ロボマインド・プロジェクト、第316弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
120%脳を解放した女として、さて、このチャンネルで何度も取り上げてるのがジル・ボルト・テイラーです。
ジルは、脳卒中になったとき、左脳が完全に停止して、右脳だけの世界を体験しました。
そのジルの新刊『WHOLE BRAIN』を、第296回で取り上げました。
この本には、左脳と右脳の違いとか、右脳は何をしてるのかについて、かなり詳しく書かれています。
右脳の特徴に、直観があります。
どちらかというと、女性が得意っていわれます。
「嘘をついてるでしょ」とかって、直観で見抜いたりしますよね。
男性は、どちらかというと理屈で考えます。
左脳ばかり使ってるわけです。
僕も、なんでも理論で解明しようとします。
だから、右脳とか直観ってのが、よくわからなかったんですよ。
さっきのジルの本には、直観がどういうものか、この本を読めばよくわかるって、一冊の本を紹介していました。
それが、これです。
『暴力を知らせる直観の力』
作者のギャヴィン・ディー・ベッカーは、アメリカ大統領の警護とか、暴力予測の専門家です。
殺人事件や暴力が起こるときには、必ず前兆があるといいます。
人は、それを必ず直観で感じ取ってるそうです。
それをちゃんと活用できれば助かると言います。
この本には、DVやストーカーといった、女性が受けやすい被害とか、アメリカの銃社会で生きる術が、かなり具体的に説明してあります。
実践的でかなり役に立つ本です。
それはそれでいいんですけど、僕が知りたいのは、直観とはどんな仕組みで起こるのかといった理論の部分です。
これが、今回のテーマです。
右脳の直観を
左脳の理論で解明
それでは、始めましょう!
ロバートは、雑誌を買おうと、コンビニエンス・ストアに入りました。
ところが、なぜか、急に恐怖を感じて、店を出たそうです。
その直後、その店で銃声がしました。
中には、コンビニ強盗がいたそうです。
ナンシーが、ボーイフレンドと車に乗っていたときのことです。
ボーイフレンドがATMでお金をおろすため、エンジンをかけたまま、車を降りました。
助手席に座っていたナンシーは、その直後、なぜかわからないけど、恐怖を感じたそうです。
そしたら、突然、見知らぬ男が運転席のドアを開けて入り込んできて、ナンシーの脇腹に銃を突き付けたそうです。
幸い、ナンシーは無事だったそうですけど、これがアメリカの銃社会なんですよねぇ。
さて、二人は、危機に直面する前、それを予感してましたよね。
これが、直観です。
それじゃぁ、いったい、どうやって予感したんでしょう?
作者は、「その時のことを、もっとよく思い出してください」ってロバートに質問しました。
「今から思うと、カウンターの店員がこっちをちらっとしか見なかった。
いつもは、客が入ってきたら品定めするような目つきで見る店員が、ほんの一瞬、顔を向けただけだったんだ。
やつは、別の客がひどく気になっているようすだった」
ロバートは、さらに続けます。
「店員が気にしてたのは、大きな厚手の上着を着た客だった。
あの日は暑かったから、今思えば、あの中にショットガンを隠してたんだと思う。
そういえば、駐車場にエンジンをかけたままのステーションワゴンが停まってたなぁ。
まぁ、でも、どれも、今になって思えばってことで、あの時は何もわかっていなかった」
そういうロバートに対して、作者はこう答えます。
「いや、実際にはわかってたんだよ」と。
それじゃぁ、ナンシーが、男が来る前に、恐怖を感じたのはなぜでしょう?
