ロボマインド・プロジェクト、第189弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
(テレビ画面に以下を表示するイメージ)
今年の1月頃やったかなぁ。
テレビショッピングで美味しそうなカニを紹介してたんですよ。
1匹5万円もする最高級の松葉ガニですわ。
まぁ、いくら美味しくても、5万はないですよねぇ。
ところがね、なんと、今回は、12800円になるらしいんですよ。
そんなうまい話ないやろ。
そう思ってたら、やっぱり、訳ありでしたわ。
なんでも、水揚げの時、足が一本取れた、傷もんやそうです。
そうなると、料亭とかには出されへんよなぁ。
でも、味は一緒やし、家で食べるんやったら、気にせえへんしなぁ。
12800円かぁ。
どうしょっかなぁ。
なに、30分以内に電話したら、さらに半額の6400円やて。
今すぐ電話や!
はい、これが今回のテーマです。
松葉ガニ!
じゃないですよ。
このチャンネルは、AIについてのチャンネルです。
よく考えてください。
ホンマに、6400円が安いかどうかなんか分からないですよね。
それが妥当かどうかは、カニの大きさとか、産地とかのデータがあれば分かります。
それをやってるのが今のAIです。
でも、僕らが作ろうとしてるのは、人間の心です。
テレビショッピングを見て、すぐ、電話せなアカンって思う心です。
ビッグデータを使って判断する論理的なAIじゃなくて、人間らしい心をもったAIです。
たぶんね、テレビショッピングって、人間の一番弱いとこを突いてるんやと思うんですよ。
だから、人間らしいAIを作るには、それに反応するAIを作るべきなんですよ。
じゃぁ、人間の一番弱いとこってなに?
人間は、どうやって行動を決定してるの?
これが、今回のテーマです。
それでは、始めましょう!
テレビショッピングでは、言葉や会話で説明しますよね。
でも、動物の中で言葉で会話をするのって人間だけなんですよ。
会話が特殊なのは、他の行動と比べればよく分かります。
例えば、歩くとかです。
第187回「どこ見てんのよ!他人の視線を感じるAI」で二足歩行を取り上げました。
これと会話の一番の違い、わかりますか?
それは、現実の物理世界があるかないかです。
物理世界には、重力があって、地面があります。
足で地面を踏ん張って、重力に逆らって立ち上がります。
歩くって行為は、重力と地面と格闘しながら前に進むってことです。
でも、会話の場合には、そんな物理世界がありません。
手で触って、感じれっる実体とかありません。
地面があれば、それを足掛かりに前に進むことができます。
でも、会話には、そういった足掛かりがないんです。
でも、僕らは、難なく、他人と会話を交わすことができますよね。
ということは、お互い、共通する何かを持ってるんです。
それを足掛かりにしてるから、会話が成立するんです。
じゃぁ、それは何?
まずやるべきことは、僕らが意識せずにもってる、共通の基盤を探すことなんです。
でも、考えたら、不思議ですよね。
話が通じてるかどうかって、話してたらすぐに分かります。
これって、どうやって判断してるんでしょう?
まず、必要なのは目的です。
たとえば、歩くことの目的は、目的地に向けて進むことです。
目的地がわかってるから、目的地と反対方向に進むとおかしいって判断できるわけです。
会話も目的があるはずです。
何を目指してるか、目的をお互いに理解してるから、話が通じるんです。
目的から外れたことを言うと、話が通じてないって思うんです。
松葉ガニを食べたいってのは、美味しいものを食べたいからですよね。
「カニが嫌いだから、松葉ガニを食べたい」って言ったら、意味わかりませんよね。
「英語をしゃべれるようになりたいから、松葉ガニを食べたい」って言ったら、「えっ、どういうこと?」ってなります。
これって、チャットボットでいうところの、会話の破綻ってやつです。
これらがおかしいって分かるのは、「美味しいものを食べたい」って目的を共有してるからです。
誰もが持ってる共通の目的があるわけです。
美味しいもの食べたい以外に、頭が良くなりたいとか、金持ちになりたいとかです。
心を作るには、まず、こんな基本欲求を持たす必要があるんです。
この目的、文章でいう、文脈といってもいいです。
文を繋げるのは接続詞です。
文脈に沿って話が進むときは、「そして」です。
逆に話が進むときは、「しかし」ってなります。
つまり、会話するとき、まず、分からないといけないのは、話が進む方向、目的です。
このことについては、この本に詳しくかいてあります。
説明欄にリンクを張ってありますので、良かったら読んでください。
さて、ここまでは分かりますよね。
問題は、次です。
「目的が決まりました。はい、目的を達成しました」
じゃぁ、話になりません。
重要なのは、どうやって目的を達成するかです。
具体的な方法です。
二足歩行なら、地面とか重力って外部環境に対して、自分の足をどう動かすかって具体的な方法です。
ここ、重要な要素が二つでてきましたよ。
何かわかりますか。
一つは外部環境です。
外の世界です。
他人と共有してる現実の世界とも言えます。
もう一つは、自分の足です。
自分の身体です。
これは、自分の意志で動かすことができる物です。
つまり、自分で選ぶことができる行動です。
つまり、現実世界と、その世界で自分の意志で動かせるものがあるわけです。
そして、自分の意志で動かせるものをどのように動かせば目的を達成できるか。
それを頭の中で考えるわけです。
別の言い方をすれば、頭の中でシミュレーションするわけです。
上手くイメージできたら、つぎに、実際に足を動かすわけです。
この上手くイメージできるって、どういうことかわかりますか?
