ロボマインド・プロジェクト、第586弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
もし、あなたの人生が生まれたときに既に決まっているとしたらどう思いますか?
どこに住んで、どんな仕事に就いて、誰と結婚するかまで。
全て生まれたときから決まっていたとしたらです。
さすがに、そんなことあり得ないです。
だって、自分の人生、その瞬間、瞬間、自分で決めてきましたから。
ところが、そうじゃないって研究があるんですよ。
もし、本当にそうなら、自由意志なんて存在しないですよね。
たしかに、現代科学では、自由意志が存在しないという意見があります。
ただ、僕は一貫してその意見に反対してきました。
さらに、自由意志が存在しないという意見はすべて論破してきました。
ところが、今回ばかりはそうはいかなかったです。
まさか、こんな日が来るとは思ってもいなかったです。
これが今回のテーマです。
あなたの運命は決まっていた
自由意志など存在しない
それでは、始めましょう!
今回の話も、神経学者デイヴィッド・イーグルマンの『あなたの知らない脳 意識は傍観者である』からです。
今回の話のポイントは、僕らの脳には、二種類の自分がいるということです。
一つは意識、もう一つは無意識です。
意識と無意識の関係は、進化から考えると無意識が古くて、意識が新しいです。
魚とか両生類といった進化的に古い生物は無意識に制御されて、哺乳類とかヒトとか進化的に新しい生物は意識で制御されます。
これは、脳の系統発生図です。
魚類や両生類の脳は小脳や脊髄が中心で、ここが無意識です。
哺乳類やヒトになると大脳が発達して、ここが意識となります。
ただし、大脳は小脳や脊髄を覆うように発達するので、ヒトでも無意識の制御は残っています。
ここで、会社にたとえて意識と無意識の関係を考えます。
何か商品を作るメーカーがあったとします。
その会社は、原材料を仕入れて、工場で加工して、出荷します。
これらを行う多くの社員がいます。
社員に指示を出すのが社長です。
これを人間に例えると、実際に行動する社員が無意識で、命令を出す社長が意識となります。
意識は考えて、体に指示を出します。
「手を上げよう」と思えば、手を上げることができます。
この時、肩や腕の筋肉に指令を出して実際に手を上げさせたのは小脳です。
ここが無意識の処理です。。
これが意識と無意識の関係です。
無意識の仕事は、歩いたり、自転車や自動車の運転をするとかです。
歩くとき、右足を出して、次は左足を出してなんて意識で考えないでしょ。
意識は、「どこに行こう」と思うだけです。
あとは無意識が自動で体を制御して動かします。
通常は、これで問題なくて、意識は無意識のこととか気にかけません。
自分が体全部を動かしていると思っています。
ところが、脳が損傷するとかすると、意識と無意識の二人の自分がいるということに気付きます。
たとえば新しい記憶ができない前向性健忘という記憶障害があります。
前向性健忘になると、昨日の出来事とか、完全に忘れてしまって、新たに記憶することができません。
ところが、新しく覚えることもできるんです。
たとえば、ゲームの仕方です。
ある前向性健忘の患者にテトリスを教えました。
次の日、「テトリスってゲームやったことありますか?」って聞くと「ないです」って答えます。
でも、やってみると、上手にプレイできるんです。
明らかに、テトリスのやり方は覚えているんです。
毎日、初めてのゲームをやっているつもりでも、体は覚えていて、勝手に動くんです。
さて、これを意識と無意識で考えると、意識は、テトリスをやったことを覚えていないわけです。
でも、無意識は覚えているわけです。
無意識というのは、実際に体を動かすところで、会社でいえば社員です。
意識が覚えられないのは昨日、何をやったかで、これをエピソード記憶といいます。
無意識が覚えているのは、テトリスのやり方といった、体の動かし方で、これを手続き記憶といいます。
前向性健忘になることで、自分の中には二人の自分がいることに気付かされます。
これはちょっとショックです。
何がショックかというと、この体を支配しているのは意識、つまり、会社でいえば社長だと思っていました。
ところが、社長がいなくても、会社はちゃんと動き続けるんです。
社長にしたら、あれって、なりますよね。
さらに興味深いのは、意識は自分がテトリスをやったことを覚えていなくても夢は見るんです。
次の日、「昨日、上からいろんな形のブロックが次々に落ちてくる夢をみた」とかっていうんですよ。
でも、なんでそんな夢をみたのかわからないって言います。
意識は進化的に最後に生まれたから、不安定で壊れやすいですけど、無意識は太古の生物からあるので壊れにくくて頑丈です。
だから、脳が損傷すると、まず、意識の機能から失われるんです。
そんな弱い存在なのに、自分ひとりで体全部を制御してると勘違いもしてるんです。
そんな、ちょっとおバカな社長が意識です。
つぎは、無意識の立場に立って考えてみましょう。
無意識は、太古の昔からずっと体を動かしていました。
それが、最近になって社長がやってきました。
社長は自分がこの体の支配者だと思っています。
でも、無意識さんは、あまり細かいことは気にかけず、ただ、やるべきことを淡々とやるだけです。
社長が、テトリスのこと忘れていようが関係ありません。
無意識さんは、毎日テクニックに磨きをかけて、次々に落ちてくるブロックを鮮やかにさばいていきます。
こうなると、この体の真の支配者は、意識か無意識かわからなくなってきますよね。
とはいえ、指示をだすのが意識で、無意識は指示されたことをするだけです。
さて、本当にそうでしょうか。
ここからが本題です。
心理実験を紹介します。
被験者に二種類のブランドの紅茶を飲んでもらって、どちらが好きかを聞くテストをしました。
実は、被験者に飲んでもらう紅茶は、中身が同じでブランド名が違うだけです。
そして、ブランド名には、必ず、被験者の名前の3文字を含むようにしています。
すると、被験者は、自分の名前を含んだブランドを選ぶ確率が圧倒的に高いそうです。
たとえば、トミーなら「トメヴァ」、ローラーなら、「ローラ」というブランドを選んだそうです。
どうも、自分の名前に近いブランドを気に入るようです。
さて、これは偶然でしょうか?
