第168回 検証!マインドアップロード


ロボマインド・プロジェクト、第168弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

21世紀になって、SFの世界の技術が、どんどん現実化してきてますよねぇ。
BMIもその一つです。
BMIってのは、ブレイン・マシン・インターフェイスの略です。
脳にチップを埋め込んで、脳と直接情報をやり取りする技術です。

脳から直接、データを取り出すことができれば、その人の記憶とか取り出せそうですよね。
取り出せたら、それをコンピュータにコピーすることもできるはずです。
記憶だけじゃなくて、その人の考えとか思考までコピーできたらどうでしょう。
それって、その人自身ですよね。
その人の意識と言ってもいいです。
その人の意識をコンピュータにコピーできたら、コンピュータのなかで永遠に生き続けることができるって言ってもいいです。
夢のような話ですけど、世界中には、これを本気で研究してるとこがあります。
この技術のことを、マインドアップロードとか言います。
死んでも、クラウドで生き続けるわけです。
そんな、映画みたいなことも、現実になりつつあるんですよ。

さて、そんなブレイン・マシン・インターフェイス技術、最新技術はどこまでできるようになったんでしょう。

最近、発表になった技術だと、文字入力のスピードが格段にアップしたそうです。
今までの文字入力速度は、1分間に40文字が限界だったのが、最新技術だと、1分間に90文字まで向上したそうです。
普通の人のタイピング速度が、1分間に115文字なので、だいぶ、普通のタイピングに近づいてきましたねぇ。
たぶん、近いうちに、人間のタイピング速度を超えると思います。
だって、脳のデータを直接、読み取るんですよ。
一文字一文字とかじゃなくて、単語のイメージを思い浮かべて、それを読み取れば、もっと速くなりそうですよね。
たとえば、「東京タワー」を思い浮かべたら、「東京タワー」って文字で出力するとか。
そんな風に、頭で想像するだけで、それを文章にできるようになったら、便利ですよね。

でも、そうはいかないんですよ。
じつは、脳からデータを読み出す技術って、みんな、誤解してるんですよ。
出来ることと、出来ないことがあるんです。
あるところまではできますが、絶対に超えれない壁があるんです。
でも、誰も、その事に気づいていないんですよ。
今回は、未来予測を間違わないために、BMIで出来ることとできないことについて解説したいと思います。
それでは、始めましょう!

さっき話した、BMIの文字入力が格段に速くなったって話、まずは、今までの入力方法について説明します。

それは、画面にこんなキーボード出して、赤い枠を上下左右にずらせて特定の文字を選択するんです。
この方式の限界が、一分間40文字です。

今回の新しい方式はこれです。

キーボードから選択するんじゃなくて、アルファベットをペンで書くようにイメージするんですよ。
イメージしたペンの形跡から、文字を判別するんです。
これなら、ほとんど書く速度で入力できますよね。

ここまでは、特に問題ないです。
それじゃぁ、その次の段階を考えてみます。
脳から直接、思考を読み取る方法についてです。
分かりやすくするために、将棋ロボットを例に考えてみます。
人間と対戦する将棋ロボットです。
コンピュータで考えて、ロボットアームで、将棋盤の上の駒を動かすタイプです。

さて、この将棋ロボットをハッキングして、アームの動きを予測するとします。
ロボットアームの関節はモータで駆動されています。
モータは、電流の大きさで制御されてるとします。
だから、モータへの信号電流を検出すれば、ロボットアームがどう動くか予測できますよね。

肘関節を何度、手首を何度回転させる信号だから、7七にある歩を7六に移動させるんだなって分かります。
これって、脳でも同じですよね。
手の動きを制御する脳の信号から、書こうとする文字が、アルファベットのaだって判別できるわけです。

さて、問題はここからです。
今、分かったのは、駒をどこに動かすかってことです。
でも、僕らが知りたいのは、駒の動きより、なんでそこに動かそうと思ったかの思考の方です。
つまり、将棋プログラムそのものです。
CPUをハッキングして、将棋プログラムそのものを取り出したいんです。
これって、何を意味するか分かりますか?

