ロボマインド・プロジェクト、第460弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
マンデラ・エフェクトって聞いたことありますか?
ネルソン・マンデラ氏は、南アフリカのアパルトヘイトに反対して、国家反逆罪で30年近く投獄されました。
このことは、僕も学校で習いました。
マンデラ氏は、1990年代に入って、ようやく釈放されて、ついに南アフリカの大統領になりました。
この時、「あれ、マンデラ氏って獄中で死んだんじゃなかった?」って思ってた人がいっぱいいました。
こういう集団の記憶違いをマンデラ・エフェクトとかマンデラ効果っていいます。
同じような話は他にもあります。
例えば、左と右の世界地図、オーストラリアの位置が違いますけど、どっちが正しいかわかりますか?
正解は左です。
でも、これ、意外と右みたいに、オーストラリアが太平洋の中央にあると勘違いしてる人が多いんです。
これも、マンデラ・エフェクトです。
それから、これはご存じ、フランシスコ・ザビエルの肖像画です。
これ見て、「あれ?」って思いませんでした?
たしか、ザビエルってこんな、ヒダヒダのエリを付けてたはずって?
これは、僕もちょっと思いました。
教科書で見たザビエルは、たしかこんなエリをしてました。
漢字でもあります。
大田区ってありますけど、右と左、どっちが正しいかわかりますか?
大田区 太田区
「大田区」の「大」、左の「大きい」が正解なんですけど、意外と、「太い」と思ってる人が多いんですよ。
単なる記憶違いとするには、あまりにも多くの人が間違ってるんです。
そこでこれを説明するのに使われたのがパラレルワールドです。
パラレルワールドというのは、この世界のほかに、少しずつ違った世界が無限に存在するという説です。
そして、人は、何かのきっかけでパラレルワールドを飛び越えることがあるそうです。
でも、ほとんど違いがないので、そのことに気づくことはありません。
気付くとしたら、マンデラ氏が大統領になったニュース見て、「あれ、マンデラ氏って獄中死してたんじゃなかった?」って思うときぐらいです。
この時、初めて、自分はパラレルワールドからこの世界に飛ばされてたって気づかされるんです。
これがマンデラ・エフェクトです。
今回は、このマンデラ・エフェクト、記憶の仕組みから読み解いていこうとおもいます。
これが今回のテーマです。
マンデラ・エフェクトを脳の仕組みから解明!
それでは、始めましょう!
なんでマンデラ・エフェクトの話になったかと言うと、今、読んでる山鳥先生の『脳からみた心』が、今回から記憶の章に入ったからです。
ここに記憶を失う症例がいっぱい出てきます。
ここから、人はどんな風に記憶するのか読み解いていこうと思います。
頭を強く打って記憶がなくなることはよくあります。
これに関して、イギリスのラッセルは長年研究していて興味深い事実を発見しました。
それは、頭を打って意識を失ったとき、必ず、過去の記憶が消えるというものです。
その期間は様々で、短い場合はほんの2,3秒、長い場合は30分以上~数年にわたって記憶が消えることがあります。
さらに興味深いのは、回復するときは古い記憶から回復します。
イギリスに住むAさんの事例を見てみましょう。
1933年、Aさんは22歳の時、オートバイで転倒して意識を失いましたけど、その後意識は回復して、1週間後には会話もできるようになりました。
ただ、今は、1922年だと言って、中学生だと思ってるようでした。
11年分の記憶がすっかり飛んだわけです。
注意してほしいのは、空白の記憶があるんじゃなくて、空白すらないわけです。
だから、今が11年前と思ってたわけです。
Aさんは、中学卒業後、5年間、オーストラリアで過ごして、その後イギリスに戻ってきて、ある村のゴルフ場に就職して2年が経ったところです。
事故後、2週間後には、オーストラリア時代のことを思い出しました。
でも、その後の2年間のことは全く覚えていません。
3週間後、かなり回復してきたので、村に戻って仕事にも復帰したんですけど、何も思い出せませんでした。
2年間、過ごしていたのに、見知らぬ土地にいるように感じたそうです。
通い慣れた道でも迷ってました。
ところが、10週間後には、最後の2年間の記憶もほぼ取り戻したそうです。
