第495回 ワンネスじゃない 〜次の人類が見る右脳の世界


ロボマインド・プロジェクト、第495弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

ロボマインド・プロジェクトの動画が、もうすぐ500本になります。
ただ、500本もの動画、分量が多すぎて、自分でもどこでなにを語ってたか把握してません。
そう思ってたところ、ロボマインド・プロジェクト全動画の全文検索システムを作ってくれた人がいます。

いやぁ、ありがたいです。
作ってくれたのは、YouTubeを始める前のブログ時代からロボマインド・プロジェクトを応援していただいてた方です。
説明欄にもリンクを貼っていますので、ぜひ、活用してください。
好きなキーワードで検索して、該当する動画の原稿がテキストで読めます。
たとえば「システム心理工学」とかって検索すれば、こんな感じで出ます。

それから「第1回」とかって検索すれば、第1回の原稿が出てきます。

これで好きな回の原稿をテキストで読めますよ。
動画よりテキストで読みたい人は、ぜひ、使ってみてください。

さて、今回のテーマは、人類のこれからの進化についてです。
第489回で自閉症や発達障害は次に人類が進化する方向を示してるって説を唱えました。
現代人のほとんどは左脳優位です。
自閉症や発達障害の人は右脳優位となっています。
つまり、人類の脳は左脳優位から右脳優位に進化するということです。

自閉症に限らず、瞑想やマインドフルネス、悟りを開いた人は右脳優位となっています。
右脳で感じる世界はワンネスとか、世界と一体となるって言います。
でも、どうも、右脳はワンネスと真逆だってことがわかってきました。
これが今回のテーマです。
ワンネスじゃない。
次の人類が見る右脳の世界。
それでは始めましょう!

どのように進化するかなんて、進化してみないと分かりません。
身体的な進化に関しては、たしかにその通りです。
進化は、環境への対応なので、火星に移住するか月に移住するかでかなり違います。

でも、脳は別なんです。
なぜかと言うと、脳にとって心地よい環境を作り上げるのが人類だからです。

じゃぁ、脳にとって心地よい環境とは何でしょう。
それは、誰もが幸せになる世界です。

でも、幸せにも、いろんな形がありますよね。
だったら、脳がどんな風に進化するかなんかやっぱり分からないです。

これに対しては、トルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の冒頭の言葉を紹介します。

「幸せな家族はいずれも似通っている。だが、不幸な家族にはそれぞれの不幸な形がある」

まぁ、言いたいことは分からないでもないです。
そこで、ためしに画像生成AIのDALL-E3に「幸せな家族」の画像を生成してもらいました。
確かに幸せそうですよね。


もう、幸せが滲み出てますよね。

次は不幸な家族を生成してみました。
確かに、不幸な家族ですよね。

一体、何があったんですか?

日本の家族でも生成してみました。

えっ、どういう状況?
まぁ、たしかに、不幸にはいろんなバリエーションがあるようです。

それじゃぁ、人類が目指す誰もが幸せとなる世界とはどんな世界でしょう。
一つは、働かなくても生きていける世界です。
いわゆるベーシックインカムです。
でも、そんな夢のような世界、実現できるのでしょうか?

それも、最近では、実現の目途が立ってきました。
今まで、人間が働いていたことを、AIロボットが完全自動で行うことができるようになってきています。

ついに、人類が今まで経験したことがない世界が訪れようとしています。
ここにきて、人類は価値観の転換を余儀なくされます。
つまり、脳の進化させる必要があるんです。
じゃぁ、どんな風に脳は進化するんでしょう?

まずは、今までの脳内処理のおさらいです。
目からの視覚情報は後頭葉の一次視覚野に投影されます。

一次視覚野の情報は頭頂葉に向かう背側視覚路と側頭葉に向かう腹側視覚路に分かれます。

背側視覚路は「どこの経路」と呼ばれ、位置や動きを分析します。
腹側視覚路は「何の経路」と呼ばれ、色や形を分析します。
たとえば、リンゴを見たとき、色は赤で形は丸いって分析します。
これは、リンゴの意味とも言えます。
そして、それをオブジェクトというデータ構造にまとめます。

オブジェクトは、一次視覚野に投影された「見た目」と、何の経路で分析された「意味オブジェクト」からなります。
そうやってできたリンゴオブジェクトは仮想世界に配置されます。


仮想世界というのは、現実世界を頭の中に再現した世界です。
そして、意識は仮想世界を介して現実世界を認識します。
だから、仮想世界のリンゴを見たとき、見た目のとしてのリンゴと、意味としてのリンゴの両方を認識します。

そして、重要なのは意味ですよね。
リンゴの意味オブジェクトには、値段とか、美味しといった重要な要素がいっぱい含まれています。
そして、これらは比較することができます。

