第571回 人類の次の進化、右脳人間


ロボマインド・プロジェクト、第571弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。

昨日、ITジャーナリストの湯川鶴章さんに誘われて軽井沢まで合宿に行ってきました。

湯川さんは、the Wave TVというAIのYoutubeチャンネルをやっていて、僕もいつもみています。

そんな湯川さんから、ネドじゅんさんと話せるけど、田方さんも一緒に来ませんかって誘われて、それで、すぐに参加することに決めました。

ネドじゅんさんは、ある日突然、右脳が開花して、僕も、YouTubeで何度か取り上げたことがあります。
どうやって右脳が開花したかを紹介した本が『左脳さん、右脳さん』で、この本をいち早く紹介したのが湯川さんでした。

そのあと、Naokiman Showで対談した動画が200万回再生されて、ネドじゅんさんの人気に一気に火が付きました。

さっきの本もアマゾン総合ランキング1位を獲得しました。

僕は、右脳思考について、いろんな人の本を取り上げてきました。
一番よく取り上げたのが、脳科学者のジル・ボルト・テイラー『奇跡の脳』です。

そらから、テンプル・グランディンの『ビジュアル・シンカーの脳』とか

東田直樹さんの『自閉症の僕が飛び跳ねる理由』とかです。

ジル・ボルト・テイラーは左脳が脳卒中になって、右脳で感じる世界を体験しました。
一方、テンプル・グランディンと東田直樹さんは自閉症で、生まれたときから右脳思考です。
そして、東田さんは、僕の脳は原始人の脳だっていいます。
たしかに、右脳は大昔の人間の脳のように感じます。
だから、右脳で思考するってことは退化じゃないかと思ったんですよ。
それが、今回、ネドじゅんと話して、そうじゃないってことがはっきりわかりました。
これが、今回のテーマです。
対談ネドじゅん
人類の次の進化、右脳人間
それでは、始めましょう!

今回の合宿では、屋外で講演して、比較的緩いスケジュールだったんですけど、ネドじゅんさんは「私は時間通りに初めて時間通りに終わるのが好きです」っていって、ぴったりに終わっていました。
時間通りが好きというのは自閉症や発達障害でよく聞くので、やっぱり右脳思考になると時間どおりに物事を進めたくなるみたいです。

講演の中身は、ある日、突然、頭の中のおしゃべりが全く聞こえなくなったという話から始まりました。
頭の中のおしゃべりというのは、「今晩、何食べよう」とか「あんなこと言わなかったらよかった」といった勝手に動き出す思考のことで、これを自動思考といいます。
右脳思考になったとき、自動思考が消えた話はジル・ボルト・テイラーも同じことを言っていました。
ただ、どうやら数%ぐらいの人は、もともと頭の中のおしゃべりがないそうで、そのときも、何人かの人は自動思考がないって手を挙げていました。
どうも、自動思考は人によってかなりばらつきがあるみたいで、僕も、自動思考はそんなにないみたいですけど、そういえば、昔はもっとあった気もします。

さて、自動思考というのは頭の中の独り言です。
つまり言語です。
ここで、言語がいかにして生まれたかについて考えます。
最近の研究で、言葉を話すのは人間だけじゃないことがわかってきています。
たとえばシジュウカラの鳴き声は文法をもった言語だということがわかってきています。
たとえば「タカが来た」と鳴けば、ほかの鳥は空を見上げて、「ヘビが来た」と鳴けば、地面を見ます。
それから、チンパンジーに言葉を教えた研究も結構あります。
チンパンジーはしゃべれませんけど、手話で100~200語の単語を覚えたそうです。
そして、「あそこにあるボールをあのバスケットに入れて」といった文章の意味を理解して実行することができます。
ここまではできますけど、じゃぁ、何ができないんでしょう?
それは、「昨日、こんなことがあったよ」って伝えることができないんです。
どういうことかというと、チンパンジーは、今、目の前にある世界しか認識できないんです。
過去とか未来を想像できないんです。
つまり、今、目の前の世界以外を思い描くことができるのは人間だけなんです。

