ロボマインド・プロジェクト、第500弾!
こんにちは、ロボマインドの田方です。
ついに、500回を迎えました!
いやぁ、よくここまで続きました。
このチャンネルの内容は、脳とか心とか意識の解説です。
それも、誰かが書いた本や論文の紹介じゃなくて、僕が考えたオリジナル理論の解説です。
それで500本の動画を撮るというのは、それだけまとまった独自理論があるということです。
または、ロボマインド・プロジェクトは他とは全く違う進化をしてるとも言えます。
言ってみればガラパゴスです。
ガラパゴス諸島は他とは隔離された環境で独自に進化した生物が存在します。
ロボマインドも、どこかの大学や研究機関に属してるわけじゃありません。
ただ、重要なのは、組織としてどこにも属してないってことじゃなくて、学問分野としてどこにも属してないってことです。
僕が何を言ってるのかよくわからないといわれることがありますけど、その原因の一つはここにあります。
ロボマインド・プロジェクトは、AIとか脳科学、言語学、コンピュータ科学といったものがかかわってきますけど、どこかの分野が中心となってるわけじゃないんです。
しいて言えば、「心をコンピュータでつくる」です。
つまり、学術的に心を解明するというより、「心をつくる」が目的です。
そこで、今回は、ロボマインドがいかにして独自の進化を遂げてきたのか、技術内容を中心に振り返りたいと思います。
これが今回のテーマです。
500回記念!
ロボマインド・プロジェクト総集編
それでは始めましょう!
まずは、ロボマインド・プロジェクトの歴史を簡単に振り返ります。
25年前、30歳の誕生日に「コンピュータで面白い物語を自動生成する」ってアイデアが降りてきました。
これが全ての始まりです。
その時のことは、ロボマインドのサイトの代表プロフィールとか、第79回「好きなことだけして生きていく」で語ってるので、よかったらそちらも見てください。
さて、物語を作るには、最低限、言葉の意味を理解できないといけません。
ところが、未だに、コンピュータで言葉の意味を理解することはできないんですよ。
それどころか、意味とは何かとか、言語学でもちゃんと定義できてるわけじゃないってわかってきたんです。
思ったより大変なことになりそうで、思い切って会社を辞めて、近くの大学図書館に通って研究を始めました。
でも、だんだんお金も無くなってきて、このままじゃ、とても研究を続けられないとなって、いったん研究を中止することにしました。
スタートしてから約5年目のことです。
ここまでがロボマインド・プロジェクト前記です。
そのあと、起業して、10年かけてようやく安定してお金が入る仕組みができたのでロボマインド・プロジェクトを再開することにしました。
それが2014年のことで、ここから後期がスタートします。
そこから今年で10年です。
2019年からYouTubeを初めて5年になります。
これが、ざっくりとしたロボマインド・プロジェクトの流れです。
ロボマインド・プロジェクトの目的は物語の自動生成です。
これは、分野としては自然言語処理になります。
僕が一番知りたかったのは言葉の意味理解です。
コンピュータで言葉の意味を理解させるにはオントロジーというものがあります。
これは、単語をこんな風に意味体系で分類したものです。
これは、岩波書店から出てる『日本語語彙体系』での分類です。
大学図書館に通って研究してたって言いましたけど、その時見てたのが、この『日本語語彙体系』です。
これをコンピュータに取り込めば、物語の自動生成プログラムを作れそうだって構想してたんですよ。
そう思ってたら、『日本語語彙体系』がCD-ROMで発売されたんですよ。
たしか5万円ぐらいでした。
ただ、当時はお金がなくて、これが買えなかったんですよ。
いつか、お金が入ったらこれを買うぞって思って、研究を一時中断して起業したわけです。
そして、10年後、お金が入った時、まず、始めたのが『日本語語彙体系』のCD-ROMを買って解析することでした。
そして、オントロジーを使って文を解析しようとしたんですけど、なかなかうまくいきません。
たとえば、「机に肘をつく」という文はおかしくないですけど、「机に膝をつく」はおかしいですよね。
人間なら、これがすぐにわかります。
ところが、オントロジーをつかっても、これが判定できないんですよ。