こっちのリンゴの方が高いとか。
こっちの方がおいしそうだけど、高いから安い方にしようとか。
要素を比較することで選択することができます。
比較するのは「もの」だけじゃありません。
どっちがいい学校か、どっちがいい会社か。
自分と相手、どっちが偉いか、どっちがお金を持っているか。

生きている間、ずっとこんなことばかり考えています。
そして、これらは全て言葉で考えていますよね。
考えたり言葉にしたり、これは左脳の役割です。

人は、いい暮らしがしたいって考えます。
そのために、いい大学に行って、いい会社に就職してって。
そうやってみんなが努力して社会が発展してきました。

その社会が、今、究極の社会になろうとしています。
それが、働かなくても生きていける社会です。
これで誰もが幸せになれます。

でも、本当にそうでしょうか?
じつは、これが既に実現されているところがあります。
それも日本です。

東日本大震災の後、東京電力から多額の賠償金をもらった人たちが暮らす町です。
そこには、働かなくても生きていける人たちが大勢住んでいます。
その町はどうなったかというと、パチンコ店が満員になりました。

これは、幸せな生き方とはいえないですよね。
なぜ、こうなるんでしょう?
それは、一生懸命働いて、いい暮らしがしたいって目標がなくなったからです。
目標を目指して行動するというのは、比較していい方を選ぶって左脳の思考です。
左脳の思考のままじゃ、幸せになることはできないんです。

だから、右脳に切り替える必要があるんです。
でも、右脳に切り替えると何が変わるんでしょう。

さっき、意識が認識するのは「見た目」と「意味」と言いましたよね。
そのうち、「意味」を重視するのが左脳です。
逆に、「見た目」を重視するのが右脳です。
「見た目」というより、見たままを、そのまま感じ取るのが右脳です。
だから、見たままを感じ取るようにするんです。

とはいっても、僕らは今まで左脳でしか考えてきていません。
右脳で考えろと言っても、どうしたらいいのか分かりません。
そこで、右脳で世界を見るとはどういうことか、右脳優位の人が見る世界を見ていきます。

右脳優位といって思い出すのが自閉症です。
そこで、自閉症の作家、東田直樹さんの話を紹介します。
東田さんは、たとえば携帯電話を選ぶとき、いろんな機種を見て、機能や価格を比較することができないって言います。
できないと言うか、そもそも思いつきもしないそうです。

左脳は、意味オブジェクトを認識します。
意味オブジェクトには、機能とか価格といった様々な要素が含まれていて、それらを比較してどっちがいいか選びます。
これが左脳の思考です。

右脳は意味オブジェクトで認識しません。
認識するのは見えるもの、感じるものだけです。
だから、東田さんが携帯電話を選ぶときは、それを手に持って使えるか確認するだけです。
直接自分が感じたことだけで判断します。
ありのままの現実世界を感じるんです。
これが右脳の世界の認識の仕方です。

もう少し見てみましょう。
滋賀県にある「やまなみ工房」という障害者施設があります。
ここでは利用者がアート作品を創っているのですが、それが、今、世界の注目を集めています。
彼らの作品には特徴があります。
たとえば、この作品

拡大してみると

ぎっしりと人物が書き込まれています。
よく見るとひとりひとり表情が違います。
それから、こんな作品もあります。

抽象的な形を書いていますけど、少しずつ形が違いますよね。
こんな細かな違いを熱心に描き込むんです。
彼らは、よく似たもののなかのわずかな違いに惹きつけられるようです。

同じようなことは、東田さんも言っていました。
東田さんは、自然が大好きだそうです。
緑の山の中にいるのが一番、心が落ち着くそうです。
それから、桜吹雪とか、直視できないとも言います。
あまりの美しさに心が吸い付けられるからだそうです。
だから、わざと薄目でチラっと見るだけにするそうです。

森の中の木って、どれもよく似てますけど、よく見ると少しずつ違います。
右脳は、そういったものに心を奪われるようです。
違いを認識するといっても左脳の認識の仕方とは違います。
左脳は違いというより比較です。
どちらが優れてるかといった見方です。
右脳は、違いそのものに喜びを感じるんです。
みんな、少しずつ違ってることが嬉しいんです。
優れてるから嬉しいんじゃないんです。

トルストイは、「幸せな家族はいずれも似通っている」と言いました。
社会が発展すれば皆、同じような暮らしになります。
そんな社会で幸せを感じるには、どっちが優れてるかって比較じゃないんです。
少しの違いを嬉しく感じることです。
わずかな違いを美しいって感じる右脳です。
右脳は、存在そのものをありのままに受け入れて、それだけで幸せを感じるんです。

左脳が幸せを感じるのは、たとえば隣の家族より自分らはいい車に乗ってると認識したときとかです。
比較してまさってたり、目標を達成したときです。
これが右脳と左脳の違いです。

