ロボマインド・プロジェクト、第222弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
今回は、「脳を120%解放した女」シリーズ、第3回です。
このシリーズ、ちょっとヤバいです。
今まで避けてた、スピリチュアルとか魂を脳科学から扱おうとしてます。
ハッキリ言って、ロボマインド・プロジェクトの範疇外です。
ロボマインドは、心を開発するとはいっても、さすがに、魂までは、コンピュータで実現できるとは思ってません。
だからといって、心のうち、開発可能なところだけ観察しても、正しい心は見えてきません。
対象をより深く理解するには、対象の外に出て、他と比較する必要があります。
つまり、全体を広げることで、対象がくっきりと浮かび上がるんです。
だから、心の全体像を、魂まで広げようとしてるわけです。
脳科学者、ジル・ボルト・テイラーは、左脳に脳卒中を起こしました。
左脳の機能が停止して、右脳だけで世界を認識する体験をしました。
それは、驚くべき経験でした。
世界が、消滅したのです。
文字通り、世界が消滅しました。
そして、それと同時に、今まで感じたことのない、心の底からの安心と幸福を感じました。
これが、右脳が見せた世界でした。
僕らが主観で感じてる世界を創り出してるのは脳です。
同じ自分でも、左脳と右脳では、全く違う世界を体験します。
一体、どっちの自分が正しいのでしょう?
これが、今回のテーマです。
あなたの知らないもう一人の自分。
それでは始めましょう!
前回、世界認識システムの話をしました。
今見て、感じてる、この世界は、世界認識システムを使って認識しています。
これは、僕の提唱する意識の仮想世界仮説を基にした考えです。
意識の仮想世界仮説を簡単に説明すると、まず、目で見た世界を頭の中で仮想世界として構築します。
意識は、この仮想世界を介して、現実世界を認識します。
詳しくは、この本に書いてますので、良かったら読んでください。
この世界認識システムがあるから、僕らが感じてる、この世界は存在するわけです。
じゃぁ、世界認識システムは、どうやって世界を認識するんでしょう?
赤ちゃんは、ハイハイしたり、壁に触ったりしながら、この世界は広がりがあるとか、壁から先には行けないとか経験します。
手を伸ばして何もない空間を感じて、壁に触って、突き当りがあるって感じて。
それと同時に目でも、何もない空間と壁を認識しています。
そういったデータから、3次元空間という概念を作り上げたわけです。
何が凄いかって言うと、3次元空間って概念は、生まれたときは持ってないわけです。
空間って概念自体を作り出したところが、人間の脳の凄いところなんです。
じゃぁ、どうやって概念を作るんでしょう?
概念を作るには、別の概念を組み合わせて作ります。
その別の概念を作るには、また別の概念で作ります。
そうやって、遡って行けば、最も基本的な概念があるはずです。
はたして、世界を構成する最も基本的な概念って、いったん何なんでしょう?