ただ、事故直前の数分間だけは最後まで思い出すことはなかったそうです。
記憶が戻るときは、こんな風に過去から順番に戻るんです。
重要な順に思い出すわけじゃないんですよ。
ここに、記憶とか時間とか、僕らが感じてる世界がどうつくられてるかのヒントが見えます。
まず、分かって欲しいのは、僕らが、今、見て、感じてる世界は、現実世界を直接感じてるわけじゃなりません。
意識が感じてるのは、知覚した現実を頭の中で再構築した仮想世界です。
これは、僕が提唱する意識の仮想世界仮説ですけど、山鳥先生をはじめ多くの脳神経学者も同じことを言っています。
世界があるって感じるのは、自分で作った世界を見てるんだって。
それから、人は、過去とか現在とかって時間を感じますよね。
これも物理的な時間を直接感じてるんじゃなくて、頭の中で仮想的に時間を作り出して、それを感じてるんですよ。
じゃぁ、どうやって時間を作り出してるかっていうと、それが、記憶です。
今、見てる世界は、今、現在ですよね。
これが、今、現在って分かるってことは、これは、過去とは違うって区別してるってことです。
今、見えてる世界を作ってるのは無意識さんです。
実は、無意識さんは、今の世界を作るだけじゃなくて、それをせっせと過去の出来事にまとめて保存する処理もしてるんですよ。
かなり大変な仕事をしてるって分かるでしょ。
意識を失うぐらい頭を強く打ったとき、事故直後の記憶から失われるって言いましたよね。
これ、考えたらおかしいんですよ。
だって、頭を打つ場所は人によって違いますよね。
だったら人によって失われる記憶も違うはずなんですよ。
この謎も、無意識さんの仕事を考えたら分かります。
無意識さんは、目や耳からの情報を基にリアルタイムで世界を作っていきます。
さらに、今作った世界を、せっせと保存していきます。
起きて、意識がある間、裏で無意識さんはこんな作業をやってるんですよ。
考えたらスゴイでしょ。
そこに、ガーンて頭をぶつけたとしましょ。
どうなると思います?
これを、アナログレコードで考えてみます。
レコードプレイヤーって、ちょっと振動させたら、すぐに針が飛んでレコード盤に傷がつきます。
傷つくのは、今、再生してるとこです。
これと同じです。
頭を強く打った時、一番傷つくのは現在再生中の場所です。
だから、事故の時の記憶が消えるんです。
強く打てば打つほど、針がいっぱい移動して、多くの記憶が失われます。
そして、回復するときは古い記憶から回復します。
次はここです。
回復するってことは、記憶したデータ自体は消えてないってことです。
データが消えたんじゃなくて、読み出せなくなったんです。
どうも、記憶は、記憶の中身と、記憶の中身を管理する管理部の二階建になってるみたいです。
そして、意識がアクセスするのは、管理部の方なんです。
管理部は数分前とか、昨日とか、先週とかって分けて管理します。
本でたとえれば目次です。
本文が記憶の中身です。
目次には、昨日は何ページ、10年前は何ページって本文のページが書いてあるんです。
プログラムで考えると、意識プログラムが思い出すとき、記憶管理プログラムに昨日とか先週ってパラメータを渡すんですよ。
そしたら、記憶管理プログラムがパラメータに応じた本文の内容を引き出して再現するわけです。
さて、意識が認識する仮想世界を作ってるのは無意識さんです。
無意識さんは、さらに、今の世界を文章に変換して本文に書きこみます。
そして、そのページ数を目次に書き込むわけです。
目次は、これだで終わりません。
1分前の出来事は一分後には2分前になりますよね。
昨日の出来事は明日になればおとといになりますよね。
つまり、目次は一回作ったら終わりじゃなくて随時更新しないといけないんですよ。
今日あった出来事はリアルタイムで更新されます。
それ以上前の記憶は寝てる間に更新されるんでしょう。
このとき、古い記憶は、重要な物だけ残して、重要でないことは忘れます。
注意してほしいのは、古い記憶をわすれるって、経年劣化で自然と起こってるわけじゃないってことです。
プログラムによって意図的に古い記憶を薄れさせているんです。
何のためにしてるかというと、いつ頃の記憶か分かるようにです。
これが、AIロボットなら、ヘッドマウントディスプレイを使って視界の上に「10年前」とかって表示して10年前の記憶って示したらいいです。
