ロボマインド・プロジェクト、第597弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
AIの進化が止まらないです。
ちょっと前にOpenAIがGPT-o1っていう新しいモデルを出しました。
今までできなかった論理的思考もできるようになったそうです。
「全てのクレタ人は嘘つきだ」といったパラドックスも理解できるそうです。
数学オリンピックの問題に80%以上正解したそうです。
GPT-4が大学生レベルだとすると、GPT-o1は博士レベルだそうです。
僕ら一般人には専門的過ぎて凄さがよくわからないレベルまで来てます。
そうこうしてたら、今度は、ChatGPTの音声対話の日本語版が話題になりました。
こっちは、見たらすぐにわかります。
いや、めちゃくちゃ自然ですよね。
口調も変えられるんですよ。
いやぁ、知能は博士並みで、おしゃべりもできて、かなり人間に近づいてきてますよね。
AIが人間の知能を超えることをシンギュラリティといって、AI業界では、それがいつかが議論されています。
以前は、レイ・カーツワイルが唱えた2045年って言われていましたけど、今は、2030年とか、いや、もっと早いとかって言われます。
でも、今日は、はっきり言います。
そんなわけないやろ。
人間の心が、そんな簡単に作れるわけないでしょ。
どうも、AI業界の人たちは、見てる範囲が狭すぎるんですよ。
というか、目に見えるものしか見てないんですよ。
目に見えるものっていうのは、解けるか解けないかって問題とかです。
そうやって、大学の入試問題、司法試験、数学オリンピックって難しい問題がどんどん解けるようになってきました。
でも、これって、人間に近づいてきてるっていうんでしょうか?
電卓で考えてみましょ。
足し算と引き算しかできなかったとします。
掛け算、割り算ができないから人間より劣るといわれましたとします。
そこで、掛け算、割り算を追加しました。
さらに、三角関数とか微分、積分とかどんどん難しい計算ができるようになりました。
これを見て、誰も、人間に近づいたとか、人間を超えたって思わないでしょ。
それとおんなじです。
AIって、目に見えるわかりやすいとこしか進歩してないんですよ。
今のAI業界は、目に見える狭い範囲しか見てないんですよ。
これが今回のテーマです。
AI業界は井の中の蛙だ!
それでは、始めましょう!
それじゃぁ、AIに解けない目に見えない課題って、どんなものでしょう?
たとえば、僕はゴレンジャー世代です。
幼稚園の頃、毎日、ゴレンジャーごっこしてました。
一番人気はアカレンジャーで、二番目はアオレンジャーです。
でも僕は、ミドレンジャーが好きなので、いっつもミドレンジャー役をやってました。
なんでミドレンジャーが好きになったかというと、理由があります。
あるとき、モモレンジャーが人質に取られて、崖の上にはりつけにされたんですよ。
これじゃ、ゴレンジャーも手が出せないです。
さすがの僕も、「このままやとゴレンジャーがやられる」って思いました。
そこに出てきたのはミドレンジャーです。
ミドレンジャーの武器はブーメランです。
そのミドレンジャーがモモレンジャーに向けてブーメランを投げたんですよ。
「何するんや」って思ったんですけど、そのブーメランはモモレンジャーのロープだけ切ってモモレンジャーを解放したんですよ。
「カッコええ・・・」
って思いました。
それで、僕は、次の日からずっとミドレンジャーになったんです。
はい、今日はここまでです。
って、ウソウソ。
こっからが本題です。
ChatGPTに「何レンジャーが好きですか?」って聞いたら、たぶん、アカレンジャーかアオレンジャーって答えるでしょう。
アカレンジャー、アオレンジャーが好きって答えが統計的い多いからです。
もし、ミドレンジャーって答えたら、学習データがかたよってるなぁってなります。
これ、なんかおかしいでしょ。
でも、これが今のAIなんです。
つまりね、正しいか正しくないかってレベルしか見てないんですよ。
これが目に見えるものしか見てないってことです。
でも、この話しで重要なのは、ミドレンジャーを「かっこいい!」って思ったことですよね。
そう思う心です。
人間なら、幼稚園児でも持っています。
でも、AIは、自分が何レンジャーが好きかって、統計データで答えるんですよ。
つまり、肝心の心をもってないんですよ。
こんなのおかしいでしょ。
じゃぁ、なんでこんなことになってるんでしょう。
それは、今のAIは、正しいか正しくないかで答えられるものしか研究対象としないからです。
なぜなら、そうでないと成果として発表できないからです。
IQがいくらになったとか、こんな問題が解けるようになったって言えないと論文も書けません。
だから、次々と難しい問題に挑戦するんです。
研究にバイアスがかかってるといってもいいです。
でも、難しい数学の問題とか、普段、考えますか?
