ロボマインド・プロジェクト、第39弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。
さて、今、あなたはYouTubeを見てますよね。
これ、自分で見ようと思って決めたんですよね。
もしかしたら、このYouTubeを見た方がいいって勧められたのかもしれません。
それでも、見るか見ないかを決めたのはあなた自身です。
これが自由意志です。
たとえ、このYouTubeを見ないと殺すと脅されたとしても、見ないという選択をすることができます。
自分の行動を最終的に決めることができるのは自分だけです。
これが自由意志です。
ところが、この自由意志は存在しないって考えがあります。
それどころか、科学者の半分以上は自由意志が存在しないって意見だそうです。
いったい、それは、どういうことでしょう?
その一つの根拠は、物理法則です。
この現実世界に存在するものは、全て、物理法則に従って動いています。
たとえば、ビリヤードを考えてみましょう。
最初の玉が当たる位置と速度によって、その後の全ての玉の動きが決まるとは言えます。
ということは、最初の球が打ち出された瞬間に、既に、どの玉がどう動くか決まっているわけです。
これを、宇宙全体に置き換えてみましょう。
宇宙の始まりはビックバンです。
ということは、ビックバンが爆発した瞬間には、その後の宇宙の全てが決まっていると言えるわけです。
全てが決まっているということは、あなたの運命も、宇宙が始まったときには、既に、決まっていたということです。
いつ生まれて、どこの学校に行って、何の仕事をして、誰と結婚して、いつ死ぬか。
それがすべて、あなたが生まれる前から決まっていたわけです。
ねっ、自由意志なんかないでしょ。
頑張って勉強して、受かるかどうかドキドキした受験も、受ける前から結果は決まってたわけです。
勉強をサボったから第一志望の学校に落ちたんじゃなくて、勉強をサボることは生まれる前から決まってたわけです。
でも、勉強をサボるかどうか、それを決めたのは自分の頭だって思うでしょ。
でも、自分の行動を決めた脳細胞の動きもすべて物理法則に従うわけです。
あなたが勉強サボろうって思う脳細胞の動きは、ビックバンが爆発した時に、既に決まってたわけです。
なんか、一気にやる気がなくなりますよね。
でも、安心してください。
これには、強力な反論があるんです。
それは量子力学です。
量子というのは、ビリヤードの玉とは、全く違うんです。
位置や速度が決めれないんです。
どういうことかと言うと、その位置に存在するかどうかは確率でしか言えないんです。
この位置にいる確率は10%、この位置にいる確率は20%とか。
量子の世界はサイコロと同じでといえます。
この世の全ての物質は量子でできています。
この世を成り立たせているのは量子です。
だから、この世で起こること全ては、確率的にしか言えないわけなんです。
これで安心しましたよね。
受験に落ちるか受かるかは、最初からきまってるわけじゃないんですよ。
確率でしか言えないんですよ。
でも、ちょっと待ってください。
今、問題にしてるのは、自由意志があるかないかですよね。
脳細胞の動きが確率で決まるとしましょう。
確率で決まった脳細胞の動きにしたがって行動するわけです。
つまり、サイコロを振った結果で、自分の行動が決まるわけです。
あれ、それって、自分で行動をきめてないんちゃいます。
サイコロの出た目の通りに進んでるだけちゃいますの。
それって、人生ゲームといっしょやん。
自由意志って、やっぱりないやん。
そうなりますよね。
さて、本当に自由意志は存在しないのでしょうか?
意識は自由意志じゃないんでしょうか?
