ロボマインド・プロジェクト、第311弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
ビッグニュースです。
脳科学者の茂木健一論さん、知ってますよね。
なんと、わが、ロボマインド社に、
茂木さん、そっくりの掃除のおばちゃんが来てくれることになりました。
まぁ、その話しはいいとして、前回の続きです。
意識の新たな思考実験です。
人の意識は、飛行機の計器飛行と同じだって話です。
計器飛行っていうのは、天気が悪くて視界ゼロのとき、コックピットの計器だけを見て飛行する操縦方法です。
窓ガラスから見えてる光景を現実世界とします。
高度とか速度とかの計器は、現実世界のデータです。
そして、それを見て操縦するパイロットが意識です。
つまり、計器飛行するパイロットは、現実世界を直接見ずに、変換されたデータだけを見て操縦してるわけです。
もう少し説明しますよ。
飛行機っていうのは、自分の体です。
飛んでる空は、人間社会です。
パイロットは、社会という空を、できるだけ高く飛ぶように操縦します。
人間社会で高く飛ぶっていうのは、運動会で勝つとか、いい学校に行くとかってことです。
うまく飛べないと、バカにされたり、笑われたりします。
すると、どんどん失速して高度が下がって、最後には墜落します。
パイロットは、墜落しないように操縦するわけです。
つまり、言い返したり、時にはとびかかって喧嘩したり。
これ、何をしようとしてるかわかりますか?
これ、自分を守ろうとしてるんです。
社会の中で、自分を維持しようとしてるんです。
じゃぁ、コックピットの計器は、何を表示してるかわかりますか?
それは、自分の感情や、他人の評価です。
そんなのを見ながら、操縦するわけです。
この時、パイロットが考えてること、これこそが、僕らが普段考えてることです。
つまり、人間の意識です。
これを、そのままプログラムにすれば、自我のプログラムができますよね。
これが、今回のテーマです。
自我のプログラムの作り方
それじゃぁ、始めましょう!
この思考実験は、意識の仮想世界仮説をブラッシュアップするものです。
意識の仮想世界仮説っていうのは、僕が提唱してる心のモデルです。
人は、目で見た世界を頭の中で仮想世界として構築します。
意識は、その仮想世界を介して現実世界を認識します。
これが、意識の仮想世界仮説です。
この仮想世界を、いつも、3DCGで説明していました。
それはそれで間違いないんですけど、それだと、目に見える世界の説明にしか使えないんですよ。
哺乳類の意識の説明にはそれで充分です。
たとえば、「マテ」とか「オテ」とかって覚える犬の意識の説明には使えます。
でも、人の心は、犬より複雑ですよね。
YouTubeに、キャッチを失敗する有名な犬の動画があります。
犬って運動神経が高いから、空中でキャッチすると持ったら、見事に外します。
つい笑ってしまいます。
でも、犬は失敗したからといって恥ずかしそうにはしないんですよ。
自分の失敗で、笑われてるなんて思ってもいないです。
笑い者にするとか、バカにするとかって、これって、いかにも人間らしい心ですよね。
こういうの、3DCGだけじゃ、うまく再現できないんです。
なぜかというと、この時、心が感じてるのは三次元世界じゃなくて、人間社会です。
三次元世界を構成するものは、位置とか重力とかです。
そういうのは、3DCGの物理シミュレーターで再現できます。
でも、物理シミュレータじゃ、人間の心は再現できません。
人間の心を表現するには、人間の心のシミュレーターを作らないといけないんですよ。
それが、今回の思考実験、飛行機の計器飛行です。
それじゃぁ、詳しく見ていきますよ。
まず、人間社会がありますよね。
その中に、自分という人間がいるわけです。
人は、心と体を持ってます。
今回、中心となるのは心とか意識です。
意識はいろんなことを感じます。
まずは、視覚とか聴覚といった五感を使って、外の物理世界の情報を取得します。
さらに、痛みや温度、空腹感とかって体の状態も感じますよね。
それから感情です。
感情には、嬉しいとか楽しいってプラス感情と、悲しいとか辛いってマイナス感情があります。
こんな様々なデータがコックピットのメーターに表示されるわけです。
パイロットは、それを見ながら、プラス感情になるように体を操縦するわけです。
こっからは、具体例を挙げて考えていきます。
いかにも人間らしい心として、イソップ童話の「酸っぱいブドウ」を取り上げます。
おなかをすかせた狐がいました。
そこに、たわわに実ったおいしそうなブドウを見つけました。
狐は、食べようとして、一生懸命ジャンプしますけど、ブドウに届きません。
何度ジャンプしても届きません。
すると、最後にこう言いました。
「どうせこんなブドウ、酸っぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか」
こう、吐き捨てるように言って、狐は去っていきました。
これが「酸っぱいブドウ」です。
物語の意味は分かりますよね。
狐の行動は、一言でいえば負け惜しみです。
いかにも人間らしい感情です。
心理学だと、「合理化」と言われたりします。
合理化っていうのは、自分の満たされない欲求に対して、合理的な説明を与えることで自分を納得させることです。
狐の行動は、まさに、合理化といえますよね。
いずれにしても、意味は分かりますよね。
でも、それは、あなたが人間の心を持ってるからです。
心をもってないと、この物語の意味がわからないんですよ。
たとえば、AIは、この物語の意味を理解できません。
今のAIが何をやってるかっていうと、大量の文書を読み込んで、狐とブドウって単語が出てきたとき、「酸っぱい」って単語が出てくる確立は何%とかって計算してるだけです。
たとえ、「イソップの酸っぱいブドウ」って単語から、「負け惜しみ」って単語を出力したとしても、そんなの、「負け惜しみ」の意味を理解してると言えないですよね。
これが今のAIです。
それでは、「負け惜しみ」の意味を理解できるプログラムを考えていきます。
意識プログラムというのはパイロットです。
パイロットは、コックピットに表示される感情とか感覚のメーターを見ます。
メーターを表示してるのは無意識です。
メーターは何十、何百ってありますけど、無意識は並列処理で計算してて、同時に表示してます。
第309回で、人の意識はリアルタイムOSだって話をしました。
リアルタイムOSっていうのは、たとえば自動車だと、ブレーキ処理とか、ライト点灯処理とかって、優先順位の高い物から順に実行します。
順に実行するってことは、同時じゃないってことです。
これ、何を意味するかわかりますか?
