ロボマインド・プロジェクト、第56弾
こんにちは、ロボマインドの田方です。
前回は、中学生でも分かるように、意識の進化について説明しました。
2045年度の中学2年の理科の期末対策をしたんですけど、
どうも、赤点ばっかりだったようです。
あんだけ説明したのに、まだ、意識の意味がわからないって言うんですよ。
意識って、何の役に立つのって。
まだ、そんなこと言うんですよ。
だから、今日は、意識が、どれだけ重要か、徹底的に分かりやすく説明します。
対象年齢は、小学4年生です。
では、始めますよ。
まず、意識がない状態です。
それは、眠ってるときです。
深く眠って夢も見ていないとき。
これが意識がない状態です。
さて、目が覚めましたよ。
これが意識です。
以上。
ウソです。
もうちょっと、ちゃんと説明しますよ。
朝、起きますよねぇ。
眠いし、もっと寝たいです。
寝起きは、頭、ぼぉーっとしてますよね。
この間、何が起こってるんでしょう?
この間に、意識を起動してるんです。
PCがスリープ状態からOSが起動するときみたいに。
PCは、OSが起動するとき、何をしてるんでしょう?
それは、キーボードとかマウス、モニターとかの接続を確認してます。
ちゃんと入出力ができるか確認してるわけです。
ここ、分かりますか?
コンピュータの脳はCPUです。
入力するのは、キーボードやマウスです。
人間でいえば、目や耳です。
出力するのはモニターです。
人間でいえば、しゃべったりする口です。
キーボードやマウス、モニターを使って、CPUは外の世界とやり取りするわけです。
そして、CPUとキーボード、マウス、モニターとをつなぐのがOSです。
コンピュータを起動すると、まず、このOSが立ち上がって、外部世界とつながるわけです。
人間が眠りから目が覚めるときと同じです。
目や耳で外の世界と繋がります。
意識が起動するわけです。
そして、最初にするのは、眼や耳を使って、外の世界とつながることです。
朝、目が覚めたとき、最初に何をしますか?
今、何時だ~って、時計を見ますよね。
ほんで、まだ、もうちょっと寝れるわとか、
ヤバい!、遅刻だぁ!とかなるわけですよね。
小学生の時やったんですけど、ベッドで起きて時計みたら、まだ、5時半やったんですよ。
外も薄暗いし、まだ、みんな寝てる時間やし、もうちょっと寝ようと思ったんですけど、なんか、1階のリビングから物音がするんですよ。
ほんで、起きて、そぉ~っと階段降りて、階段から顔だけだして覗いたら、リビングに電気がついてるんですよ。
あれっと思って、見てたら、おやじとオカンが普通にご飯の準備とかしてるんですよ。
こんな朝早くに何してるんや。
たぶん、これ、見たらアカンやつやわ。
見なかったことにしよ。
そう、思って、また、階段をそぉ~っと上がろうとしたときね、
廊下にある鏡に映ってる自分の姿を見たら、普通の服、来てるんですよ。
あれ、パジャマ着てないぞ。
えっ、どういうこと?ってなって。
でっ、よぉ~く考えたら、どうも、ベッドで昼寝してただけやったみたいなんです。
朝の5時半と思ってたけど、夕方の5時半やったんです。
なんや、そうか。
って安心したってこと、ありましたわ。
話を戻しますけど、起きて、今、何時だって確認するってことは、寝てる間は、今、何時かわからないってことですよね。
寝てる間は時間がわからないってことは、意識が起動してないと、時間も経過してないってことです。
だから、起きたら、すぐ、時計を見て、自分の頭の中の時間を、現実世界の時間に合わせるわけです。
ヤマダ電機で、DVDレコーダーとか買ってきたら、最初に時計合わせするでしょ。
そうせんと、予約録画とかできひんでしょ。
それと一緒ですわ。
朝起きたら、頭の中の時計を、現実世界に合わす必要があるんです。
もう少し考えてみます。
たとえば、朝、起きて、目を開けたら見慣れない天井が見えたとします。
あれ、和室?
ここ、どこ?
しばらくしたら、聞いたことのない女の人の声がするんです。
「お目覚めになりましたか、彦左衛門さん」
えっ、あんた、誰や?
勝手に人の部屋に入ってきて。
彦左衛門?
それ、誰やねん。
そう思って飛び起きようとしたら、
「痛て!」
ってなって。
「まだ、昨日の刀傷が癒えておりませんから」
とか言われて。
えっ、刀傷?
