第471回 意識とは、脳に感染したコンピュータウィルス説


ロボマインド・プロジェクト、第471弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

「意識とは、脳に感染したコンピュータウィルスだ」って説があるんですよ。
たぶん、ほとんどの人は聞いたことがないと思います。
なぜなら、昨日、僕が思いついた説だからです。

いや、でも、これで、意識の謎を全て説明できるんですよ。
最近、ずっと考えてるのは右脳と左脳と意識の関係です。
第463回、第465回で意識は左脳に宿るって説を語りました。
ほぼ、間違いないと確信していたんですけど、ある実験を思い出して、「いや、そんな単純な話じゃないそ」ってなったんです。

それは、第434回で取り上げたワダテストです。
普通の人は、左脳優位となっていて、言語野や記憶は左脳で行います。
でも、左利き人の場合、15%の人が右脳に言語野があるんです。
左右どちらに言語野があるかを調べるときに使うのがワダテストです。
カナダの日系の神経学者、ジュン・ワダが考えたのでワダテストっていいます。
どうやって調べるかというと、即効性のある鎮静剤を左右の頸動脈のいずれかに注入します。

左の頸動脈に注入すると左脳が眠って、右の頸動脈に注入すると右脳が眠ります。
まず、右脳を眠らせて話しかけて会話ができたり、過去の思い出を語ったりできたとします。
つぎに左脳を眠らせて話しかけると、会話ができなかったり、「右手を上げて」といっても指示通り動かないとします。
そうなると、その人は言語野が左脳にある左脳優位と判定できます。
右脳優位の場合、この反対となります。

さて、気付きましたか?
今、左脳、右脳、どちらを眠らせても意識はありましたよね。

つまり、意識は左脳、右脳のどちらかにあるとかじゃないんですよ。
どうも、意識っていうのは左脳、右脳の、その上にあるみたいなんです。

どういうことかって言うと、眠ったのは脳ですよね。
僕の考えでは、意識っていうのは脳で動くプログラムです。
脳がスリープ状態にあっても動くプログラムです。
今のコンピュータって複雑で、バックグラウンドでどんなプログラムが動いてるかわからないんですよ。
中にはインストールしたつもりがなくても、勝手入ってきて動いてるプログラムもあります。
それがコンピュータウィルスです。

コンピュータウィルスにマシンを乗っ取られると、クレジットカード情報を抜き出したり、中にはカメラを起動して部屋の中を覗き見されたりします。
これって、脳の記憶にアクセスしたり、脳を介して体を制御する意識と同じですよね。

記憶とか言語野は、脳の中でもハードウェアに近い低レベルで動いてて、ワダテストで眠らされたのはその部分です。
意識プログラムはもう少し上のレベルで動いてたから眠らなかったんです。
ただ、言語野とか記憶の部分が眠らされるとそこにアクセスできないから、意識はあってもしゃべれなくなったってわけです。

こっから僕の新しい意識仮説です。
意識プログラムは元々脳には存在してなくて、ある時、外部から侵入して共存するようになったと思うんですよ。
ヒントにしてるのは、真核細胞の共生説です。
約20億年前、真核細胞は好気性細菌を捕食しました。

好気性細菌というのは、酸素を使ってエネルギーを作り出す細菌です。
捕食した細胞は好気性細菌からエネルギーをもらいます。
一方、好気性細菌は細胞に保護されて、お互いにメリットがあります。
そこで共生することにしたんです。
捕食された好気性細菌がミトコンドリアで、この関係が現在の真核細胞です。

おそらく、脳の中でも同じことが起こったんです。
コンピュータウィルスみたいに意識プログラムが脳に侵入してきて脳をコントロールし始めたんです。
それまで意識なしで動いてた生物が、意識プログラムが制御することで、今までよりより上手く動いて長生きできるようになりました。
意識プログラムも体を持つことでより生きながらえることができます。
お互いにメリットがありますよね。
脳と意識の共生の始まりです。
これが今回のテーマです。
意識とは、脳に感染したコンピュータウィルス説
それでは始めましょう!

