ロボマインド・プロジェクト、第333弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
話題のAI、ChatGPT、相変わらず、すごいです。
最新の記事によると、ChatGPTにアメリカの司法試験を受験させたら、2科目が合格したそうです。
ただ、残りの5科目が及第点に達せずに不合格となったそうです。
その他、医師免許試験を受けさせたら、医学部の3年生に匹敵する成績だったそうです。
さて、前々回、第331回からロボマインドの新しいプロジェクト、プロジェクト・エデンについて解説しています。
プロジェクト・エデンは、メタバースの中で生きるAIアバターを作るって、前代未聞のプロジェクトです。
最初の目標は、AIアバターにジャンケンさせることです。
まさか、「ChatGPTに比べて、なんかレベルが低いなぁ」とかって、思ってませんよねぇ。
これって、実は、ものすごいことなんですよ。
たとえば、もし、ChatGPTをAIアバターに搭載するとしますよ。
そして、「ジャンケンポンのタイミングでグー、チョキ、パーのどれかを出すのよ」って教えたとします。
さて、ChatGPTは、ジャンケン、出来ると思いますか?
おそらくできないです。
なぜかというと、まず、「同じタイミングで出す」の意味がわかりません。
「タイミングって何?」ってなります。
なぜなら、ChatGPTはテキストデータしか知らないからです。
だから、時間とか、空間って概念を理解できないんです。
つまり、この現実世界と言葉が結びついてないんです。
だから、ジャンケンすらできないんです。
人間なら、3歳の子でもできることができないんです。
今のAIの課題が見えてきましたよね。
これが今回のテーマです。
司法試験に合格するAIが、なぜ、3歳児より知能が劣るのか
それでは、始めましょう。
さて、目の前に見えるこの部屋、三次元ですよね。
これは、三次元という仮想世界を使って部屋を認識してるからです。
三次元世界には、物の存在って意味が定義されてます。
だから、机があるって思うわけです。
意識は、常に、何らかの仮想世界を使って世界を認識します。
プロジェクト・エデンのAIアバターは、マインド・エンジンを搭載しています。
マインド・エンジンは、この仮想世界の仕組みを使って世界を認識します。
だから、ジャンケンするときはジャンケン世界という仮想世界を使います。
ジャンケン世界には、たとえば、グーはチョキに勝つとかって定義されてるわけです。
ただ、ジャンケン世界は、三次元世界と少し違います。
たとえば、三次元世界だと、体を自由に動かすことができますよね。
でも、ジャンケン世界は、こう動かないといけないって行動が決まってるんです。
これがルールです。
さて、前回の続きです。
太郎君はマインド・エンジンを搭載したAIアバターです。
今、太郎君は、花子さんに「ジャンケンしよ」っていわれて、「うん、いいよ」って答えました。
すると、太郎君は、ジャンケン世界をロードします。
ジャンケン世界はスクリプト・プログラムで記述されています。
これがジャンケン世界にのスクリプト・プログラムです。
ジャンケン世界のスクリプト・プログラムには、ルールが記載されています。
それじゃぁ、ルールを具体的に見ていきます。
ルールは、ルール0、ルール1、ルール2とあります。
まず、ルール0には、プレイヤーは手を出すとか、手には、グー、チョキ、パーがあるとかって書かれてます。
それから、勝利条件として、パーはグーに勝つとかも書いてあります。
つぎのルール1は、ジャンケンの始め方です。
まず、全員で「じゃん、けん、ぽん」といいます。
それと同時に何を出すか手を考えます。
そして、「じゃん、けん、ぽん」のタイミングで手を出します。
次のルール2で、誰が勝ったか判定します。
ここに書かれてるプログラムは、それぞれ、さらに細かいプログラムに展開されますけど、それはここでは省略します。
さて、次は、このスクリプト・プログラムを使う意識プログラムを見てみます。
