ロボマインド・プロジェクト、第260弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
このチャンネルで、よく紹介してるのが、左脳が脳卒中になったジル・ボルト・テイラーです。
彼女は、左脳が使えなくなって、文字が読めなくなったり、ストーリーが理解できなくなりました。
左脳って、言語を司ったり、理論的な思考に関係するといわれてます。
だから、左脳が損傷すると、普段の生活でかなり苦労するんです。
一方、右脳はイメージとか、空間認識、直感とかに関するといわれています。
だから、右脳を損傷したら、上手く絵を描けなくなるそうです。
たぶん、芸術家とかは困ると思いますけど、普通に生活には、それほど困らんのちゃうかなぁって思ってました。
ところが、右脳を損傷した人の話を聞くと、そんな単純な話じゃなかったです。
えっ、右脳って、そんなことやってたの?って話がいっぱい出てきました。
これが、今回のテーマです。
右脳って、いったい、何をしてるんだ?
それでは、始めましょう。
右脳の障害で、有名なのが半側空間無視という症状です。
これは、左側を無視するという症状です。
たとえば、食事をしてて、自分の右側にある物は全部食べるのに、左側のおかずには一切手を付けずに、ごちそう様ってなるんです。
これって、どういう事でしょう?
これを理解するには、脳と視覚の関係を理解しておかないといけません。
よく、右半身は左脳、左半身は右脳が担当するって言いますよね。
だから、右目は左脳、左目は右脳が担当するって勘違いする人がいますけど、そうじゃないんですよ。
この図を見てください。
青が左脳で、オレンジが右脳です。
青の左脳につながってる視神経は、左右両目の左半分の網膜につながってます。
オレンジの右脳につながってる視神経は、左右両目の右半分の網膜です。
だから、青の右側の視界は、左脳、オレンジの左側の視界は右脳となるんです。
こう考えると、右脳が損傷したら、左側を無視するっていうのが分かりますよね。
さて、話はこっからです。
半側空間無視の人に、この花の絵を真似して描いてもらいます。
すると、どんな絵を描いたと思います?
描いた絵がこれです。
左側が描かれてないですよね。
左側を完全に無視してるんです。
でも、本人は、全部描いたと思ってるんです。
つぎは、時計です。
この時計を真似して描いてもらいます。
するとこうなりました。
また、左側が完全に抜けてますよね。
でも、ちょっとおかしいことに気付きませんか?
単に、時計の左側が抜けてるだけじゃないんですよ。
7、8、9、10って、本来、左側にあったものですよね。
それが、右側に詰め込まれてるんですよ。
これ、何を示してるかわかりますか?
これ、左側にあるものも見えてるってことです。
見えてるのに、絵を描くと、右側に詰め込まれるってことです。
このことについて、考えて行きます。
これ、何を示してるかって言うと、右脳は世界をつくり出してるってことです。
ここで、人が、どのように世界を認識するかについて説明します。
人は、目で見た世界を、頭の中で仮想世界として構築します。
意識は、この仮想世界を介して現実世界を認識します。
これを、意識の仮想世界仮説といいます。
つまり、人は、直接現実世界を見てるんじゃないんです。
そうじゃなくて、頭の中でつくり出した仮想世界をみてるんです。
頭の中の仮想世界を、現実と思って見てるんです。
半側空間無視の人は、目が損傷してるわけじゃありません。
だから、左の視界の情報も入って来てるわけです。
ただ、それをもとに世界を組み立てるときに上手く組み立てられないんです。
何でかって言うと、右脳が損傷してるからです。
つまり、世界を組み立ててるのは右脳ってことです。
皆さん、今、こうやって世界全体を感じてますよね。
これをつくり出してるのが右脳です。
右脳が損傷すると、左からの視界の情報をうまく処理できなくて、世界をつくるとき、右半分だけになるんです。
だから、花の絵も、右半分だけの世界につくり出されるんです。
そして、それを認識するのが意識です。
だから、その意識が見が花を描くから、右半分しかないんです。
ここで注意してほしいのは、意識にとっては、右脳がつくり出す仮想世界が世界の全てなんです。
だから、半分だけの世界をつくり出したとしても、その人の意識にとっては、それが世界全体なんです。
時計の場合も同じです。
8とか9とか10って数字は見えたんです。
そして、それを世界全体に満遍なく配置するんです。
ただ、その世界が、右側しかないんです。
そこに数字を詰め込むから、数字が右だけに配置されるんです。
でも、本人にとったら、世界全体に満遍なく配置されてると感じるんです。
さっき、数字を満遍なく配置するって言いましたよね。
そんな風に、対象の関係性を考えるのは左脳です。
それに対して、全体を認識するのが右脳と言えます。
このことを、検証した実験があります。
同じ絵を、左脳が損傷した人、右脳が損傷した人に描いてもらいました。
これが、その絵です。
左が元の絵です。
左脳が損傷して、右脳で描いたのが真ん中の絵です。
全体の輪郭だけとなってますよね。
つまり、右脳は全体を把握するわけです。
右脳が損傷して左脳で描いたのが右の絵です。
さっきとは逆で、全体は抜けてますけど、中の細かい部分だけ描いてますよね。
つまり、左脳が認識するのは一つ一つの細かい部品の関係性なんです。
ねぇ、面白いでしょ。
僕らは、何気なく世界を見てると思ってます。
でも、ただ漫然と世界を見てるわけじゃないんですよ。
そうじゃなくて、じつは、全体と部分とを分けて管理してるんです。
全体を受け持つのが右脳で、部分を受け持つのが左脳なんです。
これが、世界を見るってことなんですよ。
だから、右脳が損傷すると、全体のバランスが崩れるんです。
でも、数字の並びとかは、部分は保たれるんです。
世界全体をつくってるのが右脳です。
右脳が損傷して、右脳が作る世界がゆがむと、描く絵もゆがむわけです。
これは、絵を描くときに困るだけじゃなくて、実際の生活のあらゆる場面に影響してきます。
意識が認識する世界と、現実の世界が違うと、そりゃ、いろんな問題が起ります。
その一つが、最初に紹介した、自分の左側にあるおかずを食べ残すということです。
意識にとっては、左側には世界が存在しないので、気付きようがないんです。
ご飯を食べるときだけじゃありません。
ある人は、子供のお弁当を、右半分だけ詰めて、左半分に入れるのを忘れたそうです。
また、ある人は、顔の右半分だけきれいにお化粧して、左半分を化粧するのを忘れてたそうです。
左側の世界が存在しないってこういう事なんです。
勘違いして欲しくないのは、左半分が見えないってことじゃないんですよ。
見えないと存在しないは別です。
見えないってのは、存在することは分かってるけど、ただ、見えないだけです。
半側空間無視は、左側にも世界があるなんて、思いもしてないわけです。
だから、気付きようがないんです。
ただ、左側の世界に気付く方法はあります。
それは、体の向きを左に向けることです。
そしたら、今まで左の視界にあったものが右の視界に入ってきます。
そしたら、そこにある物に気付けるんです。
さて、右脳の役割は、仮想世界をつくることです。
つまり、今、見て、感じてる三次元空間そのものをつくり出してるのが右脳です。
でも、右脳が損傷しても、見えてる光景は同じですよね。
違うのは、見えてる光景からつくり出す三次元空間です。
どういうことか分かりますか?