じつは、そのヒントが、ジルが経験したことにあるんです。
脳卒中を起こしたジルは、シャワー室で自分の体が消えていくのを感じました。
脳卒中が起ったのは左脳でした。
左脳にある世界認識システムの機能が停止したことが原因です。
ジルは、自分の体の境界がわからなくなりました。
自分の手の分子原子と、壁の分子原子が混ざり合う感覚を感じました。
自分の体が世界に溶け出して、世界と一体になる感覚を感じました。
その時、この上ない幸福感を感じたそうです。
そのとき、一瞬、左脳がよみがえりました。
「危険だ、誰か助けを呼べ!」
左脳が警告を出しました。
理論的な思考を司る左脳が、脳卒中だということに気付いたんです。
その後、かすかに動く左脳を使って、どうすればいいか考えました。
考えるのは意識です。
意識は前頭葉にあります。
前頭葉は無事だったわけです。
ただ、前頭葉に送られるデータが変化したわけです。
右脳からのデータは、幸福感でした。
それが、左脳が生き返り、左脳からのデータも受け取るようになったわけです。
左脳は、過去の経験や知識に基づいて考えます。
このとき、ジルは「電話しなければ」と思いました。
普通なら、119番ですけど、なぜか、その時、思いつかなかったようです。
どうも、記憶や知識へのつながりが断片的になってたようです。
なんとか思い出したのは、職場の電話番号でした。
幸い、ジルは、脳科学者で、病院に勤めてました。
電話をすると、同僚が出てくれました。
ただ、何を言ってるのか分からなかったそうです。
「ウォウォウォ」って犬が喋ってるようにしか聞こえなかったそうです。
左脳には言語の音を処理するブローカー野というところがあって、どうも、そこが損傷したようです。
ジルは、自分の状況を伝えようと電話口でしゃべりました。
そしたら、自分も、「ウォウォウォ」としかしゃべれませんでした。
ブローカー野が損傷すると、しゃべることも上手くできません。
幸い、同僚はジルの声だと分かったようで、かなり危険な状況だと理解してくれました。
急いで、家まで迎えに来てくれることになりました。
これで一安心なんですけど、もう一つ、重要なことを思い出しました。
アメリカは、保険制度の関係で、自分が加盟してる保険の病院で治療しないと、とんでもない医療費が請求されます。
そこで、どこの病院に行くべきか、保険会社に確認する必要があります。
そこで、保険会社の名刺を探そうとしました。
そしたら、今度は、名刺に書いてある文字とか数字が読めないんです。
まず、どこが文字だか、そこからわからなかったそうなんです。
よく、「図と地」の関係って言います。
白い紙に文字を書いたら、文字が「図」で、白い背景が「地」です。
その図と地の区別がつかなくなっていたようなんです。
僕らが名刺を見ると、自然と文字を読み取りますよね。
文字と背景を区別して、自然と文字に注目が行きますよね。
それが、ジルは、名刺を見ても、白と黒で描かれた模様にしか見えなかったそうです。
どこに注目していいのか分かりませんでした。
それでも、意識を集中すると、なんとか、どこが文字かわかるようになりました。
左脳に意識を集中したんでしょう。
ただ、今度は、アルファベットや数字の順番が分からなくなってることに気付いたそうです。
Aの次にBがくるとか、1の次に2がくるとかってことが分からないそうです。
順番って概念が消えてしまってたそうです。
それでも、1時間ぐらいかけて名刺の束から目的の名刺を探し出すことができました。
それを、迎えに来た同僚に渡して、無事、治療を受けれたそうです。
さて、みなさん、ここ、気付きましたか。
今、ものすごく重要なヒントが、いっぱい出てきました。
何のヒントかと言うと、世界はどうやって創られてるかのヒントです。
もっと言うと、世界を構成する、最も基本的な概念が出てきました。
まずは、図と地の区別がつかなくなったって言ってましたよね。
文字と背景の区別がつかないってことです。
僕らは、普段、何かを認識するとき、まずやることは、背景から、対象を切り出すって作業です。
あまりにも当たり前にやってることなので、そんなこと、意識したことないと思いますけど、これが、図と地を分けるってことです。
これが、世界を認識するときに使う、最も基本的な概念といえそうです。
世界認識システムが、一番最初に行う処理は、図と地とを分けることなんです。
それでは、世界認識システムが、最初に切り分ける図とは何でしょう?
