第199回 そして、神が生まれた・・・


ロボマインド・プロジェクト、第199弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

あれは、小学校のときやったかなぁ。
テレビで、小学生が描いた絵が、大きな賞を取ったってニュースをみて、凄いなぁって言ったんですよ。
そしたら、それ見てた親父が、
「ああいうのはな、最初から誰が取るか決まってるもんやねん」
「政治家とか、有力なコネがあるもんが取るんや」
「世の中、そういうもんや」って。

世の中には、いろんな考え方があるもんです。
そういえば、この世界は、ユダヤ人とロスチャイルドに操られてるらしいです。
日本の政治家も、彼らの言いなりになってるだけだそうです。
いわゆる陰謀論ってやつです。

恐ろしい話ですよねぇ。
まぁ、ホンマかどうかは、知らないですけどね。

それじゃぁ、絶対正しい話もしましょか。
この世には、重力ってものがあります。
上にある物は、手を離すと、下に落ちます。
これは科学的に正しいですよね。

何が言いたいかわかりますか。
陰謀論は間違ってるとか、科学は正しいとか、そう言うことを言いたいんじゃないですよ。
つい、どっちが正しいかって議論をしてしまいがちです。
でも、そっちに行ってしまうと、大事なことを見過ごしてしまうんですよ。

大事なことって何かって言うと、陰謀論でも、科学でも、それがあるって理解できるってことです。
それがないと、はじまらないですよね。

僕が知りたいのは、人間と他の動物の違いです。
人間だけ、なんで、他の動物と全く違う生活を送ってるのか。
人間は、どうやって、科学や宗教をつくり出したのか。
人間だけ、言葉を話したり、道具を発明するのか。

その根本です。
多くの人は、言葉を話すようになった原因を探ろうとして、言葉を研究するんですよ。
でも、僕が思うに、言葉は最後なんです。
言葉より先に、何かがあるんです。
それがあるから、言葉を生み出したんです。
なんらかのエネルギーというか、原動力となるものです。

なにか伝えたい、表現したいって思いが沸き起こるわけです。
それを、何とか表現しようとしたら言葉になったって感じです。

湧き上がる思いの部分、そこを解明しないと、意味ないんです。
いろんな言語を比較して、共通の文法とか探しても、あんまり意味ないんです。

じゃぁ、その湧き上がる思いって、どういうものでしょう?
それは、陰謀論を聞いて、「えぇ!、そういうことやったんか」って思える部分です。
陰謀論とかを理解できる仕組みがあるわけです。

僕は、これが全ての源だと思ってます。
たぶん、物語を理解できるのも、この部分だと思います。
前回、第198回「なぜ、人には、物語が必要なのか」で、物語の根本を語りました。
今回は、その続きです。
物語がどうやって生まれるか。
それでは、始めましょう!

前回のおさらいです。
人は、世界が動く原理を解明したいって思いを持ってます。
というか、人が認識してる世界は、見たままじゃなくて、その背後にある法則とかも同時に認識してます。
これ、無意識が処理してることなので、わかりにくいとこなんですよ。
でも、こう言うとここそ、重要なものが隠れてるんです。

たとえば、犬に手品を見せたとしましょう。
空中から、バラの花とか取り出したとします。
でも、犬は、何もない所からバラが出現したことに、驚くことはありません。
興味があるのは、それが食べれるか、食べれないかです。

町を歩いていて、車が1mぐらい宙に浮いて走ってたら、びっくりしますよね。
でも、犬がそれをみてもびっくりしません。

考えてみたら、びっくりする方がおかしいんですよ。
だって、目に見えてるのが事実ですから。
そのバラは、空中から取り出せるバラなんです。
その車は、宙に浮かんで走る車なんです。
犬がまともなんです。
犬にとって重要なのは、食べれるか食べれないかです。
まず、そこに注意が行くわけです。
これは、本能に基づいた当たり前の行動です。

人間は、食べれるか食べれないだけじゃなくて、「これ、おかしない?」ってことに注意が行くってことです。
これって、どういうことでしょう?
つまりね、なんで、宙に浮いてる車をみたら、わっ!ってびっくりするかってことです。
びっくりするのは、上にある物は、支えがないと、下に落ちるって知ってるからですよね。
つまり、重力とか、万有引力の法則です。
そう言う法則があるって知ってるから、自動車が宙に浮かんでるとびっくりするわけです。

じゃぁ、背後にある法則を認識するには、どんな心のシステムが必要でしょうか?
それは、まず、眼で見た現実世界を、頭の中に仮想的に構築します。
そして、意識は、その仮想世界を介して現実世界を認識します。
仮想世界なので、目で見たもの以外にも自由に情報を付加することができます。
たとえば、物体には、重力が作用するとかって情報です。
そうすれば、物が宙に浮かんでるとおかしいって思うわけです。

この仮想世界を介して世界を認識することを、僕は、意識の仮想世界仮説って呼んでます。
詳しくは、この本に書いてます。
説明欄にリンクを張ってますので、良かったら読んでください。

3DCGで作った仮想世界なら、重力を設定できます。
宙に浮かんでる車は、重力で下に落ちます。
それと、目で見える現実とを比べて、落ちないで宙に浮かんでる車があれば、「あれっ?」って思うわけです。

