第429回 小学生でもわかる 僕らの意識はただのプログラム


ロボマインド・プロジェクト、第429弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
僕は、ずっと意識は情報だって言い続けてますけど、これがなかなか理解されないんですよ。
僕の提唱るする仮説は、僕らの意識がみてるのは仮想世界だってものです。
例として、意識は、3DCGで作られた仮想世界だって説明します。
だから、3Dゲームとかメタバースを想像しますよね。

こういうイメージは間違ってはないです。
ただ、これは外から世界を見たイメージ何ですよ。
もっといえば、世界を作ってる側の視点です。
そうじゃなくて、僕らは、メタバースを生きるAIアバターの側です。
もっといえば、AIアバターの意識プログラムです。
だから、僕らの意識を強いて映像にすればこんな感じです。

つまり、意識は、データをやり取りするだけの、ただのプログラムです。
そう言われても、よく分からないですよね。
そこで、今回は、このことをいろんな角度から、わっかりやすく説明します。
これが、今回のテーマです。
小学生でもわかる
僕らの意識はただのプログラム
それでは、始めましょう!

僕らは、じつは、二つの世界を生きてるんです。
一つは物理世界で、もう一つは情報の世界です。
僕らって言うのは、意識をもつ生命体という意味です。
そして、僕らの、今、こうして感じてる意識は情報の側にあるわけです。
意識がない方、つまり無意識が、物理世界に生きています。

よく、サーモスタットには意識があるのかって言います。
サーモスタットっていうのは、たとえばこたつで使われてて、温度変化でスイッチをオンオフする器械です。

仕組みは簡単で、二種類の金属を張り合わせたバイメタルを使ってます。
バイメタルは温度変化で反ったり伸びたりするので、これでスイッチをオンオフします。

熱いからスイッチを切ったり、寒くなったからスイッチを入れたり、これって、意識があるっていってもいいじゃないかってことです。
でも、僕は、これは意識じゃなくて無意識の処理としています。
無意識って、たとえば熱い鍋を触って思わず手を引っ込める脊髄反射とかです。
じゃぁ、意識と無意識の違いって何かわかりますか?

思わず手を引っ込めたとするでしょ。
その後、「あっつぅ」って感じたとするでしょ。
この感じてるのが意識です。
もしかしたら、「あれ、思ったほど熱くないわ」ってなるかもしれません。
つまり、熱いと感じるのが意識です。
逆に言えば、無意識は熱いと感じてないんです。
感じるんじゃなくて、物理的に動いてるだけです。

機械式時計は複雑ですけど、意識はないですよね。
歯車と歯車が物理的に接触して動いてるだけです。
じゃぁ、それと意識との違いは何でしょう?
意識と機械との違いは何でしょう?

それは、感じることができるってことです。
熱いとか痛いと感じるのが意識です。
じゃぁ、意識は何のために感じるんでしょう?

それは、行動を決めるためです。
もし、最初っから行動が決まってたら、わざわざ、痛みとか熱さを感じる必要ないですよね。
だから、サーモスタットは熱いと感じてるんじゃなくて、ただ、物理法則に従って動いてるだけです。

でも、意識の場合は、「あれ、思ったほど熱くないぞ」って思ったら、もう一回、鍋に触ってみることもできます。
「10秒触れたら100円あげる」って言われたら、熱いの我慢して10秒触るかもしれませんし、
「やっぱり無理」といって3秒であきらめるかもしれません。
これらの行動を決めてるのはすべて意識です。
意識がなかったら、環境に応じた同じ動きしかしません。
つまり、意識は行動を自分で決めることができるんです。
これのこと、何ていうかわかりますか?
それは「自由意志」です。
意識の役目は、自分の意志で行動を決定できるってことです。

自由意志の話をすると、すぐに自由意志は存在しないって言う人がでてきます。
でも、じゃんけんするとき、グーをだすか、チョキをだすかって自分で決めれるじゃないですか。
これって自由意志ですよね。

自由意志がないって言うのは、「ジャンケン」って掛け声をきいたら自動的にグーしか出せないってシステムです。
温度が上がったら自動的にスイッチを切るサーモスタットみたいなもんです。
僕らの意識は、そんなのとは違いますよね。
なぜ、僕らは自由意志がないのか、今まで、誰も納得のいく説明してくれた人はいません。
もし、説明できる人がいたらコメント欄で、ぜひ、教えてください。

さて、こっからが本題です。
意識も無意識も熱さに応じて行動しますよね。
じゃぁ、意識が扱ってる熱さと、無意識が扱ってる熱さって、何が違うんでしょう?