つぎに、職業別名簿を使って、名前と職業の相関関係を調べた人がいます。
歯医者は英語で「デンティスト」ですよね。
デンティストになった人の名前を調べたら、デニスって名前が圧倒的に多かったそうです。
弁護士は英語で「ロイヤー」ですよね。
ロイヤーになった人を調べたら、「ローラ」や「ローレンス」が圧倒的に多かったそうです。
いやぁ、大事な仕事ですけど、名前に近いから選んでるだけなんですかねぇ。
まだありますよ。
1万5000件の結婚記録を調べました。
すると、名前の最初の文字が同じ文字の人と結婚した確率が高いことが分かりました。
たとえばジョニーはジョエル結婚して、ドニーはデージーと結婚する確率が高いんです。
ジョニーはデージーと恋に落ちることは決してありません。
本当でしょうか?
にわかに信じられませんけど、これって、どういう法則でこうなるんでしょう?
これは、自分が好き、または自分に似たものが好きという法則がありそうです。
生物の行動の根本にあるのは本能です。
危険に近づくと怖いって感情が湧きますよね。
これは、自分を傷つけるものから離れたい、自分を守りたいっていう個体保存の本能から生まれるものです。
これは、逆に言えば自分が好き、自分に近いものが好きとなります。
だから、自分の名前に似た紅茶が気に入って、自分の名前に似た仕事に就いて、自分の名前に近い人と恋に落ちるわけです。
注意してほしいのは、これら、意識では気付いていないってことです。
イニシャルが同じだから結婚したなんて、誰も思っていません。
好きになったのは、性格が合うからとか、ずっと一緒にいたいと思ったからとか答えます。
そう答えるのは意識です。
でも、実際の行動を決定しているのは無意識です。
意識は、その行動に合う理由を適当に言っているだけです。
社長が、「わが社の理念は、よりよい社会にすること」とか、適当なことを言っているようなものです。
現場で動いてる社員は、そんなこと一切考えていません。
社員は、「イニシャルが一緒やから、この子好き」って思ってるだけです。
好きになる理由は名前だけじゃないですよ。
こんな実験もあります。
ロシアの怪僧ラスプーチンって知っていますか?