このことを、右脳が損傷した山田規畝子さんの漫画から見てみましょう。
僕らは、街の歩道を普通に歩けますよね。
こんな風な白黒模様の歩道があったとします。
これが、山田さんにとったら、黒いところが、黒色なのか、穴なのか分からなくなうそうなんです。
だから、黒いとこを踏んだら、落ちてしまうんじゃないかと思ってしまうんです。
何でこんな風になるのかわかりますか?
これは、意識が見てるのが仮想世界だからです。
仮想世界をつくってるのが右脳でしたよね。
右脳が損傷すると、三次元の仮想世界を正確に作ることができなくなるんです。
目から入って来た黒い色を、穴だと判断して仮想世界をつくってしまったんです。
これが見るってことです。
見るって言うのは、世界つくり出してるってことなんですよ。
じつは、これに近い経験、僕もあります。
以前、話したことがありますけど、部屋でソファに座ってテレビを見てたときです。
テレビの下に、見ったこともない木の板が置いてあったんですよ。
そんなとこに、木の板を置いた覚えないので、本当は、木の板じゃないことは分かりました。
たぶん、頭を数センチ動かして、ちょっとでも見る角度を変えたら、それが何かわかるのも分ってます。
それを分かりながら、その感覚をもっと味わおうと思ってじっと見てたんですよ。
見えてるものは変わらないですよ。
そしたら、それが平たい木の板でもないように思えてきて、2次元とも3次元とも違う、変な感じがしてきたんですよ。
その空間だけ、なんか次元が違うというか、おかしな感覚になってきたんですよ。
そこまでで、ちょっとだけ頭を動かしてみたんです。
そしたら、一瞬でした。
あっという間に変わりました。
それは、筒形のゴミ箱でした。
表面がツルツルの銅でできてて、周りの黒い家具が反射して、木目みたいに見えてただけです。
一瞬で違和感が消えました。
たぶん、右脳は、無意識で、目からの情報を立体に組み上げる作業をしてるんです。
それが、一つの三次元形状に特定できない場合、作り出す仮想世界がおかしくなってしまうんでしょう。
山田さんの場合、右脳が損傷して、地面にある黒い色は穴として世界をつくり出してしまったんです。
三次元形状への変換が上手くできなくなってるようです。
それから、階段なんかは、頭の中に段差を上手く作り上げれないようで、あると思った地面が無くなってたり感じるそうです。
だから、階段では手すりにしがみつきながら降りるしかなかったそうです。
それでも、リハビリすることで、だんだん、感覚が戻って来たそうです。
ついには、自動車の運転もできるようになったそうです。
それでも、最初は、車線がよく分からなかったそうです。
たとえば、センターラインって、こんな風に破線になってる場合がありますよね。
これが、山田さんには、こんな風に感じるそうなんです。
一つの線を延長して、次の線につながるってイメージにならないそうなんです。
だから、破線のセンターラインがバラバラに感じるんですよ。
つながって一つの線を構成してるように感じないそうなんです。
僕らは、直線があると、自然と、その延長をイメージしてますけど、じつは、それすら、右脳がつくり出してたんですよ。
線の延長ってイメージが持てないから、山田さんあ、アナログ時計が読めなかったそうです。
短針と数字が離れてるから、短針がどの数字を指してるのかが分からなかったそうなんです。
分かって来たでしょうか?
世界は、頭の外にあるんじゃないんです。
世界は頭の中にあるんです。
僕らが見てるのは、頭の中につくり上げた仮想世界なんです。
頭の中の仮想世界と、頭の外の現実世界が一致してるので、その事に気付かないだけです。
仮想世界をつくり出すシステムが壊れた時、はじめて、その事に気付くんです。
仮想世界をつくり出してるシステム、それが右脳なんです。
意識は、右脳がつくり出した仮想世界をみてるんです。
このことを、意識の仮想世界仮説といいます。
詳しくは、この本にかいてますので、良かったら読んでください。
次回は、空間以外の右脳がつくり出す世界を見て行こうと思います。
それが何かというと、それは、自分が信じてる信念です。
詳しくは、次回、お話します。
はい、今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!