第41回 自由意志は存在するか? ③ 〜リベットの実験を意識の仮想世界仮説で読み解く


ロボマインド・プロジェクト、第41弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。

さて、リベットの実験の続きです。
発表から40年近く経っても、いまだ謎が解明されてないリベットの実験。
人間には、自由意志が存在しないって結果です。
つまり、人間は、誰かに操られてるってわけです。

今回は、この謎を解明していきます。
今回は、宇宙人とか、シミュレーション仮説とか使わないでいきますよ。

リベットの実験については、前回の第40回「自由意志は存在するか?②」を見ておいてほしんですけども、簡単に、おさらいしておきます。

実験は、好きな時に好きなタイミングで手首を動かしてくださいって被験者に言っておきます。
これが、その時の脳波のグラフです。
この0の位置で、実際に手首が曲がり始めました。
そして、この赤で示した位置が、被験者が「今、曲げるぞ」って思った位置です。
実際に手首が曲がる200ミリ秒前でした。
問題は、これです。
「今、曲げるぞ」って思うより300ミリ秒前から、脳波が出てるんです。

全てのスタートは、「今、曲げるぞ」って思った瞬間のはずです。
「今、曲げるぞ」って思ったのは、自由意志です。
でも、その前から脳波が出てるんです。
ほんで、その脳波をうけて、「今、動かそう」って思ったわけです。
つまり、何者かに、「今動けって思え」って思わされてるってわけです。
これって、自由意志なんかないってことですよね。
これがリベットの実験です。

今回の「自由意志シリーズ」の第一回で言いましたけど、現在の科学者の半分以上は、人間には自由意志が存在しないと思っています。
あたかも、自由意志で行動してると思うのは、行動した後から、自由意志で行動したと思わされてるだけだそうです。
正直、そんなの、説明になってないと思うんですけど、その根拠の一つに、リベットの実験があるのは、間違いないようです。

さて、このリベットの実験ですけど、僕の提唱する意識の仮想世界仮説を使えば、きれいに説明がつくんです。
詳しくは、第21回「意識の仮想世界仮説」を見ていただくのが一番いいんですけど、今回は、ここがキモになるんで、ちょっと詳しく説明しますね。

意識の仮想世界仮説というのは、今、見て、感じてるこの世界は、頭の中で組み立てた仮想世界だっていう仮説です。

今、見ている光景って、目の網膜に映った映像ですよね。
目の網膜に映った映像、それこそが、現実世界を直接捉えた物です。
ところがですよ、網膜ではっきり捉えれる範囲って、どれくらいか知ってます?
実はね、角度にして1度、だいたい、手を伸ばしたときの親指の爪ぐらいしかないんですよ。
じゃぁ、何で全体がはっきりみれるかっていうと、サッカードとか言って、眼球が高速で動いているからだそうです。

たとえば、この部屋が真っ暗だったとしましょ。
そして、小さい懐中電灯で照らすと、そこだけ丸く浮かび上がりますよね。
その丸い光を高速で動かして、見えた部分を頭の中でつなぎ合わせれば、ここに、こんなホワイトボードがあるんじゃないかなって、想像はつきます。

でも、僕らはそんな風には見えてないですよね。
一度に、ホワイトボード全体がはっきりと見えますよね。
なぜでしょう?

それは、完成した仮想世界を見てるからです。
舞台とか作る美術さんみたいなのがいて、その美術さんが、網膜に映った画像を基にして必死で世界をつくってるわけです。
美術さんの使命は、意識さんに、完璧な世界を提供することです。

そんな美術さん、本当にいるんでしょうか?
それでは、その証拠をお見せしましょう。

目には、盲点っていうのがあります。
目の視細胞は網膜の中央だけなくて、その位置だけ、実は見えないんです。
普段は、目を動かしたりしてるから気づかないだけです。

この盲点、実は、簡単に確認できます。
こんな図を使って、右目をつむって左目だけで黒い点をみます。
そして、こんな風に紙を前後すると、十字が消えるんです。

なんで十字が消えたんでしょう?
それは、美術さんが消したからです。

美術さんの使命は、意識さんに完璧な世界を見せることです。
網膜の映像に穴があったからと言って、その部分だけ世界をつくらなかったらどうでしょう?
世界に穴があいてしまいますよね。
そんなん見たら、意識さん、びっくりしてしまいますよね。
「なっ、なんじゃこりゃ!」ってなりますわ。

