第246回 臨死体験、第二段階① 〜体外離脱


ロボマインド・プロジェクト、第246弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

第238回「全盲者は臨死体験で何をみたのか 体外離脱編」で、体外離脱の話をしました。
手術中に体外離脱して、自分を見たって話です。
それを、どこまで理論的に説明できるかに挑戦してみたんです。
そこで、僕が提案したのは、臨死体験で意識が体から抜け出したんじゃないかって仮説です。
抜け出した意識が、手術してる先生の体に入って、先生の体を通して自分を見たんじゃないかってことです。

まぁ、自分でも、半信半疑で語ってみたんですけどね。
ところが、この動画を見た人から、興味深い事例を教えてもらったんですよ。
それは、木内鶴彦って言う人の話です。
木内さんっていうのは、今まで4つも彗星を発見したコメットハンターの第一人者で、世界的にも有名な方です。

この木内さんは、もう一つ有名なことがあって、それが、臨死体験です。
医師によって一度死亡が確認されて、30分後に蘇生したそうなんです。
何で有名かというと、死後蘇生したことが医師のカルテに記録される例としては国内唯一の事例なんだそうです。

その時の経験したことが、この本『生き方は星空が教えてくれる』に詳しく書かれてるんですよ。
僕もね、今まで、いろんな人の臨死体験や体外離脱の話を読んできましたけど、木内さんの話はずば抜けてました。
何が他と違うかというと、二段階の臨死体験を経験してるんですよ。
心臓が止まる前を第一段階、心臓が止まってからを第二段階とするらしいんですよ。

ほんで、普通の臨死体験っていうのは、第一段階だそうです。
三途の川を渡るとかです。
木内さんも、実際、三途の川を渡ったそうです。
向こう岸に着いたら、中学生の時に亡くなった従弟や、おばちゃんに会ったそうです。
まぁ、よくある話ですよね。
いや、よくはないですけど、似たような話は、聞いたことありますよね。

問題は、第二段階です。
おばちゃんに連れられてきれいなお花畑とか歩いてるとき、そのおばちゃんを見失ったそうです。
あれっと思って、気付いたら、自分の体に戻ってたそうです。
病院のベッドで寝てたそうです。
お父さんとか、お母さんがベッドの近くにいたのもわかったそうです。
そこで、ナースコールのボタンを押そうとしたそうです。
その瞬間です。
自分の心臓が止まるのが分かったそうです。
トックン、トックンって打ってた脈が止まるのを感じたそうです。

母親が、自分の体を揺さぶって「死んじゃった」って言ってるのも聞こえたそうです。
でも、木内さんの意識はそのまま続いたそうなんですよ。
お父さんが、心配そうに自分の顔を覗き込んでるのが分かったそうです。
そこで、安心させようと上半身を起こして、「大丈夫だから」って声を掛けたそうです。
そしたら、起き上がったはずが、お父さんの体をすり抜けたそうなんです。
あれっと思って、振り返ったら、ベッドに横たわってる自分が見えたそうです。

それで、お父さんの耳元で叫んでみたんですけど、全然、お父さんは気づきません。
そしたら、次の瞬間ん、突然、自分の顔がはっきりと目の前に見えたそうです。
えっと思って、よく見たら、視界に鼻柱が見えたそうです。
どうやら、お父さんの目から自分を見てたそうなんですよ。
木内さんの意識がお父さんの体の中に完全に入ってしまったようなんです。

これです。
この前、僕が語った仮説と同じです。
体外離脱で他人の体に入ったんです。
本当に、それを経験した人がいたんですよ。
この話、じっくり検討して見る必要がありそうです。
これが今回のテーマです。
臨死体験、第二段階、体外離脱
それでは始めましょう!

