第184回 ついに、目覚めた 意識プログラム


ロボマインド・プロジェクト、第184弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

AIに意識を発生させるロボマインド・プロジェクト。
もう、184回にもなります。
今まで、時間とか、心理パターンとか、心のシステムに必要な機能を語ってきました。
プログラムに落とし込めるぐらいの精度で語ってきたと思います。
でも、もしかしたら、こう思ってる人がいるかもしれません。
いったい、いつになったら、意識のプログラムの話をするんだって。

はい、そうです。
正直に言いますと、その話は、避けてたんです。
分かったら語ろうと思ってたんですけど、どうしても、分からなかったんですよ。

何が分からないかって言うと、意識がないプログラムと意識があるプログラムの違いです。
たとえば、意識がない生き物として、カエルを考えてみます。
あっ、カエルには意識がないって言うのは正確じゃなくて、人間のような意識はないって意味です。
僕は、カエルレベルの意識、犬レベルの意識、人間レベルの意識って大きく三つに分けてます。
意識も進化したって考えです。

で、カエルですけど、カエルは鳥の気配を感じたら池に飛び込んで逃げます。
逃げるって行動が、自動で起こってるんです。
鳥を認識したら、逃げろってプログラムが呼び出されて逃げるんだと思います。

人は、同じことを意識がするわけです。
意識が、何か危険を感じたら、つぎは、逃げるって行動を取るわけです。
意識が認識して、行動するわけです。
これがカエルとの違いです。

でも、よく考えてください。
カエルも人間も、危険を察知したら、逃げるって行動を取るわけですよね。
コンピュータプログラムには、IF文ってのがあります。
もし~したら、こうするって言う風に書きます。
もし信号が赤だったら止まるとかって。

カエルも人間も、もし、危険が感じたら逃げるってプログラムで書けますよね。
自動でしようと、意識がしようと、おんなじですよね。
意識プログラムって、いったい、なにが違うんでしょう?

その違いが何なのか、ずっと分からなかったんです。
もしかしたら、違いなんかないの?って思ったりもしました。
それが、ようやく、分かったんです。
もう、ごまかす必要はないです。
今回、はっきりさせます。
意識プログラムは、他のプログラムと何が違うのか。
それが今回のテーマです。
それでは、始めましょう!

さて、カエルは、物を認識するプログラムと、行動のプログラムをもってます。
それから、それらを制御するプログラムもあります。
認識プログラムが鳥を認識したら、制御プログラムそれを受けて、逃げろってプログラムを呼び出します。

これら一連の行動は、生まれる前から決まってます。
おそらく、進化の過程で獲得したんだと思います。
鳥の影に素早く反応して逃げて生き延びたカエルがいたわけです。
そのカエルの子孫が今のカエルです。
環境に適応して生き延びた者の遺伝子が受け継がれていったんです。
鳥の影に反応して逃げるって遺伝子です。

それじゃぁ、犬の場合はどうでしょう?
犬は、目の前にエサがあるとすぐに食べようとします。
でも、マテを教えると、待てるようになります。
でも、カエルは、いくら教えてもマテができるようになりません。

これから生まれ出る世界には、マテって命令があるって、生まれる前の犬は知りませんよね。
それができるようになるってことは、生まれた後に、行動プログラムを変更できるわけです。
つまり、世界に対する行動を、後から変更できる仕組みになってるわけです。
これ、どうやったら、できるようになるか、わかりますか?

ここ、重要なんで、ゆっくり説明しますよ。
カエルは、世界に反応してるわけです。
反射反応です。
たとえば、人間も、熱い鍋に触ったら、思わず手を引っ込めますよね。
これが反射反応です。
これ、よく観察したらわかるんですけど、思わず手を引っ込めた時は、熱いって感じてないんですよ。
熱いって、感じるのは、手を引っ込めた後なんですよ。
手を引っ込めてから、「あっつぅ~」ってなるんですよ。

いいですか。
思わず手を引っ込めたのが、反射反応です。
この反射行動は変えれないですよね。
手を引っ込めた後、熱いって感じるのは、意識です。
意識で感じた後の行動は、自分の頭で決めれます。
水道の水で冷やそうとか、氷で冷やそうとかって、いろんな行動を取れます。
ここ、もう少し考えますよ。

外の世界って、常に変化してますよね。
だから、素早く反応する必要があるんです。
それが、反射反応の部分です。

火傷した手をどうやって冷やそうって考える部分。
これは、今、起こった出来事を認識して、次の行動を考えるわけです。
今、起こった出来事を認識するってのは、今起こったことを思い返すわけです。
でも、思い返そうと思った時には、既に世界は変化してます。
熱い鍋は触ってないわけです。
じゃぁ、どうすれば、今、起こった出来事を認識できるんでしょう。
もし、出来るとすれば、時間を巻き戻さないとできません。
そんなこと、出来ませんよね。

でも、一つだけ、方法があるんです。
それは、世界を直接認識するんじゃなくて、世界、その物を自分でつくるんです。
目や耳で知覚した世界を、そのまま頭の中に仮想世界としてつくりあげるんです。
その仮想世界を認識するようにするんです。
自分で作った世界なので、ちょっと前に遡ることもできるんです。
思い返すことができるんです。

この意識の仕組みのことを、僕は、意識の仮想世界仮説と呼んでいます。
詳しくは、この本に書いてあります。
説明欄にリンクを張ってますので、興味がある人は読んでください。

さて、仮想世界として世界を認識する仕組みができました。
次は、行動を変更する仕組みです。
行動を変更するためには、まず、世界の認識と、行動とを分離しないといけません。
行動を分離できて、初めて、別の行動に変更することができるんです。

