第479回 『テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想』橘玲⑧ 〜AIで悟りを開く方法


ロボマインド・プロジェクト、第479弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

先日、知らない人から現金書留が届いたんです。
それも、結構ずっしりとした重さです。
中に手紙が入っていました。
なんでも、僕のYouTubeを見て、脳と心の研究に夢中になってるとのことでした。
経歴を見ると、なんと、糸川英夫先生の研究室にいたそうです。
日本のロケット開発の父、糸川英夫ですよ。
最近だと、惑星探査機はやぶさが着陸したのが小惑星イトカワでしたけど、その名前の元になったのが糸川先生です。
糸川先生のところで固体ロケットの研究されてた方が、御年85歳で、僕のYouTubeを繰り返し見て、今は「脳と心」の研究にどっぷりだそうで、「晩年を生きがいを持って過ごせそう」と言ってくれたんですよ。
いやぁ、これはほんと、嬉しいです。
しかも、開発資金として使ってくださいって、結構な金額を寄付してくれたんです。
ありがとうございます。
ロボマインドは国家プロジェクト並みのプロジェクトに取り組んでいるんですけど、支えてくれてるのはこういった市井の人たちなんです。
ぜひ、ご支援お願いします。

えっ? 現金書留なんか面倒って?
そんな人のために、じつは、ロボマインドのサイトには寄付ページがあるんですよ。
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よろしくお願いします。

さて、前回、第478回では、僕が考えた完璧なAI統治の世界を披露しました。
脳にチップを埋め込んで、その人の記憶をブロックチェーンとして個人を特定するというものです。
これ、なかなかよくできたアイデアだとは思うんですけど、実は、実現はかなり難しいんですよ。
どこが難しいかというと、今の脳科学じゃ、記憶を読み出すことはできなんですよ。
そこで、今回は、今の脳科学で実現可能な理想世界を考えていきます。
目標は、誰もが幸せとなる理想の世界です。
幸せって言うのは精神状態です。
じゃぁ、究極の精神状態ってどういう状態でしょう。
それは、「悟り」です。
悟りを開いた人だけで作られた社会、これに勝るものはないでしょ。
じゃぁ、どうやって悟りを開くんでしょう。
これが今回のテーマです。
AIで悟りを開く方法
それでは始めましょう!

今回も橘玲の『テクノ・リバタリアン』に出てくるアイデアから紹介します。
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前回から考えてるのが新しい社会システムです。
人類が考えた統治システムって、王や貴族が統治する王政か、選挙で選ばれた国民が統治する民主主義か、富を平等に分配する共産主義の三つぐらいしかありません。

なんでこんなに少ないかというと、人が統治するって縛りがあるからです。
それが、21世紀の今なら、人でなくてもAIで統治することが可能です。

僕は、ずっとAIは言葉の意味を理解できないとか、自我や感情を持ってないとかって今のAIを批判してきました。
でも、よく考えたら自我を持つから、自分や身内のための政治をするんです。
統治者としては、自我なんか持たさない方がいいんです。
そう考えたら今のAIこそ、最高の統治者となるんです。
アルゴリズムに従って、ただただ社会全体を最適化することだけを考えるAIです。

それじゃぁ、社会統治する新しいアルゴリズムを考えて言いましょう。
まず、政治の目的は、適切に分配することです。
完全な自由経済だと貧富の差がどんどん拡大して、貧しい人は最低限の生活もできなくなります。
そこで、富めるものから税金を取って貧しいものに分配する仕組みが必要になるわけです。
そこで、最適に分配するアルゴリズムを考えていきます。

アメリカの経済学者アーノルド・ハーバーガーは、物を独占することで経済効率が悪くなることの気付きました。
金持ちがものを独占するより、みんなで分けた方がいいってことです。
最近のシェアリングエコノミーもこの考えに近いですよね。
自分の家をホテルとして貸し出すエアビーとか、自分の車をタクシーとして利用するウーバーとかです。
経済学者でゲーム理論化のグレン・ワイルはこの考えをさらに押し進めてCOSTって概念を提唱しました。
COSTというのは、共同所有自己申告税って英語の頭文字をつなげたものです。

分かりやすく説明します。
消費税ってありますよね。
物を買ったときに払う税金です。
高価なものを買ったら、それだけいっぱい税金を払わないといけません。
そして、税金は、貧しい人とか、社会のために使われます。

COSTの考えは、買ったときだけ税金を払うんじゃなくて、物を所有してる間、ずっと税金を払い続けるという考えです。
買うって行為は、ものを自分の所有物にするってことです。
COSTの世界では、個人で所有するって概念がなくて、あらゆる物は社会で共有するって考えです。
ものは、たまたま、今ある誰かが所持してるだけと考えます。
本来、その物は社会の共有財産なので、その人は、それを所持するかわりに税金を納めないといけないわけです。

