ロボマインド・プロジェクト、第163弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
田方流、オリジナルのアイデアの出し方、最終回です。
今回は、ゾーンとか、フローの話をしようと思います。
プロスポーツ選手が、集中して最大限、能力を発揮する瞬間をゾーンって言います。
ゾーンに入ると、何もかも上手く行きます。
ゴルフだと、ホールインワンが出るときとかです。
心理学者のチクセントミハイは、スポーツ以外でも、最高のパフォーマンスが発揮される心理状態としてフローと呼びました。
僕がアイデアを出すとき、たぶん、フロー状態になってると思うんですよ。
今回は、僕がどうやって、フロー状態になるか、そのために、どんな訓練をしたかってことを話そうと思います。
それでは、始めましょう!
僕の、唯一のサラリーマン経験が特許事務所です。
ここでの経験って、結構、大きかったと思うんですよ。
考え方とか、本質を見抜く力とかの話です。
僕が勤めてた特許事務所は、大手家電メーカーや、大手重工業メーカーなんかの仕事を受けてたんで、もう、いろんな案件が来るんですよ。
半導体やら、潜水艦やら、ヘリコプター、宇宙船とか、まぁ、何でもありです。
新しい仕事が来るたびに、本を読んで調べるってとこから始めるんです。
その頃は、何も考えずに仕事してました。
そうこうしてるうち、病気になったんですよ。
あれよあれよというまに、手術することになったんですよ。
27歳のときです。
第105回「開腹手術中に全身麻酔から目覚めた話」はその時の話です。
大腸ガンでした。
退院する時、5年生存率30%って言われました。
その後です。
今後の人生、どうしようっかなぁって考えてたんですよ。
その時は、まだ、ロボマインドのアイデアなんか、ないときです。
残りの人生、これがやりたいとか、やり残したってことも、特に思いつかなかったんですよ。
そのとき、ふと、思ったんですよ。
そう言えば、今まで、真剣に仕事したことがなかったよなぁって。
真剣に仕事しても、喜ぶのは上司や所長だけやしって。
そんなしょうもないこと考えて、適当に仕事してたんですよ。
それをね、一回、思いっきり仕事してみよかなって思ったんですよ。
今まで、新しい仕事が来るたびに、ちょこちょこって調べて済ませてただけやったんですよ。
こんな中途半端なやり方じゃなくて、全部知りたいなぁって、ずっと、思ってたんですよ。
でも、とてもやないけど、そんな時間がなかったですしね。
まぁ、周りのみんなも、そんなやり方してましたしね。
事務所では、日経エレクトロニクスと日経メカニカルって雑誌を定期購読してました。
でも、読んでる人なんて、ほとんどいなかったんですけどね。
僕は、手始めに、それを過去10年分を読むことにしたんですよ。
毎日、仕事終わってから何冊か持って帰って読んでたんですよ。
それを全部読み終えるころには、この業界の全体像が見えてきたわけです。
読み解くとき、軸にするのは、歴史背景と、中心人物です。
技術者が、何を解決しようとしてるか、なんで、それができないのか。
そういった業界の共通認識や時代の流れなんかが分かってくると、新しい仕事が来ても、その意味が、スッと分かるようになってきたんです。
結果として、仕事も早くなりましたね。
前々回話した、ものごとの全体を見るって、こういう事です。
重要なのは、まずは、大量にインプットするってことです。
桁違いに大量にインプットすると、もやを突き抜けて、いろんなことがクリアになってくるもんです。
次は、本質を見抜くって話です。
特許の話は、第154回~156回の「心の特許①~③」で振れましたけど、一番重要なのが「特許請求の範囲」です。
特許請求の範囲っていうのは、その特許の権利範囲を確定する部分です。
なんで重要かって言うと、書き方を間違えると、簡単にマネされるからです。
たとえば、ある機械の、Aの部分をネジで固定したら、性能が格段にアップしたから、ここで特許を取ってくれって言われたとします。
だから、そのとおり、「Aの部分をネジで固定した機械」と特許請求の範囲に書いたとします。
それを見たライバル会社は、Aの部分をネジでなくて、接着剤で固定した製品を出したとしたら、それは、特許侵害にならないんですよ。
これは、特許請求の範囲の書き方をミスったってわけです。
こんな場合、書くとしたら、「Aの部分を固定した機械」とすべきだったんです。
ネジか接着剤かは問題ないんです。
Aの部分を固定したってことが本質だったんです。
これが特許の考え方なんです。
つまり、本質は何かってことを、常に考える仕事だったんです。
考えをまとめるときの僕のやり方は、とにかく、書くことです。
こんな風に、裏紙を挟んだクリップボードを、常に手元に置いとくんです。
それに、思いついたことを何でも書いていくんです。
重要なのは、書くピードです。
思考の速度に追いつけるように、でっかい字で書くんですよ。
ボールペンも、書きやすいのを選びます。
僕が使ってるのは、このぺんてるのエナージェル0.7ミリです。
これ、今も全くおんなじです。
