第358回 スピリチュアルズ 「わたし」の謎3 〜世界を変えるサイコパス


ロボマインド・プロジェクト、第358弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

さて、第356回から橘玲の『スピリチュアルズ -「わたし」の謎』を紹介してますけど、今回も、その続きです。
今回のテーマは、サイコパスです。
サイコパスっていうと、映画『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターとかを思い出しますけど、あれは、快楽殺人に特化したかなり特殊な例です。
サイコパスの特徴は、殺人を快楽に感じるとかってことじゃなくて、共感能力が極端に低い人のことです。
他人の心の痛みを感じないとかです。
心の痛みだけでなくて、他人の肉体的痛みにも鈍感です。
それが極端になると、他人が苦しんで死ぬのを見るのが快楽に感じる殺人者になるんでしょう。

それから、頭がよくて、優秀な人が多いのもサイコパスの特徴です。
外科医とか弁護士、それから大企業のCEOにサイコパスが多いと言われています。
実は、世界を変えるような偉大なことを成し遂げた人に、サイコパスが多いんですよ。有名なところだと、アップルの創業者、スティーブ・ジョブズです。
それから、意外なところだとマザーテレサとか、アインシュタインもです。
これが今回のテーマです。
世界を変えるサイコパス
それでは、始めましょう!

スティーブ・ジョブズといえば、プレゼンの名手として有名ですよね。
iPhone発表のプレゼンとか、今や伝説となっています。
まさに、カリスマです。
これがスティーブ・ジョブズを外からみた一般的なイメージです。

サイコパスは、外から見たイメージと違って、身近な人には、かなり冷酷です。
ジョブズは、Apple社内のエレベータで会った社員に「君の仕事は」と聞いて、即答できなかったらクビにしてたそうです。
同じようなエピソードは、イーロン・マスクでも聞いたことがあります。
廊下ですれ違った社員に声をかけて、まず、相手の専門分野を確認します。
そして、その専門分野で、自分が知ってて、相手が知らないことがあったら、即クビにしたそうです。
こういうのは、カリスマ経営者あるあるなんでしょうかねぇ。

それから、ジョブズは、共同創業者のスティーブ・ウォズニアックとゲームを作って5000ドルの報酬を山分けするとき、嘘をついてウォズニアックに350ドルしか払わなかったそうです。
実質、ゲームを作ったのはウォズニアックなんですけどね。
相手のことを考えたら、普通は、心が痛みますけど、そうは感じないみたいです。
かなり自分勝手といえます。

経営者だけじゃなくて、マザーテレサもサイコパスと言われています。
マザーテレサはカトリックの修道女です。
ノーベル平和賞をもらって、貧しい人を救ったってイメージが強いですけど、これは外から見たイメージです。
身近に接していた人の意見はかなり違うようです。
たとえば、末期ガン患者が耐え難い痛みを感じていても鎮痛剤を与えずに、こう言ってたそうです。
「あなたが苦しんでいるということは、イエスがあなたにキスをしているということなのよ」
そう言われた患者は、「それなら、キスを止めるようにイエスに言ってください」ってマザーテレサに頼んだそうです。
そりゃ、そういいますよね。
実際、マザーテレサは、「痛みや苦しみは、貧しい者にとって美しい贈り物だ」って言ってたんです。
他人の痛みを理解しないどころか、喜んでるわけです。
これじゃぁ、快楽殺人者とあまり変わらないですよね。

それから、マザーテレサの施設を視察した人が見て驚いたのは、近代医学から全くかけ離れていたことです。
結核患者は隔離されず、注射器は殺菌されず、ぬるま湯で洗って再利用されてたそうです。
お金がないから仕方ないって思うかもしれませんけど、そんなことはありません。
マザーテレサの慈善団体の会計は不透明で公開されてなかったんですけど、内部からの告発で、1年に60億円以上の寄付金が集まってたこともあったようです。
ただ、そのほとんどはカトリックの総本山、バチカンに送られてたようです。
マザーテレサは、インドの貧しい人でなくて、バチカンに奉仕してたんです。

