第296回 右脳にアクセスせよ!


ロボマインド・プロジェクト、第296弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

今回紹介するのは本『WHOLE BRAIN 心が軽くなる「脳」の動かし方』です。
作者は、ジル・ボルト・テイラー。
そう、「120%脳を解放した女」シリーズで、何度も取り上げた女性です。
ジルの新刊が出たと教えてもらって、さっそく、読んでみました。

まずは、簡単に、ジル・ボルト・テイラーについて紹介しておきます。
ジルは37歳のときに左脳が脳卒中になりました。
そこで、右脳だけで見る世界を体験しました。
まず、体の境目が分からなくなりました。
シャワー室で、壁に手を付いたとき、どこまでが自分で、どこからが壁なのか分からなくなりました。
その後、自分が膨張するのを感じました。
自分が体から抜け出して、どんどん大きくなって、最後には宇宙と一体となりました。
その時、ものすごい幸福感を感じたそうです。

ジルは脳科学者でです。
ジルが学生時代、脳科学の分野で有名な手術が行なわれました。
それは、重症のてんかん患者の右脳と左脳を切断する分離脳手術です。
この話は、第245回「左脳と右脳の真実」でも語りました。
たとえば、分離脳患者に、「将来、何になりたいか?」って左脳に聞くと「製図家」って答えます。
次に、右脳に聞くと「カーレーサー」って答えたそうです。
同じ一人の人間の中に、真面目な左脳と、自由奔放な右脳の二人の人格がいることが分かったんです。
そんな話を聞いて、ジルは、右脳と左脳の魅力にすっかり憑りつかれたそうです。
そんな脳科学者が、左脳が停止する経験をしたんです。
だから、ジルは、自分が経験したことを、科学の視点から、厳密に記録したんです。
その時、自分でも興奮したそうです。
脳を内側から観察することができるぞって。
今回の本、ここが一番面白いんです。

左脳と右脳の処理の内容を、内側から正確に記録してるんです。
特に、右脳はいったい何をしてるのか。
これを厳密に答えれる人って、ジル以外にいないと思います。

そこから生きるのに、何が重要かが見えてきました。
人は何のために生きてるのか。
幸せとは何か。
その答えは、全部、右脳にありました。
これが今回のテーマです。
右脳にアクセスせよ!
それでは、始めましょう!

ジルは脳を大きく四つのパートに分けました。

まず、中心部にある大脳辺縁系と、その外側を覆う大脳皮質に分けます。
そして、それぞれ、左半球の左脳と、右半球の右脳に分けます。

大脳辺縁系は、動物でも持ってる部分で、感情を発生します。
大脳皮質は、人が一番発達してる部分で、思考を司ります。
ジルは、これら4つをにそれぞれのキャラクターがあるとして、キャラ1~キャラ4として説明しています。

まずは、左脳と右脳の大雑把な違いを把握しておきます。
これは、左脳と右脳に障害がある人に、左の元の絵を模写してもらった絵です。

真ん中は、左脳が損傷して右脳で描いた絵です。
全体の輪郭は描けてますけど、中の細かい部分は描けてませんよね。
右は、右脳が損傷して左脳で描いた絵です。
中身の細かいところは描けてますけど、輪郭が全然描けてませんよね。
このことから、右脳は全体を見て、左脳は細かい所を見てるって分かりますよね。
鳥になって上空から全体を見渡すのが右脳で、虫になって、細部を見るのが左脳です。

これ、もっと言えば、右脳は視点を拡大する方向、全体をつなげるように広げるイメージです。
左脳は、視点を狭めて、細かく分けて、細分化する方向に向かうイメージです。
まず、この違いを覚えておいてください。

それでは、最初のキャラ1、左脳の思考から分析していきます。
左脳は、細かく分けて細分化します。
分けるって言うのは、違いを見つけるってことです。
違いを見つけて、それに名前を付けます。
これが言葉です。
左脳を損傷したジルは、言葉を話せなくなりました。
名刺を見ても、どこが文字かすら、分からなくなりました。
文字が模様に見えて、背景に溶け込んでしまうんです。
これが右脳で見るってことです。

さて、あなたが世界を細分化して分けるとすると、中心はどこにしますか?
たぶん、自分ですよね。
自分を中心に世界を分けていくわけです。
つまり、一番最初に決めないといけないのは、自分です。
自分と世界の境目です。
だから、左脳が停止したジルは、自分と壁の境目が分からなくなったんです。
左脳が最初にするのは、自分の体がどこからどこまでかって決めることです。
自分を世界から切り出すことです。

