第161回 田方流 完全にオリジナルなアイデアの出し方①


ロボマインド・プロジェクト、第161弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

僕のチャンネル見てくれてる人に会うと、必ず聞かれることがあるんです。
それは、アイデアは、どうやって出してるんですかって。
ネタ元があれば、教えて欲しいって。

もちろん、ネタ元なんかないですよ。
全部、オリジナルのアイデアです。

よく、アイデアの出し方の本とかあるじゃないですか。
あんなの読むと、たいてい、同じようなこと、書いてあるんですよ。

この世に、本当にオリジナルのアイデアなんか存在しない。
どんなアイデアも、元になるアイデアがあります。
それを組み合わせて新しいアイデアが生まれるんです。

ハッキリ言ってね、僕は、こんな考え、クソ食らえって思ってます。
僕は、完全にオリジナルなアイデアにしか興味ないんです。
ただ、完全にオリジナルなアイデアって、正直、あんまり評価されないんです。
何て言うか、みんな、困るみたいなんです。
とくに、頭のいい人っていうか、学校の勉強ができるタイプの人は。
そう言う人は、いっぱい勉強してるんで、たいていは、今までの知識を基に評価できるんですよ。
でも、僕のチャンネルでは、誰も言ってないことばかり語ってるんで、とっかかりがないから、どう評価していいのかわからないみたいなんですよ。

イケダハヤトってYouTuber知ってますか?
イケハヤ大学ってチャンネルやってる人です。
あの人は、ホント、勉強家で、めちゃ頭もいいんです。
なんで、一度、イケハヤさんにYouTubeコンサルしてもらったんですよ。
そしたら、僕のチャンネルをさっと見て、「これはすさまじい! これはYouTubeよりアマゾンと相性がいいから、キンドルで本出すべき。出したら絶対読みます」ってアドバイスをもらったんですよ。
キンドルで本出すことになったのは、こういう経緯があったんです。
ほんで、本出したら、イケハヤさんにも読んでもらったんですけど、やっぱり、感想はもらえなかったんですよ。
たぶん、どう評価していいのか、分からなかったんでしょうねぇ。
もし高く評価して、万一、僕がこけたら、自分も巻き添えを食うから、下手に評価しないほうがいいってことやと思います。
有名人の場合、リスクを考えないといけないから難しいですよねぇ。

それはともかく、今回は、僕が、普段、どうやってアイデアを出してるかについてお話しようと思います。
それでは、始めましょう!

僕のやり方は、何か知りたいと思ったら、全体を捉えようとするんです。
多くの人は、これができないみたいなんです。
普通は、何か知りたいことがあると、その知りたいことを中心に調べますよね。

僕が思うに、ものごとの理解って、全体の中の一部って形で理解すべきやと思うんですよ。
どれだけ深く理解してるかってのは、どれだけ広い視野の中で理解してるかってことなんですよ。
ものごとって、いろんな事が関連し合ってるんですよ。
その関連しあってる全体の枠組みを捉えるのに、まずは、一番力を注ぐべきなんですよ。
全体が見えてくると、一部が抜けてたり、不自然に偏ってるとこが見えるんですよ。
それがわかったら、そこを中心に読み解いていくと、今まで、見えてなかったものが見えてきたりするんですよ。
そういうとこって、他の人が見落としてたり、無意識に避けてたりするとこが多いんです。
そこにこそ、新しいアイデアの種が隠れてたりするんです。
ちょっと、分かりにくいですかねぇ。

全然違う例ですけど、イチロー選手って、いますよね。
イチローは、毎朝、カレーを食べてたって話は有名ですよね。
奥さんの弓子夫人は、毎日、全く同じ味のカレーを作ってたんです。

この理由、知ってますか?
カレーがめっちゃ好きとかってことじゃないですよ。
筋肉が疲労すると、乳酸が溜まるんですよ。
乳酸が溜まると、カレーを辛く感じるらしいんですよ。
つまり、毎朝、同じカレーを食べることで、自分の隠れた疲労がわかるんです。
今日は、カレーが辛く感じるから、バットを5cm短く持とうとかって調整するわけです。
すごいでしょ。
一流選手のやることって。

それから、イチローは、階段を上がる時、足の筋肉全てを意識するそうです。
右足のふくらはぎが少し張ってるなとか、左足の足首に少し違和感を感じるなとか。
だから、今日のバッティングフォームは気持ち右足の角度を変えようとか。

ちょっと分かってきましたか?
物事の全体とかバランスを見てると、普通の人が気づかない、わずかな違和感を感じれるようになるんですよ。
その違和感の中に、大事なものが隠れてるんですよ。

