ロボマインド・プロジェクト、第220弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
人がどうやって世界を認識してるのか。
目の前に机があるとか、壁があるとかって。
それは、CTやMRIで脳を外側から観察してもわかりません。
主観で認識してる世界は、脳の内側から観察しないとわかりません。
たぶん、夢で見た光景とか、麻薬なんかで見た世界が、脳の内側からみた世界なんやと思います。
そこにこそ、真実の世界が存在するんやと思います。
僕は、先月、全身麻酔の手術しましたけど、術後の医療麻薬で、普段見れない光景を見ました。
その話は、第209回「医療麻薬で世界が創られる様を垣間見た話」、第210回「見えるはずのない世界の端を見てきた話」でしました。
眼をつむると、いろんな光景が見えたんです。
「なるほど、こうやって世界は創られるのか」って、興奮しながら見てたのを覚えています。
夢とは違って、目を開けると、元の世界に戻るってのが分かってたので、冷静に観察出来たんです。
あれが、脳の内側から世界を見たって経験です。
今回は、僕と同じような経験をした女性の話です。
ただ、彼女の方が、もっと強烈です。
名前をジル・ボルト・テイラーと言います。
脳科学者です。
彼女は、37歳のある朝、脳卒中になりました。
脳科学者だったので、自分が脳卒中になったことを、はっきりと自覚したそうです。
少しずつ、世界が変わって行く様を、冷静に観察していました。
その時のことを、彼女はこう言っていました。
「ワオ、脳の内側から世界を観察できるわ」って。
みんな、思うことは、同じなんですよね。
ただ、彼女は、僕と違って、かなりヤバイ状態でした。
命に関わるぐらい危険な状態になっていました。
実際、元の健康な状態に戻るまで、8年かかったそうです。
彼女が経験したことは、僕の想像をはるかに超えてました。
脳卒中が起ったのは、脳の左側、左脳でした。
それも、かなり大規模な脳卒中でした。
これ、どういうことか、分かりますか?
左脳だけが機能を停止するってことです。
つまり、右脳だけで世界を認識するようになったってことです。
一般に、左脳といえば、言語を司ったり、理論的な思考を行うところです。
右脳は、イメージとか直観を司るところって言われています。
しゃべったりとか、社会的生活をするには、左脳は、絶対欠かせないわけです。
右脳のイメージとか、直観とかって、なんとなく、必要なのは芸術家ぐらいじゃないのって思ってました。
たぶんねぇ、普通は、左脳が有利になってると思うんですよ。
右脳型とか左脳型とかって言いますけど、基本は、左脳が右脳を抑え込んでるやと思うんですよ。
そうでないと、他人と会話ができないですし、計画を立てたりとか、理論的に考えたりできないですから。
この社会で生きて行くには、左脳ありきなんですよ。
ハッキリ言って、ロボマインド・プロジェクトが作ろうとしてる脳は、左脳だけです。
普通に会話ができて、理論的な思考ができる脳です。
僕は、あんまり、右脳のことは、考えていませんでした。
それが、彼女の話を聞いて、考えがひっくり返りました。
彼女は、右脳を抑え込んでた左脳が停止したんです。
今まで、表に出ることがなかった右脳だけで世界を見たんですよ。
たぶんねぇ、右脳にこそ、人間の本当の姿、潜在的な能力が存在するんやと思います。
彼女は、それが、すべて解放されたんです。
いったい、彼女は、何を見たのか?
これが、今回のテーマです。
120%、脳を解放した女
それでは、始めましょう!
