第142回 最恐AI、GTP-3で、いいね!は何個ついた?


ロボマインド・プロジェクト、第142弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

みなさんは、今見てるこの動画、どこから辿りつきましたか?
たいていは、YouTubeからですかねぇ。
僕は、動画をアップすると、いっつも、ツイッター、メルマガ、ブログ、それから個人のfacebookでも配信してるんですけど、SNS経由で来てくれてた人もいますよね。
どれでも、動画の内容を簡単に紹介してるんですけど、facebookだけは、ちょっと違うんですよ。
facebookで繋がってる人って、直接会った人が多いんで、正直、僕の動画に興味ない人が多いんですよ。
でも、せっかくやから、楽しんでもらおうと思って、毎回、動画と関係ない面白ネタを書いてるんですけどね。
でも、YouTubeを見てくれるわけでもなく、時間がかかるし、これ、意味ないから止めたいなぁって思ってるんですよ。
でも、ときどき、「毎回、ネタ、楽しみにしてます」とかコメントが入ったり、「いいね」がいっぱいつくと、なかなか止められないんですよ。
いつも、動画の説明欄には、会社のfacebookページ貼ってるんですけど、今回だけ、特別に、ネタ投稿してる個人のfacebookを貼っておきます。今なら、100%承認してるので、よかったら友達リクエストしてください。

えーっと、そういう話がしたかったんじゃなくて、SNSに関する面白い研究発表があったんですよ。

オランダ、アムステル大学の心理学の研究チームが発表した論文です。
人がSNSに夢中になる計算モデルが、動物の報酬予測の計算モデルと一致するらしいんです。
動物の報酬予測モデルって、レバーを押したらエサを貰えるってネズミのオペランド条件付けとかが有名です。
心理学でいうところの行動分析です。
研究チームは、4000人、100万件のSNSの投稿を分析した結果、「いいね」をたくさんもらうと、投稿頻度が増えて、「いいね」が少なくなると、投稿頻度が減るのが分かったそうです。

その気持ち、めちゃくちゃよくわかります。
まぁ、当たり前といえば当たり前なんですけど、でもね、この当たり前のことが分かってない人がいるんですよ。
何の話かというと、AI、人工知能の話です。

人が行動するには、心理的な背景があるわけです。
それは、人間だけじゃなくて、動物全般に共通します。
美味しい食べ物を食べたいってのは、ネズミだけじゃなくて、人間も含めて、生物すべてに共通するわけです。
ご飯が報酬ってことです。

人間の場合、ご飯以外にも報酬があるわけです。
それが、社会的報酬です。
みんなにスゴイとか、面白いと思われたいってことです。
つまり、「いいね」とかです。

生物の進化に合わせて、脳も進化してきました。
生物の本能を司る脳幹や小脳が古い脳です。
考えたり、学習したり、しゃべったりするときに使う大脳が新しい脳です。
これは、進化順に脳を並べた図です。
ピンクのとこが、古い脳で、水色が新しい脳です。

面白いのは、進化の過程で古い脳が消えるんじゃなくて、古い脳の上に、新しい脳が覆いかぶさるんです。
つまり、新しい生物も、古い脳を持ってるわけです。
だから、行動の原動力として報酬を求めるって根本原理は変わらないんです。
これが、心の一番、基本的な構造です。

AIの話に戻ります。
AIが目指すのは、人間のように考えたり、しゃべったりするコンピュータです。
人間と同じ知能を目指してるわけです。

今、一番話題のAI技術、何か知ってますか?
それは、GTP-3です。
ディープラーニングを使った自然言語処理技術です。
何がすごいかって、自然な文章を自動生成するんですよ。

その仕組みは、ものすごくシンプルです。
単語に続く単語の確率を、膨大なデータから学習させたわけです。
こんな感じです。

「今日の晩ご飯は」に続く単語を、膨大な文書から計算すると、「カレー」が続く確率が0.6%、「抜き」が続く確率が0.3%とかです。
「晩ご飯抜き」はきついっすよねぇ。

まぁ、それはいいとして、こうやって、次に続く確率の高い単語を続けることで、自然な文章ができるんですよ。
どのくらい自然かって言うと、GTP-3で自動生成したデタラメなブログ記事が、アメリカの大手掲示板のハッカーニュースで1位になったことがあったそうです。
もう、人間が書いた文章と見分けがつかないみたいです。