人間の場合、感覚として10年前ってわかるように、10男ぐらい前って感じを追加したり、記憶を薄れさせるわけです。
意識は、その感覚を読み取って、「あれは、10年ぐらい前のことやなぁ」って思うわけです。
もし、このプログラムがうまく機能しなくなると、遠い昔のことと、たった今起こったことの区別がつかなくなります。
心的外傷で、過去の出来事を、今体験してるかのように感じるフラッシュバックという現象がありますけど、まさに、この部分のプログラムで不具合が起こったんでしょう。
それから、自閉症の東田直樹さんも言ってましたけど、東田さににとって思い出すというのは、いま、体験してるかのように感じることだそうです。
このことから、記憶の中身自体はいつまでもそのまま残ってるようです。
記憶が薄れてると感じるのは、記憶を管理する目次の方を処理して、思い出しにくくしてるからのようです。
このことは、カナダの脳神経科医のペンフィールドの記録からも分かります。
彼は、手術中に側頭葉を直接刺激することで、今まで忘れていた記憶がありありと思い出されることを発見しました。
手術中に、学生時代、友達と談笑してた何気ない光景を突然、思い出した患者もいたそうです。
その人が言うには、思い出すと言うより、まるで、その場にいるようだって言ってました。
それほど、記憶は消えずに残るようです。
事故が起こったとき損傷するのも目次の部分です。
記憶の目次は、直近の出来事程、頻繁に更新されますよね。
だから、直近の目次ほどデータがぎっしり詰まってて、古いほどスカスカです。
事故が起こった時、レコード針がギギギって現在から過去の目次を傷つけて読み出せなくなるんです。
時間が経つと、その傷が回復してきますけど、この時、スカスカなデータほど早く回復して、ぎっしる詰まったデータほど回復に時間がかかるんですよ。
だから、過去から現在に向けて順に記憶が回復するんです。
こう考えると、きれいに説明がつきますよね。
さて、今回のテーマはマンデラ・エフェクトでしたよね。
マンデラ・エフェクトが起こるのは過去の思い出というより知識です。
意識は仮想世界を介して世界を認識します。
思い出すときも、仮想世界に過去の出来事を再現して思い出します。
仮想世界はオブジェクトで作られます。
リンゴオブジェクトなら、色は赤いとか、形が丸いとかってプロパティをもっています。
つまり、オブジェクトが知識です。
この知識が大勢の人で、同じように書き換わったというのがマンデラ・エフェクトです。
さて、そんなことが起こるのでしょうか?
その一つの解釈がパラレルワールドです。
同じパラレルワールドにいたから、同じ記憶があるというわけです。
じゃぁ、他に説明可能な解釈はないのでしょうか?
あるとすればシミュレーション仮説です。
シミュレーション仮説というのは、この世界は高度に進化した宇宙人が作ったシミュレーションという仮説です。
言ってみれば、僕らは、メタバースのアバターというわけです。
たぶんねぇ、宇宙人の人生ゲームなんですよ。
僕らは、宇宙人の駒です。
駒というより、ある程度自律的に動くAIアバターです。
そして、能力とかプロパティが、時々書き換えられるんですよ。
人生ゲームでいえば、サイコロを振ったりカードをめくったりすることで、いろんなイベントが起こるでしょ。
芸能人とか歌手とか、長年苦労してた人が、突然、売れだしたりすることがあるじゃないですか。
あれって、プレイヤーの宇宙人がいいカードを引いたからなんですよ。
「突然、ヒットを飛ばして紅白に出場」とかってカードを引いたんですよ。
でも、まぁ、それはめったに起こりません。
たいていは人生に何の影響もないしょうもないカードです。
それが、「大田区」の「大」の字を「太」って覚えるとか、マンデラ氏が死んだと思うとかです。
それが、このカード、意外と多いんですよ。
宇宙人は、「わ、またマンデラや」とかって言ってるんですよ。
これがマンデラ・エフェクトです。
はい、今回はここまでです。
今回の動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、意識の仮想世界仮説に関してはこちらの本を読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!