無意識は、物理的に動作するものでしたよね。
つまり、無意識は物理世界にいるわけです。
一方、意識が扱うのは「熱い」って感じです。
「感じ」は、必ずしも行動に直結しません。
我慢して動かないこともできますし、すぐに手を引っ込めることもできます。
つまり、意識の行動は、物理的な反応じゃないんです。
じゃぁ、何かって言うと、それは情報です。
はい、ここで情報が出てきました。

熱いって情報は、物理的な温度を表現しています。
でも、それは物理世界にあるわけじゃありません。
じゃぁ、どこにあるのかというと、それは情報世界です。
それがこの世界です。
(さっきの、マトリックスの落ちる文字)

情報世界は、物理世界を反映してますけど、直接結びついていません。
だから、熱いって温度を感じて手を引っ込めることもできるし、我慢して触ることもできるんです。
自分で決めることができます。
ただ、何でも自分で決めれるわけじゃありません。
自分で決めれるのは自分の体だけです。
行動を決めるのが意識です。

ただ、自分の体は意識だけのものじゃありません。
無意識も自分の体を制御します。
だから、脊髄反射みたいに意識とは関係なく、手を引っ込めることがあります。
これが、僕らは二つの世界を生きてるってことです。

これは、今の話をもう少し詳しく解説した図です。
脳内には、「ある系」と「反応系」の二種類の処理があります。
「反応系」というのが、脊髄反射などの無意識の処理です。
「ある系」というのが、意識の処理です。
なぜ、ある系というかというと、「ものがある」と思える処理だからです。

ある系の特徴は仮想世界です。
これは、僕が提唱する意識の仮想世界仮説に基づく考えです。
仮想世界というのは、目で見た現実世界を仮想的に構築した世界で、コンピュータなら、3DCGでつくります。
たとえば、目でリンゴを見たとき、3Dのリンゴオブジェクトを仮想世界に生成します。
意識は、このリンゴオブジェクトを認識して、「りんごがある」って思うわけです。
だから、この処理を「ある系」と呼ぶわけです。

いま、仮想世界は3DCGって言いましたけど、重要なのは、それは情報だってことです。
物理世界のリンゴを、情報としてのリンゴに変換したわけです。
たとえばお皿に載ったリンゴを見たとします。

これを二つに分けるとします。
そしたら、こんなふうにお皿とリンゴにわけますよね。
 

でも、こんな風に分けることもできますよね。

だって、目の網膜に映った画像情報は単なる色の点の集まりです。
どこで分割してもいいじゃないですか。
でも、ふつうは、リンゴとお皿にわけますよね。
ということは、意識が感じる情報は、リンゴオブジェクトとお皿オブジェクトに分けて管理されてるってことです。
じゃぁ、なんでお皿とリンゴに分けて管理するんでしょう?
それは、それが意味のまとまりだからです。

はい、いま、意味っていいましたよね。
ここに、「意味」が出てくるんです。
つまりね、意識が見てる世界は意味の世界でもあるんですよ。
逆に言えば、網膜に映る画像データは、まだ、意味を持ってないんですよ。

さっき、意識は情報の側にあるって言いましたよね。
これは、別の言い方すれば、これは意味の側にあるとも言えるんです。
もっと言えば、仮想世界というのは、意味の単位で作られてるんです。
だから、意識はリンゴと皿に分かれるんです。

仮想世界の情報を受け取って世界の意味を理解するのが意識プログラムです。
これが心のシステムです。
まとめると、心とは、世界の意味を理解するシステムといえるんです。
分かってきましたか?

