ロボマインドプロジェクト、第171弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
ロボマインド・プロジェクトがやろうとしてるのは、コンピュータによる言葉の意味理解です。
今もそれをやろうとしてます。
それなのに、最近は、話が大きくなりすぎてます。
科学を拡張しろとか、主観の科学とか。
なんでこんな話になるかっていうと、言葉って、文字を解析したらわかるとかって、そんな薄っぺらな話じゃないんですよ。
言語を理解するには、世界がどうやって出来てるかってことを理解するのと同じなんですよ。
世界と言語の関係、これが分からないと、言葉の意味理解ってできないんですよ。
これだけじゃ、ちょっと何を言ってるか分からないと思うので、今回は、世界と言葉の関係について、詳しく説明したいと思います。
それでは、始めましょう!
さて、コンピュータで言葉の意味を扱う分野にオントロジーがあります。
この辺りは、1980年代の第二次AIブームの頃に盛んに研究されてました。
自然言語処理の意味理解の中身はそっからそんなに進歩してないんですよ。
たとえば、インターネットで意味も定義できるようにしたものにセマンティックWEBってあります。
これは、オントロジーをインターネットに対応させたものです。
HTMLのタグに意味要素を追加したって感じです。
新しい言葉の意味の理解の仕方を提案したとかじゃないです。
それから、最近だと、グーグルのWord2Vecって技術があります。
これは、言葉をベクトルで表したものです。
一つの単語を、複数の要素で定義して、その事を指して、ベクトルって言ってるわけです。
簡単な例で説明します。
王様-男+女=女王
って式です。
これは、王様から男性を引いて、女性を加えたら女王になるって意味です。
王様には、いろんな要素が含まれてて、そのうちの一つが男性です。
その男性を女性に置き換えたら女王になるってことですね。
言葉を数式みたいに計算できるようになったんです。
この技術のすごいのは、言葉のベクトル化を機械学習で行ったことです。
今の第3次AIブームの技術を使ったってことですね。
ただ、王様を他の言葉で定義するってとこは、オントロジーと同じなんです。
結局、コンピュータで言葉を扱う根本の部分って、第二次AIブームから何も変わってないんです。
じゃぁ、このオントロジーで言葉の意味が定義されてるっていえるんでしょうか?
それは、言えないんですよ。
根本問題が解決されてないんですよ。
それじゃぁ、その言葉の根本問題って何でしょう?
それは、シンボルグラウンディング問題です。
詳しくは、第27回「解決、シンボルグラウンディング問題」を見ていただいたらいいのですが、簡単に説明すると、言葉を別の言葉で説明しても、この現実世界に着地しないってことです。
たとえば、机は天板と4本の足があるって定義しても、それは、目の前にある現実の机に辿り着かないってことです。
シンボルグラウンディング問題のことを、別名、記号接地問題とも言います。
言葉って記号が、現実世界に着地しないってことです。
この問題、AI最大の難問と言われています。
だから、何十年経っても解決してないんです。
僕が、ロボマインド・プロジェクトが行けるって確信したのは、このシンボルグラウンディング問題の解決策がひらめいたときなんです。
この問題、コンピュータとか言語とか、そんな話じゃなかったんですよ。
そうじゃなくて、もっと、上のレベルの話だったんです。
シンボルグラウンディング問題、記号接地問題ってのは、言葉って記号が世界に着地してないって問題でしたよね。
つまり、言葉と世界が結びついてないんです。
だから、言葉について考える前に、世界について考えないといけないんです。
世界は、どうやって作られたのかを知らないといけないんです。
赤ちゃんは、ハイハイしますよね。
ハイハイしながら世界を認識してます。
世界を認識したあと、言葉を話します。
順番は、世界が先なんです。
だから、赤ちゃんがどうやって世界を認識するかが重要なんです。
もう少し丁寧に説明しますよ。
主観は、どうやって世界を感じましたか?
五感でしたよね。
見たり聞いたり触ったり。
五感で感じたもので、世界を作り上げます。
もっと正確に言うと、五感から入力があって、それを電気信号に変換して脳に伝えられるわけです。
そして、それを感じるのが意識ってわけです。
つまり、意識が感じれるように、五感からの入力データを基に世界がつくられるわけです。
ここ、分かりましたか。
世界があって、それを見てるわけじゃないんですよ。
そうじゃないんですよ。
最初にあるのは、五感です。
五感からの感覚と、それを感じる意識です。
ここ、ややこしいので、ゆっくり説明しますよ。
赤ちゃんになったとしましょ。
生まれたばかりです。
この世がどうなってるか、全くわかりません。
まだ、目も見えないです。
世界ってものがあることすら、分からないとしましょ。
まず、こうやって手を動かすでしょ。
何もないですよね。
もっと手を動かすと壁にあたりますよね。
こっから何がわかりますか?
