第235回 降りてくる魂


ロボマインド・プロジェクト、第235弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

このチャンネルでは、今まで、散々、心について語ってきました。
でもね、今になって、気付いたんですよ。
今までの僕の心の考え、完全に間違ってたって。
いや、間違ってたと言うか、反対やったんですよ。

何が反対かって言うと、心の作る向きです。
心がどうやってできるか、何度も説明しましたよね。
赤ちゃんは、ハイハイしたり、触ったり、口に入れたりして、この世界にある物を学びます。
空間があるとか、物体があるとか、重力があるとか。
そうやって、頭のなかに、現実世界を再現した仮想世界が作られます。
こうやって、心がつくられて行くわけです。

って、これが間違いやったんです。
これじゃぁ、大事なものが抜けてるんですよ。
それは、なんというか、自分です。
この、自分って感じ。
魂って言ってもいいと思います。

空間とか、物体とかって仮想世界を作り上げて行っても、いつまでたっても、魂は生まれないんですよ。
じゃぁ、どうやったら生まれるんでしょう。

それが、逆ってことなんです。
下から積み上げて行って、最後に生まれるってもんじゃなくて、最初にあるのが魂なんですよ。

たぶん、妊娠したとき、魂が降りてくるんだと思います。
お母さんのお腹の中の赤ちゃんに、魂が入るんです。
ここから全てが始まるわけです。
これが、今回のテーマです。
降りてきた魂。
それでは、始めましょう。

ここ最近、「120%脳を解放した女」の続きの動画をアップしました。
主人公はジル・ボルト・テイラー。
脳科学者です。
彼女は、脳卒中になって、左脳が停止して、右脳だけで見る世界を体験しました。
完全な静寂のなかで、自分の体が消える感覚です。
体の境界が徐々に薄れてきて、自分の体が大きくなる感覚を感じました。
そして、自分が世界と一体となるのを感じたそうです。
そのとき、今まで感じたことない幸福感を感じたと言います。

今まで、僕は、この幸福感ばかり注目していました。
でも、よく考えたら、一番不思議なのはそこじゃありません。
ジルは、身体感覚が消滅しましたよね。
それは、3次元世界とのつながりが消えたとも言えます。
それから、また、完全な静寂も感じたといってます。
これは、音が聞こえなくなったってことじゃありません。
頭のなかの思考が消えたわけです。
あれをしなくちゃ、これをしなくちゃって思考です。

頭の外の現実世界の感覚や、頭の中の思考が消えたわけです。
全て消えたわけです。
そして、その後、幸福感を感じたわけです。

疑問ってのは、ここです。
それじゃぁ、その幸福感を感じてるものって何?
ってことです。

だって、体も思考も消えたんですよ。
感じたり考えたりする主体、その物がないんですよ。
それなのに、何かを感じたんです。
じゃぁ、何が感じたの?
最後に残ったのは何?
そうなりますよね。

たぶん、それが自分なんです。
自分、その物です。
それが、魂です。

お母さんのお腹の中にいるとき、赤ちゃんに魂が降りてきました。
羊水の中に浮かんで、上も下もないころです。
自分と世界とが一体となっていて、不安なことは何もありません。
安心しきっています。
完璧な世界です。
赤ちゃんの魂が感じてたのは、そんな世界です。

それが、この世に生れたとき、初めて、違和感を感じます。
それは、自分じゃないものです。
自分以外を初めて感じたわけです。
この世界は、完璧じゃなかったんです。
初めて感じる不快感です。
だから、赤ちゃんは泣くんです。
完璧でない世界を、全身で拒絶するわけです。
でも、お母さんに抱かれると、安心して泣き止みます。
お腹の中にいた完璧な世界を感じて、安心して眠りにつきます。

この世に生まれて、体を手に入れた魂は、目や耳からのデータを受け取っても、最初、何が何だか分かりません。
ただただ光を感じたり、音の洪水を感じたりするだけです。
分かるのは、快か、不快かだけです。
お腹もいっぱいで、お母さんに抱かれて、安心している状態が快です。
それ以外は不快です。

それが、だんだん、世界って言うのが分かってきます。
自分と世界とは別ものだってわかるようになるわけです。
3次元のこの世界を理解するってことです。
これが、頭のなかに仮想世界が作られてきたってことです。
3次元空間と、その中に配置される自分の身体という形で、自分と世界とを区別して認識できるようになってきたわけです。