さて、まず大前提は仮想世界です。
人は、目で見た世界を頭の中で仮想世界として構築します。
意識は、仮想世界を介して現実世界を認識します。
このことを意識の仮想世界仮説といいます。
詳しくは、この本に書いてますので、良かったら読んでください。

重要なのは、意識は現実世界を直接見てないってことです。
直接見てるのは仮想世界ってことです。
その証拠として、今まで、いくつか紹介してきました。
今回、また面白い事例が見つかったので紹介します。

目で見たものは、後頭部にある視覚野に送られます。
視覚野は約30もの領域に分かれていて、それぞれで処理してる内容が違います。
たとえば、形とか、色とか、奥行きとか、動きとかです。
こうやって処理された要素で仮想世界が組み立てられるわけです。

僕は、これをコンピュータの3DCGでたとえています。
三次元空間に3Dオブジェクトを配置して仮想世界をつくるわけです。
3Dオブジェクトには、色とか形ってプロパティがあります。
脳の視覚野で処理されたものが、3Dオブジェクトのプロパティになるわけです。
意識は、このプロパティを認識することで、色とか形が分かるってわけです。

さて、30の視覚野の内、側頭葉にMT野ってのがあります。
ここでは、動きの処理を行っています。
このMT野を損傷した女性がいます。
彼女は、色や形の認識はできたんですけど、連続的な動きを感じれなくなったそうです。
どういうことかというと、世界が、カクッ、カクッ、カクッって動いてるように見えるそうです。
街を歩いてても、向こうから走って来る車は、パッ、パッ、パッって近づいて来るように感じるそうです。
コーヒーを注ぐときは、いっつも失敗して、カップから溢れてしまうそうです。
分かりましたか?
今、この腕の動き、スムーズに動いてるように見えるでしょ。
でも、それはスムーズな動きを脳内でつくり出してるから、そう感じるんですよ。

以前も紹介したこの動画を見てください。

右の写真のちっちゃい白丸が、一度に目が捉える視野です。
だから、目が直接みてる現実世界って、左の画像みたいなんですよ。
でも、僕らは右の画像みたいに全体を感じますよね。
つまり、左の小っちゃい画像を繋げて、全体像を仮想的に創り出してるわけです。

それだけじゃなくて、この全体像を一秒間に何回か更新するわけです。
でも、それを直接みたら、写真がパッ、パッって変わるようにしか見えません。
スムーズに動いてるように感じるには、更新された画像から動きを作り出さないといけないんです。
その動きを作ってるのが、側頭葉にあるMT野です。
だからMT野を損傷すると、カクッ、カクッ、って動きになるんです。

僕らは、頭の中でつくり出された3DCGの仮想世界を見てるんです。
3DCGにバグがあると、動きがカクッ、カクッ、カクッってなるわけです。

3DCGは、コンピュータが創り出した世界です。
1と0のデジタル信号で作られた情報です。
つまり、仮想世界は情報空間にあると言えます。
現実世界が三次元世界なら、三次元世界を情報空間で再構築したわけです。
この仮想世界を認識してる意識も、仮想世界と同じ情報空間にあるんでしょう。
ここまでは、何となく分かりますよね。

問題はこっからです。
木内さんの話です。
木内さんは、心臓が止まった後、体外離脱しました。
臨死体験の第二段階です。

体外離脱した木内さんは、お父さんの目を通して自分を見ました。
こんなことってあり得るんでしょうか?
これについて考えてみましょう。

まず、これが本当に起こったとしたら、意識は他人の仮想世界を見たことになりますよね。
自分の仮想世界を見るなら分かりますよ。
自分の脳内で完結してることですから。
でも、他人の脳を中を見るなんて不可能です。
もし、本当に他人の脳の中を見たのなら、自分の脳と他人の脳が、何らかの形で繋がってないとおかしいです。

可能性としたら、たとえば、脳がwifiみたいな電波で通信してるとか。
でも、もし、脳が電波で通信してたら、とっくに、発見されてます。
電磁波なら、簡単に検出できますから。

それじゃぁ、もっと他に、検出できないような通信の仕方ってないんでしょうか?
これが、無いこともないんですよ。
ここで出てくるのが量子力学です。

電子や光子といった量子の世界は、僕らが見てるマクロの世界と違って、有るとか無いとかって形で表現しません。
量子の振る舞いは、波動関数の確率で表現されるんです。
何%の確率で、どこに存在するとかって形です。