この能力を獲得したから、「あの山の向こうにライオンがいた」といったことを伝えることができるんです。
というか、目の前にない世界を想像する能力を持つ者同士が集まると、必然的に産み出されたのが言語です。
何が言いたいかというと、言語は後だということです。
まず、脳が、目の前にない世界を想像する能力を獲得したわけです。
これは進化によって獲得した能力で、生まれた時から持っている能力です。
そして、生まれた後、学習によって獲得したのが言語です。

言語を処理するのは左脳です。
つまり、頭の中で続くおしゃべりは左脳が行っているってことです。
そして、目の前に見える世界って、今、ここの世界です。
よく、右脳や瞑想では、イマココに集中するっていいますよね。
つまり、イマココの世界には、言葉は必要ないってことです。
次は、イマココの今について考えてみます。

ジル・ボルト・テイラーは右脳の世界を体感したとき、そこには時間がなかったと言っていました。
ここで、主観的に感じる時間について考えます。
僕らは時間の流れを感じますよね。
過去から現在、現在から未来へと流れる時間を感じますよね。
それを感じられるのは、現在とは違う過去とか未来を想像できるからです。
つまり、時間の流れを感じられるのも、今、こことは違う世界を想像できるからです。
逆に言うと、今、ここしか認識できない右脳には時間の流れが存在しないとなります。
ここから、右脳には言語も時間も存在しないといえますよね。
そして、その理由は、右脳は、今、目の前にある世界しか感じられないからです。


左脳は言葉を扱います。
言葉というのは意味を持ちます。
たとえば「リンゴ」と言った場合、赤いとか甘いとか果物とか、いろんな意味を持ちますよね。
色とか味、果物というのは言ってみれば抽象的なデータです。
抽象的なデータをまとめたものをオブジェクトと呼ぶことにします。
そのオブジェクトに「リンゴ」と名前を付けたわけです。
左脳が認識するのは、このリンゴオブジェクトです。

一方、目の前に見える実際のリンゴそのものは具体です。
具体的なリンゴを認識するのが右脳です。
いや、リンゴと名前で呼んだ時点で、それは左脳が扱うオブジェクトになります。
右脳は、見えるだけを感じるだけです。
リンゴを見て赤いとかは見てわかりますけど、食べたら甘いとか、皮を剥いたら白い身があるとか、見たままにはありません。
さて、ここからが本題です。

ネドじゅんさんは、ある日、突然、意識が左脳から右脳に切り替わりました。
今まで、左脳で見てた世界を右脳で見るようになったわけです。
そうなると、どうなると思いますか?

ネドじゅんさんが言うには、最初、一歩も歩けなくなったっていうんですよ。
どういうことかというと、一歩足を踏み出すとするでしょ。
床が見えるけど、その床を踏んでも大丈夫かがわからないわけです。
床が割れないとも限らないし、見えてるだけで、そこには床なんかないかもしれないわけです。

僕らは、床が固くて踏んでも大丈夫っていうことを知ってますけど、それは、僕らの意識は左脳にあって、床オブジェクトの固さデータを認識してるからです。
これを意味記憶といいます。
さらに、床の上を歩いていた過去の記憶も持っています。
過去の出来事の記憶のことをエピソード記憶といいます。
僕らは、当たり前のように床の上を歩いていますけど、それができるのは、床は固いって意味記憶と、床の上を歩いたことがあるってエピソード記憶があるからです。

意識が右脳で世界を認識するようになった瞬間、これらに一切アクセスできなくなりました。
だから、一歩も歩けなくなったわけです。
それで、恐る恐る一歩を踏み出すわけです。
そうやって一歩一歩、歩くことから学び始めたそうです。

ジル・ボルト・テイラーも同じようなことを言っていました。
ジルは、色が物の表面にあるって関係がわからなかったと言っていました。
色と物体が見えるのはわかるけど、それが一体になってると気づかなかったそうです。
ただ、たまたま同じ場所にあるだけと感じてたそうです。
左脳を使わないと、そんなことから分からなくなるみたいです。