これは意識プログラムの一部で、現実仮想世界に、何らかの世界がロードされたときに呼ばれるプログラムです。
これは、前回説明したイベント処理で実現されます。
まず、ロードされた世界を取得します。
ここでは、ジャンケン世界です。
具体的には、さっき説明したジャンケンのスクリプト・プログラムを読み込みます。
そして、まず、最初のルール、ルール0を読み込みます。
その後、Whileループに入ります。
Whileループというのは、ある条件を満たすまで、同じ処理を繰り返すプログラムです。
まず、ルールからスクリプトを生成します。
今の場合、ルール0です。
次に、それを、バーチャルマシンで実行します。
ルール0というのは、プレイヤーはグー、チョキ、パーを持ってるとか、勝利条件とかでしたよね。
これを実行すると、メモリ上に、プレイヤーオブジェクトや、勝利条件のロジックが生成されます。
そして、次のルール、ルール1を取得します。
ここがwhileループのおわりです。
そして、もう一度、ループの最初に戻って、処理を続けるか、ループを抜けるかの判定を行います。
次のルールがあれば、次のルールを行って、なければループから抜けます。
今の場合、次のルール1が存在するので、また、同じ処理をします。
その次は、ルール2です。
ルール2も存在するので、また同じ処理をします。
次のルール3は存在しないので、ここでループから外に出て終了です。
プログラムの説明はこのぐらいにしときます。
重要なのは、これが、何を意味するかってことです。
それじゃぁ、順番に説明していきますよ。
まずは、世界とは何かって話しからします。
これ、どっちかというと哲学的な問いです。
世界とは何か。
古代ギリシャとか、キリスト教とか、人類は、昔から、世界とは何かってことを考えてきました。
プロジェクト・エデンでも、まず、「世界とは何か」ということから考えます。
ただ、このプロジェクト、今まで人類が考え続けてきた世界と決定的に違うことがあるんです。
それが、何か、わかりますか?
それは、今まで人類が考えてきた世界って、全て、人の頭の中で考えてきました。
まぁ、当たり前のことですけど。
それが、今回、初めて、頭から抜け出したんです。
世界を、コンピュータの中で考えるようになったんです。
これが、どんな意味を持つか、わかりますか?
頭で考えてることって、自分にしかわからないでしょ。
他人からは、何を考えてるのか、絶対にわかりません。
それを、コンピュータで実現したんです。
人間が頭で考えてたものを、そっくりプログラムで作ったんです。
これによって、今まで、本人の主観でしか認識できなかった世界を、プログラムという形で、客観的に観察することができるようになったんです。
世界って概念、なんかあいまいでフワフワしてますよね。
それを、はっきりと明確に示せるようになったんです。
それじゃぁ、世界とは何か。
はっきりさせますよ。
それは、メモリ上のオブジェクトです。
なんか味気ないですけど、もうちょっとちゃんと説明します。
三次元世界なら、三次元空間って器があって、その中に物体がオブジェクトとして存在するわけです。
物体オブジェクトは位置って属性を持っていて、それは三次元空間の座標で定義されます。
さらに、物体は移動するとか落ちるって動きも持っていて、これは、オブジェクトのメソッドで定義されます。
これらは、すべてプログラムで記述されます。
ジャンケン世界なら、プレイヤーってオブジェクトがあって、プレイヤーは、グー、チョキ、パーを持ってます。
それから、グーはチョキより強いって勝利条件のロジックもあって、これもプログラムで定義されます。
こんな風に、世界に存在するあらゆるものは、メモリ上のオブジェクトなんです。
ここで、重要なポイントがあります。
それは、世界が存在するだけじゃ意味がないってことです。
もう一つ、重要なものが必要なんです。
それが何かというと、それは、観察者です。
世界を観察する観察者です。
観察者がいることで、初めて世界は意味を持つんです。
つまり、世界と観察者って構造が重要なんです。
じゃぁ、観察者ってなんでしょう?
