ロボマインド・プロジェクト、第166弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
さて、前回、「存在する世界を見るのか? 見るから、世界は存在するのか?①」の話は覚えていますか?
哲学者、ジョージ・バークリーの問いです。
「誰もいない森で、一本の木が倒れたとします。
さて、その木は“音を出して”倒れたのでしょうか?」
バークリーの答えは、「音は出してない」です。
なぜかと言うと、音っていうのは、あくまでも、人が認識したものを指すわけです。
木が倒れた時、空気は振動したかもしれません。
でも、空気の振動、イコール 音じゃないんですよ。
音って言うのは、あくまでも、人が認識した物だからです。
もう少し丁寧に説明しますよ。
空気の振動が、耳の鼓膜を震わせて、それが電気信号に変換されて脳の神経細胞を伝わります。
その信号を、意識が受け取った時、意識が感じるのが「音」なんです。
僕らの意識、主観が感じてるのは、空気の振動じゃないんです。
脳内の電気信号なんです。
さて、今度は、意識が認識する世界から考えて行きます。
意識は音っていう感覚を持ってます。
音は、耳を介して空気の振動を感じます。
同じように、意識は、色って感覚も持っていますよね。
人間の目は、赤、緑、青に反応する三つの視細胞を持ってます。
色は、目を介して赤、緑、青の光を感じます。
それから、意識は、味って感覚も持ってます。
甘いとか辛いとか酸っぱいとかです。
これは、舌で感じる感覚です。
味は、舌を介して、特定の分子に反応したとき感じます。
臭いは、鼻を介して、空気中の特定の分子を感じるわけです。
触覚は、体に触れた感覚です。
何が言いたいかと言うと、意識が感じる世界は、これらの感覚で出来てるってわけです。
意識が感じる世界は、五感で作られてるわけです。
もう少し丁寧に説明します。
物理的な世界と、意識が感じる世界があるわけです。
でも、物理的な世界と、意識が感じる世界は、作られる材料が違うんです。
物理的な世界をつくってるのは、究極的には分子とか原子です。
それから、空気の振動とか、電磁波です。
でも、意識が感じる世界を構成するのは、色、音、臭い、味、触った感覚とかです。
この五感から作られた世界が、僕らが感じてる世界なわけです。
物理世界では、赤色は、555nmの電磁波です。
それが赤の正体です。
というか、物理世界の最も基本的な構成要素が電磁波というわけです。
その基本構成要素で説明するのが科学なわけです。
そうやって、あらゆる物を、この科学の表現に置き換えてきたわけです。
酸っぱいって味の正体は酸だ。
分子構造はこうなってる。
分子は、科学の世界の基本構成要素です。
だから、分子まで分かると、酸っぱいの正体が解明できたと言えるんです。
主観で感じる酸っぱいを、科学で正しく解明できたわけです。
でも、ちょっと待ってください。
科学が正しくて、主観が間違ってるってのは言い過ぎじゃないですか?
どっちが正しい、間違ってるとかじゃなくて、ものごとにはいろんな見方ができるって考えた方がよくないですか?
つまり、科学から見た世界と、意識からみた世界の二つの世界があるわけです。
意識からみた世界も、一つの世界です。
同じ物の、二つの見方があるわけです。
物理的世界を構成するのは、電磁波とか、分子とか原子です。
意識の世界を構成するのは、音とか色とかの五感です。
世界を構成する要素が違うだけです。
物理世界は構成要素は、客観的に観測できます。
意識世界の構成要素は、主観で感じるものです。
これは、客観的に観測できないので、科学で扱えないわけです。
でも、本当にそうでしょうか?
たしかに、科学は、客観的に観測できるものを対象とします。
でも、科学の特徴は、それだけじゃありません。
予測可能だったり、再現可能なことも科学の重要な特徴です。
それが可能なのは、物理世界は科学法則に従うからです。
作用反作用の法則とか、エネルギー保存の法則とかです。
でも、予測したり、再現可能なのは意識の世界でもできるんじゃないですか?