コンピュータでいえば脳はCPUです。
脳もCPUも進化してどんどん複雑になりました。
コンピュータができた頃は、プログラマーは01のマシン語やアセンブラ言語でプログラムを書いてCPUを直接制御していました。
これがコンピュータがどんどん進化するとOSが生まれて、プログラムはやがてOSの上で動くようになりました。
CPUはハードディスクやインターネットからデータを読み書きをしますけど、この処理は結構複雑です。
そういった面倒な処理を代わりにやってくれるのがOSです。
プログラマーは、OSに対して「ハードディスクからファイルを読み出して」とか、「インターネットからホームページを読み出して」って指示をだすだけでよくなりました。
ここまでコンピュータが進化して、コンピュータウィルスも出てくるようになったんです。

さて、脳です。

これは脳の進化の歴史です。
魚類や両生類のころからあるのは脊髄や小脳です。
それがウサギとかネコとか哺乳類まで進化すると、水色の大脳が大きくなってきてますよね。
ヒトになると脳のほとんどが大脳です。

そして、大脳で記憶とか言語の処理を行います。
つまり、大脳がOSに相当するといえます。
脳がここまで進化すれば、記憶とか言語の機能を使って体全体を制御するプログラムも作れますよね。
それが意識プログラムです。
こう考えたら、意識が発生するのは大脳が大きくなった哺乳類以降といえそうです。

次は右脳と左脳の話です。
ざっくり分けると左脳は言語、右脳はイメージの処理を行います。
たとえば様々な画像をから似た要素を抜き出してパターン認識するのが右脳です。
これは今のAIと同じです。
たとえば、これはCNNと言われるニューラルネットワークで大量の画像を処理した結果です。

これ、一言で言えばニョロニョロのパターンですよね。
このパターンに合うものを見たとき、「ヘビだ!」って認識して恐怖って感情を生み出します。
感情を生み出すのは脳の中心にある大脳辺縁系です。
意識プログラムは恐怖の感情を受け取ると、怖くて逃げるって行動を取ります。
これが右脳の処理です。

ここまでは動物でも持つ機能です。
つまり、動物は右脳優位といえます。

というか、動物は言語野を持っていません。
言語野があるのは人間の左脳です。
そして、人も子供のころは右脳優位で、言葉をうまく話せません。
言葉を話し始めるのは1~2歳のころです。
そこから15~6歳の間に言語を習得します。
そして、大人になると左脳優位となります。

さて、こっからが本題です。
人は成長して大人になりますよね。
思春期になると、男らしい体、女らしい体つきになります。
これには適切な時期に成長ホルモンが分泌されるからです。
これが個体の発達です。
個体発達は脳のプログラムで自動で起こります。
だから、たとえ無人島で一人で育ったとしても大人に成長します。
ところが、そうならない機能が一つだけあるんです。
それが何かわかりますか?

それは、言葉です。
言葉は、成長ホルモンとかで発達するものじゃありません。
適切な時期に外部から話しかけられないと発生しません。

このことは、いろんな事件で証明されています。
たとえば18世紀にフランスのアヴァロンの森で、たった一人で暮らしてる野生児、ヴィクトールが発見されました。
発見当時ヴィクトールは推定14,5歳で、結局簡単な言葉すら覚えることができませんでした。
この話は第433回でしています。

それから、第381回では、母親のネグレクトで7歳まで、言葉をかけられることなく育ったダニエルを紹介しました。
これは21世紀になってから起こった事件です。
15歳になったダニエルがテレビで紹介されていましたけど、簡単な文は話せるようになっていました。

ここからも分かりますけど、言葉でコミュニケーション取れることが、その人が社会に受け入れられる条件と言えますよね。
言語能力を持つか持たないかが動物と人間の意識の違いです。
または、人間の意識は、言語そのものといえます。
このことは、前回、第470回で詳しく語ったのでよかったらそちらも見てください。

今回は、言語の特殊性について、もう少し詳しく見ていきます。
他人と言語でコミュニケーションできて、はじめて人間社会に受け入れられます。
それが人の意識です。

人の意識が生まれる瞬間を一瞬で体現したのがヘレン・ケラーです。
ヘレンが6歳のとき、サリヴァン先生に出会いました。
それまでのヘレンは機嫌がわるくなるとすぐに癇癪を起していました。
その日も、癇癪を起したヘレンはサリヴァン先生にもらった大事な人形を床にたたきつけて壊しました。
その後、サリヴァン先生が外に散歩に行く準備するのを察すると、とたんに機嫌がよくなります。
その場その場で気分がかわって、まるで動物のようです。

そして、そして運命の井戸に辿り着きます。
冷たい井戸の水を感じて、サリヴァン先生が手のひらにwaterと綴るのを感じて、waterというのは今、感じてる冷たいものの「名前」だということを悟ったんです。
あらゆる物には「名前」があることに気づいたんです。
言語を理解した瞬間です。

その後、家に辿り着くまで、ヘレンは手に触れるあらゆるものの名前をサリヴァン先生に尋ねて、30もの単語を覚えたそうです。
そして、家に帰って自分に部屋に入った時、足元に何かを感じました。
それは、今朝、癇癪を起して叩き壊した人形の破片でした。
それは、サリヴァン先生にもらった大切な人形です。
そのことを思い出して、ヘレンの目に涙があふれてきました。
生まれて初めて流した後悔の涙です。

この瞬間、ヘレンは人間の心を獲得したんです。
さて、ここです。
ヘレンは、なぜ、ものには名前があると知った瞬間、心を獲得したんでしょう?