さて、一つの波動関数から二つの量子が記述されることがあります。
この二つの量子のことを、もつれた量子のペアっていいます。
量子はスピンといって回転してて、ペアの量子は互いに逆方向に回転してます。

ただ、量子の世界は、確率で表現されるので、右回転50%、左回転50%みたいな形になってます。
ただ、回転方向を測定することはできます。
測定して右回転って分かれば、その量子は100%右回転になるんです。
そうなると、もう一方の量子は100%左回転に決まるんです。

面白いのは、こっからです。
この法則、二つの量子がどんだけ離れてても成り立つんです。
つまりね、何万キロも離れてたとしても、一方の量子の回転方向を決めれば、もう一方の量子の回転方向が決まるわけです。
これ、何を意味するか、分かりますか?
これね、何万キロも離れたとこに情報を伝えたことになるんです。
通信してるってことです。
この通信の凄いとこは、この通信、時間がかからないんです。
一方の回転方向を決めた瞬間、離れたもう一方の量子の回転方向が決まるんです。

この三次元世界、物理世界って光を超える速度は存在しないでしょ。
でも、量子もつれを使った通信は、光を超えてるんですよ。
これ、どういうことか分かりますか?
この量子通信、物理世界の現象じゃないってことです。
三次元じゃない、もっと高次元って言えそうです。

脳の中で行われてる情報処理も、電子といった量子で行われてるのは分かっています。
ということは、量子通信を行える可能性もありますよね。
もう少し考えてみます。

量子はスピンを持ってるわけです。
スピンの方向に1とか0って情報を持たせれば、量子がデジタル信号になりますよね。
実際、量子コンピュータというのは、この原理を使っています。
脳も量子コンピュータとして考えましょ。
仮想世界は、脳内の量子コンピュータで作られたプログラムです。
仮想世界を見る意識も、脳内量子コンピュータで動くプログラムです。
もし、その量子のペアが、離れたところ、たとえば他人の脳にあるなら、他人の脳と通信することができますよね。
つまり、木内さんの場合、お父さんの脳です。
これで、お父さんの仮想世界を見たって説明がつきそうです。

ただ、これだと、繋がるのはお父さんだけです。
これは、ちょっと不自然です。
そこで、これをもっと拡張して考えてみます。
たとえば、全人類と繋がってる脳を考えてみます。
全ての人間の脳の量子とペアとなってる共通の脳です。

たぶん、それは脳って形をしてないと思います。
人間の脳って、三次元世界を認識するのに必要なわけです。
目とか耳って、三次元世界の情報を扱うから、三次元の脳って実体が必要なんです。
仮想世界の情報を扱うだけなら、三次元の実体としての脳は必要ありません。
それは、三次元でなくて高次元に存在するんです。
高次元に、全人類の脳と繋がるクラウドコンピュータがあるってイメージです。

意識プログラムは、普段は、三次元の脳内コンピュータで動いています。
つまり、自分が見て、自分が創り出した仮想世界を見ています。
それが、心臓が止まった木内さんは、三次元世界の脳とのつながりが弱くなるわけです。
その代わり、クラウドコンピュータとのつながりが強くなったんです。

クラウドコンピュータは、全人類と繋がっています。
心臓が止まった木内さんは、このとき、お父さんに必死に呼びかけていました。
そのとき、クラウドコンピュータを介してお父さんの脳内コンピュータにアクセスしてしまったんです。
だから、お父さんの視点から自分を見てしまったんです。

さて、どうでしょう。
なんとか、量子力学をつかって説明してみましたけど、どうですかねぇ。

じつはね、この話、これで終わらないんですよ。
第二段階の臨死体験って、これ、まだ始まりに過ぎないんですよ。

この後、木内さんは過去や未来を自由に行き来するんです。
その事については、次回、考察することにします。

はい、今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!