これは、きっと、『日本語語彙体系』に問題があるって思ったんですよ。
もっと高精度なオントロジーを使えば、きっと解析できると思いました。
そして見つかったのがEDRって電子辞書です。
EDRの何がすごいかっていうと、これ、第五世代コンピュータっていう国家プロジェクトで作った辞書なんですよ。
10年で、540億円もかけた巨大プロジェクトです。
当時、日本中のAI研究者が総動員されていました。
その成果物が販売されてるんですよ。
ただし、その額、260万円です。
10年前は5万円の辞書も変えなかったですけど、その時なら、何とか買えたので、思い切って買いました。
ただ、結果は同じでした。
第五世代コンピュータは歴史に残る大失敗と言われてますけど、その理由がわかった気がしました。
つまり、AIの第一人者を総動員してもできないのが言葉の意味理解ということです。
そのころになって、ようやく、今までの方法じゃ言葉の意味理解などできないってことがわかってきました。
当時、社員と二人で開発してて、年末にこう言ったのを覚えています。
「この方法じゃ、言葉の意味理解なんか絶対無理や」
「全く新しい方法を考えなあかん。休みの間に考えとくから」って。
そうは言っても、何のアイデアもなかったです。
でも、重要なのは質問です。
じつは、問題解決の8割は、正しい質問を出せるかなんですよ。
問題が解決しないとしたら、それは、質問の仕方が間違ってるんです。
その時、まだ解決できなかったですけど、質問は間違ってないと確信してました。
今問題なのは、人間には簡単にわかって、コンピュータではわからない原因です。
「机に肘をつく」はおかしくないけど、「机に膝をつく」はおかしいと思うわけです。
これがおかしいと思うってことが、この文の意味を理解してるってことです。
じゃぁ、なんでおかしいと思うんでしょう?
それは、「机に膝をつく」をうまく想像できないからですよね。
想像するっていうのは、頭の中にイメージを思い浮かべることです。
それって、3DCGで再現できるかできないかで判定できそうです。
つまり、文章を3DCGで作った仮想世界に変換できれば、意味を理解できたといえそうです。
これが僕が導き出した答えです。
そうして、年明けから、社員と3Dプログラムを勉強することにしたんです。
これが、後に「意識の仮想世界仮説」になるわけです。
このあたりから、ロボマインドは徐々に他とは違う方向に進み始めたわけです。
逆に言えば、それまでは、どこにも属してないだけで、やってることは一般的な自然言語処理の範疇に収まることしかやっていませんでした。
ここ、もう少し詳しく説明します。
さっき、質問こそが重要だっていいましたよね。
僕が問いかけたのは、「そもそも、言葉の意味を理解するとはどういうことか?」です。
その一つが、3Dの仮想世界で再現するというものです。
じゃぁ、仮想世界として再現したとして、そのあとどうすればいいんでしょう。
つまり、それを判断するプログラムも必要ですよね。
そのプログラムはいったい何でしょう。
それが、意識プログラムです。
ここにきて、言葉の意味を理解するには意識が必要だってなったんですよ。
この視点、自然言語処理や言語学からは、絶対に生まれません。
文を見て、その法則は何かという質問から出てくる答えは文法です。
これが言語学の問いです。
大量の文章を学習して、次に来る単語は何かって質問から生まれたのがLLM、大規模言語モデルです。
正しい質問をしないと、正しい答えがでないっていうのはこういうことです。
さらに、アインシュタインはこう言いました。
「問題を作り出した時と同じ思考レベルでは、その問題を解決することはできない」と。
僕は、「そもそも言葉の意味を理解するとは」という問いを立てました。
そこで、単語とか文法レベルで解決しようとしてたら、他と同じ答えしか出てこなかったと思います。
僕は、一つ上のレベルで解決しようとしたわけです。
それが意識です。
意識がいかにして文を理解するかです。
いや、文以前に、意識はいかにして世界を理解するかです。
世界を理解して、それをテキストデータに変換したのが言葉です。
だから、言葉の意味を理解するには、その前提として世界を理解できないといけないわけです。
