第127回 現代科学は、なぜ限界に来てるのか?


ロボマインド・プロジェクト、第127弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

心や精神って、脳にありますよね。
脳って物質ですよね。
物質としての脳に、精神が宿るわけです。
じゃぁ、精神と物質の境目ってあるんでしょうか?
それとも、心って、雲みたいにもわっとして、脳と心の境目ってないんでしょうか?

僕は、精神と物質の境目は、明確にあると思っています。
でも、多くの人は、その境界をわかってないみたいなんです。
ここを曖昧にしてるから、いろんなことががごちゃごちゃになってるんです。
今回は、人類が、数百年、いや、数千年、ごちゃごちゃにしてきたことをきれいに整理しようと思います。
ここがわかると、科学の限界と、次に科学が目指すべきことが見えてきます。

それでは始めます。
まず、図を書きますね。
(ホワイトボード)
こんな感じです。
こっちが物質で、こっちが精神です。
物質ってのは、言ってみれば、物理学とか科学の領域です。
精神が、人間の心とか意識が認識する領域です。
ほんで、その間に重なった領域があるわけです。

ここが一番分かりやすいと思います。
人の心で認識できて、かつ、物理でも扱える領域です。
石ころとか机です。
目で見たり、手で触ったりして、心で感じれるものです。
重さや大きさを測定して、科学で扱うこともできます。

こっちの科学の世界は、人は知覚できないけど、物理的には存在する領域です。
電子とか量子って、小さすぎて人間には見えませんよね。
それから、紫外線とか赤外線とかです。
人間の目が見えるのは可視光だけで、紫外線とか赤外線は見えませんよね。

そして、こっちが精神です。
心や意識が認識する領域です。
ここは、物理世界には存在しなくて、人間の心の中にだけ存在するものです。
感情とか、善悪とかって倫理観とかです。
それから、お金もあります。
お金の価値って、物理的に測定できないですよね。
あと、神なんかもこっちに含まれますね。

さて、こっから本題です。
昔は、こっちの科学の世界はありませんでした。
心の世界だけでした。

見て、感じることができるもので世界ができていました。
それ以外の大事なことは、聖書に書いてありました。
太陽は地球の周りをまわるとかです。

こっちの科学の世界が生まれたのは17世紀です。
いわゆる科学革命です。
科学の世界の特徴は、実験で確かめることです。
客観的に確認できる世界です。

軽い鉄の玉より、重い鉄の玉の方が早く落ちるんじゃないかなって、なんとなく、心で思いますよね。
心で思うって、主観です。
科学の世界では、主観でなく客観を使います。
実験して確かめます。
軽い鉄の玉と思い鉄の玉を、実際に落としてみて、同時に落ちることを確認するわけです。
学校の理科で習いましたよね。
ガリレオです。
だんだん、今まで主観で思ってたことや、聖書に書いてあることは違うぞってわかってきたんです。

望遠鏡で観察したら、太陽は地球の周りをまわってるんじゃなくて、地球が太陽の周りをまわってるぞってわかってきたんです。
そうやって、科学がどんどん発展してきました。
つまり、こっちの科学の世界がどんどん大きくなってきたんです。
逆から見れば、こっちの心の世界がどんどん小さくなってきたわけです。
つまり、主観がどんどん排除されていったわけです。

これ、どういうことか分かります。
こっちの科学の世界が正しくて、こっちの心の世界が間違いってことです。
だから、心の世界にあるものも、科学の世界で説明しようってなるんです。

たとえば神です。
カントを始め、多くの哲学者は神の存在証明を試みました。
でも、残念ながら、科学的に神の存在を証明することはできませんでした。

それから、心理学を、科学の世界で説明しようとしたのが行動主義心理学です。
刺激と反応だけで心の中を説明しようとしたわけです。
でも、それで説明できることって、最も単純なことだけです。
パブロフの犬みたいな、条件反射ぐらいです。
このあたりのことは、第124回「哲学はどこで間違ったのか」で説明しましたよ。

じゃぁ、どうして、こんなことになってしまったんでしょう。
その根本原因は、こっちの科学の世界が正しくて、こっちの心の世界が間違いって考えにあるんです。
この図を、そう見たらダメなんです。
どっちが正しいかって見るんじゃなくて、それぞれに守備範囲があるって見るんです。
どっちの世界にも、それぞれのやり方、特徴があるんです。

それじゃ、こっちの科学の世界の特徴はなんでしょう?
それは、実験とか、客観的な観察でしたよね。
外から観察できるもので解明するものです。

じゃぁ、こっちの心の世界の特徴はなんでしょう?
それは、主観ですよね。
心や意識でで感じることです。

この間の領域は、科学のやり方で、心の世界を解明できる領域です。
AIで考えてみます。
機械学習です。
機械学習って、大量のデータを解析することで、その奥に隠れた法則を見つけ出すって手法です。

これが上手く行ったものに、顔認識があります。
大量の画像を解析することで、人間の顔は、目と鼻と口ってパーツを持つって学習できました。
だから、目と鼻と口のパーツを持てば、それは人間の顔だって顔認識できるんです。

これ、人間が頭の中で行ってる処理と、ほとんど一緒なんです。
だから、顔認識は、科学と心の間の領域に入るんです。
学習の基になる画像って、観察できるものなので科学の手法となるわけです。

