第34回 クオリア超入門5 そんなクオリアあるの?! クオリアってなんだ 5


人間と同じ意識や心がコンピュータに生まれたら、ちょっと怖いですよねぇ。
もしかしたら、人類を滅ぼすんじゃないかって、ちょっと考えてしまいますよね。
でも、僕は、好奇心には勝てなかったんですよ。
まぁ、言ってみれば、ロボマインド・プロジェクトって、中小企業の社長が、人類を滅ぼすかもしれへん開発をリアルにしてるってわけです。
止めるなら、今のウチですよ。

ロボマインド・プロジェクト、第34弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。

さぁ、クオリアシリーズ最終回です。
今回は、久しぶりに本を紹介しようと思います。
これです。
『脳のなかの幽霊』v.s.ラマチャンドラン

この本、20年以上前の本ですけどね。
いやぁ、この本、初めて読んだとき、ようやく、僕の知りたいことを書いてる本に出合ったって思ったんですよ。
その後、何度も読み返して、赤線とかも引きまくってるんですよ。
ほら、こんな感じで。
人生を変えた一冊ってやつです。

その当時、僕は、何が知りたかったかっていうと、ものを認識するとか、理解するってことです。
それって、いったい、どういうことって。
たぶんねぇ、中学か、高校ぐらいの頃からずっと思ってたんですよねぇ。

それでね、脳科学の本とか読んでみたんですけど、僕が知りたいことは書いてないんですよ。
書いてあっても、縦じまと横じまを見分ける脳細胞があるとか、それを組み合わせて認識してるとか、そこまでしか書いてないんですよ。
僕が知りたいのは、その後、何ですよ。
意識はどうやって認識してるかとかです。
でも、それって、今の脳科学でもわからないんですよ。

ところがね、この本には、それがちゃんと書いてあったんですよ。
脳科学とは全く逆のアプローチで書いてるんですよ。
逆のアプローチっていうのは、意識からのアプローチってことです。

ラマチャンドラン博士っていうのは、脳に障害がある人を直接、診察して研究してるんです。
つまり、本人がどう見えてるかとか、どう感じてるかとかを直接聞き出してるわけです。
これが、意識からのアプローチってことです。

第19回「意識って何? 世界って幻想?」で、盲視って話しましたけど、覚えてますか?
脳の一部が損傷して目が見えなくなったのに、見えてるって話です。
本人は見えないって言うのに、光の点を指差せるって話です。
あの話も、この本で初めて知って、なんじゃそりゃって思ったんですよ。

脳のどの部分を損傷すると、意識が認識する世界は、どんな風になるのかとか。
そんな話がいっぱい載ってるんですよ。
ほんで、そこから、意識が認識する仕組みはこうじゃないかって解説してるんですよ。

この本、初めて読んだとき、めちゃくちゃ興奮しましたよ。
だって、人が、どうやって認識してるか、その仕組みが分かれば、その通りにプログラムで作れば、人間と同じ心がコンピュータで再現できるやんって。

この本、読んだ人は、みんな、そう思ってるやろうって思ってたんですけど、どうも、そんな風に考えてたのは、世界中で僕一人やったみたいなんですよねぇ。
なんで、みんな、そう考えないんでしょうねぇ。
不思議ですわ。

まぁ、それはいいとして、前回の話の続きです。
前回、夢の話をしましたけど、覚えてますか?
起きてるときは、現実世界からのフィードバックがあるけど、寝てるときは、それがないから、世界を創りたい放題、何でもありって。
それが夢だって話でした。
まぁ、これは僕の仮説ですけど、それを裏付ける話が、この本に出てくるんです。

一つは、シャルル・ボネ・シンドロームって言うそうなんですけどね。
視力が弱くなったり見えなくなると、その見えない視界に、ありもしない幻覚が見える症状らしいんです。
ウマとかゾウとか、ピエロとかが見えるそうなんです。
で、重要なのは、これは精神病じゃないってことです。
本人の精神はいたって正常なんです。

どうも、視力が弱くなって現実からのフィードバックがなくなるから、無意識が創り出す世界をそのまま意識が認識してしまってるようなんです。
その証拠に、目を閉じると、その幻覚は消えるそうなんです。
たぶん、目を閉じたら見えないって無意識のスイッチが入るから、見えなくなるんやと思うんですけどね。

それから、よく似た症状で、もう一人、面白い人の話がありました。
脳が損傷して視界の下半分だけ見えなくなった人の話です。
その人は、視界の下半分に、つねにいろんな幻覚が見えてるらしいんですよ。
ラマチャンドラン博士が、「じゃぁ、今、どんな幻覚が見えてます?」って聞いたら、
「博士の膝の上に猿が腰かけてます」って答えたそうなんです。
で、「それじゃぁ、なぜ、その猿が幻覚だってわかるんです?」って聞いたら、
「だって、人と話すとき、猿を膝にのせて話す人って、あまりいないじゃないですか」って答えたそうなんです。

