ロボマインド・プロジェクト、第130弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
ちょっと前に、面白いニュースを見たんですよ。
「脳に埋め込んだ電極で「うつ状態」から「喜びに満ちた状態」へ感情を移行させることに成功」って記事です。
これは、カリフォルニア大学で行われた研究で、脳のある場所を電気刺激すると、喜びの感情が強制的に起るって突き止めたんですよ。
これは、うつ病の治療にも使えるんじゃないかってことで、ある患者に試してみたんですよ。
その女性は、5年間、一度も笑ったことがないほどの重度のうつ病やったんです。
どんよりした白黒の世界に生きてるようだって言ってたそうです。
その女性の脳に電極を挿して、電気刺激を与えたんです。
そしたら、どうなったと思います?
すぐに、「何、この感覚」って言って、見る間に笑顔になったんですよ。
「これが、喜びって感じよね」
「えぇ、世界って、こんなに美しかったの?」って。
一瞬で、劇的に変化したんですよ。
面白いですよねぇ。
今まで、治療が困難だった、心の病も、脳へ直接電気刺激するって治療できるようになったんですよ。
今後は、こういった治療法が増えてくると思います。
たとえば、イーロン・マスクが設立したニューラリンクって会社も話題になりましたよね。
ニューラリンクでは、脳に埋め込んでコンピュータと脳を繋ぐブレイン・マシン・インターフェイス、BMIを開発しています。
新しい時代が来たって感じがしますよねぇ。
SF映画で見てたような世界が、もう、そこまで来てるんですよ。
たぶんね、もうすぐ、人が考えてることとかも読み取れるようになると思います。
それを無線で飛ばして、テレパシーで会話できるようになるかもしれません。
それから、寝てるとき、どんな夢を見てるかも分かるかもしれません。
モニターに、夢で見てる映像が映し出されたりするんです。
逆に、自分の見たい夢を、自由に見れるようになったりするかもしれませんよね。
って、そんなこと、絶対に起こりませんから!
みんなね、つい、勘違いしてしまうんですよ。
この技術の延長で出来ることと、出来ないことを見極めることが重要なんです。
今回は、そこを、ていねいに説明していきます。
まずね、脳に電極を挿して、できることってなんでしょう?
喜んでるか、怒ってるかって感情がわかりますよね。
たぶん、動物なら、それで十分だと思います。
エサを貰って喜んでるとか、エサを取られて怒ってるとか、その動物が考えてることが分かると思います。
でも、人間の場合、そうはいかないんですよ。
なぜかと言うと、人間の場合、自分だけでなく、相手の感情も理解してるからです。
このことは、第123回「完成!最も重要な心のパーツ」で説明しました。
その内容は、「心の理論」です。
「心の理論」っていうのは、相手の立場に立って考えることができる能力のことです。
ほんで、これができるのは、人間だけなんですよ。
人間社会を実現するには、この「心の理論」が絶対不可欠なんです。
たとえば、僕が、太郎君からプレゼントをもらったとします。
この時、僕は嬉しいって感じますよね。
それと同時に、僕が喜ぶだろうと思ってプレゼントを贈ってくれた、太郎君の気持ちも理解します。
この太郎君の気遣いに対する気持ちが感謝です。
相手の意図を理解して、初めて感謝って感情が理解できるわけです。
それから、善悪って倫理観を理解するのも同じです。
社会とか第三者がどう思うかってことを理解できて、はじめて成り立つものです。
目の前に困ってる人がいたら、助けるべきって思うのは、相手が困ってるって理解できるからですよね。
道にゴミを捨てたらダメだって思うのは、そんなことしたら、みんなが困るってことを理解できるからですよね。
あと、この第三者が理解できて、生まれたのが「神」だって話を、第126回「神はいかにして生まれのか」で説明してますので、よかったら、そちらも見てください。
こんなふうに、相手の心を理解する「心の理論」って、まさに、人間を人間たらしめる、最も重要な理論なんです。
さて、この「心の理論」、もっと突っ込んで考えてみます。
まず、脳をコンピュータのCPUとして考えます。
ロボットの脳のCPUを考えるわけです。
CPUの入力端子に繋がれてるのはカメラとかマイクです。
人間でいうと、目や耳です。
CPUの出力端子に繋がれてるのはモーターです。
人間でいうと筋肉です。
嬉しいことがあると、顔の表情筋を動かして、笑顔になるわけです。
これで、嬉しいとき、笑顔になるロボットは作れそうです。
さて、こっからです。
このCPUは、入力データから状況を判断して、嬉しいとか悲しいとかって出力するわけです。
これは自分の感情ですよね。
人間社会をつくり上げてるのは、相手の感情を理解できる心でしたよね。
じゃぁ、相手の感情は、どうやったら理解できるんでしょう?
