第305回 『ドラえもんの心のつくり方』第二巻 これがロボマインドだ!


ロボマインド・プロジェクト、第305弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

ようやく出ました。
これです。
『ドラえもんの心のつくり方』第二巻です。

『ドラえもんの心のつくり方』は、YouTubeの内容を基に書籍化したものです。
ぼくのYouTubeは、中学生でもわかるように、ものすごく分かりやすく説明してます。
って思ってたのは、どうも、僕だけだったようです。
YouTubeを見てくれてる方に会うと、みなさん、難しいって言うんですよ。
本で読み直したいって声もいっぱいいただいてて、それで書籍化しました。

第二巻の内容は、僕のYouTubeでもまだまだ初期の頃で、一番言いたいことがいっぱい詰まってます。
だから、結構、内容が濃かったり、熱量が高すぎて、飛躍しすぎてるところもあって、それで、手を加えてたら、思ったより時間がかかってしまいました。

どんだけ濃い内容かは、表紙を見てもらったら分かります。
まず、サブタイトルは「自由意志を持ったコンピュータ」です。
出ましたね。
みんな大好きな「自由意志」です。
帯も読みますよ。

クオリアをコンピュータで再現
自由意志を否定したリベットの実験
言語、時間、フレーム問題
AIの難問を鮮やかに解決

どうです?
濃いでしょう。
ロボマインドのやってることって、一応、AIなんですけど、AIの垣根を遥かにこえてしまってます。
そのまま読んでもらっても十分に面白いんですけど、今回は、その、読みどころを存分に紹介しようと思います。
これが今回のテーマです。
『ドラえもんの心のつくり方』第二巻
これがロボマインドだ!
それでは、始めましょう!

意識って、何やろうってずっと不思議でした。
人類が何百年も考え続けてて、誰も解明できてない難問です。
でも、僕は何を間違えたか、「よぉ考えたら、これ、分かるんちゃうかな」ってしまったんですよ。
もちろん、何の根拠もなく思ってたわけじゃないですよ。
みんな、探し方を間違ってるんですよ。

どういうことかっていうと、研究の仕方にはトップダウンとボトムアップって、二つのアプローチがあるんですよ。
トップダウンアプローチっていうのは、トップの機能面から考える方法です。
この機能を実現するには、どんな理論があり得るだろうってトップから考えるわけです。
たとえば、人間の心を解明しようとした場合、心には言葉を話すって機能があるよなぁ。
愛もあるよなぁ。
じゃぁ、言葉ってどうやって話すんやろ、「愛」はどうやって生まれるんやろって考えるわけです。
そして、それを実現する心のモデルを考えるのがトップダウンアプローチです。

それに対して、ボトムアップアプローチは、一番下から考えます。
一番下って言うのは、絶対確実な客観的事実です。
客観的事実を積み上げて理論を組み立てるわけです。
たとえば、脳なら、まず最初に脳細胞の仕組みを解明するわけです。
そして、それを積み上げて脳全体を組み立てれば、いずれ心が生まれるだろうって考えるわけです。

たぶん、トップダウンアプローチの方が直観的で分かりやすいと思うんですよ。
心には言葉が必要だよなぁとか、愛が必要だよなぁって、分かりやすいじゃないですか。
でも、これって危険なんです。
どういうことかと言うと、たとえば、人類は、どうやって生まれたのかって考えるとするでしょ。
そうしたら、つい、神が創り出したとかって、言ってしまうんですよ。
客観的な事実に基づかないんで、都合のいいように組み立てることができるんです。
それに対してボトムアップアプローチだと、化石を年代順に並べるとか、客観的な事実を基にして組み立てるんで、宗教とか政治に左右されないんです。
これが科学的手法です。
これをやってきたから、科学が発展したんです。

