ロボマインド・プロジェクト、第186弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
意識の議論をすると、話が噛み合わないことがよくあります。
その原因は、人によって、意識の定義が違うからです。
意識って、定義すら決まってない、まだまだ未開拓な分野なんです。
一番、広く受け入れられてる意識の定義は、深い眠りにあるときは意識がなくて、目が覚めたときには意識があるってとこだと思います。
この定義なら、動物全般は意識があると言えます。
植物には、意識がないようです。
でも、中には、石ころにも意識があるって人もいます。
どこから意識と呼んでいいのか、正確には分かりませんけど、僕が一番興味があるのは、人間の意識です。
人と会話ができるレベルの意識です。
僕は、意識を大きく三つのレベルにに分けました。
カエルレベル、犬レベル、人間レベルの三つです。
前回、第185回「意識がなくなると、〇〇がなくなる?!」では、犬レベルの意識まで説明しました。
そして、今回は、人間レベルの意識です。
まずは、人間レベルの意識が何を指すかです。
例を挙げますね。
何か考え事しながら街を歩いていたとします。
そこに、「あれ、田方じゃない? 久しぶり」とかって声かけられたとします。
そしたら、はっと気が付いて、「おぉ、吉田? こんなとこで何してんの?」とかってなるでしょ。
何か別の事考えてて、呼びかけられて、我に返ったわけです。
この、我に返った時の状態が、人間特有の意識やと思うんですよ。
前回、僕が幼稚園の頃、家でエーン、エーンって泣いてて、ふと、「あれ、自分は今泣いてるぞ」って気づいた話しましたよね。
これも我に返るです。
我に返った僕は、どうやって泣き止んでたかなぁって、今までの泣き方を必死で思い出そうとしたんですけど、思い出せなかったんです。
どうも、泣いてるときは、記憶がないみたいなんです。
たぶん、何かが切れたんやと思うんです。
切れた何かが繋がった時が、我に返った時です。
じゃぁ、一体、何が繋がったんでしょう。
これが今回のテーマです。
それでは、始めましょう!
さて、我に返るって、どういう事でしょう?
泣いてた僕は、我に返ったわけです。
今、泣いてるってことに気づいたわけです。
ということは、それまでは、自分が泣いてるとも思ってなかったんですよねぇ。
自分が何してるか分かってもないし、覚えてもないんです。
つまり、意識で感じてないんですよ。
ということは、意識でなく、無意識で動いてたんです。
どうやら、無意識で動いてるときって、記憶もないようなんです。
泣いてるって気づいたとき、初めて、「あれ、今、何してるんやろ」って気づいたんです。
「今」ってのを、意識したんです。
どうも、それまで、時間も流れてなかったみたいなんです。
これって、寝てるときもおんなじですよね。
朝起きたとき、その前の記憶は、昨日、寝る前ですよね。
5~6時間の記憶がないし、その間、時間も流れてないんです。
目が覚めて、初めて時間が流れ始めるようです。
ここで、意識を含む心のシステムの全体像について説明しときます。
目や耳は、この現実世界を直接知覚します。
そのデータを基に、頭の中に現実世界を再現した仮想世界を作ります。
意識は、この仮想世界を認識するってのが、僕の考える心のシステムです。
詳しくは、この本に書いてます。
説明欄にリンクを張ってますので、良かったら読んでください。
さて、意識が、仮想世界を認識するというのは、意識プログラムってのがあって、意識プログラムは、仮想世界のデータを受け取ることができるってことです。
意識プログラムは、それ以外に、体からの感覚とか、脳で生まれた感情も感じます。
そして、それらを基に行動を決定します。
お腹がすいたって感じたら、食べ物を探すとか、食べるって行動を取るわけです。
痛いって感じたら、痛みを取り除く行動を取るわけです。
この行動の決定が、意識プログラムの最大の目的です。
行動決定の判断材料は、感情や知覚です。
それ以外にも、善悪などの倫理観や、後悔や嫉妬といった複雑な心理も含みます。
僕は、これを心理パターンって呼んでます。
でも、複雑なのは心理パターンだけじゃないです。
行動も、結構複雑なんですよ。
たとえば、ゲームなんか、かなり複雑な判断をしないといけません。
一瞬の隙でやられてしまうんで、集中してプレイしますよね。
ゲーム以外にも、面白い漫画や映画を見てるとき、集中して見ますよね。
僕は、子供の時、プラモデルとか夢中になって作ってました。
そんなとき、ふと、気が付いたら何時間も経ってたりします。
ご飯の時間なのに、お腹がすくのも忘れて、夢中で取り組んでました。
はい、出てきましたね。
お腹がすくって感覚です。
夢中になってるときって、お腹がすくのも感じないんですよ。
それに、時間も忘れてるんですよ。
じゃぁ、それにどうやって気付きました。
ふと、気づいたんですよね。
我に返ったんですよね。
我に返る前は、時間の流れも、お腹がすいたって感覚も感じてなかったんです。
これ、どういうことでしょう?
