ロボマインド・プロジェクト、第565弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
僕は、意識とか心の仕組みをずっと考えてきました。
心をもったコンピュータを作るためです。
理論は、ほぼ完成して、それを意識の仮想世界仮説といいます。
簡単に説明すると、意識は、頭の中に作った仮想世界を見ているというものです。
たとえば、今、ここにマイクがありますよね。
これも、今、頭の中に仮想的に作り出したマイクを見ているんですよ。
実在するマイク、そのものを見ているわけじゃないんですよ。
映画、マトリックスってあったでしょ。
あの話も、この世界は、実は仮想世界だったって話じゃないですか。
マトリックスだと、赤いピルを飲んだら、目覚めて、本当の自分は水槽の中で眠らされていたことが分かったじゃないですか。
みんな、脳にケーブルが直結されていて、水槽の中で夢を見ているのが真実の世界だったって話でした。
ただ、マトリックスとはちょっと違います。
どこが違うかというと、僕らは夢の中じゃなくて、実際の世界を生きています。
だから、ここに見えるのは本物のマイクです。
ただ、本当にあるマイクを見ているわけじゃないんですよ。
これがちょっとわかりにくいですよねぇ。
そこで、今見ている世界が仮想世界だということを、誰にでもわかるように証明したいと思います。
これが今回のテーマです。
世界一簡単
見えてる世界は仮想世界の証明
それでは、始めましょう!
まず、何が不思議かから考えてみます。
今、目の前に世界があると思っていますよね。
それって、目で見てるからですよね。
目は、カメラと同じ機能を持っています。
網膜の映像は、約100万本の視神経で脳に送られます。
100万個の色の点々のデータが脳に送られているだけです。
点々のデータから、世界があると思えるのって不思議です。
それから、もう一つ考えないといけないことがあります。
それは、意識以外の情報処理です。
脳は様々な情報処理をしていて、意識はそのうちの一つです。
逆に言えば、意識を使わない情報処理もあるし、意識を持たない生物もいます。
僕は、哺乳類以降には意識があって、それ以前の生物、たとえば爬虫類とか魚類には意識はないと考えています。
つまり、脳が進化することによって意識を獲得したと考えます。
これは、脳の進化の系統図です。
これ見てわかるように、哺乳類以降は大脳が大きく発達していますよね。
おそらく、意識は大脳に宿ると考えています。
これが前提となる考えです。
いま、考えようとしているのは、「意識は、いかにして世界があると考えるのか」ということです。
生物は進化の過程で最終的に意識を獲得したとなります。
でも、僕らは意識を使って世界があると認識しています。
だから、世界があると思う以外の情報処理がどんなのかなんてわかりません。
でも、実は、そんなこともないんですよ。
さっきの図、もう一回見てください。
脳の進化って、脳が入れ替わるんじゃなくて、前あった脳の上に、覆いかぶさるようにして追加して進化するんです。
つまり、僕らも古い脳を持っているんです。
そして、古い脳には意識がありません。
つまり、僕らも古いタイプの情報処理をしているってことです。
ただし、古いタイプの情報処理は意識を持っていないから、意識できません。
以上を踏まえて、目の前に世界があると、どうやったら思えるかについて説明していきます。
生物の目的は、生きることです。
死なないように生き続けることです。
そのためにお腹がすいたら食料を食べて、天敵が来たら逃げます。
こういったことができるように、環境に合わせて進化してきたのが生物です。
たとえば、カエルは目の前に虫がいたら素早く捕まえて食べます。
天敵の鳥の影を感じたら、素早く逃げます。
もたもたしてたら、虫を捕まえられないし、鳥に食べられてしまいます。
つまり、環境の変化に応じて、いかに素早く動くかが生き残る決めてです。
同じことは、人間ももっています。
それが反射です。
たとえば熱い鍋に触ったとき、思わず手を引っ込めるでしょ。
これが反射です。
今、「思わず」って言いましたよね。
「思う」とか「感じる」というのは意識が行う情報処理です。
「思わず」動く「反射」は、意識を使わずに動いているわけです。
これが、意識がなくてもできる原始的な情報処理です。
意識を使わない情報処理の特徴は、とにかく速いってことです。
熱い鍋にずっと触っていたら、火傷してしまうでしょ。
「どのくらい熱いのかなぁ」って意識が思うには、熱さを意識が感じるまで待たないといけません。
だから時間がかかるんです。
意識が感じるもののことをクオリアって言います。
「熱い」と感じるには、「熱さ」のクオリアを生成して、それを意識が受け取って、その熱さの度合いを感じて、「あっつぅ!」と感じるわけです。
それだけの情報処理をしてたら、そりゃ、時間がかかりますよね。
だから、意識が感じる前に、反射で手を引っ込めるわけです。
そして、そのあと、じわぁ~っと、熱さを感じるわけです。
今の中に、既に二種類の情報処理があるってわかりましたよね。
古い脳が行う反射と、新しい脳が行う意識です。
注意してほしいのは、どちらも入力データは同じだということです。
それが、二種類の情報処理を経由していたわけです。
おそらく爬虫類とか魚類とかは、古い脳、つまり意識がないタイプの情報処理だけで生きていると思われます。
ということは、意識を持たない生物は、世界があると思ってないんじゃないでしょうか?