そんなことなったら美術さん、失格です。
だから、意識さんに気づかれんうちに、「あ~、ヤバい、ヤバい」とか言って、急いで穴を埋めるんですわ。
でも、美術さんも、そこに十字が書いてあるなんかわからないんで、とりあえず、まわりと同じ色で穴を塞ぐわけです。
だから、十字が消えたわけです。

これが、今、見えてる世界の裏側で行われてることです。

もうちょっと説明しましょう。
たとえば、花火です。
花火って、遠くで見たら、花火が開いてから、ドーンって音が来ますよね。
近くで見ると、花火が開くのと音は同時ですよね。
これ、近いから同時に聞こえるわけじゃないんですよ。
人間の耳の精度って、結構高くて、数mも離れたら、その違いを聞き分けられるぐらいなんです。
花火を近くで見たと言っても、100mは離れてますよね。
そんなに離れたら、間違いなく、音と光がずれて感じるはずなんですけど、そうはならないですよね。
ここでも、美術さんが活躍してるわけです。

花火の映像と、ドーンて音がバラバラに届いても、世界を創る時、音と映像を同期させて見せてるわけです。
僕らが、普段、見てる世界、どうやって作られてるか、分かってきましたか?

僕らが見てる世界は、美術さんが必死に作った仮想世界なんですよ。
僕らが認識する、その一瞬前に、ギリギリ完成したハリボテの世界です。
僕が、今、ぱって、振り向くでしょ。
そしたら、
「あぁ、そっちまだやねん!」
って美術さんが走り回って、僕が認識する直前に、このホワイトボードは完成したんですよ。

これが、意識が世界を認識する仕組みです。
なんで、こんな面倒な仕組みになってるんでしょう?
いったい、誰が得するんでしょう?

そのヒントは、意識と無意識の違いにあります。
第35回、36回の「考えるってどういうこと」で意識の特徴を説明しましたけど、覚えていますか?

意識は考えることができるっていいました。
具体的に言うと、選択が意識の仕事です。
逆に言うと、無意識は選択ができません。

例を挙げると、車の運転は、ある程度は無意識でできます。
高速道路で前の車と一定の車間を開けるとか、車線に沿って走行するとかです。
そう言ったことは、無意識でできます。

でも、道が分かれていて右に行くか、左に行くかを選択しないといけないとき。
これは無意識ではできません。
意識の仕事は選択です。
そのためには、状況を正確に把握しないといけません。
世界を間違って認識してたら、正しい判断ができないですよね。

たとえば、10m先で交通事故が起こったとしましょ。
ぶつかった光景と、ドーンって音が同時じゃなかったら、別の事故があったんかなと思ってしまいますよね。

映像の後から音が来ても、現実世界では、映像と同時に発生してるはずです。
だから、美術さんは、音と映像のタイミングを合わせて、仮想世界を創るわけです。

意識さんが困らないように。
意識さんが迷わないように。
できるだけ、現実の世界に近いものを意識さんにお見せしたい。

それが美術さんの思いですよ。
けなげじゃないですか。

今見てる世界のこと、少しずつわかってきましたよね。
厳密にセンサー入力だけに頼ると、世界を正確に認識できないわけです。
できるだけ、矛盾のない世界を意識さんにお見せするために、裏で、美術さんが編集してるわけです。
音と光が一致するように、編集してるわけです。
今、世界で何が同時に怒ってるか、それを正確に意識さんに伝える手目に、タイミングを調整してるわけです。

えっ、今、何て言いました?
タイミングの調整っていいました?

今回のテーマって、何でした?
リベットの実験ですよね。

リベットの実験って、意識で思った瞬間と、脳波のタイミングが合わないって話でしたよね。
おや、美術さん。
あんた、どこまで編集してるんや?

ここらで、ちょっと、美術さんを問い詰めた方がええかもしれませんなぁ。

さて、次回は、自由意志問題、最終回です。
美術さんを呼び出して、洗いざらいしゃべってもらいましょか。

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それでは、次回をおたのしみに!