第360回 スピリチュアルズ 「わたし」の謎5 〜自由意志は筋肉だ!


ロボマインド・プロジェクト、第360弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

運ってありますよね。
運って使うと無くなるんでしょうか?
ラッキーなことが起こると、「あぁ、こんなとこで運を使ってしまった」って言ったりしますよね。
それは、運の総量が決まってるって考えてるからです。
別の考えとして、運のいい人と、運の悪い人がいるってのもありますよね。
これも、分からないでもないです。

まぁ、どっちが正解かなんて、本当はないですけどね。
なんでかって言うと、運っていうのは、科学で扱えないからです。
運のエネルギー量を量ったりなんかできません。

今回の話は、運の話じゃないです。
このチャンネルで何度も取り上げている自由意志の話です。
科学者の中には、自由意志なんて存在しないっていう意見が多いです。
自由意志は幻想だってのがその人たちの意見です。
我々は自由意志があると思わされてるだけだそうです。
ただ、自由意志がないって意見に関して、僕は、今まで納得できる説明は聞いたことがないです。
なので、僕は、自由意志は存在する派です。
どうやって、自由意志が生まれるかの詳細な仕組みも提案しています。
詳しくは、たとえば、第344回の「次世代AIの提言」の動画とか見てもらえれば分かると思います。

ただ、僕の理論も、科学で証明できるかっていうと、そういうわけじゃありません。
自由意志に限らないですけど、意識とか、主観とか、心を扱うとき、どうしても問題となるのが、科学じゃ扱えないってことです。
意志とか意識とかって、それを感じてるのは本人だけです。
客観的に証明できません。
だから、あるかないか分からないと言われたら、反論できないんですよ。

ところが、最近、紹介してる橘玲の『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』の本に、興味深い実験が出てきたんですよ。
自由意志は、筋肉と同じだってことを証明する実験です。
自由意志のエネルギーの測定に成功したっていうんです。
これが今回のテーマです。
自由意志は筋肉だ!
それから、今回の動画の最後で、ロボマインド社の株の売り出しの話をします。
ぜひ、最後まで聞いてください。
それでは、始めましょう!

アメリカの心理学者、ロイ・バウマイスターは、こんな実験をしました。
学生たちに、食事を抜いてくるようにと指示をして実験室に集めます。
各自、テーブルに着くと、目の前に、2枚のお皿が置かれています。
1枚のお皿には、焼きあがったばかりの美味しそうなクッキーが載っています。
もう一枚のお皿には、ラディッシュが載ってます。

(これがロボマインド株ね🤫)

お腹を空かした学生たちは二つのグループに分けられます。
一つのグループは、クッキーを、もう一つのグループはラディッシュだけを食べるように指示します。
決して、指示されたもの以外を食べてはいけないって念を押します。
その上で、研究者はわざと席を外して、隠し窓から様子を伺います。

すると、ラディッシュグループは、懸命に誘惑と戦っていました。
美味しそうなクッキーを見つめたり、それだけじゃなくて、中には手に取って、匂いをかぐ学生もいたそうです。
まぁ、学生ってそんなもんです。
でも、盗み食いする人はいませんでした。

さて、こっからが実験です。
二つのグループを別の部屋に連れて行って、図形パズルを解いてもらいます。
さらに、対照群として、空腹のままの学生のグループも追加しました。
解いてもらうパズルというのは、じつは、解けないパズルです。
テストの目的は、忍耐力を調べることです。
つまり、あきらめずに、何分間パズルに取り組むかを調べたんです。

結果はというと、クッキーを食べたグループは、平均して、20分間、パズルに取り組みました。
お腹が空いただけのグループも、ほぼ同じでした。
ところが、ラディッシュグループはというと、なんと、平均8分でパズルを解くのをあきらめたんです。
さて、これはどういうことでしょう?

