第33回 クオリア超入門4 そんなクオリアあるの?! クオリアってなんだ 4


僕はね、よくね、はしごを上ってる夢を見ることがあるんですよ。
でね、いっつもね、途中で確認しちゃうんです。
このはしご、ちゃんとあるんかなぁって。
で、そう確認したときには、もう、遅いんですよ。
足元のはしごが消えて、あ~って落ちていくんです。
も、いっつも、このパターンですわ。

ロボマインド・プロジェクト、第33弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。

クオリアシリーズ、第4回です。
前回は、僕が昼寝していた時に見たクオリアの話でした。
変性意識状態だったから、普段見えないクオリアが見えたってわけです。

クオリアってね、普通にしてたら絶対に気づかないもんなんですよ。
今回は、またちょっと違って、子供の時、成長の過程で獲得したクオリアの話をしますよ。

それはね、小学校2年のときの話です。

当時の担任の先生は、子供を喜ばすのが好きで、旅行に行ったら、いっつも、子供たちが好きそうなおもちゃを買ってきてくれたんです。
ほんで、教室の後ろにおいておいて、休み時間とか、みんなで遊んでたんですよ。

ある時ね、万華鏡をお土産に買ってきてくれたんですよ。
休み時間に、女の子とか覗いて、わぁ、キレイとか言ってるんですよ。
わぁ、僕も見せてって言ってね、ほんで、覗いてみたんですけよ。
ところがね、何がキレイなんか、イマイチ、みんなの言ってる意味が、ようわからなかったんですよ。
使い方は間違ってなかったはずです。
ちゃんと回転させて覗いてたんです。
でもね、ゴミみたいなのが動くだけで、これ、キレイかぁって思ってたんですよ。
女子は、よう、わからんなぁって思ってね。

それで、すっかり万華鏡のことは忘れてたんですけど、半年ぐらい経って、思い出して、久しぶりに、万華鏡を覗いてみたんです。
そしたら、ようやくわかったんです。

わぁ、キレイ!
あっ、みんながキレイって言ってたのは、これだったのかって。
ようやくわかったんです。

えっ、じゃぁ、半年前は、いったい、何を見ていたんやろ?
同じ物を見てたのに。
たぶん、この間にクオリアが生まれたんやと思うんです。

同じパターンが繰り返される美しさとか。
何かの形が、カタッ、カタッって一斉に動く感じとか。
そういうのもクオリアなんちゃうかな。
万華鏡のクオリアって言ってもいいと思いますわ。

お札の模様のクオリアを通してお札を見ると、キレイなお札の模様を感じるのと同じですわ。

同じパターンの繰り返しを感じるクオリアを通して万華鏡を見ると、わぁ、キレイってなるわけです。
そのクオリアを持ってないと、ただ単に、三角形のなかを、ゴミが動いてるとしか見えないわけなんですわ。
人が成長するって、新しいクオリアを獲得することでもあるみたいなんですよね。

たぶんね、「美しさ」っていうのもクオリアなんやと思います。
幾何学模様とか、対象な図形とか。
何もないまっすぐな水平線とか。
バラバラでごちゃごちゃしたものは、美のクオリアに当てはまらないから、美しく感じないんじゃないかと思うんです。

たぶん、音楽もクオリアの一種なんやろって思います。
初めて聴く曲より、何度も聴いた曲の方が、心地よいのは、その曲のメロディをクオリアとして獲得したんちゃうかなぁ。

どこまでがクオリアなんでしょうねぇ。
たとえば、モノマネって、その人のクオリアじゃないんかなって思うんですよ。
たとえば、リンゴちゃんっているじゃないですか。
リンゴちゃんの武田鉄矢のモノマネってそっくりですよねぇ。
たぶん、武田鉄矢のクオリアってのがあって、それを認知できるから、リンゴちゃんのモノマネみると、うわぁ、そっくり!って感じるんちゃうかなぁって思うんですよ。
どうなんでしょうねぇ。

さて、ここで復習です。
第21回「意識の仮想世界仮説」で説明しましたけど、人が見ている世界は、目や耳のセンサーで捉えた現実世界を、頭の中の仮想世界に再構築しているわけです。
今までは、単純に再構築してるだけだっていってましたけど、どうやら、0から作り上げてるわけじゃないようです。