いやぁ、いろんな病気があるもんですねぇ。
それで、この症状に共通する特徴があって、みんな、同じことを言うそうなんですよ。
それは、見えてる幻覚は実物より、実物らしいっていうんです。
色彩も、実物より鮮やかだってね。
ぼやけることなく、くっきりと見えるらしいですよ。

これって、たぶん、クオリアを見てるんだと思うんです。
現実の猿は、ちょっと汚れてたり、キズがあったりしますけど、そんなのがない、完璧な猿を見てるんだと思うんですよ。
それが、サルのクオリアなんですよね。

さて、そろそろ、クオリアのまとめに入りますよ。
たぶん、人が物をみる仕組みって、こうなってると思うんです。
サルとかウマとか、色とか痛みとか、あらゆるクオリアがあって、感覚器で感知したとき、それに応じたクオリアを生成するわけです。
ほんで、意識は、そのクオリアを見るわけです。

たとえば、網膜の錐体細胞が赤色を感知したとき、無意識が赤のクオリアを生成するわけです。
意識が認識するのは、生成された赤のクオリアなんです。

ここ、めっちゃ重要なんで、丁寧に説明しますよ。
意識は、センサーで捉えたデータを見てるわけじゃないんです。
無意識が作った「赤」のクオリアを見てるわけです。
ただ、クオリアを作るきっかけが、目からのデータっていうだけです。
つまり、目で捉えた物と、意識が認識するものは、直接つながっていないんです。
これ、どういうことか、わかりますか?

脳の神経細胞のデータの流れをいくら追っかけても、肝心のクオリアが見えてこないってことなんです。
コンピュータで考えてみましょう。
クオリアは、既に頭の中にあるわけですよね。
サルとかゾウとか、赤とか痛みとか。
いってみれば、データベースに入ってるわけです。
目からのデータを処理して、これはサルだってわかれば、データベースからサルのクオリアを取り出して、それを意識に見せるわけです。
脳の中では、こんな処理が行われてると想像できます。

この処理が、脳内で本当に行われてるとすれば、まず、確認しないといけないのは、データベースです。サルとかゾウとかのクオリアが格納されてるデータベースです。
それが分かれば、脳の処理を追っていくと、サルを認識した後、データベースからサルのクオリアを取り出すところが確認できるかもしれません。
でも、まだ、脳の中のどこにデータベースがあって、サルのクオリアがどういう形で格納されてるかわからないのが現状なんです。

脳の中にデータベースがあるとか、クオリアが格納されてるとか、これは、僕が勝手に思ってるだけです。
変性意識状態や夢の中で自分が認識したこととか、脳障害で、どんな風に意識は見えるのかといった話を聞いて、僕が仮説を立ててるだけです。
でも、これを、科学的に検証するのって、ものすごく難しいわけです。

それから、この仮説が、もし、正しいとすれば、これって、科学にとって厄介な問題が出てくるんですよ。
この説だと、外の世界と、意識が認識する頭の中の世界とは、直接、繋がってないわけですよね。

で、外の世界って、物理法則に従うわけです。
でも、外の世界から切り離された世界は、物理法則が通じないわけです。
意識が認識する世界は、今までの科学が通じない世界となるわけなんです。

だから、意識が認識する世界だと、タイムトラベルも自由にできるわけです。
神でも悪魔でも、いくらでも想像できるわけです。
これは、今の科学じゃ、まともに取り上げてくれません。
YouTubeだから、何でも言わるわけなんですよね。

まぁ、科学で扱えるかとか、科学的に検証できるとかとか、正直、僕は、あんまり興味がないんです。
科学的な証明とかするのは、大学でいうと理学部です。
で、僕は、工学部出身なんです。
エンジニアなんです。

エンジニアがやりたいのは、科学的な証明より、実際に作ることです。
人が認識する仕組みが、ここまで分かってきたら、もしかして、コンピュータで意識が創れるんちゃうの?
心が創れるんちゃうの?

僕は、つい、そう思ってしまうんですよね。
そういうこと考えると、めちゃ興奮するんですよ。

でも、人間と同じ意識や心がコンピュータに生まれたら、ちょっと怖いですよねぇ。
もしかしたら、人類を滅ぼすんじゃないかって、ちょっと考えてしまいますよね。
でも、やっぱり、好奇心には勝てないんですよ。
核爆弾の開発も、たぶん、そんな感じやったんでしょうねぇ。

まぁ、言ってみれば、ロボマインド・プロジェクトって、中小企業の社長が、人類を滅ぼすかもしれへん開発をリアルにしてるってわけです。
ヤバいと思ったら、政府とかに密告してもいいですよ。
止めるなら、今のウチですよ。

政府からの圧力がなければ、まだまだ、続けるつもりでいますからね。
それでは、次回も、お楽しみに。