これ、意識は同時に一つのことしか感じ取れないってことなんです。
このことは、僕は高校のときに検証実験しました。
授業中に、眠くなってきたんですよ。
昼前で、おなかも空いてきました。
この時、ふと、こう思ったんです。
空腹と眠気は同時に感じることができるのかって。
それで、その二つに意識を集中してみたんです。
そしたら、二つは、同時に感じれなかったんです。
意識が空腹を感じてるときは、眠たいとは感じなかったんです。
逆に、眠たいって感じてるときは、おなかが空いたって感じれなかったんです。
なるほど、意識は常に、何か一つのことしか感じ取れないんやなってわかりました。
つまり、意識プログラムであるパイロットは、常に、どれか一つのメーターしか見れないようです。
こうやって、計器飛行の思考実験で意識プログラムを解明していくわけです。
何がやりたいか、分かってきましたか?
それじゃ、次行きますよ。
無意識は、感情や感覚をメータに表示します。
そして、異常が見つかると、ランプを点灯させてパイロットに知らせます。
すると、パイロットは、それに注意を向けます。
今、空腹度メーターが下がってきて、空腹ランプが点灯しました。
これが、「おなかが空いたなぁ」って意識が感じることです。
異常ランプが点灯すると、その解決策を探します。
この場合だと、食べ物がないか探すプログラムを起動します。
プログラムというのは、処理を実行して結果を返します。
それから、注意してほしいのは、意識以外のプログラムは、全て無意識ってことです。
だから、食べ物探索プログラムも無意識のプログラムです。
プログラムというのは、処理が実行されると、その結果を返します。
処理結果を示すのがメーターです。
コックピットには、何十、何百ってメータがあります。
さっきも言いましたけど、意識は、そのうち、どれか一つにしか注意を向けれません。
意識に注意を向けさせるために、ランプを点灯させるわけです。
これ、人間の心だと、実際にどうなるのか、具体例を挙げて説明します。
心理学の実験で、こんなのがあります。
目をつぶって、「今、部屋に赤色が何個あるか思い出してください」って言います。
そういわれて思い出せるのは、せいぜい一個か二個です。
「それでは、目を開けていくつあるか数えてください」って言います。
すると、5個とか10個とか、意外といっぱい見つかります。
これは、赤を見つけるプログラムが動いたからです。
そのプログラムは、赤を見つけるたびにランプを点灯して意識に知らせるんです。
そしたら、意識は「あっ、ここにある。あっ、ここにもある」って気づくわけです。
これが、無意識と意識の関係です。
同じ見るでも、背後にどんな無意識のプログラムが動いてるかで、全然、違ってきますよね。
この感覚をわかってほしいんです。
この感覚を理解するには、3DCGの仮想世界をイメージしたんじゃ、わかりにくいんですよ。
計器飛行してるパイロットをイメージすると、その感覚がよくわかるんです。
さて、今、食べ物探索のプログラムが動きだしました。
このプログラムを起動したのも、おそらく無意識でしょう。
おなかが空いたら、無意識が自動で食べ物を探すわけです。
だから、おなかが空いてるとき、「あっ、あそこに吉野家がある」とかって思うわけです。
満腹だったら、吉野家の看板が目に入っても、なんとも感じないわけです。
さて、食べ物探索プログラムが食べ物を見つけると、「あれを見ろ」ってランプを点灯します。
すると、意識は、「えっ、何」と思って顔を上げます。
すいると「あっ、ブドウがある」って思うわけです。
ここ、もう少し丁寧に見ていきますよ。
意識は、普段、ぼぉーとしてるわけです。
それに対して、無意識が、次々に、ランプを点灯するんです。
それを感じとるのが意識です。
「おなかが空いたなぁ」とか、
「あそこにブドウがあるぞ」とか。
そこで、「あっ」と思うわけです。
この「あっ」が、意識の役割です。
今の場合だと、空腹とブドウが結びついた「あっ」です。
つまり、問題を感じてて、その解決策を見つけたときの「あっ」です。
「あっ、あれや! あのブドウを食べたらええんや!」となるんです。
あれ、でも、なんかおかしいですねぇ。
よく考えてください。
意識は、解決策を見つけたんですよね。
でも、本当でしょうか?
意識がやってることって、無意識が点灯したランプに応答しただけですよね。
これって、意識が思いついたようで、実際は、無意識が指示してるだけですよね?
つまり、意識って、無意識の指示どおりに動いてるってこと?
あれ、これって、もしかして、自由意志はないってこと?
これ、僕が今までいってきたとこと矛盾しますよね。
それじゃ、困るんですよ。
意識の処理を明確にする思考実験を使ったら、意識には自由意志がないってことがはっきりしました。
思ってもない結果が出てきたので、ちょっと、考えさせてください。
僕も、今、動揺してるんで、今日は、これで終わらせて下さい。
この続きは、次回、なんとか説明しますんで。
それまでは、こちらの本でも読んどいてください。
自由意志に関しては、次回、はっきりさせるんで、見逃さないようにチャンネル登録はしといてくださいよ。
それから、よかったら、高評価もお願いしますね。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!