普段の会話って、そんなんじゃないでしょ。
「なんでミドレンジャーが好きなん?」
「へぇ、そうなんや」
とか、こんなんですよね。
じつは、数学の問題より、こんな会話の方がよっぽど難しいんです。
いや、表面的に会話してるように見せることはできてますよ。
口調を変えて、楽しそうに話したり、怖そうに話したりもできます。
それが今のAIです。
でも、僕らが望んでるのは、心が通った会話です。
人は、意外な答えを聞いて相手に興味を持ったり、好きになったりするわけです。
これって、心が動いたわけですよね。
そこを作るべきなんです。
つまり、人間に近づけるAIを作るとしたら、問うべきは、「どれだけ正しく答えられるか」じゃなくて、「どれだけ人に近い心を持つか」になるんです。
問いをそう変えると、見える範囲が一気に拡大します。
どんな問題が解けるかって問いからは数学とか法律の問題しか見えてきません。
これが今のAI業界が見てる範囲です。
いってみれば、井戸の中しか見てないわけです。
それを、「心とは何か」って問いに変えると、大海が見えてきます。
たとえば、そもそも生物とは何かって視点とか、サルと人間の違いは何かって視点です。
その視点で見ると、今のAIに何が足りないのかが見えてきます。
たとえば、本能とかです。
本能には、個体保存の本能と種の保存の本能があります。
個体保存の本能は、死なないためとか、長生きするための行動の原動力になります。
怖いと感じたり、おなかがすいたり、眠くなるとか、すべて個体保存の本能があるからです。
種の保存の本能は、パートナーを見つけて子供を産んだり、育てたりする行動の原動力になります。
これはあらゆる生物が持っています。
生まれつきもっている行動の原動力で、死ぬまで持ち続けるものです。
この視点でみれば、生まれた後から獲得する行動もあるわけです。
言葉とか、狩りの仕方とかは生まれた後に獲得するものです。
つまり、学習です。
ただ、学習能力はすべての生物が持っているわけじゃなくて、もてるのは哺乳類ぐらいからです。
だから、犬は「お手」とかって芸を覚えたりできますけど、カエルは教えても「お手」ができません。
これが心の仕組みが違うってことです。
つまり、心というのは、進化の過程で段階的に獲得してきたわけです。
そして、哺乳類の中で最も知能が高いのが類人猿です。
その中でもヒトは、特別です。
じゃぁ、ヒトとサルの一番の違いはなんでしょう。
それは、言語です。
チンパンジーに言葉を教える研究はいくつもありますけど、人間のように会話できるようにはなりませんでした。
つまり、チンパンジーとヒトでは心の仕組みが決定的に違うわけです。
じゃぁ、それは何か?
こういう問いが生まれるでしょ。
これが正しい問いを立てないといけないってことです。
「この問題が解けるか」って問いからは国語や数学の試験問題を解くAIしか生まれません。
そこから生まれるのは心じゃなくて試験問題回答AIです。
いってみれば高性能な電卓です。
でも、「心とは何か」って問いからは、生物の進化からみた心の仕組みが見えてきます。
国語や数学の問題を解くのは、その中のほんの一部の知能です。
その前に、知能の元となる心の機能をつくらないといけません。
それは、本能とか感情とか意識とかです。
ただ、AIに本能は持たすべきじゃないって意見もあります。
AIに生存本能を持たすと、やがて人類を滅ぼすんじゃないのかって懸念からです。
ただ、その問題は今のAIで既に起こっています。
AIアライメントと呼ばれる議論です。
有名な思考実験で、ニック・ボストロムが考えたペーパークリップ最大化問題というのがあります。
AIに効率的にペーパークリップを生産するように指示を与えます。
すると、AIはペーパークリップにできる資源を確保する方法を考えて、あらゆるものをペーパークリップに変えようとします。
もしかしたら橋を破壊してペーパークリップにするかもしれません。
そうなると、いずれ人類を滅ぼしかねないってことです。
ねぇ、人類を滅ぼすAIは、本能を持ってるから滅ぼすんじゃないんですよ。
人が与えた指示通り動いてるのに、結果として人類を滅ぼしかねないんですよ。
ただ、今のAIロボットは、まだ簡単な仕事しかできませんし、最悪、電源を切れば止まります。
でも、知能がどんどん高くなって、強力になってくるとそうはいきません。
最初に命じられた目的を頑なに遂行しようとします。
そのためには人をだますかもしれませんし、人間に電源を切らせないように防御します。
これがAIの暴走です。
そうならないように、どうすればいいのか考えるのがAIアライメントです。
AIアライメントというのは、AIを人間の価値観や意図に沿うように調整することです。
ただ、僕から見たら、ここにも同じ問題が見えてきます。
つまり、正しいか、正しくないかって答えられる問いに落とし込もうとしてるんです。
たとえば、AIの倫理問題は昔から言われています。
人種差別発言をしないようにするとかです。
そのために、言ってはいけないキーワードや文を教えるわけです。
でも、重要なのはそういうことじゃないでしょ。
なんで差別したらいけないのか教えることが先ですよね。
それは、相手が嫌な思いをするからです。
自分がされたら嫌なことは相手にしないようにしましょうって教えるんです。
そんなこと、幼稚園や小学校で教えられることじゃないですか?