ジルは、ある朝、頭の左側で、ひどい頭痛を感じたそうです。
アイスを食べた時、目の奥で感じるような頭痛だったそうです。
そのうち消えるだろうと思って、日課のエクササイズをしたそうです。
こんなボート漕ぎの運動をするローイングマシンです。
こうやって漕いでると、まず、手が変に感じたそうです。
なんだか、大きな爪のある怪獣の手みたいに感じたそうです。
変だなぁと思って、今度は、自分の体を見下ろしたそうです。
その時、おかしいと感じたのは、自分が見てる場所だそうです。
どこか別の世界から、エクササイズしてる自分を見下ろしてるように感じたそうです。
たぶん、目から入って来る情報は同じだと思うんですよ。
それが、怪獣の手みたいに思えたり、どこか別の世界から見てるように感じたり。
これは、世界の認識の仕方が変化したってことやと思うんです。
今までは、世界は3次元空間で、自分はそのどこかにいるって認識です。
まず、自分の正確な位置を把握し、それを基に、どう行動するかって決めるわけです。
これが、左脳の理論的な思考です。
その左脳の機能が弱くなって、右脳のやり方で世界を認識し始めたようです。
彼女が感じた世界を、もう少し追っていきます。
彼女は、気分が悪くなってきて、エクササイズを止めて、リビングルームを歩こうとしたんですけど、どこかフワフワした感じがして、上手く歩けなかったそうです。
意識を、自分の体に集中しないと、ちゃんと歩くことができなかったそうです。
集中しないとできなくなっていたことこそ、普段、左脳がやってたことだと思います。
自分の体と、外の世界の関係を正確に認識して、適切な行動を取ることです。
意識を集中することで、弱くなった左脳を、何とか必死に繋ぎ止めようとしていたんでしょう。
その後、彼女は、シャワーを浴びることにしたんです。
そのとき、体の中の会話に気付いたそうです。
小さな声で、そこの筋肉縮んでとか、そっちは緩めてとかって。
たぶん、左脳って、常に、何かを考えてるんだと思います。
次は何をしようとか、あの時、もっとこうすればよかったとかって。
その考えが意識に上るんやと思います。
この時、彼女の左脳はかなり弱ってて、上位レベルの思考はできなくなってたんやと思います。
そうなると、最も低レベルの思考だけが残って、それが意識に上って来てたんやと思います。
それが、どの筋肉を縮めろとか、緩めろとかって思考やったんでしょうね。
こんなことって、あるんでしょうかねぇ。
その後、体のバランスが取れなくなって、壁にもたれました。
そして、腕を見ました。
そしたら、妙なことが起こってたんです。
自分の体の境界が分からないんです。
自分がどこから始まって、どこで終わるのか。
その境界が分からなかったそうです。
腕の原子分子が壁の原子分子と混じり合って、一緒になってるって感じたそうです。
「一体、自分はどうなってしまったんだ」
そう、自分に問いかけたそうです。
その瞬間です。
さっきまで聞こえてた左脳のささやきが、完全に途絶えたそうです。
頭の中が、完全な静寂に包まれました。
唯一感じ取れたのはエネルギーだけでした。
最初、突然の静寂に戸惑ってましたけど、それよりも、感じるエネルギーに魅了されていったそうです。
その頃には、自分の体の境界が完全に分からなくなっていて、自分の体が大きく広がるようでした。
自分の体がエネルギーと一体となるのを感じたそうです。
この上ない幸福感を感じてたそうです。
もし、天国といものがあるとするなら、これこそが、まさに天国だって思ったそうです。
さて、つぎは、この話を、僕なりに、解釈していこうと思います。
まず、思ったのは、今回みた、右脳の機能って、動物でも持ってるものなのかってことです。
脳って、進化的に古い脳を保存しながら、その上に新しい機能を追加する形で進化してきました。
だから、今回の右脳が見た世界って、もしかしたら、動物が持ってた認識の仕方を、思い出したってことじゃないかなって思ったんですよ。
つまり、動物の認識機能を、左脳が押さえつけたわけです。
それが、左脳が機能しなくなって、押さえつけてた動物の心が顔を出したのかなって。
でも、よく考えると、それは違うなってなったんですよ。
何でかって言うと、さっきも言いましたけど、脳は進化してるわけです。
進化して、どんどん複雑になってきてます。
たとえば、古い脳でも持ってるのは、本能とか基本的な感情です。
食欲とか、恐怖とかです。