リンゴオブジェクトについて考えます。
リンゴの色は赤いし、形は丸いです。
色とか形って、意味とも言えますよね。
つまり、一つのオブジェクトは複数の意味で組み立てられるわけです。
これを脳内処理で考えてみます。

目からの情報は後頭部の一次視覚野に送られて、背側視覚路と腹側視覚路の二つに分かれます。

背側視覚路というのは、頭頂葉に向かう処理経路で、位置や動きを分析するので「どこの経路」とよばれます。
腹側視覚路は、側頭葉に向かう処理経路で、色や形を分析するので「何の経路」とよばれます。
一次視覚野を損傷すると目が見えなくなります。
ところが、黒板をレーザーポインターで示して、「光点がどこにあるか指差してください」っていうと、ちゃんと指差せたりします。
「なんでわかったんですか?」って聞くと、「あてずっぽうで指差しただけです」って答えます。
本当に見えていないようなんです。
この脳障害を盲視っていいます。
盲視がなんで起こるかって言うと、一次視覚野を損傷しても、どこの経路がまだ機能してるからです。

ここで注意してほしいのは、本人も、見えてると思ってないことです。
つまり、「見える」って意識で感じないってことです。
さっきの図を思い出してください。

意識を介在せずに動作するのは反応系でしたよね。
つまり、どこの経路は「反応系」に属するわけです。
逆に言えば、何の経路は「ある系」です。

それじゃぁ、何の経路がある側頭葉ではどんな処理を行ってるんでしょう?
これは側頭葉にある脳細胞です。

側頭葉では、こんな風に十字や四角に反応する脳細胞があるわけです。
つまり、これらは形を解析するわけです。
そのほか、色や動き解析する脳細胞もあります。
言ってみれば、これが意味を構成する最低限の要素と言えます。

さらに進むと、これらの要素が組み立てられて複雑な形や動きを認識します。

たとえば青いところでは、複雑な幾何学形状の組み合わせ認識します。
赤いところでは目や鼻のパーツを組み立てた顔を認識します。
緑のところは窓や屋根を組み立てた建物を認識します。
それから、黒いところは、人の動きを認識します。
たとえば、これ見てください。

歩いてるように感じますよね。
これはこの部分が反応してるからです。
こんな複雑な動きも、単純な動きの組み合わせからなります。
単純な動きは側頭葉のMT野と言われるところで解析されます。
MT野はスムーズな動きを作り出してて、MT野が損傷すると、あらゆる動きがカクッ、カクッって風に感じるんです。

こんな風にして、基本要素で一つのオブジェクトが組み立てられます。
基本要素っていうのは、最低限の意味といってもいいです。
このオブジェクトを認識するのが意識プログラムです。
だから、リンゴを見たら、赤いとか、丸いって感じるわけです。
赤いとか、丸いが基本要素ってことです。

物理世界にあるのは網膜に映る映像ですよね。
それはただの点々の集まりで、意味を持たないです。
つまり、物理世界には意味がないんですよ。
意識が意味を感じるのは、オブジェクトを見てるからです。
なぜなら、オブジェクトは意味の最小単位で作られてるからです。
僕らは情報の側にいるっていうのは、こういうことです。

これは、視覚だけじゃないですよ。
聴覚も同じです。
たとえば、ドレミって音の基本要素を解析する脳細胞があるわけです。
さらに、基本要素を組み立ててドミソのCコードが作られます。
Cコードが心地よく感じるのは、Cコードを解析する脳細胞があるからです。

たとえば沖縄音階ってのがあります。
沖縄の音楽で使われる5音のことです。
この5音を適当に弾くと、沖縄音楽っぽく聞こえます。

この5音を解析する脳細胞って、生まれながらに持ってるわけです。
それが、生まれてから見たり経験した沖縄と結びついたから、沖縄音階を聞くと沖縄を感じるわけです。
「心とは、世界の意味を理解するシステム」とはこういうことです。