さて、こっからが本題です。
僕の研究の話です。
ロボマインド・プロジェクトは、自然な会話ができるAIを目指しています。

研究に取り掛かったのは、20年以上前です。
全体像を把握するために、最初、関連する本を読み漁りました。
AIとか、自然言語処理、言語学なんかの本です。
人工知能学会、言語処理学会、日本認知科学会にも入って、最新の論文も常に目を通していました。
僕が知りたかったのは、人は、言葉の意味をどうやって理解するのかってことです。
いろんなジャンルの本を読んで、少しずつ、全体像が分かってきました。

当時の僕は、自分の知りたいことは、どっかに書いてあるって思ってました。
それが見つからないのは、僕の探し方が悪いだけだって思ってました。
僕が知りたいのは、言葉の意味を理解するとはどういうことかってことです。
こんな基本的なこと、分からないわけ、ないじゃないですか。
それが、いくら調べても、見つからないんですよ。

もちろん、認知言語学の意味論とか、いかにもそれらしい研究はありますよ。
こういうの、言い方が難しいんですけど、人文系の研究って、ふわっとした理論が多いんですよ。
コンピュータに実装するには、曖昧さがあったらダメなんですよ。
実装できるぐらい、きっちりした理論になってないと使えないんですよ。

たとえば、中学で日本語の文法って、習いましたよね。
動詞の未然形に接続する助動詞は何だとか。
次に続く単語が何の場合、どう活用するとか。
僕は、こんな文法規則を全てコンピュータに入れて、文を生成させたことがあるんですよ。
そしたら、おかしな文がいっぱいできたんですよ。
おかしな文が出来るたびに、新しい文法規則を追加していったんですよ。

これ、どういうことか分かります?
つまりね、日本語の文法ですら、まだまだ、未知の文法がいっぱい存在するってことなんですよ。

もっといいますよ。
この世には、誰も研究してないことなんて、いくらでもあるってことなんですよ。
文法学者は、手作業で文法を書き出してるから、見落としがいっぱいあったわけです。
コンピュータっていう、新しい手法を使えば、そんなのが、簡単に見つかることがあるってことです。
つまり、同じ研究対象でも、同じやり方しか知らないと、見落としなんか、いくらでもあるってことです。
だから、いろんな方向から見ないと、偏った研究になるんです。
全体を見るって、こういう事なんです。

みんな、同じような研究しかしないのは、原因はこれだけじゃないみたいなんです。
どうも、研究って環境が影響してるようです。
研究者は、研究結果を論文にしないといけないんです。
論文を書くには、先行研究との違いを明らかにしないといけません。
つまり、先行研究と同じ土俵に立って、それとどこが違って、どう改善されたかってことを示すんです。
そうやって、どんどん研究が発展していくわけです。

これはこれで素晴らしいことだと思います。
ただ、先行研究と同じ土俵に立たないといけないということは、全く新しいアイデアは出しにくくなります。
もし、これは、全く新しい革新的なアイデアだから、先行研究がないって言ったとします。
そしたら、探し方が足りないとか、既に不可能だって証明されてるから、誰もやってないんだって、絶対言われます。

そうなると、何とか近い先行研究を探して、自分の研究を、それに寄せて行かないといけないんです。
そうやって、似たような研究しか出なくなるわけです。

僕の場合は、研究の最初の頃から、自分のやりたいことは誰も研究してないってことが分かってたので、大学なんかにはに属さず、独学でやる道を選択しました。
そのおかげで、気兼ねせず、本当に自由に研究することができました。

まぁ、どこにも属さないと、自分で稼がないといけない問題が出てきますけど。
お金の話をすると長くなるので、ここでは止めときます。
でも、お金はめっちゃ重要やってことだけは言っておきますね。
僕は、運よく、自分の時間をほぼ全て研究に充てれるような環境を作れたんです。

そうやって、何の制約もなく、いろんな方向から言葉の意味理解について考えれるようになったわけです。
そしたら、そりゃ、いろんな問題が見えてきました。

コンピュータに言葉の意味を理解させるには、まず、人間は、どうやって意味を理解するかがわからないといけないです。
それを突き詰めると、どうしても、心や意識の仕組みを解明しないといけないんです。

AIや自然言語処理から、どんどん離れていってしまいました。
でも、僕はどこにも属してないし、何の制約もないから、自由に研究できます。
AIとは全く関係のない哲学や心理学とか、あらゆる分野を視野に入れて調べていきました。

そしたら、勘違いしてたことに気づかされたんです。
どこにも属してないって思ってたけど、しっかりと属していたんです。
それは、人間です。
人間に属してたんです。
人間の制約があるから、人間の持つ考えから自由になれないんですよ。

ちょっと、この話はややこしいんで、次回、詳しく説明しようと思います。
今回の話が面白いと思った方は、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、このチャンネルが本になりました。
説明欄にリンクを張ってますので、よかったら読んでください。
それでは、次回もお楽しみに!