YouTubeの原稿書くときも、こんな感じなんですよ。
ほんで、書いてると、だんだん、エンジンがかかってくるんですよ。
そしたら、椅子に座っていられなくなって、歩き出すんですよ。
歩いてると、思考が停滞しにくいみたいなんです。
よく、リラックスしてたら、ふっと何か思いついくことあるでしょ。
無意識の奥で、わずかに、何かを感じたり。
でも、そういうのって、たいてい、すぐに消えてしまうんですよ。
でも、歩いてると、こういうのが、上手く意識レベルまで浮かびあがってくるんです。
雑念で消される前に、明確になってくるんですよ。
意識まで上がってきたら、後は、その考えを、丁寧に解きほぐしていくんですよ。
そしたら、今までの知識が次々につながってきたりするんですよ。
あとは、余計なものをそぎ落としたりして、何度も何度も考え直します。
その間、さっきのクリップボードにアイデアを走り書きするんです。
瞑想ってあるでしょ。
普通は、座ってしますけど、歩き瞑想ってあるらしいんですよ。
どうも、僕のやってるのは、歩き瞑想に近いことみたいです。
部屋の中をとにかく歩くんですよ。
そしたら、どんどん、頭の回転が速くなって、次々にアイデアが降りてくるって感じです。
たぶん、そのとき、フローの状態に入っているんやと思います。
ながいと、数時間、歩き続けてることもあります。
最後の方になると、頭も体も疲れてきて、フラフラになってくるんですよ。
そしたら、ちょっとソファに座って休むんです。
目をつむって、グルングルン回ってた頭を、一回、鎮めるって感じです。
そうなったら、ほぼ、間違いなく、眠ってしまいます。
10分か20分ぐらい眠って目が覚めたら、もう、普通の状態に戻ってます。
机の上には、書き散らしたメモが散乱してて、それをもう一回、紙に書き写しながら整理して、まとめるんですよ。
YouTubeの原稿を書くときは、だいたい、こんな感じです。
こんなことを、ほぼ毎日やってるわけです。
今回の原稿を書いてるのは、2021年5月16日、日曜です。
じつはね、今日は、僕の52回目の誕生日なんです。
それで、32年前の、今日のことを思い出したんですよ。
30歳の誕生日も、今日と同じ、日曜やったんです。
その数か月前のことです。
「もし、人生でやるべきことがあるなら、それに出会うのは29歳の時だ。
もし、29歳で出会わなければ、一生出会うことはない」
そんな話を、聞いたとこやったんですよ。
それで、30歳の誕生日までに、見つけないとヤバいぞって、焦ってたんですよ。
ほんで、何も見つからないまま、とうとう、30歳の誕生日を迎えたんですよ。
日曜の午後、ソファに座って、ぼぉーっと考えてたんですよ。
とうとう、30になったなぁって。
そのとき、ふと、学生時代、面白いことを考えてたのを思い出したんですよ。
当時、物語の分析に夢中になってたんです。
面白い物語にはパターンがあるぞって。
そのパターンをランダムに組み合わせたら、無限に面白い物語ができるとかって考えてたんですよ。
それを思い出して、そんな、プログラムがあればいいのになぁって思ったんですよ。
それで、インターネットで検索してみたんですけど、やっぱり、そんなプログラムは無かったんです。
その時、また、ふと、思ったんですよ。
「ないなら、自分で作ったら」って。
自分で思っときながら、すぐに、否定しました。
「無理無理。そんなん。プログラムなんか作ったことないし」って。
でもね、そのアイデアが、頭から離れなくなったんですよ。
次々にアイデアが浮かんでくるんですよ。
「無理無理」とか言いながら、部屋の中をぐるぐる歩きまわって、考えてたんですよ。
これが、ロボマインドの始まりです。
その日から、仕事中も、次々、アイデアが降りてきて、そのたびに、裏紙にメモしてました。
ほんで、そのメモを家に持って帰って、ノートに書き写すんです。
そのノート、今も残ってます。
これです。
日付見たら、1999年とかなってますね。
22年前ですね。
中身見たら、意識がどうの、無意識がどうのって、今言ってるのと、同じようなこと書いてます。
よう、飽きもせず、やってるなぁって思います。
たまにね、若い人に言われるんですよ。
「田方さんみたいに、死ぬような経験をすると、人生の目的がみつかるんですよね」って。
そんなとき、いつも言います。
それは反対やでって。
僕は、死にそうになっても、何も見つからなかったんです。
それで、仕方なく、目の前の仕事をしたんです。
生まれて初めて、真剣に仕事に取り組んでみました。
そっから、何かが変わったみたいです。
数年後、ロボマインドのアイデアが降りてきました。
もし、今、何をしていいか分からないなら、一度、目の前のことに真剣に取り組んでみたらどうでしょう。
たぶんね、今、目の前にある仕事って、あなたにとって、何か意味があると思うんですよ。
突き抜けるぐらい真剣に取り組むと、自然と、次のステージが見えてくるもんです。
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本も出してますので、よかったら読んでください。
それでは、次回も、お楽しみに!