そうなんです。
世界があると思うのは、意識を持つまで進化してからなんです。
目を開けたら世界が自然と見えるわけじゃないんですよ。
何らかの複雑な処理をして、その結果、世界があると思えるんです。
それじゃぁ、どうやって世界があると思えるようになったんでしょう?
次は、それを考えてみます。
単純化したロボットで考えてみます。
たとえば、工場で働くロボットで、Aの箱からBの箱に移動させるとします。
ロボットはAにある物体をロボットハンドで掴んで、Bに移動させます。
これは、物がどこにあって、どのくらいの固さで、どこに移動させるか決まっている場合、すぐに作れます。
次に、物体の固さが変わるとします。
今までは固い物体だったのが、今度は、スポンジのように柔らかかったり、卵みたいに割れやすかったりするとします。
これに対応するには、ロボットハンドの指先にセンサーを付けます。
センサーを付けて、どのくらいの強さで掴んでるかを検出しながら持ちます。
その時、掴んだ指先の位置から、物体が変形したか、壊れないかを検出します。
時には失敗して卵を強くつまんで割ってしまうこともあります。
そんな試行錯誤を重ねて、少しずつ学習していろんなものをうまくつかめるようになりました。
最初掴めたのは、決められた物体だけでした。
それを、学習することで様々な物体をつかめるようになったんです。
これ、言い換えたら環境の変化に対応できたってことですよね。
環境の変化に対応できる生物だけが生き残れます。
環境が変化して、今までにない動きをする虫が現れたとします。
カエルは、その虫を捕まえられないと絶滅してしまいます。
環境の変化に対応できたカエルが今も生き残っているわけです。
環境の変化に対応するというのは、新たな環境に合わせて学習するということです。
つまり、強化学習です。
これは、今のAIがやっていることです。
カエルもAIも強化学習ができるということです。
ただ、カエルもAIも、まだ、意識はありません。
意識が生まれるには、さらに一つ上の変化が必要です。
変化というより気付きです。
入力データは同じです。
今までは、ただ、入力データだけを見て学習していました。
ロボットハンドで考えてみます。
今までは、指先にかかる力の大きさしか見ていません。
これは、一次元です。
ところが、あるロボットが、ある日、ひらめいたとします。
もしかして、今、指先に感じているもの、それは何か大きなものの一部じゃないかって。
そうです。
そのロボットは、三次元世界というものをひらめいたんです。
もしかして、この世界は三次元世界じゃないのか。
さて、そう思ったら、そのロボットは何をするでしょう。
それは、物体全体のモデルを作るでしょう。
三次元の物体モデルです。
そして、今、指先に感じているのは、物体の一部に触れているという世界を作るでしょう。
それが三次元世界です。
それを作るとしたら、3DCGでできますよね。
今手に触れているのは、何らかの三次元の物体の一部だ。
この柔らかさはスポンジだ。
この固さ、この形は卵に違いないって思うわけです。
今の話は、触覚センサーの話でした。
これは視覚センサーでも同じことが言えます。
視覚センサーはカメラなので二次元データです。
そこから、情報処理によって三次元モデルを生成するんです。
スポンジとか卵の三次元モデルを生成して、そのモデルデータを感じるんです。
モデルデータを感じるとは、立体の形を感じるわけです。
奥行があって、見えなくても裏側もある物体を感じるわけです。
これって、僕らが感じている世界にかなり近いですよね。
これが、世界があるって感じるってことです。
さて、ようやく、本題が見えてきました。
僕らが、見て、世界がある、物があるっていうのは、世界そのものを頭の中に仮想的に作り出しているからです。
つまり、世界を直接見ているわけじゃないんです。
僕らが見ているのは、頭の中の仮想世界です。
でも、本当にそうなのでしょうか?
