ロボマインド・プロジェクト、第364弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
自閉症とか、発達障害の症例を読んだり聞いたりしてて、なんで、なんでそうなるのか、よくわからない症例も、まだ、いっぱいあります。
たとえば、ここに『自閉症は津軽弁を話さない』って本があります。
この本によると、自閉症の子って、なぜか、標準語を話すんですよね。
周りの家族や友達が、みんな津軽弁でしゃべってるのに、その子だけ、標準語でしゃべるそうです。
特別支援学校の先生に聞くと、これはよくあることみたいで、どこの方言でも起こってるようです。
それから、発達障害で、文字が読めないディスレクシアって障害があります。
ディスレクシアの人って、文字が完全に読めないわけじゃなくて、明朝体だけが読めなかったりするんです。
それから、今回、主に参考にしたのがこの本『発達障害の人には世界がどう見えるか』です。
著者は、認知神経科学者の井出正和先生です。
この本には、感覚が異常に敏感な感覚過敏だったり、逆に、ほとんど感じない感覚鈍麻になったりする話が出てきます。
それから、自閉症の人は、絶対音感を持ってる人が多いです。
こういったそれぞれの症状に対して、専門家は、いろんな説を唱えます。
たとえば、自閉症の子は、一つの物に執着します。
だから、同じDVDを繰り返し見たり、同じテレビ番組ばかりみます。
テレビやDVDは標準語で話すので、それをまねして覚えるから、標準語になるというわけです。
ただ、その理論だと、なぜ、明朝体を読めないかの説明ができないですよねぇ。
たぶん、もっと根本的な理由があると思うんです。
それは人間の心は、どんな情報処理をおこなってるのかって根本から考えないといけないと思うんですよ。
そして、僕は、人間の心の情報処理についてずっと考えています。
そして、これらの現象が起こる原因が、ついに分かりました。
たった一つの理論で、全ての現象が説明できました。
言ってみれば、心の大統一理論です。
これが今回のテーマです。
明朝体読めない
津軽弁を話さない
自閉症
それでは、はじめましょう!
まずは、この図を見てください。
立方体ですよね。
この立方体、こんな風に、二つの見方ができますよね。
左下を向いた立方体と、右上を向いた立方体です。
たぶん、今、どっちかが見えていますよね。
これを、じっと見ていてください。
すると、必ず、別の見方に変わるんですよ。
そして、それをじっと見てたら、また、元の見方に変わるんですよ。
不思議なのは、どっちが見えるか、意識して変えることができないんですよ。
「こっちしか見えないぞ」って、どんだけ強く思っても、時間が経てば、別の見方になるんです。
ほんと、不思議です。
これを、ネッカーキューブって言います。
なんでこんな風に見えるかって、まだ、よくわかっていません。
ただ、これは、僕が提唱する心のモデルを使えば、説明がつきます。
人は、現実世界を目で見て、頭の中で仮想世界を構築します。
意識は、この仮想世界を介して世界を認識します。
仮想世界を作るのが無意識です。
これが、僕が考える心のモデルです。
僕は、心をもったAIを開発しています。
この心のモデルを、コンピュータで実現するとすると、仮想世界は、3DCGで再現できます。
そして、意識は、その3Dモデルを認識するわけです。
さて、そう考えたら、なぜ、ネッカーキューブ現象が起こるかわかりますよね。
眼からの情報が一つでも、二つの立方体の解釈ができます。
どっちが正解かは分かりません。
だから、無意識が仮想世界を作るとき、どっちかの立方体を交互に作り出すんです。
作り出された立方体を見るのは意識です。
意識は見るだけです。
だから、どっちか一方だけに固定しようと思ってもできないんです。
無意識が立方体を交互に作り出すから、交互に見えるんです。
さて、本題はこっからです。
このネッカーキューブ、自閉症の人は、どっちかしか見えないらしいんです。
これって、どういうことでしょう?