たとえばバンクシーの絵で考えてみます。
正体不明の画家バンクシーは、商業主義を批判していますけど、その絵はとんでもない金額で取引されています。
たとえば、この絵「少女と風船」は2018年のサザビーズのオークションで1億5000万円で落札されました。

ところが、落札された直後、額縁に埋め込まれていたシュレッダーが作動してこうなりました。

なんと、1億5000万円の絵の半分が切り刻まれてしまったんです。
そこで、絵のタイトルを「愛はごみ箱の中に」に変えました。
それで2021年にオークションに出品されると、落札金額は35億円に跳ね上がったそうです。
ただし、招待不明の画家バンクシーには1円も払われていません。
分けが分からないですよね。

さて、大金持ちが、バンクシーの絵を応接間に飾りたいと考えたとします。
COSTの考えだと、所有物に対して年7%の税がかかります。
つまり、この大金持ちは毎年2.45億円の税金を払う必要があるわけです。
それだけの税金を払えなくなったら美術館、博物館に寄贈します。
そうすればみんなが見れます。

美術品だけでなくて、たとえば高級ワインは一本数百万円するものがあります。
ワインコレクターは、これにも毎年、7%の税金を払わないといけません。
税金を払わないで済む一番の方法は、その年度内に全てのワインを飲んでしまうことです。
今まで、一人の金持ちの家にひっそりと保管されてたものが、他の人の手に渡ったり、適切に消費されたりするようになるわけです。

ワイルは、さらにブロックチェーンの台帳で管理する方法も提案しています。
所有者は、自分で決めた評価額を台帳に入力します。
それじゃぁ、税金を安くするために低い評価額を入力すればいいですよね。

ところが、ブロックチェーンで管理してるので、その評価額はすぐに市場に公開されます。
すると、その評価額を上回る価格を提示する人がいれば、所有権は無条件にその人に譲渡されます。
今の所有者に拒否権はありません。
所有したいと思ったら、それに見合う価値を払えば自動的にその人のものになるわけです。
完全にアルゴリズムだけで最適な価格で物が取引されます。
最適というのは、最も税金が入って、社会に還元される金額が最大になるされるという意味でです。
これぞ、まさに功利主義の考え方ですよね。
つまり、最大多数の最大幸福の実現です。
ブロックチェーンを使えば、それが可能になるわけです。
これによって、所有って概念が完全に変わってしまいますよね。

さて、僕のアイデアはここからです。
今、最大多数の最大幸福っていいましたよね。
今までの話、高価なものを所有することが幸福って前提になってますよね。
さて、本当にものを所有するのが幸福なんでしょうか?

こっからは、経済学よりもう一段、上のレベルの話になります。
幸せっていうのは、人によって違いますよね。
または、幸せには段階があります。
有名なのはマズローの欲求五段階です。

一番下の生理的欲求から始まって、安全の欲求、社会的欲求、承認の欲求とあって、一番上が自己実現の欲求です。
たとえば、「えっ、バンクシーの絵を持ってるんですか!」っていわれて喜ぶのは社会的な価値が欲しいとか、人に認められたいってことです。
これが社会的欲求とか承認欲求です。
そして、その上にあるのが自己実現の欲求です。
これは、他人から認められて満たす欲求じゃなくて、自分しかできなこと、自分らしく生きたいって欲求です。
人間は、この段階で順番に成長するってのがマズローの考えです。

ところが、晩年のマズローは、この上に、さらに第六段階を追加したんですよ。
それは、自己超越の欲求です。

自分を超越するとは、自分とか自我がなくなって、自分と社会が一体となる精神状態です。
その段階になると、欲しかった物を手に入れて嬉しいとか、日々の出来事に心を煩わされることがありません。
常に平穏で幸せを感じています。
いってみれば、悟りを開いた状態です。
これが究極の精神状態です。
自分と社会とが一体になるっていうのは、自分の欲求と社会の欲求が一致することです。
たとえば、税金で1億円持って行かれるとき、宝くじで1億円当たったのと同じぐらい嬉しいわけです。
全ての人が、こんな精神状態になれば、それこそ天国ですよね。

でも、そうは言っても、悟りを開いた人なんてお釈迦さんぐらいじゃないですか。
せいぜい1000年に一人いるかいないかです。
ところが、そうでもないみたいなんですよ。
社会科学者のジェフリー・マーティン博士は「悟り」の意識状態を研究して、今まで2500人以上の悟った人に会ってきたそうです。
意外と多いですよね。
瞑想とかマインドフルネス、スポーツをやってる人に多いそうですけど、何もしてなく人の中にもいるそうです。
マーティン博士は、この精神状態をPNSE、継続的非記号体験と呼んでいます。
記号というのは言語のことです。
つまり、非記号体験というのは言語を使わない精神状態ってことです。

悟りを開いたのと同じ精神状態を経験した人と言えば、脳卒中で左脳が停止して右脳の世界を体験したジル・ボルト・テイラーを思い出します。
ジルは、脳卒中になったとき、自分という存在が消えて、世界と一体となる感覚を得たって言ってます。
それから『右脳さん、左脳さん』で有名なネドじゅんさんもいます。