ここで、脳の仕組みを説明しておきます。
盲視という障害があります。
これは、眼球でなくて、脳が損傷して見えなくなる障害です。

盲視の人に、リンゴを見せて、「何か分かりますか?」って質問します。
すると、当たり前ですけど、「見えないので分かりません」って答えます。
次に、黒板をレーザーポインターで示して、「光の点を指差してください」って言います。
これも、当然、「見えないので、わかりません」って答えます。
そこで、「あてずっぽうでいいので、指差してください」って言います。
すると、なんと、ちゃんと指差しできるんです。
本人に「なんでわかったんですか?」って聞いても、「自分でもわからない。本当にあてずっぽうなんです」って言います。

なんでこんなことが起こったかって言うと、脳のどこが損傷したかを考えるとわかります。

目からの情報は、まずは、後頭部の一次視覚野に送られます。
視覚情報は、上に向かう背側視覚路と、側頭葉に向かう腹側視覚路の二つに分かれます。
背側視覚路は、「どこの経路」ともいわれて、位置や動きを分析する経路です。
腹側視覚路は、「何の経路」といわれて、色や形を分析する経路です。
そして、盲視患者は、何の経路が損傷していて、どこの経路だけが生きてたんです。
だから、光の点の位置を指差しできたんです。
でも、何の経路が損傷してたので、自分が何を見てるのか答えられなかったんです。

さて、ものを見てるって思うのは、意識ですよね。
だから、何の経路が損傷すると、意識に上らないんです。
でも、指差しはできましたよね。
つまり、意識がなくても、外部環境に応答する行動はできるってことです。
それから、何の経路より、どこの経路の方が進化的に古いってこともわかっています。
つまり、進化的に古い生物は、どこの経路だけを使って、外部環境に反応して生きてるんです。
逆に言えば、意識を持ってなくても、環境に反応して生きることができるんです。

僕の考えでは、魚やカエルは、意識をもってなくて、外部環境に反応して生きてるだけです。
意識を持つのは哺乳類からだと思っています。

さて、生物の行動のきっかけは、感情とか感覚、欲求です。
空腹を感じたら、何かを食べようと行動します。
カエルは、空腹を感じてるとき、目の前に虫がいれば、捕まえて食べます。
これは意識がなくてもできる行動です。

意識を持つようになると、目の前のものが何かを認識できるようになります。
つまり、反応してすぐに行動するんじゃなくて、ものの認識と、行動を分離できるようになります。
じゃぁ、認識と行動を分離すると、何ができるようになるんでしょう?

それは、認識した後、行動を変更できるようになるんです。
つまり、食べたいと思っても、食べるのを我慢できるようになったんです。
だから、犬は、「マテ」をしつけると、エサを目の前にして待つことができるんです。
カエルはしつけても「マテ」ができません。
意識を持つって、こういうことです。

さて、実験の話に戻ります。
クッキーを食べた学生は、パズルに20分取り組みました。
ところが、クッキーを我慢してラディッシュだけ食べた学生は8分であきらめました。
お腹を空かせた学生も20分取り組んだので、ラディッシュだと、空腹でエネルギーが足りなかったというわけではなさそうです。
ということは、どうやら、クッキーを我慢することで、何かが消費されたようです。
じゃぁ、それは、何でしょう?

哺乳類は、「何の経路」を獲得することで、食べ物の認識と、食べるって行動を分離することができました。
だから、犬は「マテ」っていわれたら、エサを目の前にして我慢できるんです。

学生もクッキーを食べたいって欲求を我慢してましたよね。
じゃぁ、その欲求はどこから出てるんでしょう。
それは脳の中の視床下部です。
ただし、意識が食べたいと感じてるとき、それは目の前のクッキーに対してです。
目の前のクッキーは、何の経路から作り出したものです。
目の前にクッキーを認識して、意識は、それを食べたいと思ってます。
これも、頭の中で作り出されたものです。
頭の中に、クッキーや、それを食べたいって欲求を作り出してるわけです。
そして、その欲求を抑える自分がいるわけです。
それも、脳内で作り出してます。
これが我慢するです。
我慢するって、脳内でかなりいろんな処理をしてるってわかりますよね。

