第170回 自由意志は、非ユークリッド幾何学だ!


ロボマインド・プロジェクト、第170弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。

第164回「自由意志問題に終止符を打つ!」で終止符を打ったばかりなんですけど、また出てきました。
自由意志問題です。

今回は、今までとは全然別の話をしますよ。
まずは、復習です。
自由意志って、現代科学だと無いことになってるんです。
人間は自由意志を持ってないそうです。
あなたが、お昼にラーメンを食べるか、カレーを食べるか悩んで、ラーメンに決めたとします。
これ、自分が決めたと思ってますよね。
でも、じつは、最初から決まってたんですよ。
この物理世界は、初期値が決まると、その後に起こることは全て決まります。
だから、ラーメンを食べることは、ビッグバンが爆発したときから決まってたんですよ。

そんなこと言っても、絶対、自分で決めたって思いますよね。
でも、それは、後から、自分が決めたと、脳に思わされてるだけなんですよ。
自由意志は、幻想なんです。
これが、現代科学の考えです。

そう言われても、なんかスッキリしないですよね。
なんか、騙されてるような気がします。
僕も、そう思って、いろいろ考えて、ようやくわかったんです。
何が分かったかって言うと、これ、自由意志の問題じゃなくて、科学の問題だったんですよ。
騙されてるのは、科学の方だったんですよ。
これだけじゃ、ちょっと分かりにくいと思うので、別の学問を使って解説します。
別の学問って、何かって言うと、それは、ユークリッド幾何学です。
科学をユークリッド幾何学でたとえると、なるほど、そういう事かって、すっきり解決したんです。
それでは、始めましょう!

ユークリッドってのは、古代エジプトのギリシャ系の数学者です。
ギリシャ語だとエウクレイデス。英語だとユークリッドです。
そのユークリッドが考えた幾何学がユークリッド幾何学です。

ユークリッド幾何学っていうと、難しそうですけど、中学校で習う幾何がユークリッド幾何学です。
線は、幅がないとか、線の端が点とかってやつです。
それから、平行線はどこまで伸ばしても交わらないとか、三角形の内角の和は180度とかってやつです。
覚えてますよね。

このユークリッド幾何学、別に、何もおかしいって感じないですよね。
実際、2000年以上、誰もおかしいとは思いませんでした。
それが、19世紀になって、本当にユークリッド幾何学は正しいのかって問い直す動きがあったんです。

ユークリッド幾何学って、平らな平面に線や三角形を描くよなぁ。
でも、平面でなくても、点や線は描けるでしょ。
たとえばよ、球体の表面に描いてみよか。
ってなったんですよ。

一本の直線に、90度で交わる2本の直線を描いたら、その2本の線は平行ですよね。
これを、球体に描いてみるんです。

そしたら、ほら、平行線が交わりましたよね。

今度は、三角形を描いてみます。

この三角形、内角はどれも90度です。
全部足すと、270度になってしまいます。
内角の和が180度にならないんですよ。
ユークリッド幾何学に反するんですよ。

いったい、なんで、こんなことになったんでしょう?
それは、平面って前提を変えたからですよね。
前提を変えたら、そりゃ、結果が変わるのは当たり前です。
でもですよ。
平面が前提だって、誰が決めました?
何も考えずに、勝手に、平面を前提にしてたことの方が間違いじゃないですか?
そうやって、非ユークリッド幾何学ってのが生まれたんです。
平面以外を対象にした幾何学です。
ユークリッド幾何学は、色々ある曲面のなかのうち、平面っていう特殊な条件だけを対象にしてただけってわかってきたわけです。

僕は、これと同じことを、科学そのものに適用できるんじゃないかって思ったんです。
現代科学も、もしかしたら、特殊な条件を前提にしてるだけじゃない?って考えてみたんです。
その特殊な前提条件ってのが、客観的な世界です。
主観を完全に排除して、客観的な世界だけで考えたのが科学ってわけです。

ユークリッド幾何学は、いろいろある面のなかで、無意識のうちに平面を対象にしていました。
おそらく、それは平面が一番シンプルだからだと思います。
科学も、主観を排除した世界を前提にした方が、シンプルになりますよね。
何と言っても、客観だけだと、誰が観察しても同じ結果になりますしね。

でも、だからと言って、主観は存在しないわけじゃないです。
曲面の上でも三角形を描けるのと同じです。

そこで、僕は、主観も含めた科学を考えてみたんですよ。
そしたら、非ユークリッド幾何学のように、新しい体系が見えてきたんですよ。

それでは、主観が見る世界と、物理世界の一番の違いは何か分かりますか?
それは世界を構成する材料です。
物理世界を作り上げてるのは、電磁波だったり、原子や分子です。

じゃぁ、主観世界の材料は何か分かりますか?
それは、五感です。
目で見たり、耳で聞いたりしたものです。
五感で感じたもので、世界を作り上げてるんです。
じゃぁ、その五感はどこにあるでしょう。
身体、体にありますよね。
じゃぁ、その体は、どこにあるんでしょう?
ここです。

これ、僕だけじゃないです。
みんな、体持ってますよね。
みんな、自分の体で感じたもので、世界をつくってるわけです。
それが主観の世界です。
これ、何を意味するか分かりますか?