それは、サイドミラーにちらっと映った映像だったそうです。
そこには、さっきまでは何も映ってなかったのに、デニムの生地が映っていたそうです。
それは、ジーンズをはいた男がすぐ横にいること、そして、その男が急に現れたことを告げてたのです。
視界の端に映ったわずかな映像を、無意識が捉えてたんです。
これが直観です。
直観って、第六感とか超能力みたいなものと思われますけど、そうじゃないんですよ。
ちゃんと、理由があって動いています。
意識が気づく前に、無意識が捉えてたんですね。
ここまでが、本に書いてあることです。
ただ、僕が知りたいのは、こっから先です。
直観が起こる仕組みです。
僕は、人間と同じ心をコンピュータで作ろうとしています。
今まで、意識の仕組みとかは、左脳で処理してる内容は、大体わかってきました。
わからないのは、直観とか右脳の仕組みです。
こっからは、直観の仕組みを、コンピュータで実現できるぐらい具体的に解明していきますよ。
直観というのも、世界認識の一つの方法とは言えそうです。
ただ、僕らが普段認識してる方法とは違います。
どうも、世界の認識の方法には二種類あるようです。
一つが、僕らが、こうして見て、感じてる世界です。
つまり、意識が感じてる世界です。
もう一つは、無意識が感じ取ってる世界です。
僕らが感じてる、この意識は、進化して獲得した新しいものです。
それは、左脳が作り出してるもので、理論的な思考ができます。
「コンビニの店員の様子がおかしい」とか、「今日は暑いのに、厚手の上着は不自然だ」といった思考ができます。
それに対して、直観は理論的に考えません。
一瞬で判断します。
怖いとか、逃げろとかです。
つまり、直観には時間がないとも言えます。
このことは、ジル・ボルト・テイラーも言っていました。
右脳には時間がないと。
さて、時間です。
第24回で「時間は存在しない」と語りました。
これは、何も本当に時間が存在しないといってるわけじゃありません。
物理世界に時間は存在します。
ただ、物理世界に存在しても、知覚できないものは感じれません。
たとえば、目が感知できる光は可視光の電磁波だけです。
赤外線とか可視光より波長が長い電磁波は、存在しても光としては感じれません。
もし赤外光を光として感じれたら、夜中も明るくて仕方ありません。
物理的な時間を直接感じる感覚器はありません。
だから、本来、僕らは時間なんか、感じれないはずです。
でも、人は時間を感じれますよね。
じゃぁ、感じれない時間を、どうやって感じてるんでしょう?
それを説明するために、まず、意識の仮想世界仮説について説明します。
人は、目で見た世界を頭の中で仮想世界として構築します。
意識は、その仮想世界を介して現実世界を認識します。
これを意識の仮想世界仮説と言います。
つまり、僕らの意識は、現実世界を直接認識してるわけじゃないんです。
仮想世界を介して認識してるんです。
仮想世界というのは、自分が作り出したデータです。
データなので管理することもできます。
管理するとは、どんなふうに保存して、どうやってアクセスするとかです。
そこで考え出されたのが、順番にデータを保存するって仕組みです。
ここでいうデータというのは、認識した世界です。
それを、認識した順番に保存するわけです。
じゃぁ、それが何かわかりますか?
それが時間です。
朝起きて、顔を洗って、朝食を食べて、学校に行ってって場面を順番に保存するわけです。
起こった出来事の順に世界を保存したとき、保存した順番、これが時間です。
わかりにくいと思うので、もうちょっと丁寧に説明しますよ。
もし経験した場面を、あいうえお順とか、ランダムに保存してたらどうなります?
それを順番に辿ると、朝食を食べて、顔洗って、朝起きて、とかってめちゃくちゃです。
これじゃ、時間って概念は生まれません。
出来事が起こった順に管理してるから、時間って概念が生まれたんですよ。
わかってきましたか?
時間って概念は、データを管理することによって生まれたんです。
直接感じてるわけじゃないんですよ。
朝起きて、顔洗って、朝食食べてって風に時間を感じれるのは人間だけなんです。
さて、人は、時間って概念を獲得して、もう一つ、重要な概念を獲得しました。
それが何かわかりますか?
それは因果関係です。
物事は、原因があって結果が生まれます。
結果が起こって原因が生まれることは絶対にありません。
つまり、因果関係を理解するには、大前提として、順番を理解できないといけないんです。
順番があるから原因と結果が生まれるんです。
出来事を順番に管理するから時間が生まれてんでしたよね。
つまり、時間って概念を獲得して、初めて、因果関係が理解できるんです。
そして、因果関係で物事を理解することで、これから起こることを予測することもできるようになりました。
コンビニの店員が男を警戒してると。
その男は、服の下に何かを隠してるようだ。
もしかしたら、コンビニ強盗かもしれない。
危険だ。
そんな風に理論的に考えることができるようになったんです。
こう考えるのが左脳です。
というか、こう考えれるような世界を左脳が作り出したとも言えます。
逆に言えば、そうじゃない世界も考えれるわけですよね。
それが右脳が感じる世界です。
それじゃぁ、次は、右脳の世界について考えてみましょう。
左脳は、目からの視覚情報を基に、頭の中で仮想世界を創るって情報処理をしてましたよね。
じゃぁ、同じ視覚情報を使って、別の情報処理は考えられないでしょうか?