自分を世界から切り出せば、次は、他人です。
自分と他人を取り出します。
二つの物を取り出せば、比較することができます。
あらゆる物を比較して、順番に並べること。
これこそが、左脳が最も得意な処理です。
自分は誰々より優れてるとか、劣ってるとか。
社会で生きていくには、どうしても、そう言うことが気になりますよね。

次は、時間です。
過去とか未来ってありますよね。
これは、時間を分けることで生まれました。
時間って感覚も、左脳が生み出したものです。
左脳は、予定をたてたり、予定通りに物事を進めるのが得意です。
これができないと、社会生活は送れないですよね。
時間通りに出社したり、約束の時間に待ち合わせ場所に行くとか。
これができるのはキャラ1、左脳の思考ができるからです。

それじゃぁ、次は、キャラ2、左脳の感情の部分を見て行きましょう。
まずは、他人との比較から生まれる感情です。
自分が劣ってるとか、自分の方が優れてるとか。
恥ずかしいと思ったり、他人を見下したり。
社会で生きていると、必ず感じる感情ですよね。
こんなことばっかり感じてると、気が滅入りますよね。
生きていくのが、嫌になります。
でも、社会で生きていくのに、そんな感情を一切感じないなんて、考えられないですよね。

ジルは、左脳が停止して、このキャラ2が完全に停止しました。
そうしたら、どうなったと思います?
とてつもない安堵を覚えたって言ってます。
ちゃんと喋れないし、計算もできないわけです。
完全に、人として劣っています。
でも、その時感じてたのは、まだ、生きてるって感謝の気持ちだけだったそうです。

ジルは、ハーバード大学の出世競争から完全に脱落しました。
それなのに、恥ずかしいなんて全く感じなかったそうです。
自己嫌悪や罪悪感、孤独感といった概念が理解できなかったそうです。
これら、全て、左脳の感情がつくり出してた感情です。
左脳が停止すると、そう言った感情を理解することすらできなくなるんです。

たとえば孤独です。
孤独って、自分が一人だって思うから感じるものですよね。
自分が一人って思うのは、自分とか、他人って、分けて考えるからです。
分けることさえしなければ、孤独なんて感じないわけです。

それから、左脳は時間を感じます。
過去を悔んだり、将来を憂いたりといった感情も左脳が生み出す感情です。
ジルは、過去の出来事を思い出すことはできるようになりました。
でも、そこに感情が乗ってこないこないと言います。
たとえば、ジルの人生で最も嬉しかったのは、博士号取得して卒業した日だそうです。
とても誇らしかったのを覚えているそうです。
でも、そのことを思い出しても、その時の感情は蘇ってこないそうです。

過去のことをいつまでも悔やんだり、過去の栄光を思い出したり、これらは全て左脳がつくり出してる感情です。
これ、別の言い方をすれば自我です。
他人とは違う自分がいるわけです。
それは、他人と区別できるから認識できるんです。
そして、その自分は、過去、現在、未来と永遠に続いているわけです。
それが自我です。
自我は、左脳が生み出したわけです。

時間を持たないといって、思い出す民族がいますよね。
このチャンネルでも何度も紹介したピダハン族です。
おそらく、彼らの生き方は、左脳をなるべく使わない生き方なんでしょう。
過去を悔んだり、将来を憂いたりすることがありません。
だから、道具とか、大切にしないんですよ。
狩猟道具とか、使い終わったら、バーンって、その辺にほったらかしにするんですよ。
道具が壊れると、困るってこと、あんまり考えないんですよ。
数字も3までしか数えれません。
でも、世界で一番幸せな民族と言われています。
何があっても笑っています。
嵐が家で吹き飛ばされても笑ってるそうです。
これ、ジルに通じるとこがありますよね。
どうも、左脳が働かなくなると、幸せになれそうです。

それじゃぁ、次は、右脳について考えてみましょう。
左脳については、僕も、よく分かるんですよ。
たぶん、普段、僕は左脳しか使ってないと思います。
だから、右脳が何をしてるのか、これがよく分からないんですよ。
それが、この本を読んで、具体的にイメージできるようになってきました。

まずは、キャラ3の右脳の感情です。
右脳は時間を感じません。
右脳にあるのは、ただ、今、現在だけです。
まず、その感覚がわからないんですよ。

その事を、ジルは、こう説明します。
旅行とかに行くでしょ。
朝、ホテルで目が覚めた時、いつもと違うベットで目覚めて、あれ、ここどこやった?ってなることありますよね。
この感覚が、今、現在だけって感覚です。
過去からも、未来からも切り離された、今、現在です。
まっさらな心で、今、現在に集中して世界を向き合う感覚です。

洋服とか買うとき、これはどこどこのブランドねって確認したりすることあるでしょ。
これをやってるのが左脳です。
右脳は、見た感覚とか、手触りとか、今、その瞬間に感じることだけに集中します。