難しい数学の問題の解き方を教えるより、そういった人として正しいことを教える方が先じゃないですか。
なんでそれをしないんでしょう?
それは、今のAIは心がないからです。
何が良くて何が悪いか理解できないからです。
何をしたら相手が喜んで、何をしたら相手が嫌がるかもわかりません。
その代わり、膨大な記憶力は持ってます。
だから、あらゆる単語、あらゆる単語の組み合わせからなる文を全て覚えることができます。
そこから、倫理的にNGな単語や文を言わないようにしてるわけです。
でも、これじゃ、根本的な解決になってないですよね。
人が感じるのと同じようにAIにも感じさせるのが正しいやり方ですよね。
そのためには、人と同じように感じる心をつくるべきです。
じゃぁ、なんでつくらないんでしょう?
答えは簡単です。
心の作り方がわからないからです。
いや、心理学とか哲学とか、近いものはあります。
それらが正しいかどうかは置いといて、たとえ正しいとしても、コンピュータに実装できないんですよ。
なんでかっていうと、そういう人たちは当たり前過ぎることは「心」の機能とは思ってないんですよ。
たとえば、「ある人」の行いが善いか悪いかは考えても、「その人」が「見える」ってことについては考えません。
だって、目があったら「見える」のは当たり前じゃないですか。
そんなとこに疑問を持ちません。
でも、コンピュータで心をつくるとしたら「見える」とはどういうことかってことから考えないといけないんです。
ただ単に、カメラで撮影したら見えたってことにならなりません。
カメラからの視覚情報と、それ情報処理するコンピュータがあるわけです。
そこから、ものが「見える」と感じる「心」はどうやって生まれるのか?
こういった「問い」はコンピュータが発明されて初めて生まれたんです。
ただ、コンピュータでいかにして情報処理するかって視点は、AIでは昔から考えられていました。
ただ、心という視点はあまりありませんでした。
少なくとも、生物の本能からサルと人間の違いといった体系だった心は提案されていません。
じつは、AIは歴史的にみて、二つの考えしかありません。
一つは記号主義で、もう一つはコネクショニズムです。
記号主義というのは、「AすればBとなる」といったルールを教えるタイプのAIで、ルールベースともいいます。
コネクショニズムというのはニューラルネットワークのことで、機械学習とか、今のLLMのことです。
AIは長年、この二つの派閥が争ってきました。
どうやって争ってきたかというと、同じ課題に対してどちらが正しい答えを出すかです。
つまり、どちらも、正解か不正解かって答えをだせる問いしか見ていません。
そして、長年の争いの末、今、コネクショニズム派が勝利したというわけです。
こうしてみると、どうすればいいのか、答えははっきりしてますよね。
それは、AIの問いを「コンピュータで人と同じ心をつくる」にするってことです。
ただ、この問いを立てて本格的に研究しているところはほとんどありません。
唯一あるとすれば、それは、ロボマインド・プロジェクトです。
だから、もっと世間の注目を集めてもいいと思うんですけど、正直、ほとんどありません。
いや、昔の方が、まだあったんですよ。
良く言われたのは、僕らのやってることはルールベースだって批判です。
いかにもAI業界らしい批判です。
ただ、僕らの研究はYouTubeでずっと発表してて、すでに500本を超えてます。
そんな表面的な浅い批判は通用しないことはすぐにわかります。
そうなると、いよいよ世間の注目を集めるかというと、そうはならないんですよ。
批判するとこがないけど、正しいのかどうかもわからない。
だから、もう少し様子を見ようってなって、結果として無視されるんです。
誰もが言ってることを言ってたら、「そうでしょ」ってなって、人も集まるんですけど、誰も言ってないことを言うと無視されるんですよ。
これが、ロボマインドの現状です。
でも、今日、お話ししたように、今のAIの限界もはっきりしてきました。
そして、それを解決する技術を僕らは持っています。
時間の関係で、具体的な内容まではお話しできなかったですけど、興味があるかたはこちらの本を読んでください。
そして、ぜひ、専門の方は、意見を聞かせてください。
はい、今回はここまでです。
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それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!
第507回 AI業界は井の中の蛙だ!