そうやって、物語の自動生成プログラムを作るだけの話が、意識や心を解明することになっていったんです。
つまり、意識を解明しようとして始めたわけじゃなくて、言葉の意味を理解するために意識を解明することになったわけです。
だからといって、一般的な意識研究とも異なります。
意識を解明しようとする研究はいっぱいあります。
そのほとんどは、脳やニューロンを観察して、意識が発生するメカニズムかを解明しようとするものです。
それに対して、僕は、世界を理解するのが意識だってところから出発してます。
つまり、意識が存在するのは自明なところから出発してるんです。
だから、僕が解明しようとしてるのは、意識がいかにして世界を認識するかです。
別の見方をすると、僕は、意識は脳というコンピュータで動くプログラムと考えています。
そして、僕が知りたいのは、そのプログラムの中身です。
それに対して、一般的な意識研究が解明しようとしてるのは発生レベルの話です。
意識のハードプロブレムとかが、このレベルの哲学です。
量子脳理論とか、統合情報理論とかもこのレベルです。
これは、意識解明のアプローチの違いとしても現れてきます。
他の意識研究が、脳に電極を埋め込んだり、MRIで脳を観察するのに対して、ロボマインドでは、意識そのものの動きを観察します。
つまり、この自分は、脳の上で動くプログラムと考えるわけです。
または、自分はプログラムの一部、またはプログラムの中にいると考えるわけです。
僕は、意識の仮想世界仮説という心のモデルを提唱しています。
どういうものかというと、人は目で見た現実世界を頭の中に仮想世界として構築します。
意識は、仮想世界を介して現実世界を認識します。
このモデルの特徴は、コンピュータシステムとして実現できることです。
この心のモデルで、意識プログラムが自分になります。
目の前の世界を見て、世界があるって思ったとします。
そう思ってる処理の中身が、意識プログラムの中身です。
自分がプログラムの一部というのは、こういうことです。
たとえば目のまえにリンゴがあるとします。
無意識が仮想世界に3Dのリンゴオブジェクトを作り出して、意識プログラムはそのリンゴオブジェクトにアクセスします。
これが、意識がリンゴがあると思うことです。
色は赤いなぁと感じた時、意識が認識したのが赤のクオリアです。
その時認識してるリンゴのまとまりがリンゴのクオリアです。
こう考えると、意識科学のクオリアと主観の関係がプログラムできれいに再現できます。
ただ、これが本当に人の心と同じ方法で世界を認識してると言えるかどうかは疑問があります。
もしかしたら、人の心は、もっと別の方法で世界を認識してるのかもしれません。
つまり、対象群として、別の心のモデルを持ってる人と比較する必要があるんです。
つまり、僕が対象群として選んだのが、自閉症とか、脳が損傷した人とかです。
そういった人が、どんなふうに感じるのか。
その人たちの認識する世界も、同じように説明できたとしたら、僕が提案する心のモデルが正しいと言えそうです。
だから、このチャンネルでは自閉症は脳障害の人をよく取り上げるんです。
そうやって、ロボマインド・プロジェクトでは、心のモデルを提案して、それを実際にコンピュータでつくって検証しています。
こうやって実際に作って解明するやりかたを構成論的アプローチといいます。
心みたいに、客観的に観察できなものの解明にや有効なアプローチです。
それなのに、なぜか、ロボマインド以外はどこも取り組んでいません。
これが一番不思議なんですよ。
こうやって設計した心のモデルを実装したプログラムがマインド・エンジンです。
そして、今、マインド・エンジンを搭載したAIアバターが暮らすメタバースの実証実験をしようとしています。
それが、プロジェクト・エデンです。
プロジェクト・エデンでは、今後、マインド・エンジンが改良されて、どんどん心が進化していきます。
まさに、ガラパゴスです。
ロボマインド・プロジェクト、第1000弾では、とんでもない方向に心が進化したAIアバターをお見せできると思います。
はい、今回はここまでです。
今回の動画がおもしろかったらチャンネル登録、高評価お願いしますね。
それから、意識の仮想世界仮説に興味がある方は、こちらの本をお読みください。
そらじゃぁ、次回も、おっ楽しみに!
500回記念!ロボマインド・プロジェクト総集編