それから、右脳には自我がありません。
自分と他人を区別しません。
この、自分と他人を区別しないって感覚もよくわからないですよね。
それについては、ジルは、スポーツ観戦で説明します。
たとえば、会場が一体となって応援してるときです。
応援してるチームが勝ったら、思わず歓声を上げて、隣の人とハイタッチしたりとか。
我を忘れて応援してるわけです。
自我がなくなって、みんな一緒って感覚です。
相手との違いを見つけて自我を確立するのが左脳です。
右脳は、相手との共通点を見つけて、みんなが一体となろうとします。

それから直感を司るのも右脳です。
女性は直感が鋭いって言いますよね。
嘘をついてるのをすぐに見抜くとか。
これ、どこを見てるかと言うと、相手の表情やボディランゲージです。
言語で現れないところです。
言語は左脳です。
右脳は、表現全体を見てるんです。
細部でなくて、全体を観察してるんです。

それでは、最後のキャラ4です。
右脳の思考です。
これが、一番分からないんですよ。
左脳が脳卒中になったジルが最後に到達した世界です。
自分がどんどん大きくなって、宇宙と一体となったって言います。
これ、どういう感覚なんでしょう。

ジルは、これは、星にお願いするときに感じるものだっていいます。
たぶん、神社にお参りしてお願いごとするとか、教会で祈るとか、そういったときに感じるものなんでしょう。

お願いしたり、祈ったりするとき感じるのは、内なる宇宙です。
ジルは、体が膨張して宇宙と一体となったっていいます。
その時感じた宇宙っていうのは、外にある宇宙じゃないんです。
だって、空間とか、体とかって、左脳が感じるものじゃないですか。
右脳は、そっちに向かわないんですよ。
右脳が向かうのは、内面です。
内面に広がる宇宙です。
時間も存在しない、広大な宇宙が、心の内面に広がってるんです。
その事に気付いたんでしょう。

よく、偉いお坊さんが、深い瞑想状態に入った時、同じような感覚になるって話を聞きますよね。
それが悟りの境地だって。
瞑想状態のお坊さんの脳波を測定した研究がありました。
その時活性化する脳の部位が見つかれば、その部位を活性化すれば、僕ら凡人でも、悟りの境地に達せるかもしれません。

ところが、実際に測定してみると、瞑想で活性化する部位なんか見つからなかったそうです。
じゃぁ、瞑想状態にあるとき、何が起こってたんでしょう。
それは、どこかが活性化するんじゃなくて、左脳の動きが低下してたんです。
相対的に右脳が活性化したわけです。

これ、何を意味するか分かりますか?
これ、僕らは、今、この瞬間も、じつは、宇宙とつながってるってことなんですよ。
それを、押さえつけてるのが左脳なんです。
たぶん、生まれたばかりの赤ちゃんは、みんな、宇宙とつながって、宇宙と一体となってたんです。

それが成長するにつれて、左脳が学習して、右脳を押さえつけていったんです。
今回、キャラ1,2,3,4って順に紹介しましたけど、じつは、順番は逆なんです。
キャラ4,3,2,1の順で、学習していくんです。
生まれたばかりのまっさらな心は、内面の宇宙と一体となっていて、まだ、外の世界とつながっていません。
これがキャラ4です。

それが、外の世界を認識しました。
外の、今、現在だけの世界です。
それがキャラ23です。
今の瞬間だけ感じて、喜んだり、悲しんだり。
泣いてても、次の瞬間には笑っています。

それが、だんだん、時間というものを獲得して、自我というものが生まれます。
それがキャラ32です。

そして、他人と自分を比較することを覚えます。
そうやって息苦しさを感じるわけです。
これがキャラ41です。

でも、キャラ41を獲得したからといって、キャラ14は無くなったわけじゃありません。
いつでも、ずっと、僕らは宇宙とずっとつながってるんです。
脳卒中になって、左脳が停止したとたん、ジルは宇宙と一体になりましたよね。
今、こうしてる間も、キャラ14は、宇宙とつながってるんです。
左脳がそれを押し殺してるだけです。

僕らは、左脳を停止することはできません。
でも、気付くことはできます。
まずは、そこから始めたらいいんです。
自分は孤独だとか、みんなみたいに上手くできないとか、そんなこと感じる必要はないんです。
じつは、今、この瞬間も、誰もが、宇宙と一体となってるんです。
それだけを、忘れないでいたら、この世界も、まだまだ、生きるに値するんじゃないかって思えます。

はい、今回の動画が面白かったら、チャンネル登録、それから高評価もお願いしますね。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!