そんなの、いくらでも考えられますよね。
ただし、目的は決まってるものとします。
生物の情報処理の目的は、行動の決定です。
行動を引き起こすのは感情です。
たとえば、危険が迫ってたら恐怖の感情を発生させて、逃げるという行動をとらせます。
左脳は理屈で考えて、危険を導き出しました。
それじゃぁ、左脳と違う方法で危険を導き出す方法について考えてみましょう。
一番簡単な情報処理は、記憶することです。
目から入る視覚情報の断片を記憶するわけです。
全て記憶すると膨大な記憶が必要となるので、パターンに分類して記憶します。
コンビニには店員がいるとか。
コンビニ店員は、客をにらんでくるとかです。
毎回、起こると、同じパターンとして保存します。
そうしたら、今起こってる出来事が、いつもと同じパターンか、違うかってすぐに判別できますよね。
「店員の様子がいつもと違うぞ」とか、「エンジンをかけっぱなしのステーションワゴンが不自然だぞ」とかって、次々に判断します。
そうやって、「いつもと違う」、「何かおかしい」っ感じるわけです。
これが直観です。
虫の知らせといってもいいです。
さて、ここで重要なキーワードがいくつか出てきました。
まず、視覚情報の断片をパターンに分けて保存するところです。
これは、ディープラーニングとか、いまのAIが得意な機械学習です。
パターン判定とか、単純な処理は無意識で行います。
無意識は並列処理で行われるので、一瞬で行われます。
一瞬って、言い換えれば、時間が存在しないってことですよ。
ということは、因果関係が存在しないってことです。
今のAIの問題の一つに、なんでその結果となったのか、理由がわからないというのがあります。
これも、こう考えるとわかりますよね。
情報の断片をパターンに分けて保存するやり方と、原因結果を辿って理論的に推論するやり方とは、根本的に違うからです。
今のAIは、どちらかというと右脳のやり方なんです。
だから、原因は答えられないんです。
結果だけ、パッと思い浮かぶ直観タイプの推論といえます。
右脳は、AしたからBとなるとかって順番に考えて判断するわけじゃありません。
順番に考えるには、仮想世界を創る必要があります。
パターン認識は、仮想世界を創らないので一瞬で答えが出るんです。
仮想世界を創らないってのは、逆に言えば、世界があるって感じてないってことです。
世界があって、その中に自分がいて、その世界には時間が流れてるって、そんな風に感じてないってことです。
これって、まさに、左脳が脳卒中になったジルが右脳だけで感じてた世界です。
自分と世界の区別もなくて、時間も流れてない世界です。
ここでわかってほしいのは、そんな世界の解釈もあるってことです。
今、僕らが見て、感じてる、この世界だけが、世界じゃないんです。
これは、一つの解釈、左脳が作り出した世界だってことです。
僕ら人間以外の動物は、こんな世界を感じてないんです。
ふと、思い浮かぶ直観だけで行動してるんです。
それは、右脳が作り出した世界です。
人は、脳が進化することで、左脳で仮想世界を生み出し、意識は、それを感じるようになりました。
たぶん、それまでの意識は、右脳からの直観だけを感じてたんでしょう。
それがいつの間にか、人は、左脳が優位となりました。
つまり、今、見て、感じてるこの世界が全てだと感じるようになったわけです。
でも、本当は、右脳からの直観も受け取ってるんです。
左脳優位になって、それを感じにくくなっただけです。
でも、直観がいかに優れてるか、理屈で考えるより、直観の方が正しいってことは、今回紹介した本に嫌というほど書かれています。
生物は、何百万年と直観だけを使って生きてきました。
その無視するのはあまりにももったいないです。
ぜひ、直観も活用して生きてください。
はい、今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、今回紹介した意識の仮想世界仮説に興味がある方は、よかったらこちらの本も読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!