じゃぁ、行動を分離するって、どういう事か分かりますか?
じつは、ここにこそ、意識と他のプログラムの違いが隠されているんです。
順番に説明しますよ。

熱くて思わず手を引っ込めるでしょ。
これが反射反応です。
熱い鍋に触ったって出来語を認識できたのは、仮想世界と、それを認識する意識があるからです。
ここで、もう一つ、重要な要素が出てきたの分かりましたか?
それは、「熱い」って感覚です。
意識が感じる感覚です。

仮想世界って、目や耳で知覚した情報からつくり上げた世界っていいましたよね。
これって、言い換えれば、目や耳からのデータを、意識が認識できるデータに変換したわけです。
つまり、色や音です。
意識が感じるものをクオリアっていいます。
色って、光の波長の違いです。
光って、電磁波の一種です。
つまり、電磁波の一部を、意識が感じれる色のクオリアに変換したとも言えます。
空気の振動を変換したのが音のクオリアです。
それらと同じです。
皮膚の神経細胞で発生した電気信号を、熱さのクオリアに変換したわけです。
だから、意識は、熱いって感じれるんです。
このクオリア、意識が感じるもの全てクオリアといえるんです。
だから、怖いとかって感情もクオリアです。
机とか椅子もクオリアって言えます。
意識は、クオリアを介して世界を認識するんです。

さて、カエルは、鳥の影を見て逃げます。
これは、脳の中の偏桃体というところで恐怖の感情が発生して、それに反応して逃げるわけです。
これ、熱い鍋に触ってとっさに手を引っ込めるのと同じです。
感覚器を通して、外の世界を認識して、それに応じた行動を取ったわけです。
注意して欲しいのは、熱さとか恐怖です。
とっさに手を引っ込めた時、熱さを感じてなかったですよね。
たぶん、カエルは、鳥の影を見て、恐怖を感じて行動したんじゃないんです。
反射的に行動したんです。

何が言いたいか分かりますか?
恐怖って感情は、意識が感じれるように変換されたクオリアなんです。
意識が感じれるように、人工的に作り出された感覚です。

いいですか。
色ってものは、物理世界にはありません。
物理世界にあるのは、波長の違う電磁波です。
人の眼にある視細胞が、たまたま、赤、緑、青の3種類あるから、僕らの見る世界は、赤緑青の三色の組み合わせで感じられるんです。
色を見分ける視細胞が4種類あったら、全然別の世界を感じてたと思います。
3色でも4色でも、どっちでもいいですけど、間違いなく言えるのは、現実の物理世界は、どっちでもないってことです。
物理世界は、いろんな波長の電磁波が、飛び交ってるとしか言えないんです。
この辺りの話は、第165回、166回の「存在する世界を見るのか? 見るから、世界は存在するのか」で話してるので、よかったらそちらもご覧ください。

ほんで、恐怖もおんなじなんです。
偏桃体で発生した「怖い」って電気信号を、意識が認識できるデータに変換したのが恐怖のクオリアなんです。
偏桃体からの信号を、意識が感じれるように変換したから、僕らは、「怖い」って感じれるんです。
わかりましたか?

それでは、次の質問です。
じゃぁ、なんで恐怖なんてクオリアをつくり出したんでしょう。
わかりますか?

今まで、世界の認識と、それに対する行動が一体となってました。
それを分離したわけです。
じゃぁ、分離したとしたらどうなるでしょう?
意識は世界を認識できても、どう行動したらいいかわからないですよね。
どう行動するか、その方向性を示すのが、感情なんです。

山を歩いていて、クマが現れたとします。
つまり、仮想世界にクマのクオリアをつくり出すわけです。
そしたら、意識は、クマがいるって認識できましたよね。
そして、それと同時に、恐怖のクオリアもつくり出すんです。
これで、意識は、恐怖を感じて、一目散に逃げれるわけです。

これで、世界の認識と行動が分離したとしても、どう行動すべきか、ちゃんとわかるわけです。
行動は、一目散に逃げるだけじゃないですよ。
もう間に合わないと思ったら、死んだふりしてもいいんです。
逃げ出したいって恐怖をこらえながら、死んだふりすることもできるんです。
それができるのも、世界の認識と行動を分離できてるからです。

まとめます。
カエルは認識と行動が繋がってます。
つまり、カエルは、恐怖を感じて逃げてるわけじゃないんですよ。
感じるってことなく、自動で行動してるんです。

犬は、目の前の食べ物を見ると、食べたいって感情が発生して、すぐに食べようとします。
それに対して、マテを教えると、我慢して待てるようになります。
ヨシといわれてから食べます。
行動を変更できたわけです。

これができるのも、認識と行動が分離してるからです。
そして、認識と行動を繋げるのが感情です。
意識は、感情にしたがった行動もできるし、感情を抑えることもできます。
これ、言い換えれば、IF文を書き換えたわけです。

犬は、今まで、食べ物を見たら、すぐに食べてたわけです。
もし、目の前に食べ物があったら、食べるってプログラムで動いてたわけです。
それが、目の前に食べ物が合っても、ヨシと言われるまで食べてはいけないってプログラムに書き換わったわけです。
これができるのは、仮想世界、感情、意識で作られたシステムだからです。

意識プログラムが、カエルのプログラムと違うのがわかりましたよね。
ただ、ここで説明したのは、犬レベルの意識の話です。
じゃぁ、犬レベルの意識と、人間レベルの意識では、何が違うんでしょうか?

次回は、その事について説明したいと思います。
はい、このチャンネルが面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それじゃぁ、次回も、お楽しみに!