進化的に古い生物は、この感情に応じた決められた行動をするだけです。
天敵を感知したら、恐怖を感じて逃げるとか。
エサとなる虫を見つけたら、捕まえて食べるとか。
これは、魚とかカエルのレベルの脳です。
それが、哺乳類になると、決められた行動だけじゃなくて、行動を変更できるようになります。
犬が「お手」とか「マテ」ができるようになるみたいに。
そして、人間になると、考えることができるようになりました。
考えるって、頭の中で、あれやこれやとシミュレーションして、最適な行動を決めるってことです。
シミュレーションするっていうのは、ああするより、こうした方が、上手く獲物を獲れるぞって考えることです。
この場合も、指標とするのは基本的な感情です。
どうすれば、一番得するかって理論的に考えるわけです。
これをやってるのが左脳です。
脳が進化することで、単純な行動から、理論的に世界を認識できるようになったわけです。
人間の脳は、地球上の生物で、最も進化しています。
理論的に考えたり、言語を操ったりできます。
脳が進化すると、脳が見る世界も変わります。
同じ世界を見ても、他の動物とは、違う認識の仕方をします。
たとえば、何か起こった時、人は、原因と結果って枠組みで認識できます。
これが、理論的に考えれるってことです。
他の動物なら、原因が何かって、考えたりしませんよね。
脳が新たな能力を獲得することで、世界の見え方が変わって来るってことが分かりますよね。
理論的に世界を認識するって、左脳が行ってることです。
これが、最も進化した脳です。
さて、ここで、さっき、彼女が見た世界を思い出してください。
右脳だけで見た世界です。
とても、理論的な世界とは言えないですよね。
かといって、今までの動物が感じてた世界とも違います。
何を言いたいか、分かりますか?
いいですか、右脳が見た世界は、今までの進化では、だれも見たことがない世界なんですよ。
ということは、どうこうことですか?
つまり、右脳が見た世界は、左脳が見る世界より、より進化した脳が見る世界だって言えるんじゃないですか?
ハッキリ言いますよ。
右脳が見た世界こそ、人類が次に行く世界を示してるんですよ。
ここで、もう一度、彼女が見た世界を思い返してみます。
最初、自分の手が大きく感じたり、どっか、別の世界から自分を見下ろしてるように感じましたよね。
意識を集中しないと、上手く歩けなくなりました。
シャワーを浴びてるとき、自分の境界が分からなくなってきました。
壁と腕が原子分子レベルで溶け合っていきました。
そして、突然、それまで聞こえていた頭の中のおしゃべりが止みました。
完全な静寂です。
その代わり、感じたのはエネルギーの流れでした。
自分の体の境界が溶け出して、自分がどんどん大きくなります。
大きなエネルギーに包まれて、世界と一体となって、何とも言えない幸福を感じます。
こんな感覚を経験したって話、聞いたことあります。
深い瞑想状態に入った話とか、薬物でトリップした話とかです。
そこまで極端に行かなくても、仲間との一体感を感じるときって、幸せを感じますよね。
スポーツで同じチームをみんなで応援したり、ライブでみんなで一緒に盛り上がったり。
みんなの心が一つになって、我を忘れて、陶酔する感覚です。
こう言う感覚って、おそらく、動物は持ってないと思うんですよ。
たぶん、人類が新たに手に入れた感覚だと思うんですよ。
それは、自分一人で完結するんじゃなくて、仲間と一体となることで感じる感覚です。
もちろん、今まででの人類も、一人でなく、集団で狩りをしたりしてました。
でも、それは、より大きな獲物を獲れるとか、効率化のためでした。
これは、あくまでも左脳による理論的思考によるものです。
右脳が感じるのは、自分という個の境界が曖昧になって、みんなと一体となる感覚です。
それを極端に推し進めると、他人との一体感だけじゃなくて、世界と一体になる感覚が生まれるんでしょう。
よく、ワンネスとかっていいますけど、世界と自分とが一つになる感覚です。
その時、この上ない幸福を感じるわけです。
もしかして、人類が次に進むべき世界のヒントは、ここにあるのかもしれません。
この話は、まだまだ、考えるべきことがあるので、次回も、続けて考えて行こうと思います。
今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それでは、次回も、おっ楽しみに!