これ、マインドアップロード、そのものなんです。
将棋プログラムそのものって、脳の場合、その人自身のプログラムってことです。
脳をハッキングして、その脳で動いてるプログラムを取り出して、他のコンピュータで動かすわけです。
それが出来たら、その人は、永遠にコンピュータの中で生き続けることができるんです。

それじゃか、どうやれば、プログラムを取り出せるか考えてみましょう。
将棋プログラムでは、プログラム内の仮想的な盤面で、駒を動かしながら次の一手を考えます。

となると、次にやるべきは、プログラムの中で、盤面や駒をどうやって管理してるかです。
それを解析するには、CPUからの出力信号を見ただけじゃわかりません。
CPUの中を流れる信号を検出しないといけません。
これは、出来ないことはないです。
それができたとしても、こっから、急に難しくなるんです。

ロボットアームの動きを予測できたのは、現実世界に盤面とモータと、モータを動かす電流があったからです。
それらの関係から、モータへの信号から移動位置を推測できたんです。
位置と電流の大きさが対応するわけです。
これは、言ってみれば、アナログデータです。
でも、プログラム内では、位置や駒は、符号化されてます。
つまり、デジタルデータです。

0と1の羅列です。
0100100とかって繋がってるデータがあるわけです。
このうち、どれが駒を表してるとか、どれが盤面の位置を表してるとかって、01を見ただけじゃ、分からないですよね。
意味を解読するのは、ほとんど不可能なんです。

でも、他の方法から読み解くことはできないでしょうか?
たとえば、専用のCPUだとしたら、構造から読み解くことができるかもしれません。
たとえば、将棋専用のCPUを作るとします。
専用CPUなんで、将棋の盤面を、ハードウェアとして実装します。
つまり、論理回路で、9マス×9マスの位置を管理できる回路を作るわけです。
それぞれのマスには、王将とか歩の8種類の駒を置けるようになってます。
将棋の駒といっても、01の2進数の値です。
将棋専用CPUなら、7六のマスに歩があるって読み取れるわけです。
脳も、専用CPUみたいだったら、構造から読み取れるかもしれません。

それでは、生物の脳の場合を考えてみましょう。
たとえば、カエルを考えてみます。
目の前で黒い点が動いてたら、それは虫だと思って食べるってプログラムで動いてるとします。
ハエでもアリでも、何でも飛びついて食べるわけです。
たぶん、カエルなら、このプログラムで特に問題ないと思います。
つまり、どんな環境で生きるか、生まれる前から決まってる生物の場合です。
生まれる前から決まってるなら、その環境だけで生きれる専用の脳を作っても問題ないわけです。
そんな専用の脳なら、脳の構造を観察すれば、どんなプログラムが動いてるか分かるかもしれません。

でも、人間はそうじゃないですよね。
どの国で生まれるか生まれる前にはわからないわけです。
日本に生まれたら日本語、アメリカに生まれたら英語をしゃべるわけです。
つまり、どんな環境でも対応できる柔軟な脳が必要なんです。
専用プログラムを脳に直接作り込んだらダメなんです。
プログラムを自由に変更できる仕組みになってないとダメなんです。
そのためには、どうすればいいでしょう?

プログラムを変更可能なコンピュータのことをノイマン型コンピュータと言います。
これ、僕らが普段、使ってるPCのことです。
ノイマン型コンピュータは、メモリにいろんなプログラムを書きこむことができます。
だから、メモリのデータが何を指してるか、見ただけじゃ分からないんです。
CPUやメモリの全ての信号を検出できたとしても、どんなプログラムが動いてるかわからないんです。

この難しさは、意識科学では、別の言い方をしています。
それが、意識のハードプロブレムです。
意識のハードプロブレムというのは、脳をいくら観察しても、主観で感じてることは分からないって問題です。
主観ってのは、いってみれば、脳で動いてるプログラムです。
もっと言えば、自分っていうプログラムです。
脳で動いてる自分ってプログラムは、脳を観察してもわからないってことです。

だから、結論として、僕は、マインドアップロードは、不可能じゃないかなと思っています。

ただ、脳で動いてるプログラムを真似して作ることはできそうです。
外から観察して、同じように動くプログラムをつくることを、リバースエンジニアリングと言います。
これは、ソフトウェア開発で、普通に行われてることです。
だから、人間の頭で動いてる心のプログラムをリバースエンジニアリングすれば、コンピュータに心を再現することはできそうなんです。

自分自身のプログラムを取り出すことは無理でも、人間と同じように考えるプログラムは可能だと思っています。
そして、それをやってるのがロボマインド・プロジェクトなんです。
興味ある方は、ぜひ、他の動画も見てください。

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それでは、次回も、お楽しみに!