マザーテレサは、貧しい人に共感する能力はなかったですけど、寄付金を集める能力にはたけていました。
たとえば、大企業の社長を集めた少人数の慈善セミナーでは、テーブルに座った参加者に小切手を配って、「まず、0を5つ書いてください。その後は、自由に数字を付け足してください」っていってたそうです。
そしたら、みんな、競い合って数字を書き加えたたそうです。
マザーテレサにいくら寄付したかって自慢するためです。
これで、一人最低10万ドル、1000万円以上の寄付が集まります。
自分のカリスマ性をよくわかってたいたわけです。

マザーテレサは、自分の施設の患者にはまともに治療しなかったですけど、自分が病気になった時は、アメリカで最新の治療をうけていました。
この自分勝手っていうのも、サイコパスの特徴のようです。

それから意外なのはアインシュタインです。
アインシュタインといえば、原爆投下の惨状に驚愕して、世界平和を目指す活動でも有名ですよね。
これなんか、他人の痛みに共感できないと、とてもできない行動だと思います。
でも、これは、公に見える部分です。
もっと言えば、こう見せたいって部分です。
つまり、どんな行動、どんな発言をすれば、公にアピールできるか、よくわかって行動してるといえます。
もし、本当に人々の幸せを考えてたとしたら、身近な人にも同じように暖かく接していたはずです。
じゃぁ、アインシュタインは身近な人にどんなふうに接していたでしょう?

アインシュタインが、最初の妻と仲が悪くなったとき、結婚生活を続けるための条件を妻に突き付けたそうです。
それは、こんな内容です。

私の衣服と洗濯物は常にきちんと整理されていること。
あなたは、私の愛情を期待してはならない。
私が要求したときは、私の目の前から即座に退去すること。
いかなる事情があっても、私を非難してはいけない。

いやぁ、思いやりのかけらも感じられないですよねえ。
まさにサイコパスです。

いろいろ言ってきましたけど、彼らが社会に大きな影響を与えたのは事実です。
彼らのおかげで社会がよくなったことは間違いないです。
見逃してはいけないのは、ここです。
つまり、身近な人と、社会全体とは分けて考えないといけないってことです。

普通の人が気に掛けるのは、自分のことと、せいぜい、身近な家族ぐらいです。
でも、大企業の社長になると、多くの従業員に責任を持たないといけません。
この二つは分けて考えないといけないんです。

もともと、人間の脳は、自分と家族ぐらいの社会しか想定してないんです。
何万人、何十万人のことを考えられる脳って特殊なんです。
普通の人の脳じゃ、対処しきれないんです。

たとえば、LED事業がうまくいかなくなってシャープが経営難になりましたよね。
その時、ちょっと立て直したときがありました。
このとき、「みんなよくがまんしてくれた」って、社員にボーナスを出したんですよ。
これが、共感力があって人情の厚い社長の行動です。
でも、シャープは、その後、どうなりましたか?
台湾のホンハイに買収されましたよね。
そして、ホンハイは、大胆なリストラをして、赤字体質のシャープを数年で立て直したんです。
もちろん日本の法律にのっとってやってますから、シャープの社長でもやろうと思ったらできたはずです。
でも、それができずに、社員にボーナスを出してたから会社を守れなかったんです。

アマゾンのジェフ・ベゾスもそうです。
ロボマインドの収入源のほとんどは、アマゾン用のツールなので、昔から、アマゾンの動向はずっと見てました。
アマゾンの最初の頃は、売り上げを全部投資に回してたのを覚えています。
十分な利益を上げるようなったとき、投資家から、配当を出せって突き上げられたんですけど、ジェフ・ベゾスは、そんな声を一切無視して、全て設備投資に回していました。
そんなのを見て、「あのメンタルはすごいなぁ」って思ってました。

それから、覚えてるのはアマゾン倉庫の話です。
アマゾンの倉庫は巨大で、エアコンがなかったらしいんですよ。
でも、真夏に、熱中症でバタバタ人が倒れて、さすがに、これは何とかしないといけないって、エアコンを入れてくれるように、みんなが頼んだんですよ。
そこでジェフ・ベゾスがやったのは、エアコンを入れるんじゃなくて、倉庫の周りに救急車を待機させることだったんです。
その方がエアコンより安上がりだったからです。
当時、その様子が写真に撮られて、かなり非難されてました。