コンピュータでたとえたら、高負荷の処理をして、メモリやCPUの使用率が100%近くになってる状態です。
消費電力も高いです。
クッキーを我慢してるとき、そういう状態になってたんです。

そして、クッキーを我慢した学生は、パズルを解くのをすぐにあきらめましたよね。
これが意味するのは、パズルを解くのと、クッキーを我慢するのが、脳の同じ処理機能を使ってるってことです。

パズルを解くとき、頭の中で図形を回転させたりして考えますよね。
解けないと、他の方法を試したりします。
解けないとあきらめたってことは、解けるまで我慢して考えるのをあきらめたわけです。
そう考えると、どちらも我慢といえます。
我慢とは、何かをしたいって欲求を意志の力で抑えることです。

この意志の力が、クッキーを我慢することで消費されたわけです。
だから、その後のパズルをすぐにあきらめたわけです。
こう考えると、意志の力って、筋肉みたいでしょ。

クッキーを食べるのを我慢したのは、たとえば、腕立て伏せをしたみたいなもんです。
その後のパズルを解くのは、懸垂です。
そりゃ、腕立て伏せで腕の筋肉を使った直後に、懸垂しろっていわれても、そんなにできないです
すぐにあきらめます。
これと一緒です。

意志って、心の作用です。
曖昧で、よくわからない心の機能です。
客観的に検証できなかったので、今まで、科学で扱えませんでした。
だから、自由意志は幻想だっていわれるんです。

それが、この実験は、意志の大きさを客観的に測定したんです。
クッキーを我慢した意志の量を、パズルを何分であきらめたかで測ることができたんです。
そう考えたら、この実験、画期的だってわかるでしょ。

意志の大きさを測ったバウマイスターは、さらに、面白い実験をしました。
今度は、実際の筋肉と比較したんです。
どういう実験かというと、まず、被験者にハンドグリップを握ってもらって、握力を測ります。

その後、ドキュメンタリー映画を見てもらいます。
それは、核廃棄物の影響で方向感覚を失ったウミガメのドキュメンタリーです。
浜辺で海を見つけられずにさまよって、最後は、前足をあてもなく動かしながら死んでいくんです。
だれもが、涙なしでは見られません。
この映画を、普通に見るグループと、感情を一切表すことを禁じたグループに分けて見てもらいます。

そうしたら、普通に見たグループは、見た前後で握力に違いはありませんでした。
ところが、感情を禁止したグループは、握力が極端に下がったそうです。

感情をこらえるってことは、無意識からの欲求を意志の力で我慢したわけです。
ここで、意志の力を消費したわけです。
だから、握力も低下したんです。

これもスゴイ実験ですよね。
だって、握力は物理的な大きさです。
消費したのは何キロカロリーとかって数字で出せます。
今、我慢した悲しみの大きさは300キロカロリーとかって言えるんですよ。

意志とか、主観でしか感じれなかったものが、客観的な物理量で測定できるようになったんです。
つまり、自由意志は幻想じゃないってことです。
何キロカロリーとかって測定できるし、使ったら減る実体のあるエネルギーなんですよ。
心って、実体があって、動くと、確実にエネルギーを消費するものなんですよ。

心が、どんなふうに動くのか、そのメカニズムに興味がある方は、第344回の「次世代AIの提言」で詳しく解説してるので、よかったら見てください。

はい、今日の話はここまでです。
面白かったら、チャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、クラウドファンディングは、あと少しで終わりです。

実は今、ロボマインドの株を売らないかって話が出ています。
まだ本決まりじゃないですけど、実際に決まったら、今回のクラウドファンディングで支援してくれた人から優先して案内することになります。
応募者が多い場合は、支援額が多い人から案内することになります。
もし、ロボマインドの株を持ちたいって思ってる人は、まずは、今回のクラウドファンディングの支援からお願します。

それでは、次回も、おっ楽しみに!