「そうすればいいのか」って、理解することです。
これ、別の言い方をすれば、何て言うかわかりますか?
それは、「納得」です。
人は、納得できて、初めて行動するんです。
これが、人間の思考です。
そして、それを言葉で表現したのが会話です。
さて、いま、考えようとしてるのは、どうやって歩くかって話じゃなかったですよね。
松葉ガニでしたよね。
高価な松葉ガニを、どうして買うって決めたんでしょう。
そのメカニズムについて考えて行きましょう。
目的は、美味しいものを食べたいです。
目の前に、高級松葉ガニがあります。
食べれるものなら、食べたいですよ。
でも、高いんです。
5万円もするそうです。
そんなお金、ありません。
でも、それが、なんと、12800円って。
ちょっと、安すぎひん?
えっ、足が一本足りひん?
ほら、やっぱり傷もんやんか。
でも、家で食べるんやったら、気にせえへんよなぁ。
でも、12800円かぁ。
なに、30分以内に電話したら6400円!
今すぐ電話や。
ってなったわけです。
これを、さっきの話に当てはめていきますよ。
松葉ガニの値段。
これは自分で決めれるものじゃないです。
客観的な事実です。
次は、「高くて買えない」です。
これは一種の条件式って言えますよね。
条件式なので、変形できます。
変形すると、「安ければ買える」です。
見えてきましたか。
客観的な事実とか、条件式とかって要素がでてきましたよね。
これ、3次元の物理世界と似てないですか。
物理空間は、重力とか地面とかって要素で構成されます。
上にある物は下に落ちます。
落ちたものは地面で止まります。
これも、一種の条件です。
それと同じです。
物の値段とかって事実と、高いと買えないって条件で構成される世界があると考えるんです。
それを、仮に、購買世界とでも呼びましょう。
買い物世界でもいいです。
この購買世界が、外部環境になるわけです。
意識は、この購買世界のなかで、買うか買わないかって行動を決めるんです。
もう少し行きますよ。
高いと買えないけど、安すぎると、今度は、不安になります。
どっか、悪いんちゃうかって。
これも、一種の条件と言えますよね。
ほんで、足が一本足りひんわけです。
ほら、やっぱり!
ここで、もう一回、考え直すんです。
考え直すって、我に返るってことです。
前回、言いましたけど、我に返るって、意識の特徴でしたよね。
我に返ると、全体を見渡すことができます。
自分の状況を考えると、カニを家で食べるわけです。
家で食べるんやったら、足が一本足りんでも、そんな、気にならへんよなぁ。
ここ、気付きました?
今、自分の状況を考えましたよね。
つまり、自分を客観的に見たわけです。
客観的に自分を観察できるのも、意識の特徴です。
自分を客観的に観察するってのは、自分を含んだ仮想世界を頭の中でシミュレーションするわけです。
これが、考えるってことです。
シミュレーションして、買ってもいいなぁって思ったわけです。
これ、納得ですよね。
でも、まだ、一歩踏み切れなわけです。
12800円かぁ。
それでも高いなぁって。
高いから買えないって条件です。
それが、半額になるわけです。
一気に、条件をクリアしました。
ただし、30分以内に電話した場合だけって言われます。
これも、条件です。
条件を満たすための行動は一つしかありません。
「今すぐ電話」です。
はい、出てきましたよね。
行動の決定です。
意識の目的は何でした?
行動の決定でしたよね。
電話をするって行動を決めることで、一連の思考が完結しました。
わかりましたか?
人間らしい考え方って、どうやって行われるか。
まとめますよ。
まず、目的を決めます。
それから、目的を達成するためのメカニズムを確認します。
このメカニズムは、客観的な現実世界の中で動くものです。
客観的な現実世界っていうのは、3次元空間といった物理世界だけじゃありません。
値段が高いとか、安いと買えるとかって購買世界もあるわけです。
現実世界で行動するのは自分です。
自分の行動を決めるのが、意識のプログラムです。
意識は、現実世界の条件をすべて満たし、目的を達成するための行動を決定するわけです。
ところで、今回、何のために、こんな話したか分かりましたか?
テレビショッピングに騙されるなよって、いいたいわけじゃないです。
今回、考えたのは、じつは、意識プログラムの処理内容です。
前回まで検討したのは、意識プログラムが使うデータや機能の話でした。
次に、決めないといけないのは、それらをどのように使うかってことです。
最終出力は、行動の決定ですけど、どうやって行動を決定するかが、まだ、決まってなかったんです。
今回決めたのは、その方法なんです。
方法というか、最も根本的な方針とか、方向性です。
それが、目的とメカニズムってことです。
人間の思考って、目的とメカニズムの二つの方向から確認するんです。
だから、「カニが嫌いだから、松葉ガニを食べたい」って文は、目的に合わないからおかしいって判断できるんです。
「5万円の松葉ガニを、10万円に値上げします」っていって、「じゃぁ、買うわ」ってなると、購買世界の条件に反するので、「なんでそうなるの」ってなるんです。
会話は、目的とメカニズムの二つの条件をクリアしないといけないんです。
それさえ外さなければ、会話は成立するんです。
これがわかれば、会話が破綻しないチャットボットがつくれそうですよね。
それをつくろうとしてるのがロボマインド・プロジェクトです。
今回の動画が面白ければ、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それでは、次回も、お楽しみに!