こういうことができるから、あそこまで成長できたんです。
共感力があったら、とても、ああは出来ないと思います。

正しいかどうかは置いといて、世界を変えるぐらいのことを成し遂げる人は、サイコパス気質がないとできないということは理解できますよね。
他人の痛み、苦しみに共感してたら、重大な決断ができないってことです。
たとえば、外科医が共感力が高くて、「これ切って大丈夫かなぁ」って、決断できなかったら、手遅れになって、余計病気が悪化してしまいます。
感情に揺さぶられるんじゃなくて、冷徹になって、素早く最適な決断ができるのが優秀な外科医です。

さて、このサイコパスの特性はどこから来るのか、次は、それについて考えていきたいと思います。
生物は、生きていく限り、何らかの行動を決めないといけません。
行動を決めるのが思考です。
考えるというのは、行動を決定するプログラムとも言えます。

じゃぁ、行動を決める要因とは何でしょう。
その一つは感情です。
たとえば、恐怖って感情は、逃げるって行動を決定します。

つまり、感情は、行動の指針となるわけです。
感情が出れば、逃げるべきか、近づくべきかって行動を決定できます。
だから、行動するための感情を探し出すっていうのが思考のプログラムです。

エアコンがない倉庫で従業員が倒れるときいて、「かわいそう」と思ってエアコンをすぐに入れるのも、思考プログラムの結論です。
「かわいそう」っていう感情を感じたからです。
これは従業員への共感から生まれました。

でも、もし、その感情を感じなかったらどうなるでしょう?
そこで思考を止めないで、もっと他にいい方法があるかもって探しますよね。
感情が出て、そこで止まるんじゃなくて、最適解を探せるのがサイコパスです。
だから、救急車を待機させた方が、コストを抑えて、倉庫の運営を続けることができるぞって回答を出せるんです。

まぁ、これはやりすぎかもしれませんけど、投資家に共感して、配当を出してたら、今のアマゾンはなかったでしょう。
従業員をねぎらってボーナスを出してたから、シャープは台湾の会社に乗っ取られたわけです。
最近だと、ツイッターは、イーロン・マスクが買収して、従業員を7500人から1800人に減らしました。
なんでこうなったかというと、イーロン・マスクが問題じゃないですよ。
前経営陣が、このままじゃ会社を運営できないって投げ出したのが原因です。
なんで会社を運営できなかったかというと、開発者を雇いすぎたからです。
雇い過ぎたとわかったら、その時点で解雇すればよかったのに、それができなかったからこうなったわけです。
これがすべての原因です。
だから、手遅れにならないように、普段から、無能な社員をあぶりだして辞めさせる必要があるんです。
だから、スティーブ・ジョブズもイーロンマスクも、エレベータや廊下で会った社員の能力を試してたんです。

社会を動かすような人は、脳の行動決定のプログラムに違いがあるわけです。
それは、感情に流されず、合理的な意思決定ができる脳です。
そして、それができるのが、共感力が極端に低いサイコパスというわけです。

それから、サイコパスの特徴にカリスマ性ってありますよね。
カリスマ性がある人が、「俺が世界を変えてみせる」とかって言えば、大衆は熱狂してついていくわけです。

普通の人は、こういうセリフって、なかなか言えないですよね。
僕も、そういうセリフを言おうとするんですけど、つい、半笑いになってしまうんですよ。
社員から、「そこは笑ったらあかん」って言われるんですけど、関西人には無理です。
心の中で、「よう言うわ」ってツッコミが聞こえてくるんですよ。
これも、聞き手への一種の共感ですよね。
サイコパスは、そんなツッコミが一切聞こえないから、堂々といえるんでしょう。
だから、大衆は魅かれるんです。
それがカリスマです。

そこで、今日は、僕も真顔で言いますよ。
最後のキメ顔は、カリスマ性をだしますよ。
じゃぁ、行きますよ。
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それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!