主観の世界は一つじゃないってことです。
主観の世界は、人間の数だけ存在するんです。
物理世界は、たったの一個です。
でも、主観世界は全人類、78億個もあるんです。

それから、物理世界には中心はありません。
ただただ、世界が広がってるって感じです。
それに対して、主観世界には中心があるんです。
じゃぁ、主観世界の中心ってどこでしょう?
それは、自分です。
自分の体です。
この自分を中心として、主観世界は出来てるんです。

どんどん行きますよ。
今度は目的です。
物理世界が存在する目的ってなんでしょう?
これは、ちょっと分からないですねぇ。
物理世界は、ただ存在するとしか言いようがないです。

それじゃぁ、主観世界の目的は何でしょう?
誰の為に、主観世界は存在するでしょう?
そんなの決まってますよね。
自分です。
他でもない、自分の為に、主観世界は存在するんです。

もっと、続けますよ。
じゃぁ、自分の目的はなんでしょう?
それは、この世界、物理世界で生きることですよね。
じゃぁ、何のために生きてるんでしょう。
たとえば、幸せになるためですよね。
お金とか成功とか名声とか手に入れるためですよね。
ここ、あんまり、ややこしいこと言わんといてくださいよ。
「俺は、死に場所を探すために生きてるのさ」とか。
そういう面倒くさい人は、ここじゃないですわ。
他のチャンネルに行ったほうがいいですわ。

さて、そろそろ、本題に入りますよ。
物理世界の中に、体を持って存在するのが僕ら人間です。
そして、それぞれ、自分の主観世界を持ってます。
主観世界と物理世界の一番の違いは、中心となる自分が存在するかしないかです。
自分の目的はなんでした?
死に場所を探すためじゃないですよね。
物理世界で生きることですよね。

生きるためには、ご飯を食べないといけませんよね。
そのために、働いてお金を稼がないといけませんよね。
食べたり、働いたり。
つまり、行動するわけです。
自分は、外の世界に対して、働きかけるわけです。
外の世界ってのは、物理世界です。

主観は、ご飯を食べたいって感じることも、物理世界を感じることもできます。
物理世界ってのは、一つしかありません。
物理世界だけは、誰にとっても共通です。
それが、外の世界です。

分かってきましたか?
主観世界は、あなたを中心に作られた世界です。
あなたが心の中で感じる世界です。
あなたは、その世界で美味しいものを食べたいとか、お金を稼ぎたいって思うわけです。
そのために何をするんでしょう?
行動です。
外の世界に対して、働きかけるわけです。
自らの意志で、世界に働きかけるんです。

はい、ようやく出てきました。
意志です。
主観世界には、意志が存在するんです。

昼にラーメンを食べるか、カレーを食べるか。
決めるのは自分です。
主観が決めるわけです。
これが自由意志です。

大学を目指して受験勉強するとします。
でも、勉強はしたくないなぁ。
YouTubeでも見よかな。
漫画でも読もかな。
それを決めるのも自分です。
自由意志です。

主観世界は、自分という中心となる体があるわけです。
体は心を持っています。
心は、食べ物の好き嫌いとかあるわけです。
意志が強い子もいれば、意志の弱い子もいます。
人によって性格も違います。

心で行動を決めるわけです。
行動っていうのは、外の世界への働きかけです。
外の世界っていうのは、物理世界のことです。

科学が扱うのは、この物理世界だけです。
客観的に観測可能で、誰にとっても同じ世界です。
科学は、この客観的な世界だけを対象としています。
徹底的に主観を排除しました。
科学の世界には、主観は存在しません。
つまり、行動を決める意志は存在しないんですよ。
つまり、自由意志は幻想なんですよ。

ほら、これで分かったでしょ。
主観を排除すると、自由意志は幻想になるんです。

でも、主観を排除する理由ってありますか?
ユークリッド幾何学は平らな平面を対象にしましたけど、平面以外の曲面を対象にしたらアカンって理由、ありましたか?
ないですよね。
だから、非ユークリッド幾何学が生まれたんです。

それと一緒です。
主観を排除しないといけない理由ってありますか?
ないですよね。

ユークリッド幾何学が生まれてから、非ユークリッド幾何学が生まれるのに2000年以上かかりました。
科学が生まれたのは17世紀です。
それから400年以上も経ちます。
そろそろ、科学を主観にまで広げてもいいんじゃないでしょうか?

今の科学の範疇で考える限り、自由意志は存在しません。
カレーを食べるか、ラーメンを食べるかを物理世界だけで説明しようとするとどうなります。
物理世界は、初期値が決まると、その後の挙動が全て決まる世界です。
だから、ビッグバンが爆発した時に、あなたがラーメンを食べることは決まってたって説明になるんですよ。
物理学だけで、人の行動を説明しようとしたら、こんなムチャな説明になってしまうんですよ。

でも、主観があるって認めたらどうでしょう?
説明するのに、主観を使ってもいいとなったらどうなるでしょう?
ラーメンの方が美味しそうだったから、ラーメンに決めましたって説明が成り立つんです。
この方が自然じゃないですか?
少なくとも、ラーメンを選ぶことは、ビッグバンが爆発したときから決まったって言うより、納得できますよね。

はい、今回の動画が面白ければ、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、このチャンネルが本になりました。
説明欄にリンクを張ってあるので、よかったら読んでください。
それじゃぁ、次回も、お楽しみに!