それは、自分です。
世界の中に自分がいるって感覚を持てるのは、地としての世界と、図としての自分って概念を使って認識してるからです。
これがないと、どこからどこまでが自分って決められないんですよ。
だから、左脳が機能しなくなったジルは、自分の体の境界がわからなくなったんです。
さて、次は順番です。
ジルは、数字やアルファベットの順番が分からなくなりました。
順番というものの、そもそもの意味が分からなくなったようです。
物事を順番で管理する仕組み。
これも、世界認識システムが使う基本的な概念のようです。
イメージとしては、順番に並んだ箱があって、その中にデータを入れて管理する仕組みがあるんでしょう。
ジルは、右脳だけで世界を認識していたとき、時間というものも感じれなかったともいってます。
右脳の世界には、今、現在しか存在しなかったと言います。
たぶん、時間という物も、順番で管理する仕組みがあって、初めて理解できるんでしょう。
起った出来事を、起った順に管理する仕組みがあるから、時間を感じれるんだと思います。
順番って概念をもってるから、過去から未来へと流れる時間の流れも感じれるんです。
時間だけでなく、長さとか、空間という広がりも、順番って概念があって理解できるんです。
自分を中心に遠くまで広がってるって空間を感じれるのは、近くから遠くへって順番って概念をもってるから理解できるわけです。
一見、空間なんて、もっとも基本的な概念に思えますけど、それも、順番って基本概念があって、初めて理解できるんですよねぇ。
ところが、この順番って概念も、もっと基本的な概念から作られます。
それが何かと言うと、「比べる」です。
二つの対象を比べて、どちらが大きいとか判断するのが比べるです。
この比べるって概念があるから、順番に並べることができるんです。
「比べる」こそ、最も基本的な概念といえます。
だから、人は、何かを認識すると、つねに、比較します。
どちらが大きいとか、どちらの方が値段が高いとか。
そして、一番比較するのは、他でもない自分です。
自分は誰より優れてるとか、誰より劣ってるとか。
さて、左脳が機能しなくなると、比べるということをしなくなります。
この最も基本的な概念、「比べる」がない世界、それが、右脳が創り出す世界なんです。
右脳の世界を感じてたときのことを、ジルはこう語っています。
「左脳の機能が低下して、私は、かつて当たり前にできたことが、今、出来なくなってることは理解していました。
でも、だからといって、かつての私より、今の私が、1ミリたりとも劣ってるなんて、感じることはありませんでした」
これが、右脳が作り出した世界です。
分かってきましたか?
左脳が持つ世界認識システムは、世界を出来るだけ正確に把握しようとします。
この世に生れ落ちて、まずすることは、世界から自分を切り出すことです。
自分だけじゃなく、注目するもの、何でも、背景から切り出します。
これが、ものごとを認識するということです。
世界認識システムは、認識したものを比較する機能をもっています。
どちらが優れてるか、どちらが劣ってるか、見極めることができます。
比較できるから、意識は、より優れたものを手に入れようとします。
こうやって、人類は進歩し、文明を発展させてきました。
比較する機能があるから、ものごとを順に並べることができます。
あらゆる物を、何らかの基準で整理することができます。
左脳は、混沌とした世界を整理し、どう行動すべきか分かりやすく示してくれます。
何を目指すべきか、自分には何が欠けているのか、常にそんなことを意識させられます。
だから、左脳の世界では、いつまでたったも満足は得られません。
比較してるかぎり、常に自分より優れた者が出てきます。
何かを手に入れても、さらに手に入れたいものが見つかります。
一方、右脳が感じる世界は、他人と比較することはありません。
自分は、何か欠けてるなんて、これっぽっちも思いません。
それどころか、自分と世界とを分離することすらしません。
世界と一体となって、この上ない幸福を感じます。
さて、ここにきて、よく分からないことがあります。
それは、右脳の役割です。
右脳の世界だと、今のままで、幸せを感じることができます。
でも、右脳が見せる世界だけだと、人類は進歩も発展もしません。
それどころか、ジルは、死ぬところでした。
左脳があるから、適切に行動して、生き延びることができるんです。
右脳って、本当に要るんでしょうかねぇ。
ただ、もし、他人と比較して生きづらさを感じてるなら、このことは、知っておいた方がいいと思います。
今の悩みは、左脳が作り出してる世界だって。
でも、それは、世界の半分です。
もう半分は、右脳が創り出す世界です。
その世界では、自分は何も欠けたものがなく、今のままで、すべて満たされています。
もう一つ、世界があると知ってるだけで、もう少し、楽に生きれるんじゃないかと思います。
もしかしたら、右脳が作る世界の方が、真実の世界なのかもしれません。
真実の世界って、いったい、なんなんでしょう?
そのことについては、次回、もう少し考えて行きたいと思います。
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それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!