それから、ネドじゅんさんも、ジルも、意識が右脳にあると幸福を感じると言っていました。
ただ、ジルは、ずっと右脳にいると幸せで、何もしなくなるので、仕事をするときは、意識を左脳に戻すって言っていました。
そこが、ネドじゅんさんはどうなのかと思って気になっていたんですけど、どうも、そうじゃなかったんですよ。
ネドじゅんさんは、意外なことを言うんです。
意識が右脳にあるまま、エピソード記憶とかにアクセスできるようになってきたって。
ここが、今回、一番の衝撃でした。

右脳は確かに素晴らしいです。
でも、右脳だけだと、世界を意味のあるオブジェクトとして認識できないし、エピソード記憶も持てません。
左脳が認識する世界は、進化によって獲得した高度なシステムです。
それが、ネドじゅんさんは、意識を右脳に置いたまま、高度な左脳のシステムにアクセスできるようになったっていうんです。

人類は、進化によって左脳のオブジェクト認識システムを獲得しました。
それは、意味を持った世界です。
時間の流れも認識します。
時間がある世界とは、原因があって結果がある世界です。
これは、論理的思考ともいえます。

さらに、左脳が認識するオブジェクトは意味や値を持ちます。
値をもつオブジェクトは比較ができます。
どちらの値段が高いとか低いとかです。
それから、自分と相手、どちらの偉いとかもです。
そんなことをぐるぐる考えてしまうのが自動思考です。

左脳のオブジェクト認識システムは人類が獲得した素晴らしい機能です。
でも、時に、人を苦しめます。
他人と比較して、劣った自分を感じて落ち込みます。
時間を理解するから、過去の出来事を思い出します。
あんなこと言うんじゃなかったって後悔します。

今ここだけを感じる右脳はそんなこと感じません。
構造上、感じることができないとのが正解です。
だから幸せを感じるわけです。
ただ、論理的に考えることもしゃべることもできません。
これだと普通の仕事ができません。
ところがネドじゅんさんは、右脳にいながら必要なときだけ、左脳のシステムにアクセスできるようになったんです。
左脳と右脳のいいとこ取りの新しい脳の使い方です。
いや、脳の進化です。

近年、自閉スペクトラム障害、ASDが世界的に増えています。
たとえばアメリカで8歳児を対象に調査したところ、2000年には150人に一人だったところが、2022年には31人に一人にまで増えています。
日本では、ASDやADHDなどの発達障害の児童が2009年の約5万人から2019年には13万人まで増加しています。

最近、米国のロバート・F・ケネディ保険福祉省長官が、ASDの原因は環境要因だとして、大気や水などに毒素が含まれていないか調査に乗り出しましたそうです。
でも、そんな化学物質なんか見つかるはずがないと猛反発されていますし、僕もそう思います。

それより、子供からASDが増加しているということは、人類の脳が新しい進化を迎えようとしていると考えた方が自然です。
それは、右脳を使う太古の人類に戻るのでなく、右脳と左脳の両方のシステムを使う進化です。
そして、ベースとなる意識は右脳にあります。

現代の学校は、左脳で設計された競争世界です。
デフォルトが他人との比較の社会です。
競争社会で幸せになれるのは、競争に勝ち残った一部の人だけです。

そんな競争社会より、比較などせず調和を重んじる右脳社会の方が、誰にとっても生きやすいですよね。
そして、論理的思考が必要な時だけ、右脳にいながら左脳のシステムにアクセスすればいいんです。
それができるのがネドじゅんさんで、今、増えつつある子供たちも、きっとできると思います。

それを、左脳で設計された古い教育システムに、進化した右脳優位の子供たちを無理やり当てはめようとしています。
他人と競争させて社会に都合のいい人間を育てようとしているんです。

そうではなくて、お互いを尊重して、ありのままを受け入れて、必要なときだけ左脳システムを使うというのが、これからの社会じゃないでしょうか。

はい、今回はここまでです。
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それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!