感情や感覚を感じるのは意識でしたよね。
意識が感じるものをクオリアって言います。
感覚や感情もクオリアです。
空腹のクオリアとか、恐怖のクオリアとかがあるわけです。
前々回、第184回「ついに目覚めた 意識プログラム」で、恐怖のクオリアについて考えました。
脳の中の偏桃体でつくり出された恐怖の電気信号を、意識が感じれる形に変換したのが恐怖のクオリアです。
それから、第179回「時間細胞 新種発見」では、頭の中でカチカチカチと時を刻む時間細胞の話をしました。
その時間細胞が作りだすカチカチカチを、意識が感じれる形に変換したのが時間のクオリアってわけです。
それから、意識が認識する世界は、仮想世界です。
この仮想世界は、目や耳で知覚した現実世界を、意識が感じれるように変換した世界のことです。
つまり、仮想世界は、現実世界のクオリアと言ってもいいです。
こうして、意識は、世界や、感覚、時間を感じてるわけです。
ゲームに夢中になってるとき、時間もお腹がすいてることも忘れて熱中してましたよね。
つまり、時間のクオリアも、空腹のクオリアも感じてないわけです。
ということは、ゲームをしてるときは、極端に言うと、意識がないっていえるんです。
さて、意識の役割は、行動を決定することでしたよね。
行動ってのは、ご飯を食べたり、ゲームをしたりとかです。
一旦、行動を決定すると、意識は、その行動プログラムを呼び出して、体の制御を、その行動プログラムに任せるわけです。
この行動プログラムは、言ってみれば、意識より下にあります。
意識と無意識の間です。
だから、ゲームに夢中になってる間は、空腹も時間も感じれないんです。
ただし、完全に無意識というわけではないです。
いつでも、意識に戻る準備が出来てるって感じです。
だから、「いつまでゲームしてるのよ。ご飯できてるよ」とかってお母さんに呼ばれたら、現実に戻って、「今、行くから」とかって答えれるわけです。
この現実に戻るってのが、体の制御が上位の意識に戻されるってことです。
意識なんで、時間を感じれるから、「今」って言葉が、すっと出てくるわけです。
これが、最上位に位置する意識です。
この最上位の意識について、もう少し考えてみましょう。
行動を決定するのが最上位の意識です。
一旦、行動を決めれば下位の行動プログラムが表に出て、体を制御します。
その間、最上位の意識プログラムは表舞台から後ろに引っ込むわけです。
ただ、何かあった時、すぐに、この意識プログラムが表に出ます。
時間や世界を感じれるのは、意識プログラムだけなので、意識プログラムが表にでてるときのみ、現実世界を認識して、時間も流れているんです。
たぶん、起きてる間、この上位の意識プログラムと、下位の行動プログラムが交互に交代してるんだと思います。
でも、行動プログラムは時間や記憶がないので、起きてる間は、ずっと意識があるって感じるんです。
こんなこと、言われるまで気づかなかったでしょ。
行動プログラムは、気付くってことができないんで、気付けなくても仕方ないんですよ。
「今、何してる」って気づいたときには、もう、意識プログラムに戻ってるんですよ。
だから、ずっと意識があるって感じるんですよ。
それから、意識プログラムのもう一つの特徴は、仮想世界を介して現実世界を認識することです。
これ、どういうことか分かります。
仮想世界を認識するってことは、世界を外から認識するってことです。
現実世界には自分も含まれますよね。
自分を含んだ世界を、外から認識するんですよ。
つまり、自分を客観的に認識するってことです。
じゃぁ、行動プログラムの場合はどうでしょう?
行動ってのは、現実世界への働きかけですよね。
行動する体は、現実世界に含まれてますよね。
現実世界に含まれてる限り、自分を客観的に認識できないですよね。
つまり、行動プログラムは、主観的な視点しか持てないんですよ。
意識プログラムは客観的に世界を認識できます。
客観的な視点ってことは、自分でなく、相手や第三者の視点と言えます。
そして、意識プログラムを持ってる相手も、世界を客観的に認識してます。
お互いに客観的に世界を認識してるってことは、同じ世界を共有できるってことです。
それじゃぁ、聞きますよ。
世界を共有できると、いったい、何ができるでしょう。
それは、コミュニケーションです。
「ご飯できてるよ」といって、「今、行くから」って答えれるのは、「今」って世界を共有してるからです。
夕ご飯は7時って、約束になってるわけです。
7時になっても、リビングに降りてこないのは、約束を破ってるわけです。
そういう世界をお互いに共有してるから、「今、行くから」って答えれるんです。
「ご飯なんか、注文してへんわ」なんて、絶対、言わないでしょ。
そんなこと言うたら、お母さんにゲーム捨てられます。
分かってきましたか。
我に返った時って、最上位の意識プログラムに制御が戻った時なんです。
最上位の意識プログラムは、客観的に自分を認識することができるので、他人とコミュニケーションが取れるんです。
意識プログラムは、社会的なコミュニケーションをとる時に必要な機能と言えます。
これが、人の意識です。
じゃぁ、この人の意識、どうやったらつくれるんでしょう?
今のAIじゃ、つくれないんでしょうか?
その話は、次回にしたいと思います。
今回の動画が面白ければ、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それでは、次回も、お楽しみに!