予め部品が用意されてて、それを組み立ててるようなんです。
その部品っていうのが、クオリアなんです。
意識は、クオリアを認識してるわけです。
ほんで、そのクオリア自体も、クオリアの部品で組み立てられてるみたいなんです。

目で見て、お札って認識するときには、お札の模様のクオリアとか、数字のクオリアとかを生成して、それを組み合わせてお札を仮想世界に作り上げてるわけです。
仮想世界をつくってるのは、無意識で作ってるわけです。
それを認識するのが意識です。
意識は現実世界を見ているだけって思ってますけど、実は、その奥のクオリアを見てるんですよ。

だから、クオリアをもってないと、同じ万華鏡を見ても、ゴミが動いてるだけとしか認識しなかったりするわけです。

この仮想世界って、二つの方向から作られるんです。
一つは、クオリアを使って仮想世界を創り出す方向。
もう一つは、創り出された仮想世界を、目や耳のセンサーからの入力に合うように調整する方向。
つまり、作り出す無意識と、それを、現実世界に合うように抑える無意識がバランスして作られるんです。

それじゃぁ、もし、抑える側の無意識がなかったとしたらどうでしょう。
創り出す側がどんどん創り出していきますよね。
そんなことって、あるんでしょうか?

目をつむっただけじゃぁ、意識は、ただの真っ黒な光景を見るだけです。
そうじゃなくて、無意識が仮想世界を勝手に作り出して、それを、意識が、認識することってことです。

じつは、あるんです。
それは、寝て、夢を見ているときです。
今日は、夢の話をします。

僕はね、よくね、はしごを上ってる夢を見ることがあるんですよ。
どこか分からないんですけど、高い所を、ただ、はしごを上ってるんです。
でね、いっつもね、途中で確認しちゃうんです。
このはしご、ちゃんとあるんかなぁって。
で、そう確認したときには、もう、遅いんですよ。
足元のはしごが消えて、あ~って落ちていくんです。
も、いっつも、このパターンですわ。

さて、夢の中では、外界の情報が入ってこないです。
仮想世界を創る側の無意識だけが働いてる状態です。
つまり、世界は創りたい放題です。
そうなると思った世界が、すぐに実現しちゃうわけです。
だから、ちらっとでも、「はしごがないんちゃうかな」って思ったとたん、はしごのない世界を創ってしまうんです。
怖いですよね。

これが、目覚めて起きている状態なら、そうはならないです。
目で確認したり、足元の感覚で、「ちゃんと、はしごがある」って確認できるわけです。
現実世界からのフィードバックもつかって、仮想世界がつくられるわけです。

こうやって、現実世界を確認して仮想世界を創る機能がないと、はしごが簡単に消えて、あ~って、真っ逆さまに落ちて行ってしまうんです。

たぶん、普段、生活してるときって、無意識で、常に確認しながら生きてると思うんですよ。

夢の中では、現実からのフィードバックがないもんやから、必ず、悪いことが起こってしまうんですよね。
これ、僕の仮説なんですけど。

他の人も、自分と同じように感じてるかどうかなんて、ほんと、わからないんですよねぇ。
皆さんは、どんな夢みます?

昔ね、「私は、楽しい夢しか見たことない」って女の子に会ったことがあるんですよ。
「え~、そんな人いるの」って、びっくりしたんですよ。
あぁ、僕の仮説が覆されたって。

あれ、早くできてほしいですよね。
あの、どんな夢を見てるかって分かるかって機械。
なんかね、こうやって頭に取り付けてもろね、ほんで寝てもうたら、その人がみてる夢が、こんなモニターに映し出されるみたいなのやつ。

たぶん、その女の子の夢みたら、ずっと、お花畑をスキップしてる映像とか流れるんちゃうかなぁって、思うんですよね。
まぁ、たしかに、そんな感じの子でしたけどね。
ほんと、幸せって、なんなんでしょうねぇ。

まぁ、それはええとして、次回は、もう少し、クオリアの続きを語ってみたいと思います。

次回も、お楽しみに!