当然、今のAI、脳科学もボトムアップアプローチが基本です。
つまり、脳細胞を基にしたニューラルネットワークです。
ニューラルネットワークを学習させたら、いつか、心が生まれるって思ってます。
ただ、世界中の研究者が、ボトムアップアプローチで何十年と研究してますけど、心は、まだ生まれてません。
その気配もないです。
ある日突然、言語を獲得して、愛を語り出すってことはなさそうです。
多くの研究者は、その事にうすうす気付いていますけど、ボトムアップアプローチからトップダウンアプローチに切り替えることができないんです。
なぜなら、さっきも言いましたけど、トップダウンアプローチって、科学的手法じゃないからです。
科学の世界に属する限り、トップダウンアプローチは取れないんです。
いや、アカンってことはないんですけど、ただ、やっても、論文も通らないし、研究費を獲得することもできません。
つまり、構造的にトップダウンアプローチで研究できないようになっているんです。

そこで、誰もやらないから、僕がトップダウンアプローチで研究しようとしたわけです。
いや、これも、正確じゃないですね。
僕は、昔から心の仕組みが知りたくて、脳や認知科学の本をよく読んでました。
でも、どれもちょっと違うなぁって思ってたんですよ。
僕は、心が動くメカニズムを知りたかったんですけど、そんなことを書いてる本がなかったんですよ。
そんな研究をしてる大学も探してみたんですけど、どこにもないんですよね。
研究者に聞いてみると、どうも構造的にそういうアプローチでは研究しにくいってことが分かってきたんですよ。
それで、結果として、どこにも属さずに、一人で研究することになったわけです。

知りたいのは、基本となる心のモデルです。
善悪とか愛とか、複雑な感情を生み出せる心です。
今まで、誰も作ろうと思わなかったものです。

いや、正確には、哲学とか心理学では、似たようなことはやってます。
ただ、目的が違うんですよ。
僕がやろうとしてるのは、心をコンピュータで再現することです。
でも、ユングの集合的無意識とか、コンピュータじゃ絶対に作れないですよね。
コンピュータに実装できること。
これが最低条件です。

そういう具体的な心のモデルをずっと考えてたわけです。
改良しながら、ちょっとずつ、出来上がってきました。
何年か前から、自分の考えをまとめるために、ブログを書き始めたんですよ。
その時、なんかかっこいい名前を付けなあかんなぁと思って、何となくつけたのが「意識の仮想世界仮説」です。
その時は、特に意識してなかったですけど、後から考えたら、前野隆司先生の「受動意識仮説」に思いっきり引っ張られてましたねぇ。
「意識の仮想世界仮説」の中身については、『ドラえもんの心のつくり方』の第一巻に詳しく書いてますので、良かったら読んでください。

さて、問題は、こっからです。
意識の仮想世界が正しいかどうかです。
トップダウンアプローチって、確実な事実を積み上げて理論を作るわけじゃないので、正しいって証明のしようがないんです。
その意味では、科学的じゃないんですよね。
ただ、だからと言って間違ってるって断言はできません。

ただ、もし、今まで説明できなかった問題を、この理論で説明できたら、理論の正統性は言えますよね。
それをやろうとしてるのが、第二巻なんです。

ここで整理しときます。
科学的手法って、客観的な事実を積み上げて理論を組み立てるんでしたよね。
逆に言えば、主観は排除されるんですよ。
でも、今、対象としてるのは心ですよね。
心って、主観です。
つまり、理屈上、科学じゃ主観や心は扱えないんです。
主観に関わることって、科学じゃ、上手く説明できないんですよ。

第二巻は、そういったものを「意識の仮想世界仮説」で説明してるんです。
たとえば、言語です。
言葉を話すのは、心ですよね。
心が関わることなので、科学じゃ上手く対処できないんです。
だから、未だに、まともに会話ができるAIができないんです。
そこで、言葉の仕組みを分かりやすく解説しました。
たとえば、犬も「お手」とか「待て」とかって、簡単な言葉は理解できます。
でも、人間みたいな複雑な言葉は理解できません。
それはなぜなのか。
こういった具体例をあげながら、言語の仕組みについて、意識の仮想世界仮説を使って、分かりやすく解説しました。

AIで解決できないものに、シンボルグラウンディング問題というのがあります。
これは、言葉の意味は、AIには理解できないって話です。
AIは、僕らと同じ現実世界を生きてるわけじゃないので、根本的な意味を理解できないんですよ。
不可能といわれてる言葉の意味理解も、意識の仮想世界仮説を使えば解決できるんです。