前回、色相環の話をしました。
赤と青の間に赤紫があるって話です。
太陽光をプリズムで分けると、7色に分かれます。
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫って、波長の順に一列に分かれます。
紫から先は、紫外線で目に見えなくなります。
間違っても、赤に戻ることは絶対にありません。
でも、僕らは、赤と青を繋げて円にしても、何の違和感もなく感じませんよね。
赤と青の間に赤紫があるのを自然に感じます。
何がおかしいかも分からないですよね。
何でかって言うと、色っていうのは、意識の世界の構成要素だからです。
もう、物理世界の構成要素じゃないんです。
だから、物理世界の法則に従うんじゃなくて、意識世界の法則に従うんです。
意識世界の色は、赤緑青の3原色です。
3原色を合成して出来るものが意識世界の色です。
だから、赤と青を合成した赤紫も、何の違和感もなく感じることができるわけです。
この感覚、僕だけでなく、他の人も同じように感じてますよね。
つまり、意識の世界も、何らかの法則にしたがって、再現性がある世界と言えるわけです。
主観って、客観的じゃないからとおいっても、何でもありってわけじゃないんですよ。
たとえば、色は混ぜれば、いろんな色ができますよね。
でも、混ぜれるのは色と色です。
色と音を混ぜるとかないでしょ。
赤色と、ドの音を混ぜてくださいっていっても想像できないですよね。
これ、意識世界も、何らかの法則に従ってるってことです。
だから、意識の世界だからといって、科学の手法で解明できないってことはないんですよ。
僕が提案したいのは、ここです。
科学を、拡張してはどうかということです。
拡張と言うか、客観性を必要とするって条件だけなくすわけです。
そうすれば、意識が感じる、この主観的な世界まで、科学的に解明するわけです。
科学的に解明するとは、意識の世界に存在する要素や法則を見つけ出すことです。
それが見つかれば、それと同じことをコンピュータで再現できるはずです。
つまり、意識をコンピュータで再現できるわけです。
人が主観で感じることと同じように感じる心がつくれるんです。
僕がやりたいのは、物理世界の法則のように、意識世界を定義していくことです。
万有引力の法則とか、エネルギー保存の法則のように、意識世界に存在する法則を解明しようとしています。
万有引力の法則って、二つの物体があった場合、お互いに引き合う引力が発生するってものです。
引力の大きさは、物体に質量に比例して、距離の二乗に反比例するってものです。
ここからわかるのは、物理世界には、質量と距離があるってことです。
こんな風に、世界と、世界を構成するもの、世界に働く力を定義していったわけです。
これが物理学です。
それと同じことを意識の感じる世界でも定義しようってことです。
それでは、物理世界と、主観が感じる世界の一番の違いは何でしょう?
それは、中心となる存在があることです。
中心となる存在、それは自分です。
そして、自分は体を持っています。
その体が、世界の中に存在するわけです。
そして、体は、動かすことができますよね。
つまり、世界に対して働きかけることができるわけです。
意志をもって動く自分がいるわけです。
自分が動くとは、自分を動かす力があるはずです。
行動の原動力となるのは何でしょう?
これは、何度も行ってきましたよね。
行動の原動力は感情です。
たとえば、ナイフをもってる相手が近づいてきたとします。
そしたら、恐怖の感情が生まれますよね。
恐怖の感情が原動力となって、相手から離れようとします。
恐怖の法則は、相手から遠ざかろうとする方向に力が作用するといえます。
力の大きさは、相手の強さに比例して、距離に反比例するとかって言えそうです。
つまり、相手が強ければ強いほど、恐怖のが大きくなります。
相手が遠ければ遠いほど、恐怖が小さくなるってことです。
こうやって、意識世界の法則も、物理世界の法則みたいに作れそうですよね。
法則ができたら、今度は、コンピュータプログラムで作ることも可能です。
そのプログラムを持って動くロボットは、恐怖を感じるロボットとなるわけです。
つまり、心をもったロボットをつくることができるんです。
どうでしょう。
これを、意識の科学といってもいいんじゃないでしょうか?
意識が感じるものだけで、世界を再構築するんです。
構成要素は、色とか音とかって五感です。
それ以外に、お金の価値とか、社会的地位とか、家族や友達といった人間関係など、あらゆる物が、意識世界の構成要素と成り得ます。
そうなれば、お金が欲しい、高い地位が欲しいといった欲求も定義できます。
こうやって、今まで、全く手が付けられていなかった意識の感じる世界、主観の世界も、科学的に扱うことができるわけです。
これこそが、今後の科学が目指すべき領域だと思っています。
今のところ、この分野に真正面から取り組んでいるのはロボマインドだけです。
ぜひ、もっと多くの人に取り組んで欲しいと思っています。
この分野こそ、日本が、一番力を入れて取り組むべき領域だと思っています。
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それでは、次回もお楽しみに!