CPUが出力できるのが、自分の感情だけだったら、相手の感情なんて理解できないですよね。
ここで、エミュレーターっていうのを考えてみます。
エミュレーターっていうのは、CPUの動きをソフトウェアで仮想的に再現するものです。
だから、ファミコンのエミュレータがあれば、古いゲームを、PCでプレイすることができるんです。
さて、これを、「心の理論」で考えてみます。
「心の理論」って、要は、相手の心を理解できるってことでしたよね。
相手の心って、言い換えれば、相手のCPUです。
つまり、CPUのエミュレータがあれば、相手の心を再現できるわけです。
CPUのエミュレータって、ソフトウェアで実現されます。
実際のCPUの中で動いてるプログラムの一部ってわけです。
脳に埋め込んだ電極って、CPUの出力端子になりますよね。
それで分かるのは、自分の感情です。
でも、エミュレータの状態はわかりませんよね。
つまり、脳に埋め込んだ電極からは、相手の気持ちを思いやってるとかってわからないんですよ。
思ってるのとは違うことを話すなんて、よくあることですよね。
「このことを知ったら、この人は、とても生きて行けない」
「あぁ、自分の口からは、とても、伝えれない」
そんなことを考えながら作り笑顔で、会話するとか。
そんな複雑な感情は、脳に電極を挿しただけじゃ、絶対に読み取れないんです。
そんなやり方じゃ、人間の心は解明できないんですよ。
できるのは、電極を使って脳に電気刺激を与えて、相手の感情を強制的に切り替えることぐらいです。
でも、僕らが欲しいのは、ドラえもんみたいな、人間と同じ心を持ったロボットですよね。
今の技術でドラえもんを作ったら、どうなるでしょう。
のび太君が、泣いて帰ってきたとします。
「わーん、また、ジャイアンにいじめられたよ」
「何とかしてよ、ドラえも~ん」って泣きついてきたとします。
「しょうがないなぁ」
パカパパッパパーン!
「ワクワク電極~!」
グサッ!
あ~、なんか、楽しくなってきたよぉ。
その解決方法、絶対違いますよね。
そういうことじゃないよ、ドラえもん。
でも、イーロンマスクに任せたら、こんなドラえもんになってしまうんですよ。
そんなん嫌でしょ。
じゃぁ、どこが間違ってたんでしょう?
それは、CPUの中で動いてるエミュレータを無視してるとこです。
ソフトウェアの部分を、全く考慮してないからです。
脳の入出力だけを見てただけじゃ、心は見えてこないんですよ。
人間らしい心って、脳ってハードウエアじゃなくて、その上で動くソフトウェアの方にあるんですよ。
脳で実行されるプログラムを解明しないといけないんですよ。
イーロンマスクにもできない心のプログラムをつくってるのがロボマインド・プロジェクトです。
よかったら、チャンネル登録、高評価、お願いしますね。
それから、このYouTubeが本になりました。
「普通に会話ができるドラえもんの心のつくり方」です。
説明欄にリンクを貼っておきますので、よかったら読んでみてください。
それでは、次回も、お楽しみに!