今、何時代やねん?
そんな経験、あります?
僕は、無いですけどね。
もし、あったら、今頃
「こんにちは! 彦左衛門です!」
とか、やってますやん。
えーと、何が言いたいかというと、彦左衛門って誰やねん!
てことじゃないです。
起きたとき、起動する意識の話です。
目が覚めたとき、設定するんは、今、何時かってことだけやないわけです。
ここどこ?
今はいつ?
俺、誰?
ってことも設定してるはずなんですよ。
意識が起動したとき、まずやることは、これなんです。
現実世界の中の、今の自分の設定です。
今が、いつで、自分がだれで。
誰と暮らしていて、どこの学校に通っていて。
来週、遠足があるとか、
昨日、ヒロシ君と喧嘩したから、今日、顔合わせにくいなぁ、とか。
これ、どういうことか分かりますか?
そういったものを、毎朝、頭の中で組み立ててるわけです。
寝て、起きて、意識が起動するたびに、脳の中に、こういったことを入れ直してるわけです。
今がいつで、ここがどこで、自分は誰でってこと、そう言ったことを頭の中に創り上げないと、生活できないわけです。
ちょっとまってくださいよ。
今がいつで、ここがどこでって、それって現実世界ですよね。
現実世界って、作るもんですか。
そんなの、わざわざ作らなくても、眼の前にあるじゃないですか。
本当にそうでしょうか?
眼の前の壁や天井は目で見えます。
現実に存在します。
目で見たり、耳で聞いたりできることは、現実世界の一部です。
たしかに、物理的に存在します。
でも、もっと重要な現実は、自分は誰かってことです。
いつ生まれて、誰に育てられて、どこの学校に行ってとか。
それが自分なわけです。
それが今の自分を作ってるわけです。
じゃぁ、それはどこにあるのって話です。
外にあるの?
いや、ないでしょ。
外の世界にあるのは、物質だったり、光だったり、音だったり、それだけじゃないですか。
一番大事なことは、頭の中にしかないじゃないですか。
脳の中です。
もっと言えば、大脳です。
大脳の中に創った世界こそが、自分ですよ。
その世界は、毎朝、起きるたびに、頭の中に創りだしてるわけです。
寝ると、その世界は、一切消え去るわけです。
消えるのは世界だけじゃないです。
世界と一緒に、自分も消えるんです。
自分っていうのは、意識です。
つまり、世界と意識とは対になってるんです。
世界っていうのは、意識が見たり、認識するから存在するんです。
認識する主体がないと、世界は存在しないんです。
これが、大脳の中で動いてるシステムです。
意識が見る世界の奥に、現実の物理世界が見えるわけです。
その意味では、現実世界を目でみてるとは言えます。
でも、それは、意識が認識する世界の、ほんの一部なんです。
遠くから、ヒロシ君が近づいて来るのが見えました。
顔があって、手があって、足があって。
目で見てわかることは、そういうことです。
でも、重要なのは、そういうことじゃないですよね。
ヒロシ君とは、昨日、喧嘩したよなぁ。
いつもなら、「おはよう」って声かけるけど、今日は、ちょっと声かけにくいなぁ。
もしかしたら、殴りかかってくるんじゃないのか。
殴ってきたら、さっと身をかわして、体当たりしてやるって身構えます。
お、何か話しかけてきたぞ。
「おはよう! 昨日は、ごめんな」
「おっ、おはよう。こっちこそ、ごめんな」
あぁ、よかったぁって。
この一連のやり取りは、頭の中の世界がないとできません。
昨日、何があったか。
相手は、どう思ってるか。
今のAIなら、相手が殴ってきたら、よけて体当たりするロボットならできるかもしれません。
「おはよう」って言われて、「おはよう」って返事するロボットもできそうです。
大量の会話データを解析すれば、「おはよう」って言ったとき、最適な返答を算出できるかもしれません。
でも、そんなの、僕らが望んでるロボットじゃないですよね。
大事なことが、すっぽり抜け落ちてますよね。
ヒロシ君は、まだ、怒ってるのかなぁ。
仲直りしたいけど、自分から言い出すのは恥ずかしいなぁ。
そんな、複雑な、切ない気持ちは、表面的な情報をいくら解析しても出てきません。
僕らの頭の中で繰り広げられる世界を作り出さないと、心を持ったロボットはできないんです。
そして、それを創ろうとしてるのがロボマインド・プロジェクトです。
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それでは、次回もお楽しみに!