ジルもネドじゅんさんは、いつでも右脳に切り替えることができるそうで、右脳に切り替えたとき、言葉で考えないとか、頭の中のおしゃべりが一切消えるって言ってました。
言葉は左脳の役割なので、右脳に切り替えると言葉が消えるってのはわかります。

そして、PNSE、継続的非記号体験っていうのは、こういった感覚が継続する精神状態のことです。
つまり、瞑想したときだけじゃなくて、普段の生活が、ずっとこの状態です。
それが悟りを開いた状態です。

ネドじゅんさんがいうには、右脳で考えたら、すべてうまく行くそうです。
たとえば、ネドじゅんさんが配達の仕事してたとき、次は右、次は左って声が聞こえたそうです。
それで、その通りに配達したら留守の人が全くいなくて、きれいに全部配達できたそうです。
まぁ、ネドじゅんさんはかなり特殊やと思いますけど、悟りを開いた人は、何があっても穏やかに過ごせるそうです。
マーティン博士がインタビューした人の話だと、たとえば車を運転してて、強引な割込みされたとしても、全くイライラしなくなるです。

さて、僕のアイデアはこっからです。
社会全員がこの精神状態になる社会システムの作ります。
そうはいっても、マズローの欲求には段階があります。
毎日、ちゃんと食べることもできない人は、生理的欲求、安全の欲求が満たされてないわけです。
そんな人には、安定した収入とか食べ物が保証されないといけません。
これなどは、お金がある人から最も効果的に税を徴収するCOSTのシステムで実現できそうです。
ただ、その人がどの欲求段階にいるかを調べることが難しいです。
それをどうやるかっていうと、脳にチップを埋め込むんです。
そのチップが脳内物質を計測するんです。

高価なものが欲しい人は、高価なものを手に入れたとき、「やったぁ」って興奮します。
この時分泌されるのがドーパミンで、脳内チップはこれを計測するんです。
社会的に価値があるものを手に入れたときドーパミンが出るということは、その人は社会的欲求が満たされてないと判断できます。
または、SNSでいいねがついたときドーパミンがでる人は、承認欲求が満たされてないと判断できます。
つまり、社会的欲求段階、承認欲求段階にいるわけです。
その人たちは、次はもっとドーパミンを出したいと思って、もっと高価なもの、もっといいねが欲しいって思うわけです。

でも、これは悪いことじゃありません。
人は段階を追って成長します。
生理的欲求、安全の欲求が満たされた人は、次は社会的欲求、承認欲求の段階に進んで、しばらくは、その段階を経験する必要があります。

でも、ずっとそこにとどまってはいけません。
そろそろ次の段階に進むべきとAIが判断したら、次の段階に進めます。
これは、アルゴリズムで最適なタイミングが決められます。
そして、次の段階に進むべきと判断されたら、欲しかったものを手に入れたときとか、いいねがついたときに出るドーパミンを脳内チップが抑制するんです。
そしたら、「あれ、それほど嬉しくないなぁ」って思ってきます。
「こんなもののために必死になってた自分が虚しいなぁ」って思ってくるんです。
そうやって、もっとものが欲しい、もっといいねが欲しいって気持ちがなくなってきます。

そして、最終目標は第六段階の自己超越です。
自分の欲求と他人の欲求が同じになる精神状態です。
この段階になると、運転してて強引な割込みされてもイラっとしません。
イラっとするんじゃなくて、「あの人が正しい車線に入れてよかったなぁ」って思うんです。
自分のことは忘れて、相手の幸せを喜ぶんです。

じゃぁ、これはどうすればいいでしょう。
使うのは愛情ホルモンのオキシトシンです。
オキシトシンは、赤ちゃんやペットを抱きしめてるときに出る脳内ホルモンです。

脳内チップは、イライラを検知したらオキシトシンを分泌させるんです。
そうすると、幸せな気持ちになります。
左脳は原因がわからないと不安になって原因を探そうとします。
この段階は、まだ、左脳優位となっているのでこの機能が自動で働きます。
すると、幸せを感じた原因を探します。
そしたら、「あの人、正しい車線にはいれてよかったなぁ」って原因を見つけて安心します。
自分のことより他人の幸せを感じたわけです。
疑似的に右脳優位の悟りを開いた精神状態をつくり出すわけです。

これを何度も繰り返したら、チップがオキシトシンを出さなくても、自然と出るようになります。
右脳優位になるわけです。
これが、自己超越です。
こうやって、社会全員が自己超越の段階になるんです。
どうです?
脳内チップとアルゴリズムで、地上が天国になるんですよ。
そんな未来が楽しみですよね。


はい、今回はここまでです。
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それから、よかったらこちらの本も読んでください。
それと、この世界を天国にするために、ぜひ、ロボマインドに寄付をお願いします。
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それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!