自分だけじゃなくて、様々な物を認識できるようになります。
周りから話しかけられて、少しずつ、言葉を理解するようになります。
世界にある対象を、言葉という記号で認識できるようになるわけです。

ただ、物には名前があるってことを理解するのって、意外と難しいんです。
人間にしかできないことです。
たとえば、犬は、ポチって呼んだら来ますよね、。
でも、その犬は、自分の名前がポチって分かってるわけじゃありません。
ポチって言葉と、呼んだ人のところに行くって動作を結び付けてるだけです。

ポチっていう音と、行くって行動は、どちらも現実世界、物理世界のことです。
犬の理解は、物理世界で完結する理解です。

でも、名前というのは、その物を指す、記号です。
記号は、物理世界にはありません。
しいて言えば、記号世界という別の世界です。
物理世界を写し取ったものが仮想世界です。
現実世界にあるものは、仮想世界でオブジェクトとして生成されます。
その仮想世界のオブジェクトを記号で写し取ったのが記号世界です。
これらは、レイヤーが違うと言えます。
一番下が物理レイヤーです。
その上に仮想世界レイヤーがあるわけです。
そして、さらにその上に記号レイヤーがあるって感じです。
言葉は、この記号レイヤーにあります。

さて、言葉は、具体的なオブジェクトだけでなく、感情なんかも表現できます。
たとえば、「ありがとう」って言葉
「ありがとう」が何を意味するのかって、じつは、ものすごく難しいです。

たとえば、太郎君が、おじいちゃんから、誕生日にサッカーボールをもらったとします。
太郎君は、欲しかったサッカーボールを貰って喜びます。
おじいちゃんは、太郎が喜ぶだろうと思って、サッカーボールをプレゼントしたわけです。
「ありがとう」は、自分の為にしてくれたことに対する感謝の言葉です。

自分がプレゼントもらって、嬉しいってのは分かりますよね。
だって、自分の気持ちですから。
難しいのは、相手の気持ちです。
おじいちゃんは、太郎が、喜ぶだろうと思ったわけです。
自分じゃない、他人の気持ちって、どうやったら分かるんでしょう?

ここ、丁寧に考えますよ。
仮想世界は、現実世界にあるものを写し取ったオブジェクトでできてます。
今、仮想世界には、自分のオブジェクトと相手のオブジェクトがいるわけです。
そして、自分の魂は、自分のオブジェクトに入ってるわけです。
だから、仮想世界の自分は、プレゼントをもらって嬉しいって感じるんです。
嬉しいとか感じるのは魂です。
じゃぁ、相手の気持ちは、どうやったらわかるでしょう?
それは、仮想世界の相手のオブジェクトに、自分の魂が入り込むんですよ。

魂って、元々、自由に飛びまわってたんですよ。
それが、赤ちゃんの体に入ったわけです。
赤ちゃんは、三次元世界を理解するために仮想世界を作りました。
そして、その仮想世界に自分のオブジェクトを作って、魂は、その中に入ったわけです。
魂は、自分のオブジェクトを介して、現実の三次元世界を認識できるようになったんです。
別の言い方をすれば、魂は、仮想世界の自分のオブジェクトに閉じ込められたとも言えます。

赤ちゃんは、やがて言葉を覚えるようになりました。
言葉は、記号レイヤーにあります。

たぶんねぇ、この記号レイヤーって、魂も移動できるんですよ。
仮想世界レイヤーの自分オブジェクトに閉じ込められていた魂は、記号レイヤーを自由に移動できるんですよ。
つまり、魂は、記号レイヤーから、客観的に自分を見れるようになるんですよ。

それだけじゃないですよ。
記号レイヤーを伝って、自分以外のオブジェクトにも入れるようになるんですよ。
たとえば、おじいちゃんのオブジェクトです。
おじいちゃんオブジェクトに入った魂は、おじいちゃんの気持ちを感じます。
この子が喜ぶだろうと思って、この子の好きなサッカーボールをプレゼントしようって。
その気持ちを味わって、また自分に戻るんですよ。
そしたら、自分の為にサッカーボールをプレゼントしてくれたおじいちゃんの気持ちを感じるわけです。
それが、「ありがとう」の意味です。