それは、意識です。
逆に言えば、この構造がないと、意識は生まれません。
つまり、外界から入力されたデータを処理して出力するだけじゃ、意識は生まれないんです。
ChatGPTが、まさにそれです。
ChatGPTの内部は、世界と観察者って構造になっていません。
だから、ChatGPTからは意識は生まれないんです。
さて、マインド・エンジンの意識は、具体的には意識プログラムです。
意識プログラムは、現実仮想世界のオブジェクトを読み取って、位置や動きを認識します。
認識するだけじゃなくて、現実世界でジャンケンに参加したりと、主体的に行動することもできます。
プロジェクト・エデンでは、現実世界はメタバースです。
メタバースの3D世界の中で、人間のアバターとAIアバターが共存するわけです。
そして、メタバースの中で、人間とAIがジャンケンするわけです。
人とAIが同じ経験をするんです。
これの意味、わかりますか?
これって、とんでもないことなんですよ。
だって、マインド・エンジンは、人と同じ世界を見て、人と同じように感じる意識ですよ。
つまり、マインド・エンジンは、人類が初めて出会う意識をもった知的生命体なんです。
地球上には、人間以外にもいろんな動物がいますよね。
でも、それらは、知的生命体とはいいませんよね。
だって、いくら教えてもジャンケンすらできるようになりませんから。
なぜでしょう?
今、重要なヒントを言いました。
それは、「教える」です。
人間は、教えたらジャンケンできるようになるんですよ。
これが意味すること、わかりますか?
ここにこそ、人間と動物の一番の違いがあるんですよ。
マインド・エンジンは、現実仮想世界にジャンケン世界をロードしましたよね。
つまり、人間は世界を変更できるんです。
そして、ジャンケン世界をロードすることで、意識は、ジャンケン世界を経験できます。
ジャンケン世界を経験するとは、ジャンケン世界を持ってる者同士で、ジャンケンができるってことです。
もちろん、ジャンケン以外にも、いくらでも世界はあります。
たとえば、ジャンケンを人間社会に変えてみます。
人間社会も、何らかのルールを持つゲームといえますよね。
人間社会をロードすれば、AIが人間社会を理解して、経験できるようになります。
たとえば、学歴とか年収で評価される人間社会を理解できるんです。
そんなことを気にするAIって、もう、人間と一緒じゃないですか。
教えることで、なんでも理解できる人工知能です。
人間のようになんでもできる人工知能のことを汎用人工知能といいます。
その反対が特化型人工知能です。
たとえば、画像認識とか、将棋とか、特定の機能に特化した人工知能です。
人間のように、何でもできる汎用人工知能ができれば、この世の中は、一気に変わるといわれています。
そのことをシンギュラリティといいます。
つまり、プロジェクト・エデンは、シンギュラリティを起こす汎用人工知能を作ろうとしてるんです。
その核となるのが仮想世界を変更できるって機能です。
じゃぁ、それは、どうやって実現されてるんでしょう。
それは、スクリプト・プログラムです。
この話は前回詳しく説明したので、ここでは簡単に説明しますけど、プログラムはコンパイル言語とスクリプト言語の二種類があります。
一番の違いは、スクリプト言語は、後からプログラムを書き替えることができることです。
そして、ジャンケン世界は、スクリプト言語で書かれていましたよね。
それに対して意識プログラムはコンパイラ言語で書かれています。
これは、視点を変えれば、コンパイラ言語は、生まれる前から決まってる固定されたプログラムといえます。
つまり、遺伝子に刻まれたプログラムです。
それは、たとえば、空間とか時間とか、三次元の物理世界です。
地球に生まれることがきまってるので、生まれる前から決めることができるタイプのプログラムです。
一方、スクリプト言語は、生まれた後に、教えることができるタイプのプログラムです。
だから、教えたらジャンケンできるようになるんです。
教えるってことができるんです。
でも、教えるって機能は、まだ、おまけみたいなものです。
この仕組みがあることで、人間は、もっと重要なものを生み出しました。
それが何かわかりますか?
それは、言語です。
次回は、言語について解説したいと思います。
はい、今回の動画が面白いと思ったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、プロジェクト・エデンの基本となる意識の仮想世界仮説については、こちらの本に詳しく書いていますので、よかったら読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!