帝政ロシアの末期、宮廷内に入り込んで絶大な権力をふるった祈祷僧です。
ラスプーチンは、まぁ、いろんなおかしなことしてて、似てると真っ先に思い浮かぶのは、オウム真理教の麻原彰晃です。
最期は、青酸カリを仕込んだワインを飲んで暗殺されます。
ところが、青酸カリを飲んでも死ななくて、逆に暗殺者に襲い掛かってきました。
そこで、暗殺者は銃を何発も撃ったんですけど、弾が当たっても倒れずに、立ち向かって来るんです。
最後に、至近距離から頭を撃ちぬかれて川に落ちて、それでようやく死んだそうです。
そんなラスプーチンの小論を学生に読んでもらって、それぞれに感想を聞いたそうです。
ただ、その小論にはちょっとした仕掛けがしてあって、半分の学生には、ラスプーチンとその学生の誕生日が同じとなるようにしていました。
その他は全く同じです。
読んだあと、ラスプーチンについての感想を語ってもらたんですけど、みんな、ラスプーチンはとんでもない悪人だって言うんですけど、誕生日が同じと思ってる学生は、「そこまで悪くないよ」とか「時代背景を考えるとわからないでもない」とかってラスプーチンを擁護するんです。
そう語っているのは本人の意識で、意識は本気でそう思っています。
でも本当の理由は、ただ誕生日が同じだからです。
無意識が、同じ誕生日で親近感を感じてるから、ラスプーチンを擁護するんです。
その他、どこにどんな人が住んでるか調べた調査もあります。
すると、誕生日が3月3日の人は、スリー・フォークスとか3がついた地名に住んでいて、6月6日生まれの人は、シックス・マイルとか6がついた地名に住む傾向が統計的に優位にあることがわかったそうです。
そういえば、僕が小学校のとき一番親しかった友達は、僕と誕生日が同じでした。
一緒にいると楽しくて気が合うからいつも一緒に遊んでたんですけど、あれ、誕生日が同じだから、無意識が楽しいと感じてただけなんですかねぇ。
無意識は原始的な生物でも持つものなので、超単純です。
だから、名前が似てるとか、誕生日が同じというだけで好意を持ちます。
意識は、それを感じ取って、「なんか、いいかも」って思うわけです。
まぁ、いってみれば、「いよ、社長! よくお似合いで!」って、ほだされて、「そっかぁ」とか嬉しそうにしてるバカ社長です。
いやぁ、ほんとですかねぇ。
さすがに、意識は、そんなバカじゃないでしょ。
だって、意識は理性を持っています。
理論的な思考は意識しかできません。
それじゃぁ、最後に、決定打の心理実験をお見せしましょう。
被験者の前に4組のトランプを置きます。
その中から、一枚のトランプを引いてもらいます。
引いたカードによって、お金をもらったり、お金を取られたりします。
何枚か引いてると、どのドランプの組がよくて、どれが悪いかわかってきます。
何枚ぐらい引いたらそれがわかるか確認するために、「このトランプの組はいいと思いますか?」「こっちはどうですか?」って毎回、聞きます。
そうしたら、だいたい、25枚ぐらい引くと、「これはいい」「これはわるい」ってわかってきます。
ここまではいいですよね。
「これはいい」「これはわるい」って答えてたのは意識です。
過去の傾向から、いいか悪いか判断する理論的思考です。
理論的思考こそ、意識の重要な役割です。
次は、皮膚伝導を測定します。
これは、皮膚の電気抵抗のわずかな変化から、感情の変化を測定するものです。
感情を生み出すのは無意識なので、これは無意識の気付きを測定しているといえます。
だから、たとえば悪いトランプの組を引こうとすると、皮膚伝導が変化して警告をだします。
問題は、それが何枚目で起こったかです。
さっき、意識では25枚目で気付き始めたって言ってましたよね。
それが、無意識だと、なんと13枚目から起こるんです。
意識が気付く、はるか前から、危険だと気づいてたんです。
理論的な思考と思っていたものですら、無意識が意識を動かしていたんです。
かなり意識の座が危うくなってきましたねぇ。
これじゃ、本当に意識は無意識の言いなりじゃないですか。
でもですよ。
意識の最も重要な役割はなんでしたか?
前々回、第584回でも説明しました。
それは、行動の決定です。
たとえば、夜中にお腹がすいたとしましょ。
感情や感覚を発生するのは無意識です。
キッチンでラーメンを見つけて食べようと思ったけど、「いやいや、こんな夜中にラーメン食べたら太るからやめとこ」と食べるのを止めることもできます。
無意識からの提案に、Noを突き付けること。
これこそが、意識の最も重要な役割です。
ところがです。
この実験、これで終わりじゃないんです。
脳の前頭前野内側部に損傷を受けた患者がいます。
その患者は、皮膚伝導反応が起こりません。
つまり、無意識からの警告を受け取ることができないわけです。
だから、通常なら13枚引いた当たりから発生する皮膚伝導反応が起こりません。
でも、25枚ぐらい引くと、意識でどのトランプの組が悪いか気付き始めます。
ところがです。
この人は、意識で悪いとわかっていても、相変わらず悪いトランプの組からカードを引き続けるんですよ。
つまり、行動が変化しないんです。
意識では、このトランプの組は悪いとわかっているのに、今までの行動を変えることができないんです。
ここから、行動を変えることができるのも、無意識だけといえます。
感情が変化しなければ、理屈で悪いとわかっていても、今までの行動を変更できないんです。
こうなったらお手上げです。
意識は、完全に無意識に操られているとしか言いようがありません。
自由意志があるなんて、単なる幻想でした。
完全に僕の負けです。
はい、今回はここまでです。
この動画がおもしろかったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、よかったらこちらの本も読んでください。
それじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!
第586回 あなたの運命は決まっていた自由意志など存在しない