どうです?
これが、魂の仕組みです。
まぁ、まだ仮説ですけどね。
ただ、この仮説をつかうと、僕の、長年の疑問が解決するんですよ。
それが何かというとヘレン・ケラーです。
ヘレン・ケラーについては、このチャンネルでも取り上げてましたけど、その疑問について、簡単に説明します。

ヘレンは嫌なことが起こると、すぐに癇癪を起す子どもでした。
その日の朝も、癇癪を起して人形を床にたたきつけて壊しました。
その後、サリバン先生と散歩に行きます。
そして、運命の瞬間です。
冷たい井戸の水を左手で感じてるとき、サリバン先生は、右手の手のひらに、w-a-t-e-r ウォーターって文字をさっと綴ります。
その時、ヘレンの心に電撃が走りました。
ウォーター
今まで、何度も教えてもらってた、ウォーターって綴り。
それは、今、左手を流れてる冷たい水の事だ。
水の名前だ。
そう気付いたんです。

つまり、今までは、ウォーターって、右手に綴る動作だったんです。
これは、ポチって呼ばれたら、その人のところに行くって動作で覚えてる犬と同じです。
物理レイヤーだけの解釈です。

今、ヘレンは、その解釈は間違いだったってことに気付いたんです。
ウォーターってのは、動作じゃなくて、水を表現した記号だって。
ヘレンは、生まれて初めて、記号レイヤーにアクセスしたんです。

さて、分からなかった疑問というのは、この後です。
言葉の本当の意味を知ったヘレンは、興奮して家に戻ってきました。
そして、足元に、人形を感じました。
それは、今朝、癇癪を起して、自分が壊した人形でした。
ヘレンは、その人形を抱きしめると、自然と、涙が流れてきました。
なんてことをしてしまったの。
ヘレンは、生まれて初めて後悔って感情を感じたそうです。

後悔って、かなり複雑な感情です。
過去の自分の行為を思い出したり、過去はやり直せないって時間の意味を分かって、初めて理解できる感情です。

分からなかったのは、物には名前があるって分かった途端、なんで、後悔なんて複雑な感情が生まれたってことです。
だって、今朝までのヘレンは、気に入らないことがあると癇癪を起すだけの、動物のような心しか持ってませんでした。

おそらく、動物の心って、仮想世界の自分のオブジェクトに魂が閉じ込められてる状態だと思います。
物理レイヤーしか理解できない心です。

ヘレンは、目も見えず、耳も聞こえないので、言葉を習得しないまま、7歳まで成長しました。
でも、脳の中では、言語レイヤーは作られてたと思います。
ただ、言語レイヤーへのアクセスの仕方がわからなかっただけです。
だから、ヘレンの魂は、仮想世界の自分オブジェクトにとどまるだけでした。
それだと、気に入らないと癇癪を起すとか、単純な感情しか持てません。
それが、この日、ついに、言語レイヤーにアクセスしたんです。
すると、魂は言語レイヤーを介して、いろんな人に入り込んで、その人の感情を感じます。

私の為に人形をプレゼントしてくれた優しいサリバン先生とか。
一緒に遊んだ人形にも入り込みます。
人形を壊した、今朝の自分にも入ります。
そして、それらの感情を感じます。
なんてことをしてしまったの。
でも、自分のやったことは、二度とやり直せない。

そんなことを一瞬で理解したんでしょう。
人間の持つ複雑な感情。
そして、社会。

これらは、仮想世界を自由に行き来して、飛び回る魂があるから生まれるんです。
相手の気持ちを感じたり、自分を客観的に見たり。
心で一番重要なのは、この魂です。
これこそが、自分なんです。
仮想世界や、そこに配置される自分のオブジェクトとか、それはただの入れ物にすぎません。
そこに入る魂があって、初めて、自分が生まれるんです。

魂が、仮想世界を自由に飛び回ることで、いろんな感情が生まれます。
心から笑ったり、泣いたりするのは魂です。
たぶん、自由になること、それが魂の望んでることだと思います。

ジルは、脳卒中で左脳が停止したとき、自分の体も思考も停止しました。
これは、仮想世界レイヤーと記号レイヤーが消滅したということでしょう。
そうなって、魂は完全に自由になりました。
世界と一体となりました。
かつて属していた、完璧な世界を取り戻したんです。
魂が、この上ない幸福を感じたのも、わかりますよね。

はい、今回の動画が面白かったら、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!