それからクオリアです。
クオリアって、主観的経験のことです。
クオリアの説明といえば、赤の赤らしさとかってよく言いますけど、これじゃぁ、よく分からないですよね。
クオリアって、いくら説明されても、よく分からないんですよ。
なぜ分からないかって言うと、現実にある世界と、主観的で経験する世界を、僕らは区別してないからです。

今、こうやって世界を見てますよね。
これが主観が見る世界です。
これが、現実とは違うって言ってるんですよ。
この話は、第一巻に詳しく書きました。

第二巻では、主観が見て、経験してるものと、現実世界にある物の違いを、僕の経験を挙げながら、具体的に丁寧に解説してます。
僕の経験っていうのは、夢から覚めて、起きてるのか寝てるのかわからない状態でみた世界の話とかです。
それから、子供の頃、初めて万華鏡を見た時、最初、何も見えなかったのが、半年後に見たら、はっきりと見えるようになった話とかです。
成長することで、クオリアを獲得したってことです。
僕の話以外に、脳障害の話とか、実例を挙げてたっぷり解説してます。

これを読んだら、一度、顔を上げて、今見てる部屋を、じっくり見てください。
そしたら、僕の言ってる意味が分かると思いますよ。
今見てる世界。
これは、全て自分が創り出した世界なんです。
それが理解できたら、ようやくクオリアとは何かがわかると思います。
クオリアっていうのは、僕らが見てる世界のことです。
それは、現実世界とは違うんです。

それから、第二巻の一番の読みどころは、何と言っても自由意志です。
科学では、人間には自由意志がないって言われています。
「そんなことないやろ」って思うかもしれないですけど、これは、実験によって確かめられているんです。
それがリベットの実験です。

簡単に説明すると、被験者に、好きなタイミングで指を動かしてもらいます。
そして、指を動かそうと思ったタイミングと、脳波を厳密に測定するんです。
そしたら、指を動かそうって思った瞬間の、0.35秒前に、何らかの脳波が出てることが分かったんです。
指を動かそうって思ったのは意識ですよね。
「意識が思う0.35秒も前に脳波が出てるって、どういうこと?」ってなりますよね。

素直に解釈すれば、何らかの脳波が出て、それを受けて、意識は「指を動かそ!」って思ったわけです。
もっと言えば、最初に、「指を動かそうって思え」って脳波が出たわけです。
そして、それを受けて、意識は「指を動かそう」って思ったわけです。
ねぇ、自由意志なんか、ないでしょう。
これが、リベットの実験です。
この実験、いろんな人に追試されて、どこにも問題は見つかっていません。

でも、ぼくは、ずっと、違和感を感じてたんですよ。
科学は、主観を排除して客観的なデータだけで判断しますよね。
でも、この実験、気付かないうちに主観を取り込んでしまってるんですよ。
そこに違和感を感じてたんですよ。

さっきも言いましたけど、客観的な現実世界と、主観で感じる世界は違うんです。
これらは、厳密に区別しないといけません。
どうも、科学は主観の扱いに慣れてないんで、それが出来てないみたいなんです。

そこで、リベットの実験を、現実世界で起ってることと、主観が感じることの二つに厳密に分けてみました。
そして、それらをトレースしてみたんですよ。
そしたら、きれいにリベットの実験が説明できたんです。
40年近く、誰も見破れなかったリベットの実験の謎が、意識の仮想世界仮説できれいに解明できたんです。
ここは、ちょっと複雑なので、図をつかって丁寧に解説しています。
ぜひ、読んで確かめてみてください。

それから、今回、書下ろしで、短い小説を書いてみました。
それが、まえがきです。
子どもの頃、よく読んでた、星新一のショートショート風の小説です。
第一巻を読んだ人なら、楽しめると思います。
まえがきは、アマゾンサイトで誰でも読めるので、よかったら読んでみてください。

今回は、キンドルの電子書籍と、紙の本を、両方同時発売しました。
本のリンクは、今、画面に出てると思います。
概要欄にもリンクを張っておきますので、ぜひ、読んでください。
それから、読んだあとは、アマゾンレビューもお願いしますね。

それと、チャンネル登録、高評価もお願いします。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!