それから注意してほしいのは、音階を感じるってことは、理屈じゃないってことです。
自然と感じるわけです。
理屈っていうのは、2+3=5とかって、考えて答えが出るタイプの情報処理です。
感じるタイプの情報処理は、言葉で説明できないタイプです。
なぜかというと、意識が感じたとき、それは既に意味を成してるからです。
ドミソのCコードが心地よく感じるのに理由はないし、説明のしようがないです。

それから、もう一つ。
そういう風に感じるのは、そう感じる脳細胞があるからです。
同じ脳細胞を持ってるから、「この音の響きは心地よいよね」って理解しあえるわけです。
じゃぁ、もし、違う処理をする脳細胞があったとしたら、どうなるんでしょう?
全く別の世界を感じるんでしょうか?

はい、そうなります。
たとえば、前回、第428回で紹介した双子です。
彼らは、一瞬で数を数えれます。
床に散らばったマッチを見て、一瞬で「111」って答えます。
「なんでわかったの?」って聞くと、不思議そうな顔をして「数字が見えるから」って答えます。
その子らは、逆に、「なんで、数字が見えないの?」って思ってるんです。

たぶん、その子は、物の数を認識する脳細胞があるんでしょう。
僕らは、物の数を数えるのに、1,2,3って指差ししながら順番に数えますよね。
これは理屈の処理です。
これは、持って生まれた機能じゃなくて、あとから学習するタイプの処理です。

でも、Cコードを聞いて心地いいって感じるのは、生まれつき、そういう脳細胞があるからです。
双子はたくさんの同じ物を見たら、その数に反応する脳細胞を持ってるんでしょう。
意識は、その脳細胞が処理した結果を感じてるんです。
そのことを指して、111が見えるって言ってるんでしょう。

たとえば、僕らがリンゴをみて「形がわかりますか?」って聞かれたら、「丸い」とか「球体」って答えますよね。
それは、形を解析する脳細胞があるからですよね。
もし、形を解析する脳細胞を持ってない宇宙人がいたら、「なんで一瞬で形がわかるの?」ってなりますよね。
だって、網膜に映ってるのは点々からなる画像です。
そこには球体とかって情報はないわけです。

でも、僕らはリンゴを見て、裏もあって、全体で丸くなってるだろうなぁって思いますよね。
これ、形を解析する脳細胞を持ってない宇宙人からみたら、不思議でしかないわけです。
画像データから形を推測するには、光の反射角度とか、影とか、ものすごい複雑な計算をしないといけません。
かなり高性能の画像処理コンピュータで処理しないといけないことを、一瞬で理解するんですから、そりゃ、宇宙人もびっくりしますよね。

それからさっきの双子の能力、一瞬で数を数えるだけじゃないんですよ。
散らばったマッチをみて「111」って言った後、続けて37,37,37って言ったんです。
つまり、111を因数分解したんです。
どうも、数を数えるだけじゃなくて、因数分解する脳細胞もあるようなんです。
それだけじゃないですよ。
二人は素数を言い合うゲームをして遊ぶんです。
頭の中だけで考えて、どっちが大きい桁数の素数を言えるかってゲームです。
最終的には、なんと、20桁の素数を言い合うんです。
いや、とんでもないでしょ。
この話、めちゃくちゃ面白いので、ぜひ、前回、第429回を見てください。

それはともかく、二人がこんなゲームをできるのは、お互い、同じ種類の脳細胞を持ってるからです。
逆に言えば、同じ脳細胞をもってないと、理解し合えないわけです。
こう考えたら、もし、宇宙人が来たとしても、コミュニケーションが成り立つかどうか、微妙ですよね。
宇宙人も、同じものを見て、色や形に分解して理解するかどうか分からないですし。
ここから、言葉とは何かって話をするつもりだったんですけど、時間になってしまいました。
この続きは、次の次に語りたいと思います。
次回は、全く別の話をする予定です。
そちらも楽しみにしていてください。

はい、今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、今回紹介して意識の仮想世界仮説に興味があれば、こちらの本を読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!