで、ゲームの最終目的は、たとえば、ラスボスを倒すことです。
竜王とかです。
そのために、仲間を見つけたりしますよね。
仲間と一緒に敵を倒したりしますよね。
ケガしたら、薬草で回復したりします。
どう行動するかを決めてるのがプレイヤーである人間です。

ほんで、最近のゲームだと、仲間や敵のキャラクターは人工知能で動いています。
最初っから決められた行動をするんじゃなくて、AIで、その場に応じた行動を取るんです。
すごいですよねぇ。
最近のゲームは。
でもね、最新のゲームでも、どうしてもできないことがあるんですよ
何かわかりますか?

それは、会話です。
最新のゲームでも、キャラクターとの会話は、最初から決められたセリフしかしゃべれないんですよ。
これ、なんででしょう?

考えたら、不思議ですよね。
だって、プレイヤーである、僕ら人間は、ゲーム内のデータを使って、考えて行動するわけでしょ。
ゲーム内のAIキャラクターも、同じゲーム内のデータを使えるわけですよ。
だったら、同じように会話できてもおかしくないですよね。
でも、会話できないって、どういうことでしょう。
それは、まだ、足りないデータがあるってことなんですよ。
それが、なにか、わかりますか?
ズバリ、言います。
それは、時間です。

えっ、時間なら、ゲーム世界にもありますよ。

そう思いますよね。
でも、ここで言う時間は、時計で計る時間のことじゃないです。
主観的な時間です。
主観的な時間って、心の中で感じるものです。
あんなことがあってなぁって思い出すことです。
これは、エピソード記憶ともいいます。
つまり、いろいろ経験したとき、その場面を覚える機能です。

さっき、地図は、現在見てる世界を延長したものを想像できる機能だって言いましたよね。
今、目に見えてないけど、空間を延長して、目に見えないものを想像する、そういう機能です。

それと同じです。
今度は、それを、空間でなくて、時間軸に延長するわけです。
今、目の前で展開されてる場面を保存するわけです。
そして、それを後から思い出す機能。
これがエピソード記憶です。

たとえば、ゲーム内でケガして、薬草を使って治したとします。
そのあと、大けがして、死にそうになった時、あの時、薬草使わんと、取っといたらよかたのにって思ったりするわけです。
こんな風に思えるのは、過去の出来事を思い出して、あの時、こうしとけばよかったのにって思う機能があるからです。
そういう機能を、人は持ってるってことです。
これが人の心が持つ機能でっす。

だから、同じ機能を、AIキャラクターにも持たすんです。
過去の場面を記憶する機能とか。
それから、その場面で、どんな行動を取ったら、その後の結果がどうなるかってシミュレーションする機能とかです。
そうすれば、AIキャラクターも、今、薬草を使おうかとか、もう少し取っておこうって悩むようになるんです。

悩むってことは、AIキャラクターの頭の中で、二つの選択肢を決めかねてるわけです。
あとは、その状態を、言葉に変換するだけです。
そうすれば、「あぁ、薬草、今、つかおうかなぁ。それとも、後に、取っておこうかなぁ」ってセリフになります。

こんなセリフを、自動で生成できるようになるんです。
かなり、リアルなAIキャラクターになりますよねぇ。
でも、まだ、これだけじゃ、足りないんです。
人間のらしい心を持つのに、一番、重要な機能が足りないんですよ。
何か、わかりますか?

それは、第123回「完成!最も重要な心のパーツ」でも説明しました。
それは、「心の理論」です。
「心の理論」っていうのは、相手の立場になって考えるって機能です。

たとえば、あなたは、後先考えずに、ちょっとしたケガで、薬草を使ってしまったとします。
そこに、とんでもなく強い敵が現れました。
敵の一撃で、あなたも、仲間も致命的なダメージを負いました。
このままでは、みんな死んでしまいます。
薬草を使えば、何とか、一命をとりとめることができます。
でも、もう、薬草は使い果たしてありません。
「あぁ、これで終わりかぁ」
そう思ったとき、仲間が言います。
「俺の薬草を使え!」
「お前も、それが最後の薬草だろ。
そんなことしたら、お前が死んじゃうじゃないか!」
「どうせ俺が生き残っても、竜王は倒せねぇ。
竜王を倒せるのは、お前しかいねぇ。
ヤツを倒して、この世界に平和を取り戻してくれ」
そういって、自分の薬草を使って、助けてくれるんです。

AIキャラクターも、人間と同じ本能を持たせています。
つまり、できるだけ、自分が生き残ろうって考えるようになってるんです。

でも、このAIは、相手の立場になって考えることができます。
竜王を倒すって、あなたの夢を、誰よりもわかっていたのは彼です。
そのあなたの夢を叶えるために、生き残りたいって自分の気持ちを抑えてでも、あなたを助けたんです。
自分は死んでもいいから、だから、あなたの夢を叶えてくれ。
そんなヤツなんです。

どうです。
そんなAIキャラクターがいたら、泣けるじゃないですか。
でも、こんなAIキャラクターは、今のゲームじゃ作れないんです。
なぜかというと、心の仕組みを持ってないからです。

もし、それができるとすれば、ロボマインド・プロジェクトだけです。

はい、ここで、宣言します。
2021年、ロボマインド・プロジェクトは、心を持ったAIキャラクターを作ります。
心を持って、あなたの気持ちを理解してくれるAIキャラクターが登場するゲームを作ります。

どう思います?
あなたのために、自分の命を捨てるかもしれないAIですよ。
いや、その逆のパターンもありえます。
自分の利益のために、最後の最後であなたを裏切るってキャラクターです。
どう行動するかは、そのAIの性格で決まります。

もし、そんなゲームができたとしたら、ワクワクしませんか?
そんなゲームで遊んでみたいって人とは、チャンネル登録、それから、高評価ボタンをお願いしますね。
それから、このYouTubeが本になりました。
説明欄にリンクを張っておいたので、興味ある方は、そちらもご覧ください。

それでは、次回も、お楽しみに!