もう少し、深くさぐってみましょう。
第一回「解決、谷村ノート 物理学 vs 哲学」で、意識はソフトウェアだと言いました。
このことを、もう少し分かりやすく説明します。
ソフトウェアより、もっと分かりやすく説明するとすれば、映画です。
映画って、映写機でスクリーンに投影しますよね。
これは物理世界です。
映画は、スターウォーズでも、君の名は。でも、なんでもいいです。
映画の中身は、スクリーンの中で展開されますよね。
宇宙船が飛んだり、恋したり。
映画の中の世界は、この現実世界の影響を受けません。
映写機やスクリーンが変わったからと言って、映画のストーリーが変わることはないです。
当たり前の話ですけど。
映画の中の世界と、現実世界とは縁が切れてるわけです。
意識が認識する世界と、現実世界の関係も、これに近い関係にあります。
意識が認識する世界は仮想世界です。
詳しくは、第21回「意識の仮想世界仮説」を見てください。
簡単に説明すると、現実世界そのものを、バーチャルで創りあげて、意識は、それを認識しているわけです。
今見てるこの部屋も、3DCGで再構築してるわけです。
意識は、現実世界を直接認識するのでなく、仮想世界を認識するわけです。
つまり、仮想世界は、現実の物理世界とは切り離されてるわけです。
ということは、物理世界の影響を受けないということです。
つまり、物理世界とは独立した世界で、考え、行動を決めるわけです。
これなら、自由意志で行動を決定してるっていってもいいんじゃないでしょうか。
やっぱり、自由意志があるみたいです。
それでも、まだ、自由意志はないという意見があります。
仮想世界を使った意識の仕組み、これはコンピュータプログラムで実装できます。
つまり、プログラムです。
プログラムで行動を決定してるわけです。
それって、自由意志っていえるんでしょうか?
つまり、プログラムで決められた行動してるだけやん?
それって、自由意志じゃないやん。
ってなるわけです。
さぁ、これはどうでしょう?
もう少し考えてみましょう。
たとえば、受験勉強してて、マンガ読みたいって誘惑に駆られたとします。
マンガを読むか、もうちょっと、勉強しようかって、葛藤したとしましょ。
これ、短絡的な欲求を求めるか、長期の目標にむけて我慢するかの葛藤の心理パターンです。
心理パターンというのは、意識が行動を決定するのに使うものです。
詳しくは、第13回「好かれるAI、嫌われるAI」をご覧ください。
さて、葛藤のパターンです。
マンガを読むか、勉強を続けるか、どちらを選ぶかは、その人の性格によって決まりますよね。
たぶん、気持ちの弱さみたいなパラメータがあって、その値で我慢強い性格になったり、誘惑に負けやすい性格になったりするわけです。
そのパラメータは、それまでの人生経験だとか、家庭環境だとか、そんなのによっても変わりそうです。
快楽とか苦痛とか、これらはクオリアです。
クオリアについては、第30回~第34回の「クオリアってなんだ?」を見てください。
意識が認識するあらゆるものはクオリアです。
苦しさも楽しさもクオリアです。
また、考えるということは、もし、こうしたらこうなるだろうとか、将来を予測することでもあります。
今の苦しさを感じながらも、もし、勉強をサボって受験に失敗したら、もっと苦しくなるとか。
我慢してもうちょっと勉強したら、志望校に合格する明るい未来を予測するとか。
そんなことを考えて、マンガ読みたいけど、問題集のここまで終わらせてからにしよって。
そんな風に頑張ることができるわけです。
これも、プログラムに従って動いてるだけといえば、そのとおりです。
でも、これが自由意志じゃなければ、じゃぁ、何が、自由意志っていうんでしょう?
これは、もう、自由意志っていってもいいんじゃないでしょうか?
人間には、自由意志がある。
はい、これで決まりでいいですよね。
ところが、今度は、全く別のところから、自由意志が存在しないって話がでてきたんですよ。
今度は、脳科学の実験です。
今度の敵は、厄介です。
だれが行っても、同じ結果となる科学実験で証明されてるわけですから。
最初の発見者の名前をとって、リベットの実験と呼ばれています。
次回は、この強敵、リベットの実験の話をしたいと思います。
果たして、自由意志は本当にあるのか、ないのか。
どうなんでしょうね。
それから、質問、感想などありましたら、気軽にコメントしてください。
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それでは、次回も、お楽しみに!