左脳が重要視するのは見た目でなく意味オブジェクトです。
意味オブジェクトを作ってるのは無意識です。
無意識は、意識が判断しやすいように、様々な要素を持った意味オブジェクトを作成します。
だから、左脳はどっちが高いかってことにすぐに注意が向くんです。
左脳は、現実世界を見ているようで、実は、意味オブジェクトを認識してるんです。

これは逆に言えば、無意識がオブジェクトを作ってないと認識できないとも言えます。
何か存在していたとしても、無意識が、意味のないただのノイズと判断してオブジェクト化しなければ、それは意識に上りません。

このことで思い出すのがピダハンです。
ピダハンは、このチャンネルでも何度も紹介しましたけど、南米アマゾンに住む未開の民族です。
ピダハンは、目に見えるものしか信じない右脳優位の民族です。
特徴は、時間といった概念を持っていないことです。
なぜなら、時間は目に見えないからです。
その他、数字や色って抽象概念を表す言葉も持っていません。
徹底して、目に見えるものしか信じないんです。
だから、神とか宗教も持たないんです。
これはかなり珍しいです。

ところが、精霊は信じるんです。
神は信じないのに、精霊は信じるって、意味が分かりません。
でも、よく話を聞くと、精霊は目に見えるそうなんです。
精霊は実際に存在するんです。

考えたら、赤ちゃんとか犬とか、何もない空中を見て笑ったり、吠えたりすることありますよね。
大人には見えないけど、言葉を話さない赤ちゃんや犬には見える何かがあるようなんです。

言葉は意味です。
意味は無意識が作る意味オブジェクトです。
言葉を話さないってことは、意味オブジェクトを使ってないってことです。
つまり、左脳には見えなくても、現実世界をそのままを認識する右脳には見えるものがあるんです。
それをピダハンは精霊と呼んでいるんです。
僕らも、赤ちゃんの頃には見えていたはずです。
でも、言葉を話すようになって、世界を意味として認識するようになると、いつの間にか精霊が見えなくなってしまったんです。

ピダハンは、ある日、突然、名前を変えることがあるそうです。
きっかけは、精霊に名前を変えるように言われたからだそうです。
その人に昔の名前で呼びかけても、聞こえてても返事をしないそうです。
何度も呼び掛けると、「もう○○はいない。いまここにいるのは××だ」とかって、新しい名前を言うそうです。

これ、単に名前を変えたというより、今までの自分を捨て去って、新たな自分に生まれ変わったってことです。
よく考えたら、この自分というものも、抽象的な概念です。
どこで生まれて、今までどんな経験をしてきたってのが自分です。
でも、それはただの記憶の集まりです。
とはいっても、簡単に自分を捨て去ることなんかできませんよね。
でも、それは左脳が作り上げた世界を生きてるからそう思うだけです。
たしかに、もし、自分というものがなくなったら、責任とか義務とか、社会のあらゆる概念が意味をなさなくなります。
でも、そんなのが意味をなすのは、左脳が作り上げた社会だからです。
そろそろ、人類は、自分すら手放すときに来てるんです。
精霊に言われたら、さっさと、今までの自分を捨て去ればいいんです。

でも、本当に目に見えない存在なんかいるんでしょうか?
右脳で認識するようになれば、ピダハンみたいに精霊たちが話しかけてくるんでしょうか?

そこで、最後にネドじゅんさんの話を紹介します。
『左脳さん、右脳さん』の著者で有名な女性です。

ネドじゅんさんは、ある日突然、右脳で世界を認識できるようになったそうです。
そのとき、頭の中のおしゃべりが一切消えたそうです。
言語は左脳なので、これは分かります。
問題はその後です。

そのとき、ネドじゅんさんは、配達の仕事をしてたそうです。
配達の仕事って、普通、半分以上は留守だそうです。
まだ置き配がないころなので、留守だと持ち帰って再配達です。

その日、計画した順序で配達しようとしたら、「そっちじゃない」って声がしたそうです。
「えっ、誰?」って思いながら、その声のとおり配達したそうです。
そしたら、ちょうど出かける直前の人に荷物を渡せたり、ちょうど帰ってきたところでタイミングよく荷物を渡せたそうです。
当初の計画通りに配ってたら、どちらも留守になってました。
そうやって、その日はすべての荷物を一回で全部配達し終えたそうです。

こういう話、ホント、怪しいですよねぇ。
でもですよ。
左脳で認識してることって、無意識が作りだした意味オブジェクトです。
無意識が理解できないだけで、ものすごく大事なメッセージが、この世界には存在するのかもしれません。
もしかしたら、右脳を使うと、今まで聞こえなかったメッセージが聞こえるようになるのかもしれません。
本当は、この世界には、大事なメッセージが満ち溢れてるのかもしれません。
左脳はそれを無視し続けてきただけです。
そのメッセージを受け取れるようになったとき、人類は、新しい世界に突入するかもしれません。


はい、今回はここまでです。
面白かったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、よかったらこちらの本も読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!