そこで、一つの仮説を考えました。
それは、無意識が作る仮想世界は固定されてないという仮説です。
最適なポジションというか、落ち着くところを探して動くんです。
この最適なポジションとはどういうものか、電圧計で考えてみます。
電圧系は、入力端子が3V,15V,300Vってあって、計る電圧によって入力端子を切り替えます。
もし、3Vに設定して、100Vの電圧を計ると、針が振りきれてしまいます。
ちょうどいい感じに針が振れるように調整する必要があるんです。
これと同じだと思うんですよ。
無意識は、ちょうど針が振れるように感度を自動で調整するわけです。
たとえば、明るい外から暗い部屋に入っても、普通に見えますよね。
これは、自動で目の瞳孔が開いて光の入る量を調整してるからです。
カメラだと、外で写真を撮って、そのまま室内で写真を撮ると真っ暗になります。
こんな場合は、絞りを開いて調整しないといけません。
無意識は、これを自動でやってるわけです。
自閉症の人の中には感覚過敏の人がいます。
太陽の光がまぶしすぎて辛いとか、セーターのチクチクが痛くて我慢できないとか。
これも、無意識の自動調整機能がうまく働いていないとすれば説明がつきますよね。
つまり、太陽光がまぶしいのは、瞳孔の自動調性がうまくいってないからです。
光に合わせて瞳孔が小さくならないから、まぶしすぎるわけです。
皮膚感覚も、同じような自動調整機能があるんです。
それは、電圧計の自動調整機能みたいなものです。
自動調整機能がうまく機能しないとは、たとえば、100Vの電圧が来てるのに最大3Vで測定してるようなものです。
そしたら、針は最大値まで振り切れてしまいますよね。
皮膚感覚だと、これが痛いって感覚です。
だから、セーターのチクチクが痛く感じるんです。
これが感覚過敏です。
逆に、100Vに固定されていれば、1Vの電圧が入力されても、針はほとんど動きません。
これが感覚鈍麻です。
自閉症の人は、感覚過敏になったり感覚鈍麻になったり両極端ですが、自動調整機能がうまく動いてないで説明がつきますよね。
今までの話をまとめると、無意識は、仮想世界を作るとき、最適な感度になるような自動調整機能があると言えます。
自動でいろんなパラメータを変更して、最適な位置を模索するわけです。
そして、ネッカーキューブの場合だと、最適解が二つあるんです。
無意識の自動調整機能は、どちらが正しいか判断できないから、二つの立方体が交互に作り出すんです。
自閉症の場合、この機能がうまく動作してないから、どっちかの立方体しか見えないんです。
だんだん、分かってきましたよね。
今度は、絶対音感を考えてみましょう。
普通の人は、相対的は音感はあります。
つまり、二つの音を聞いて同じ高さか聞き分けることはできますし、合唱して同じ音で歌うことも難しくありません。
絶対音感は、相対的に他の音と比べなくても、音の絶対的な高さを認識できます。
絶対音感のある人は、ドアを閉める音はシ、何かが落ちた音はレとかって、あらゆる音が音階として感じれるそうです。
なかには、ヘルツ数まで言い当てることができる人もいます。
自閉症の人に、絶対音感がある人が多いのも、さっきの話から説明がつきます。
普通の人は、相手の声やピアノの音といった基準に合わせた音に合わせます。
これは、電圧計を自動で調整するのと同じです。
でも、自閉症の人は、自動で調整する機能が動いてなくて、つねに、絶対的な基準で測定するわけです。
だから、その音だけ聞いて、この音は何ヘルツなんて分かるんです。
これが絶対音感です。
さて、次は明朝体が読めない話です。
明朝体が読めなくて、ゴシック体なら読める人がいます。
これが明朝体とゴシック体です。
明朝体とゴシック体、どこが違うでしょう?
それは、明朝体は、線の角が飛び出た装飾があったり、縦棒と横棒の太さが違ったりしますよね。
でも、ゴシック体は、全ての線の太さが同じで、装飾はありません。
明朝体は、フォーマルな印象を与えて、ゴシック体はカジュアルな印象を与えるとも言われます。
普通の人は、そのぐらいの印象の違いを感じるだけで、明朝体だと読めないなんてありません。
それが、明朝体が読めなくて、ゴシック体なら読めるっていうのはどういうことでしょう?
