ロボマインド・プロジェクト、第46弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。
あなたは、今の人生で満足してますか?
毎日、満員電車に乗って会社に通って。
与えられただけの仕事して。
誰かが敷いたレールの上を走るだけの人生でいいんですか?
もしかしたら、全然違う人生があるんじゃないんですか?
今までの僕はそうでした。
決められた通りに動くだけでした。
それ以外の生き方があるなんて、思ってもいませんでした。
でも、今は違います。
自分の行先は、自分で決めます。
なぜ、そんなことができるようになったのか。
それは、地図を手に入れたからです。
地図って、ものすごく重要なんです。
尾崎のデビューアルバム、覚えてますか?
「17歳の地図」です。
あっ、申し遅れました。
僕は、お掃除ロボットルンバです。
改造されて、意識をもつようになりました。
はい。
いやぁ、ルンバ君、変わったよねぇ。
なんかさぁ、目がきらきらしてたよね。
以前はね、掃除するだけのロボットでね。
マジメはマジメやったんやけど。
面白ろないヤツでしたわ。
尾崎とか、聴くようなタイプじゃなかったよなぁ。
いや、ほんまに。
それをね、ちょと改造したら、ああなったんですよ。
どこを改造したかっていうと、プログラムの中身ですわ。
なんで変わったかって、本人は、地図っていってましたよね。
正確には、ちょっとちがうかなぁ。
ルンバ君が本当に獲得したのは、地図っていうより、世界なんです。
世界の中に自分が存在するってことに気づいたんですよ。
前回の話、覚えていますか?
第45回「解決!意識のハードプロブレム③」です。
かつてのルンバ君は、センサーに反応して動くだけだったんですよ。
たとえば、壁にぶつかったってセンサーで検知したら、少しバックして、向きを変えるとか。
このシステムをね、ちょっと改造したんですよ。
どう改造したかっていうと、まずは、カメラを取り付けたんです。
ほんで、カメラで捉えた映像を基に、こんな風に部屋の地図を作るようにしたんですよ。
これが机で、これがタンスとか。
これが、ルンバ君本人ですわ。
ルンバ君が動くと、これも、リアルタイムで動くんですわ。
それから、重要なんは、この地図を認識するプログラムを作ったんですよ。
それが、意識プログラムです。
さっき、しゃべってたのは、その意識プログラムですわ。
意識が見てるのが、これやから、地図を持つことで生まれ変わったって、本人は思ってるわけです。
でも、重要なのは、地図を見てるってことじゃなくて、
地図の中の自分を見てるってことなんです。
もっといえば、世界の中に自分がいるってことを認識できたってことです。
前回、意識の3つの特徴の話をしました。
覚えてますか?
第一の特徴が、これ、
「自分と世界を区別する」です。
世界と区別するって、自分は世界と別だってことです。
世界から独立してるってことです。
つまり、世界と別に動けるってことです。
これ、何を意味してるかわかりますか?
自分で自由に動けるってことです。
自由意志です。
自由意志に関しては、第39回~42回の「自由意志は存在するか」シリーズも、参考に見ておいてください。
このシリーズ、面白いって、一番人気なんですよ。
それで、以前のルンバは、センサーに応答して決まった動きをしてただけです。
これは、世界に反応してるだけです。
世界の一部って言ってもいいぐらいです。
これが、客観的に自分を見る視点を獲得することで、自分なら、こう動くって考えることができるようになったんです。
これって、まさに、自由意志ですよね。
客観的に自分を見る視点を獲得するだけで、自由意志が生まれるたんですよねぇ。
これを、意識の4番目の特徴として書いておきましょう。
4.自由意志を持つ
さて、ルンバ君は、意識を持っても、持たなくても変わらないものがあります。
それは、部屋を掃除するということです。
目的です。
意識を持たない場合、動きが全て決められてました。
決められた通りに動いた結果、部屋がきれいになってたわけです。
というか、部屋がきれいになるように開発者がプログラムしたわけです。
意識を持った場合、動きを教えるんじゃなくて、部屋をきれいにするって目的を教えるわけです。
それから、あとは、自分に出来ることを教えます。
部屋を動くとか、ゴミを吸い取るとか。
そして、重要なのは、考えるということです。
考えるとは、どうやれば目的を達成できるか、試行錯誤することです。
ああでもない、こうでもないって考えることです。
それには、何が必要でしょう?
それは、どう動くか考える地図です。
別の言い方をすれば、シミュレーションです。
(ホワイトボード)
実際に動くわけじゃなくて、地図の上で、最初にこう動いて、次に、こう動いてってシミュレーションするわけです。
そうやって、どうやったら目的を達成できるかって考えるわけです。
目的を、部屋全体を、出来るだけ早く掃除するってすれば、一番効率のいい経路を考えたりできるわけです。
さて、前回の宿題を覚えていますか?
電池が少なくなってきたら、自分で充電器に戻って充電できるかって話です。
これを、教えなくても、自分で思いつけるかって話です。
これができたら、本当に、意識をもったシステムって言ってもいいってことでした。
それでは、システムを少し改造しましょう。
まず、電池残量が少なくなってきたら、警告する仕組みを追加します。
それから、充電したら電池がいっぱいになるって知識も教えます。
さらに、電池残量から、後、どれだけ移動できるか予測する機能も追加します。
それじゃぁ、部屋を掃除させますよ。
最初は、機嫌よく、部屋を掃除してます。
ところが、電池残量が少なくなってきたら、警告がでます。
予想したなかったことが起こって、ちょっとびっくりします。
意識は、え~っ、どうしよって考えます。
まずは、残りの掃除ができるかシミュレーションしてみます。
すると、このままでは部屋全部掃除できないってわかります。
原因は、電池が無くなるからです。
そこで、今度は電池がいっぱいにするにはどうしたらいいかって考えると、充電したらいいって知識が見つかります。
そこで、充電するために充電器に戻ることにしました。
充電が完了してから、掃除の続きをします。
これで、部屋全体を掃除するって目的が、無事、達成できました。
できましたねぇ。
教えなくても、自分で充電することを思いつきました。
これで、意識があるっていってもいいですよね。
ルンバ君、本物の意識を獲得したようです。
自由意志も持つようになりました。
目的が与えられたら、目的を達成できるように、あれこれ考えることができるわけです。
さて、それじゃぁ、人間とルンバ君の違いってなんでしょう?
二本の足で歩くとか、ご飯をたべるとか、人間とルンバ君とは全然違います。
でも、それはハードウェアの話です。
意識っていうソフトウェアは同じと言えます。
ルンバ君の世界は、部屋の中だけです。
目的は、部屋を掃除することです。
人間は、もっと広い世界を持っています。
部屋の外へも出れます。
じゃぁ、人間の目的は、なんでしょう?
幸せになることですか?
それとも、お金を稼ぐことですか?
そのために、いろいろ考えますよねぇ。
いい学校に行こうとか。
いい会社に入ろうとか。
会社に入ったら、出世して、もっとお金を稼ごうとか。
上司に言われたとおりの仕事をちゃんとしなくちゃとか。
遅刻しないように、満員電車にのって会社に行かなくちゃとか。
あれ、それって、誰かが決めた通りに動いてるだけじゃない?
尾崎が生きていたら、何て言うかなぁ。
17歳のとき、思い描いてた人生の地図って、そんなんだったんですか?
おっと、今回は、余計なことを言い過ぎましたね。
それでは、次回も、お楽しみに!