今の例は、目で見える現実世界に、物理法則が作用してる場合です。
つまり、見えてる世界は、何らかの法則に従って動いてるって思ってるわけです。
こう思えるってこと、ここが重要なんです。
何らかの法則で動くって思えるってことは、そう思える仕組みがあるってことです。
ここ、ちょっと、分かりにくいですかねぇ。

たとえばエクセルで考えてみましょ。
セルに順番に売上を入力すると、一番下の合計欄に合計金額が自動計算されるとするでしょ。
これって、そういう仕組みがあるわけです。
これが、紙に書いた表だったら、勝手に自動計算なんかならないでしょ。
そういう仕組みがないってことです。

たぶん、人間以外の動物が見てる世界って、紙にかいた表なんです。
自動計算の仕組みなんかないんです。
ただただ、見ただけの世界が、そこにあるだけです。

プログラム言語のオブジェクト指向言語では、オブジェクトにプロパティとメソッドを設定できます。
プロパティはデータのことで、メソッドは動きのことです。
物体ってオブジェクトは、落ちるってメソッドがあるわけです。
支えるものがない物体は、下に落ちるるわけです。
それなのに、車が宙に浮かんでたら、不思議に思うんです。

不思議に思うことができるのは、オブジェクトとメソッドの仕組みがあるからです。
そんな仕組みがなくて、ただ、見たままを受け入れるだけなら、なんにも不思議に思わないんです。
その車は、そういう車だって思うだけです。
それが、動物の認識する世界です。

不思議に思えるのは、頭の中の仮想世界に、プログラムが仕込まれてるからです。
人間の心って、よくできたシステムだって、分かってきましたか?

さて、現実世界の背後にある法則。
目に見えませんよね。
じゃぁ、
人は、それをどうやってつくり出したんでしょう?

ここで出てくるのが大脳のニューラルネットワークです。
ニューラルネットワークが得意なのは、複数のデータから、同じような要素を抜き出すことです。
同じような経験をすることで、共通する法則を抜き出せるわけです。

手に持った積木を離すと、積木は下に落ちる。
手に持ったスプーンを離すと、スプーンは下に落ちる。

そんなことを経験することで、支えがないと、下に落ちるって法則を理解するわけです。
法則だけじゃないです。
積木やスプーンの共通の要素として、抽象的な物体って概念も作り上げます。
そして、支えがないと下に落ちるって法則を、抽象的な物体に設定するわけです。
オブジェクト指向言語で言えば、物体オブジェクトのメソッドに設定するわけです。
こうやって、僕らは、ただ世界を見るだけで、その奥に、目に見えない法則まで感じることができるんです。

さて、この目に見えない法則、ここから重要な概念が生まれました。
それは、原因、結果です。
手に持った積木を放すと、積木が落ちます。
手を離すが原因で、落ちるが結果です。
その間に、重力っていう法則があるわけです。

この原因結果は、さらに、重要な概念を生み出しました。
それは、時間の方向性です。
原因から結果の方向に時間が流れます。
その逆は、あり得ません。
原因を辿れば、過去に遡れます。
結果を辿れば、未来を予測することができます。
原因結果の概念を理解するとは、時間の概念を理解してるのと同じです。

さて、ようやく準備が整いました。
以上の道具を使って、人は、どうやって物語を作りだしたのか、考えてみましょう。

たとえば、人は家族を作ります。
家長は、父親です。
父親が、食料となる獲物を捕まえたり、家族の安全を守ります。

家族が集まったら村ができます。
村をまとめ、導く村長がいます。

父親、村長
似たようなものがあると、その共通項を取りだして、抽象的な概念を作ることができます。
この世界、その物に、それを当てはめてみます。
この世界を背後から見守り、人々を導く存在です。
それは、何でしょう?
わかりますよね。
そう、神です。
GODです。

世界中のどの民族も、神を持ってますよね。
これは、神って概念があちこちに伝わったわけじゃないです。
そうじゃなくて、人間の心のシステムが必然的に生み出したんです。
だから、世界中に、神ってものを生み出したんです。

この世は、神さんが作ったんだよって、犬に言っても、理解できないですよね。
でも、人間なら、子どもでも理解できます。

理解できるって、どういうことか分かりますか?
それは、神って概念に当てはまる仕組みがあるってことですよ。
同じ仕組みを持ってるなら、神の意味を理解できるわけです。

神なんて、誰も、見たことないです。
信じる、信じないは置いといて、でも、そういう存在を想像することはできますよね。

この世界を創った偉大な神がいる。
それを理解して、共有できるのは、同じ心の仕組みを持ってるからです。

そして、我々は時間の概念も持ってます。
神がこの世を創ったのなら、それは、遥か大昔の事だろうって。
そうやって物語が生まれるわけです。
世界の創造神話が生まれたんです。

仮想世界と、その背後で動く法則、共通要素を取り出す大脳のニューラルネットワーク。
そういった仕組みをもった心のシステム。
これが、神を生み出したわけです。

そして、それと同じシステムを作れば、AIでも、神を理解することができるんです。
そして、それをやろうとしてるのが、ロボマインド・プロジェクトってわけです。

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それでは、次回も、お楽しみに!