まず、現実世界に実在する「もの」を抽象化したわけです。
抽象化することで、名前を付けるといった処理ができるようになりました。
現実世界にあるものを、抽象化して操作すること、これが左脳の機能です。

1~2歳のころにこの機能が動きだして、その時、ものを名前で呼ぶことで、この機能がさらに活性化します。
それが言葉のしゃべり始めです。

でも、目も見えず、耳も聞こえないとこの機能が活性化しないので、言葉を理解できるようになりません。
それがヘレン・ケラーです。
でも、ヘレンは、サリヴァン先生に出会ったおかげで、6歳の時、この機能にアクセスできたから言葉を理解できるようになったんです。

ここまではわかります。
分からないのはその後です。
なぜ、言葉を獲得したら心が生まれたんでしょう?

まず、言語の機能というのは、現実のものを抽象化する機能でしたよね。
抽象化して現実と切り離して認識することで、目の前にないもので想像できるようになりました。
それから過去の出来事も思い出せるようになります。
だから、足元に触れた人形の破片から、今朝の出来事を思い出したんです。

思い出したのは、癇癪を起した自分が人形を叩き壊してる光景です。
注意してほしいのは、そこに自分がいることです。
つまり、客観的に自分を見ているんです。
または、自分をメタ認知してるといってもいいです。
そうすると何が起こると思います?

今朝の自分も今の自分も、どちらも同じ自分だということを理解したんです。
つまり、変わらず存在し続ける「自分」という存在に気づいたんです。

それまでのヘレンの行動を思い出してください。
その場その場で気分がころころ変わっていましたよね。
さっきまで怒っていたとおもったら、すぐに機嫌がよくなります。
まるで動物みたいって思いましたけど、これが動物の心です。

それが、一貫した自分というものを持つようになって、初めて人間の心と言えるんです。
そして、それを持つには、あらゆるものを抽象化して客観的に認識できる機能が必要です。
その機能があるのが左脳です。

わかってきましたか?

現実世界に直接反応するのが右脳です。
それは動物ももってる機能です。
そして、この機能は個体単独で発生します。

一方、現実世界にあるあらゆるものを抽象化して認識するのが左脳です。
そして、この機能は単独では発生しません。
他人から話しかけられないと活性化しません。

言語がどれだけ特殊な機能かってわかりますよね。
つまり、生物の通常の進化じゃ考えられない機能なんです。
そして、この言語こそが人間の意識でしたよね。

じゃぁ、この人間の意識は、どうやって生まれたのか。
ここで冒頭の話です。
意識とは、脳に感染したコンピュータウィルス説です。
意識プログラムは、大脳というOSに感染したコンピュータウィルスというわけです。

もしそうなら、またあらたな疑問がうまれますよね。
それは、じゃぁ、そのコンピュータウィルスは誰が送り込んだのかです。
考えられるとしたら、宇宙人しかいません。

そんなウィルスを作れるんですから、人類よりはるかに進歩した宇宙人です。
当然、死とか克服して永遠の命をもっています。
だから、暇で仕方ないんですよ。
暇なんで、宇宙中を監視してます。

そして、生命が発生した星を見つけたら待つんです。
何を待つかって言うと、脳がOSを獲得するのをです。
それが大脳です。

大脳にはセキュリティソフトなんか入ってません。
そこに、コンピュータウィルスである意識プログラムを送り込むんです。
そしたら、今までと違う認識をし始めます。
それが抽象化機能です。
それは、やがて言語を生み出します。
これが宇宙人の目的です。

じゃぁ、なんで宇宙人は人間に言語機能を持たせたんでしょう?
それは、新しい友達が欲しいからです。
新しい知的生命体を生み出して、友達になろうとしてるんです。
でも、新しい友達が危険な奴かもしれないじゃないですか。
だから、今、様子見してるとこです。
人間は、危険じゃないよってわかったら、宇宙人がやってくると思います。
まだやってきてないってことは、かなり危険な奴と思ってるかもしれません。
もしかしたら、失敗作として絶滅させられるかもしれません。
そうならないように、人類の皆さん、しっかり安全性をアピールしていきましょう。

はい、今回はここまでです。
この動画が面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、よかったらこちらの本も読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!