どうも、自分が生まれ落ちた世界は、何もないとこと、何かがあるとこがあるぞ。
何もないとこは動けるぞ。
何かあると、それ以上、動けないぞ。
そんな風に感じそうですよね。
こうやって、空間と物体って概念を理解するわけです。
理解するってのは、頭の中につくりだすってことです。
たぶんね、空間とか物体って概念自体は、既に頭の中にあったんやと思います。
手を動かすって経験と、頭の中に既にある空間って概念が結びついたんやと思います。
多分、人間が認識できるものって、最初から頭の中にあるものやと思うんですよ。
空間とか物体とか、たぶん、生まれる前から頭の中にあるんやと思うんです。
僕は、それを、世界を作る材料って呼んでます。
頭の中にある材料を認識するのが意識です。
そして、見たり、触ったりした感覚と、頭の中にある材料とが繋がるわけです。
その材料を使って、見た物を作りだすわけです。
これ、言い換えると、自分が世界を作ってるんです。
その世界を認識するのは意識です。
つまり、意識は世界そのものを見てるんじゃなくて、自分がつくった世界を見てるんです。
もっと行きますよ。
意識が感じる材料は、空間とか物体とかです。
それから、五感で感じれるものです。
でも、意識が感じるものは、それだけじゃないです。
感情もです。
嬉しいとか悲しい、怖いって感情も意識が感じます。
意識が感じるものは、すべて、世界を作る材料になります。
そして、感情は、脳のなかで生まれます。
頭の外にあるわけじゃないですよね。
頭の外にある物は、五感で感じます。
経験によって、頭の外にある物と、頭の中で生まれた感情とが結びつくわけです。
犬にかまれた経験があると、犬と怖いって感情が結びつくわけです。
でも、経験がなくても、先に頭の中にある物もあります。
たとえば、ヘビって、怖いですよね。
ヘビにかまれた経験がなくても、怖いって感じます。
これ、人間だけじゃなくて、サルもヘビを見たら怖がるんですよ。
たぶん、頭の中には、ヘビの原形のニョロニョロした生き物って概念があると思うんです。
そのニョロニョロと恐怖って、進化の過程で結びついてると思うんです。
その組み合わせは、経験しなくても、既に、頭の中にあるんです。
だから、ヘビをみたとき、恐怖を感じるんやと思います。
さて、こうやって作った世界、当然、自分を中心に出来上がりますよね。
これが、主観世界です。
子どものとき、電車に乗った時のこと、覚えてますか?
この話、どれだけの人が共感できるかわからないですけど、話してみますね。
3歳か4歳ぐらいのときやったと思います。
電車にのったら、必ず、窓向いて座ってました。
よくいますよね。
あれ、外の景色見てると思ってるでしょ。
でも、子供は景色見てるんじゃないんですよ。
僕ははっきりと覚えてるんですけど、あの頃、どう見ても、自分が乗ってる電車が動いてるって感じれなかったんですよ。
じゃぁ、どう感じてたかって言うと、自分は静止してて、風景の方が動いてるって感じてたんです。
それが不思議で、ずっと見てました。
小さかったですけど、理屈では分かってるんですよ。
これは、電車の方が動いてるって。
何度も母親に確認してました。
でも、いくら見ても、風景の方が動いてるとしか感じなかったんですよ。
世界って、自分を中心に組み立てるって言いましたよね。
だから、自分を中心に周りが動くって感覚で世界を認識してたんやと思います。
それがね、ある時、電車に乗ったら、自分が動いてるって感じたんですよ。
そう感じたら、いくら風景が動いてるって思っても、もう、そう思えなくなったんですよ。
たぶん、自分が動くって、そういう世界モデルを獲得したんやと思います。
そんな風に感じるようになってから、だんだん、電車に乗っても後ろを向かなくなりましたねぇ。
大人になるって、こういう事なんですよねぇ。
それはともかく、世界はどうやってつくられてるのか、分かってきましたか?
そろそろ、最初の話に戻ります。
言語の話です。
主観が感じる世界は、頭の中にある材料で組み立てられてるわけです。
それは、空間だったり、物体だったり、恐怖とかって感情だったり、にょろにょろって感じだったり。
そして、言葉です。
言葉が指し示すのは、それなんです。
言葉が指し示すのは、頭の中にある材料で組み立てられたものなんです。
だから、言葉を意味を定義するには、世界を作ってる材料で定義しないといけないんです。
コンピュータで言葉の意味を理解するときも同じです。
まずやるべきは、世界を構成する材料を作らないといけないんですよ。
その材料を認識するのが意識プログラムです。
その材料を使って、言葉を定義するんです。
言葉が世界に着地するって、こういう事です。
次回は、その材料をコンピュータでどうやって定義するかについてお見せしたいと思います。
これを見れば、コンピュータで言葉の意味をどうやって定義するか、よく分かると思います。
今回の動画が面白ければチャンネル登録、それから高評価お願いしますね。
今回でてきた頭の中で世界を作って、それを意識が認識するって説。
これは意識の仮想世界仮説って言います。
意識の仮想世界仮説については、この本で分かりやすく説明しています。
説明欄にリンクを張ってますので、よかったら読んでください。
それでは、次回も、お楽しみに!