それを検証する方法はあるんでしょうか?
本当に、今見ている世界が仮想世界なら、世界のどっかにほころびとか、つなぎ目とか、何か、おかしなところは見つからないんでしょうか?
壊れたりしないんでしょうか?
残念ながら、このシステム、完璧なので、ちょっとやそっとじゃ壊れません。
ただ、思いっきり頭をぶつけるとかしたら、壊れることがあるんですよ。
僕が脳の障害の本とか読むのは、そんな脳の事例を探したいからです。
今回紹介するのは、その中でも、僕がバイブルとして使っているラマチャンドラン博士の「脳のなかの幽霊」です。
僕の意識の仮想世界仮説は、ほぼ、この本をもとに作り上げたといっても過言ではないです。
さて、この本に、交通事故で頭を打って、おかしなものが見えるようになったラリーの話が出てきます。
ラリーは、事故で頭をフロントガラスに強く打ち付けて、視神経を保護している骨が折れました。
その事故によって、視界の下半分、鼻から下の視界が見えなくなったそうです。
それも、ただ、見えなくなっただけじゃなくて、見えない下半分の視界に幻覚が見えるようになったそうです。
ラマチャンドラン博士が、「じゃぁ、今、あなたの下半分の視界に何が見えますか?」って聞いたら、「博士の膝の上にサルが座っているのが見えます」って言います。
「じゃぁ、なぜ、あなたはそのサルが幻覚だってわかるのですか?」って聞くと、「だって、サルを膝の上にのせて診察する先生なんていないでしょ」って答えます。
とにかく、幻覚と現実は区別がつかないそうです。
理屈から考えてあり得ない物が見えると、それが幻覚だとわかるから、それほど困らないそうです。
ただ、靴を履くとき、時々、床一面に靴の幻覚が見えるそうで、その時は、本物の靴を探すのに苦労するそうです。
さて、僕が何を言いたいのかわかりましたか?
さっき、僕らが見ているのは頭の中の仮想世界だって言いましたよね。
今見えてるこれは、仮想マイクです。
ただ、普通は、脳は現実に見えるものだけを作り出すので、あたかも、現実世界を見ているように感じるんです。
それが、ラリーみたいに頭を強く打つとかして、脳が故障すると、見えないものまで作り出してしまうんです。
これで、僕らが見ている世界が仮想世界ということがわかってきましたよね。
さて、冒頭で映画マトリックスを紹介しましたよね。
僕らは、本当は、水槽の中で眠らされていて、ただ夢を見ているだけだって話しです。
あの話、仮想世界を見ているという面は正しいんですけど、ただ、ちょっと違うというか、解釈が浅いんですよ。
どこが浅いかというと、真実の世界も、また、この三次元世界としてるからです。
じゃぁ、僕らがいる本当の世界って、いったい、どんな世界なんでしょう?
見たいですか?
赤いピルを飲めば、僕らがいる真実の世界を見ることができます。
覚悟はいいですか。
それじゃぁ、飲みますよ。
はい、これが僕らがいる本当の世界です。
https://www.youtube.com/watch?v=liFjsSDj1eM
(適当に)
僕らは、プログラムの中にいるんです。
現実世界と思っていた世界は、3DCGで作られた仮想世界でしたよね。
CGのデータを受け取って、3Dの立体を感じるのが僕らの意識です。
立体に感じているということは、意識プログラムが、データをそう処理しているからです。
意識プログラムというのは、僕ら自身です。
これは、それを外から見た光景です。
でも、これじゃぁ、何がなんだかわからないですよね。
これじゃあ困るので、意識の中に戻りましょう。
(マトリックス動画終了)
はい、戻りました。
元の世界が見えますよね。
これで安心しました。
やっぱり、赤いピルなんか、飲むもんじゃないですね。
はい、今回はここまでです。
この動画がおもしろかったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、意識の仮想世界仮説に興味がある方は、よかったらこちらの本を読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!
第565回 世界一簡単 見えてる世界は仮想世界の証明