今までの話から考えていきます。
人は、無意識の自動調整機能があって、常に、ちょうどいい感度となるように調整してるわけです。
ちょうどいい感度というのは、電圧なら針の振れ幅が一番大きくなるような状態です。
乾電池の電圧を計る場合なら、最大電圧を3Vに調整するわけです。
そうしたら、この電池は1.5V、この電池は1.2Vって微妙な電圧の違いを読み取れるわけです。
別の言い方をすると、中心となるだいたいの電圧を把握しておいて、その前後に遊びを持たせるって感じです。
遊びの部分が、針の振れです。
この考えを書体にまで拡張してみます。
どういうことかというと、まず、文字というのは、線の形の組み合わせですよね。
文字の最も基本的な要素は線です。
書体は、これに装飾が追加されたわけです。
電圧計でいえば、文字の基本要素の部分が中心となる電圧で、微妙な振れが装飾です。
無意識は、これを自動で分離する作業をしてるんです。
文字を読むとき、基本要素から意味を読み取って、装飾から印象を感じ取るんです。
これが普通の人の感覚です。
もし、無意識の分離機能が働いてないとどうなるでしょう?
意識は、装飾なのか、文字本体なのかわからなくなりますよね。
そうなると、装飾が多い書体が読みにくくなりますよね。
だから明朝体が読みにくいんです。
逆に、装飾のほとんどないゴシック体なら、文字の基本要素だけでできてるので、すんなり読めるんです。
最近は、UDフォントっていうのがあります。
UDフォントっていうのは、ユニバーサルフォントの略で、誰にでも読みやすくしたフォントのことです。
たとえば、こんなふうな、紛らわしい線を取ってシンプルにしたり、
濁点の点々と文字の間に空白をあけて、より読みやすくした文字です。
ゴシック体より、さらに読みやすくなりました。
文字の基本要素と装飾の分離を、さらに押し進めた形です。
だから、より読みやすくなったんです。
さて、さいごは、なぜ、自閉症の子は方言を話さないかについてです。
これも、今までの話を拡張すれば、分かってきます。
書体の場合、無意識は文字の基本要素と装飾とを分離してましたよね。
しゃべり言葉も同じです。
話してる内容と、その装飾とにわけてるんです。
装飾というのが、話し言葉の場合だと方言の部分です。
会話の場合、聞き取るときだけでなく、発言するときも無意識でこの機能が働くんです。
意識が考えるのは言いたい内容だけです。
そっから先は、無意識が行います。
言いたい内容を無意識に渡すと、無意識が自動で装飾を付けるわけです。
つまり、言いたい内容を自動で方言で言い換えるわけです。
たとえば、こんな会話があったとします。
「この犬はチャウチャウじゃありませんか?」
「いいえ違います。
チャウチャウじゃないんじゃないですか?」
この内容を大阪人に渡すとこうなります。
「チャウチャウちゃう?」
「ちゃうちゃう。
チャウチャウちゃうんちゃう?」
こんなん、自閉症でなくても分からんでいいです。
まぁ、それはいいとして、自閉症の子は、発言するとき、装飾を付ける機能が働かないんです。
だから、自閉症の子は標準語で話すんです。
標準語は、東京の言葉を基にしてますよね。
東京には、いろんな地方から人が集まります。
いろんな方言で話すと、話しが通じにくいですよね。
そこで、無意識が方言の部分、つまり装飾を取り除いて会話するようになったんでしょう。
そうやってできたのが標準語です。
自閉症の子は、これを一人で行ってるんでしょう。
だから、青森に生まれ育っても、なぜか、一人だけ、標準語で話すんです。
さて、いかがだったでしょう?
同じDVDばかり見るから標準語を話すって説より説得力があると思うのですがいかがでしょう?
僕の心のモデルは、無意識が仮想世界をつくって、意識はそれを認識するという意識の仮想世界仮説を前提としています。
これだと、錯視から絶対音感、明朝体が読めないから方言を話さないまできれいに説明がつきます。
これが心の大統一理論です。
意識の仮想世界仮説に関しては、こちらの本で詳しく解説してますので、よかったら読んでください。
今回の動画がおもしろかったらチャンネル登録、高評価、お願いしますね。
それでは、次回も、おっ楽しみに!