それでは、次に、機械学習で上手く聞かなかった例を考えてみます。
それは、会話です。
AIで未だに実現できてないのは自然な会話です。
大量の会話文を機械学習させても、自然な会話はできるようになりません。

これ、なぜかわかりますか?
会話って、心があるからできるんですよね。
意識で考えながらすることです。

さっきの顔認識って、考えなくてもできますよね。
パッと見ただけで、一瞬で誰かってすぐに分かりますよね。
顔認識って、意識で考えなくて出来るぐらい単純な処理ってことです。
つまり、この間の領域って、心の作業の中でも、単純な処理だけなんですよ。
会話みたいな複雑な処理は、機械学習で分析することはできないんです。

ちょっとずつ、科学の世界と、心の世界の境界線が見えてきましたよね。
でも、最初にいいましたよね。
境界線は、はっきりしてるって。
もう少しはっきりさせていきます。

科学の世界の特徴は、観察です。
正確に観察できれば、どんどん真実に近づきます。
顕微鏡で拡大したり、大量のデータで統計的に分析すれば、真の姿が見えてくるわけです。

じゃぁ、心や意識の世界の特徴は何でしょう?
それは、第114回「意識の仮想世界仮説 とことん解説 意識のハードプロブレム編」で説明しました。
キーワードは、記号化とか符号化です。

詳しく説明しますよ。
人は目からの情報を取得します。
目からの情報って、何百万って点々の集まりです。
ここまでは、物質世界にあります。

でも、頭の中では、見た物は、机とか椅子ってまとまりで認識しますよね。
これが意識の認識の仕方です。
そして、そのまとまりに、机とか、椅子って名前を付けますよね。
これは記号です。
つまり、外の世界の情報を、頭の中では記号に変換してるわけです。

理系の人に分かりやすく説明すれば、AD変換と同じです。
AD変換って、アナログ信号をデジタル信号に変換することです。
センサーからの情報はアナログ信号です。
それを2進数とかのデジタル信号に変換するわけです。
たとえば2Vの電圧を2進数に変換して10って符号にします。
これを、符号化っていいます。

これ、どういうことか分かりますか?
これは、変換のルールを知らないと、どう変換されるかわからないってことです。
変換された10を見ても、それは、2Vの電圧を示すってわからないわけです。

ということはですよ。
外の世界にある2Vの電圧をいくら解析しても、頭の中で何に変換されたかわからないんです。
科学の世界のルールが通用しないんですよ。

境界線がはっきりしましたよね。
科学の世界と、心の世界は、根本的な成り立ちが違うんです。
心の世界は、外の世界を記号化して処理する世界なんです。
だから、科学の世界のやり方で、心の世界を解明することなんてできないんです。
上手く行くのは、顔認識とか、条件反射とか、単純な処理だけです。
無意識でできるものだけです。

意識がするようなこと、たとえば、会話とか、複雑なことは、科学の手法じゃ解明できないんですよ。

じゃあ、心の世界は、どうやって解明したらいいんでしょう?
それは、さっきの話に戻ります。
心の世界は、AD変換した後の世界です。
こっちがコンピュータだとすれば、こっちはソフトウェアです。
こっちが物質としての脳だとすれば、こっちは、脳というコンピュータで動くソフトウェアなんです。

そういう風に見たら、いろんなことがキレイに整理できます。
プログラムで作るなら、物理的に存在しないものでも作れます。
見てください。
感情、善悪、お金、神。
すべて、プログラムでなら、作れますよね。

じゃぁ、次は、心をどうやって、解明するかです。
科学の世界なら、観察です。
これが、伝統的な科学の分析の手法です。

でも、心の世界では、それが通用しません。
じゃぁ、どうやればいいんでしょう。

それは、科学の世界が排除したものを使うんです。
科学が排除したものって何でしたか?

そう、それは主観です。
心で思うことです。

じゃぁ、心で思うことは、どうやって解明したらいいんでしょう?
心の世界は、ソフトウェアでしたよね。
だから、ソフトウェアの解析手法を使うんですよ。

リバースエンジニアリングってのがあります。
それは、完成品から、元の設計図やソースコードを解明するって手法です。

つまり、心の動きを忠実に、プログラムで再現するんです。
重要なのは、主観、心で感じるってとこです。
まちがっても、脳をCTやMRIで観察しちゃだめです。

だって、観察は、科学の世界の手法です。
それでできるのは、ハードウェアとしての脳です。
コンピュータの方です。

僕らが解明しようとしてるのは、心です。
コンピュータじゃなくて、その上で動くソフトウェアの方です。

ただ、残念ながら、未だに、世界中の研究者は、科学の手法で心を解明しようとしてます。
でも、説明しましたけど、科学の手法じゃ、心の世界は解明できないんです。
これが、何を意味するかわかりますか?

今までの科学から離れないと、心は解明できないってことです。
今までの科学を踏襲してる教育機関や組織じゃ、心は解明できないってことなんですよ。

幸い、僕はどこにも属してないので、自由に自分のやりたいやり方でやれます。
科学では徹底的に排除してる主観を一番、重要視してます。
主観が感じる世界を、そのままソフトウェアで実現しようとしています。
そんなことをしてるのは、世界中でロボマインド・プロジェクトだけなんです。

よかったら、ロボマインド・プロジェクトを応援してくれると嬉しいです。
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それから、キンドルで電子書籍も出しました。
説明欄にリンクを貼っておいたので、よかったら読んでください。
それでは、次回も、お楽しみに!