今のAI業界は、GTP-3の話題でいっぱいです。
GTP-3だと、フェイクニュースが簡単に作れるから、気を付けないと、めちゃくちゃな世の中になるとか。
ついに、AIにライターの仕事が奪われるとか。
GTP-3で検索したら、そんな記事ばっかり出てきます。

さて皆さん。
そんなこと、みんな、本気で思ってます?
僕は、それをマジで知りたいんですよ。

GTP-3が作れるのは、一見、ちゃんと読めるだけの文章ですよ。
意味はないですけど、いかにもそれっぽい文章ってことだけですよ。
たしかに、フェイクニュースは作れると思います。
でも、聞いたことあります?

うわぁ、フェイクニュース書くん大変やわ!
もう、全然、人手が足りひんわ、とか言うてる人。
聞いたことないですよね。
こんな、意味のない文章しか書けないシステム、誰が使うの?
AI業界の人って、これで世界が変わるって、本気で思ってんの?

僕は、ビジネスをやってるから、よく分かるんですよ。
僕は、開発者でもあり、マーケッターでもあり、経営者でもあります。
だから、なんで、こんな間違いを犯すか、リアルによく見てきました。
っていうか、自分でも、何度も失敗してきました。

全く新しい製品を世に出すタイプの商品作りをプロダクトアウトって言います。
アップルのiPhoneとかです。
スマホっていう、まだ世の中にない製品を作って、一気に市場を席捲していくタイプです。
さすが、スティーブ・ジョブズです。
これ、憧れますよね。

その反対は、マーケットインです。
ユーザー、つまりマーケットが求めてる製品を作ることです。

開発者って、すぐに、自分のできる物を世に出したがるんですよ。
ほら、こんなの作ったぞ。
ほら、こんな機能を追加したぞ。
あっ、そうや、ちょっと改良したら計算機にもなるから、計算機能も追加しとこって。

そうやって、誰も使うことのないボタンがいっぱい追加されていくんですよ。
そんなリモコン、見たことあるでしょ。
なぜか、これ、日本の家電メーカーに多いんですよ。
プロダクトアウトあるあるですわ。

スマホからボタンを無くしたiPhoneと大違いです。
プロダクトアウトって、そんな生易しい物じゃないんです。

さて、GTP-3です。
そうやってみて見ると、GTP-3って、完全なプロダクトアウトですよね。
フェイクニュースを自動で作りたいなんて、誰か言いましたか?
意味はないけど、一見、それらしく読める文章を作れました。
どや、スゴイやろ!
これで世の中変わるぞ!
って、思ってるの、作ってる側だけです。
ユーザーは、誰も、望んでないんですよ。

じゃぁ、ユーザーは、何を望んでるんでしょう?
それは、その逆です。
多少、たどたどしくても、意味のある文を生成できるAIです。
ぎこちなくても、心が通った会話ができるAIです。

GTP-3に欠けてるのは、何でしょう?
それは、意味です。
心です。

じゃぁ、心の一番の基本原理ってなんでした?
それは、美味しい物を食べたいとか、みんなに認められたいとかって欲求です。
古い脳から出てくる根源的なエネルギーです。
そのエネルギーを基に、新しい脳が言語化したり、考えたりするわけです。

意味とは、根源的なエネルギーなんです。
これです。
GTP-3に足りないのは、これなんです。
みんなに凄いって思われたいとか、面白いって思われたいってエネルギーがないんです。
GTP-3がやってるのは、見た目上、それらしい文章になってるってとこだけです。
単語の次につながる単語しか考えてないので、そりゃ、そうなります。
こうしたいって気持ちが一切ない文章なので、意味のない文章になるんです。

今のAIがやってるのは、こういう事なんですよ。
本質とか、ユーザーを置いといて、出来たから出そうとしてるだけです。
流行りのディープラーニングを使って製品をつくってみたぞ。
どや!って感じです。

表面的な流行りの技術だけじゃ、ダメなんですよ。
マーケットが望んでるのは、心をもったAIなんです。
技術ばっかりにとらわれてるから、本質が見えてこないんですよ。

それとは逆に、本質から心をつくろうとしてるのがロボマインド・プロジェクトです。
流行りを追ってないので、あまり注目されないのが辛いとこですけど。
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それから、このチャンネルが本になりました。
説明欄にリンクを張ってますのでよかったら見てください。
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それでは、次回もお楽しみに!